鳴き終へて 道にころがる 死せる蝉 夢詩香
*俳句が続きます。これはほんのさっき詠んだものです。朝の散歩をしていると、道の隅に蝉の亡骸が転がっていたので、何かの気持ちに導かれて、詠んでみました。
まだ夏は盛りですが、早いものはもうひと夏の自分の使命を終えている。そんなことにもかすかな季節の移り変わりを感じますね。時は進んでゆく。焦るように鳴き騒いでいる蝉の声が愛おしい。
彼らは神が定めてくださった生き方をまじめになぞっているのです。毎年の約束のように蝉が夏を盛り上げてくれる。人間もまた、その声に導かれるように、自分の生き方を考え始める。
掌に乗るほどの小さな命。七日しか生きられないという命を、この蝉はどう生きたろう。鳴いて鳴いて、呼び合って睦みあい、命を次についで使命を終える。その中に蝉の魂は何を感じていたのだろうか。
神はすべての命に、美しい生き方を教えて下さる。その中に、喜びがあり、悲しみがあり、すばらしい愛がある。生きとし生けるものは命の中で自分を感じ、少しずつ情感を肥やしていく。
小さな蝉も、生きることで何かを感じていたはずなのです。その魂の小さな感性を思うとき、命に対する限りない情愛がわいてきます。
人間もまた命の中で、すばらしい生き方をしていかねばならないと思うのです。