みつかひの かほをぬすみて 夢のごと とほき荒野の 呼ぶ声を聞く
*「みつかひ」とはわれわれ天使存在のことです。今まで何度も言ってわかっていることでしょうが、一応重ねておきましょう。
天使の顔を盗んで、夢のように、遠い荒野の呼ぶ声を聞く。
遠い荒野とは、わたしたちがシジフォシアと名付けた、何もない世界のことです。
馬鹿なことをやって人間を落ちた者は、だいたい死後そこに向かいます。そこは神が何も創造を行わなかった不毛の世界。土はあるが水はない。空はあるが星はない。風は吹くが森はない。とにかく何もない世界なのです。
こちらの世界にいれば、小枝の先っぽでもあれば、土に絵を描くこともできるが、そんなものさえないのです。
そこに行った人間は、いえ人間を落ちた者は、まるできのこのように、永遠に何もしないでぼんやりしているしかないのです。
なぜそんなことになったのか。それは自分を馬鹿にすることによって、神の創造を馬鹿にしたからです。馬鹿者は自分を嫌がり、他の存在になろうとして、あらゆる馬鹿をやり、この世界に苦悩を投げかけてきた。それはそのまま、神の創造を馬鹿にすることなのです。
自分だけの幸福のために、馬鹿は人を馬鹿にし、神を馬鹿にしたのです。それゆえに、神の努力の結晶であるこの美しい世界を追い出され、神が何も創造を行わなかった不毛の世界へと赴き、そこで神のように創造を行わなくてはならなくなったのです。
ですが人間にそんなことができるわけがない。だから何もせずに、永遠にぼんやりしているしかないのです。