唯一の被爆国の現状

もうすぐ立川市議選の結果が判明します。
選挙結果を待つ気分は、まさに合否の発表を待つ受験生のそれとかなりの部分重なるものがあります。自分の選挙でない場合には、受験生の家族の心境と重なります。

そんな気分で、そわそわした一日を過ごしましたが、地元行事は容赦なく入ってきます。今日は、昼に昭島市における被爆者の皆さんの会「しあわせ会」の23回目の総会にお邪魔しました。

私のライフワークの一つが犯罪被害者の支援運動であることは、以前すでに触れました。被爆者の方々を支援する運動も広い意味でその一つです。広島、長崎で被爆された方々にとって61年目の夏を迎えます。その多くが、すでに年老いて病床に伏せておられます。そんな中で、被爆者の皆さんを支え、被爆体験を次世代へ語り継ぐ「しあわせ会」のような組織、運動が、全国で展開されてきました。

しかし、被爆者の皆さんを取り巻く環境、とりわけ我が国行政の姿勢は、驚くほど冷淡なのです。その一例が、全国13地区で提起されている原爆症認定を求める集団訴訟です。去る5月12日、大阪地裁第2民事部が、原爆症認定をめぐる原告全員の請求を認める画期的な判決を下しました。被爆者援護法の国家補償的性格を積極的に認め、これまでのような原因確立の機械的適用を排斥した判決は、厚生労働省の原爆症認定行政に抜本的転換を迫るもので、並行して進められている他の訴訟に大きな影響を与えることは必至とみられ、被爆者の皆さんから歓呼の声で迎えられました。

被爆者支援団体である「東友会」のHPにも、つぎのようなメッセージが掲載されました。

(引用はじめ)
・・・(どう判決は)国の原爆被害過小評価の姿勢を批判したものであり、世界中に核兵器の非人間性を訴え、世界から核兵器を根絶するよう呼びかけるメッセージでもあります。私たちは、この判決が、5月晴れの空に舞う鯉のぼりのように、世界中の空にはためくことを願っています。
(引用終わり)

しかし、その10日後、患い年老いた原告の皆さん(全国13訴訟において、171名のうちすでに26名が亡くなっている!)の悲痛な願いも空しく、厚生労働大臣は、控訴に踏み切ったのです。8月には、広島で新たな判決が下されることになりますが、これまでも長崎や京都など7判決で国は敗訴してきており、司法判断の方向性はすでに定着してきたと言っても過言ではありません。

かくなる上は、政治がこの運動を引き継いで、厚生労働省に対する「圧力」を強めていかねばなりません。ハンセン病も薬害エイズも同じ構図でした。最近では、最高裁判決でB型肝炎訴訟でも国に賠償命令が下されています。ここ数日、「「脱北者」救済の前に、まず自国民を!」との指摘も数多く寄せられていましたが、わが同胞の方々、しかも61年もの長きにわたり十分な国による補償を受けずに呻吟してこられた皆さんを救済することは、まさに喫緊の国民的課題だと心得ます。「しあわせ会」に集った皆さんのお顔を拝見しながら、改めて政治家の役割について自覚させられました。

「唯一の被爆国」における最大の被害者が十分に救済されない現状は、政治家として本当に恥ずべきことです。明日にも、党内有志を募ってこの問題に取り組む議連を立ち上げよう。あと数時間後に迫った地元市議選の結果を待ちながら、そんな決意を新たにしたところです。
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