北の「猿芝居」許すまじ

北朝鮮当局によって完全に管理された、台本棒読みの金英男氏による天下の猿芝居を観て怒り心頭。平然と偽遺骨(横田さんの場合には複数の人間の骨を、松木さんのケースでは動物の骨まで混入させていました!)を出してくる国ですから、そこで統制されている男が「妻は自殺した」などと証言しても誰も信じることはできません。こんな冷酷無比な独裁政権を延命させる道理はありません。

言うまでもなく、我が国単独の経済制裁発動へ十分な根拠となると思います。すでに米国によって2つの海外金融拠点を閉鎖させされた北朝鮮ですから、我が国が貿易停止、送金停止に踏み切れば、それだけでも100億円足らずの北朝鮮の国家予算の数倍の効果を持っていることから、相当な圧力になるはずです。

さて、そのような中、いくつかの質問にお答えせねばなりません。一つは、北朝鮮人権法に関する回答、もう一つは、テポドン発射準備に関する見解、さらには、被爆者支援議員連盟発足に関する経緯を明らかにしたいと思います。

第一に「北朝鮮人権法」について、二点ばかり誤解を解いておく必要を感じましたので、説明したいと思います。(1)大量難民受け入れの財源や援助の内容、期間、などについてのお尋ねですが、そもそも本法律は大量難民の発生を前提にしていません。北朝鮮が崩壊するなどして大量難民が発生した場合、その多くは地続きの中国や韓国へ流入することになると思いますが、その時には、本法律があろうとなかろうと、難民の受け入れを我が国だけが拒否することは国際的には困難だと思います。(2)北朝鮮難民だけを特別扱いする理由は何か、とのお尋ねについては、本法律が一義的に対象としているのは我が国が関わる脱北者、すなわち、50-60年代の帰還事業で北朝鮮に渡った「日本人妻」の方々およびその係累との立法者のコンセンサスがある、との説明でご納得いただけるものと思います。

第二のテポドン発射準備については、これまでのところ日米を中核とする「牽制」が相当な抑止効果を挙げていると評価しています。とくに、いちはやく経済制裁や安全保障理事会への付託を明言した麻生外相の言動は、最近の外務省の「本気度」を示すに余りあるファイン・プレーだったと見ます。

そんな中で、衝撃が走ったのは、穏健派と目されていたペリー元国防長官が、「潜水艦発射の巡航ミサイルによる先制攻撃でテポドンを発射台ごと粉砕してしまえ」との過激な論考をワシントン・ポスト紙に寄稿したことです。彼は、これまで、米朝の直接交渉を急ぐよう両国政府に促してきたことから、「穏健派」と目されてきましたので、今回の論文は180度見解を変えたもの、との見方が広がりました。しかし、ペリー氏は、1994年の北朝鮮核危機の際には、国防長官として先制攻撃の発動一歩手前まで指揮した人物であり、1999年には、今回の論文を一緒に書いたアシュトン・カーター氏と共著で『PREVENTIVE DEFENSE(予防的防衛)』という本を上梓し、脅威が現実化した場合には予防的攻撃もやむなしとの議論を展開していましたから、彼は単なる穏健派ではなかったのです。

結局、彼が米朝の直接交渉を促し続けたのは、これ以上北朝鮮による核開発を「放置」した場合、没交渉の間に、北は何らの束縛をも受けずに着実に再処理を進め兵器級のプルトニウムを蓄積することになり、長距離ミサイル開発の進展と相俟って、米国にとって取り返しのつかない脅威に直面する、との悪夢のシナリオをなるべく早く回避しておきたい、との考えに基づくものでした。そして、今回の先制攻撃論は、彼の得た情報によれば、もはや北朝鮮の核とミサイルの脅威が、米国の安全保障にとって、これ以上無視することを許さないレベルにまで高まったということを示しているといえます。

ペリー氏の観測は、我が国にとって決して他人事ではありません。最近、日米のミサイル防衛システムの配備を加速化し、連携を緊密化したことが、そのことを物語っています。しかし、これまでこれだけの脅威が隣国からもたらされて来たにもかかわらず、もっぱら日本側の理由(憲法や近隣諸国への配慮など)からミサイル防衛システムの開発・配備が遅れてきたことは甚だ遺憾なことです。かりに明日発射された場合には、残念ながら我が国に(も、在日米軍にも)迎撃する手段はなく、したがって、国民の生命と財産を守る手立ては存在しません。政治の怠慢というほかなく、猛省せねばなりません。

また、それがアラスカやハワイをうかがうほどに長距離だった場合には、アラスカに配備されているミサイル防衛網が実際にどれほどの精度で迎撃できるかが証明されることとなります。米国との共同ミサイル防衛システムを開発中の我が国にとっても、迎撃成功は死活問題です。しかし、何と言っても、ここは中国や韓国も含め国際的な圧力を強めて、テポドン発射が北朝鮮に破局を招くことを明確に知らしめることによって、危機を未然に回避するほかありません。

第三の、被爆者支援議員連盟につきましては、これまでにも独自にこの問題に取り組んできた有志の議員が複数おられることを突き止め、その方々ともう少し連携を密にした運動体を党内につくることを話し合いました。遅くとも7月中に被爆者支援団体の皆さまをお招きしてキックオフの会合を国会内で持つことになりますので、そのつど進捗状況についてブログで報告させていただきたいと存じます。

なお、「被爆者支援も広い意味で犯罪被害者支援の一つ」と書いたことに対し、加害者は誰か、他の戦争被害者はどうなのか、とのご質問もいただきました。率直に言えば、原爆投下の加害者は「アメリカ合衆国政府」ですし、その行為が民間人を標的にしたもので、明らかな国際法違反であることも論を俟ちませんが、ただ、私の被害者支援の真意は、あくまで被害者の方々の救済であって、加害者を裁くことまで及びませんので、結果を米国非難運動に持ち込もうとは考えておりません。また、被爆者以外のシベリア抑留者や中国残留孤児など他の戦争被害者についても、あれもこれも抱え込むほどのキャパシティは持ち合わせておりませんが、できる限り救済に取り組んでいければと思っています。

さらに、被害者支援運動の関連で、先週の土日に、立川駅頭で、「飲酒ひき逃げ犯の厳罰化」を求める署名活動に参加しました。このほか、この10日余りの間に岡崎研究所と米ヘリテージ財団が台湾の与党系シンクタンクと共催した「台湾海峡の平和と安定のための安全保障対話」セミナーに、石破茂元防衛庁長官とパネル・ディスカッションでご一緒したこと、小沢代表、菅代表代行、鳩山幹事長と「米軍再編
と日米同盟」について議論した内容なども、遅ればせながら順次報告して行きたいと思います。
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