ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

かたつぶり

2024-04-24 03:19:31 | 短歌





かたつぶり 我よりのろき ものなくも しりぞくことは 知らずとぞいふ




*今回も、第3館から持ってきました。

これは書斎を整理していて、見つけた古いノートの中から発掘したものです。ほこりにまみれた大学ノートを開けてみると、乱雑な字で、何首かの短歌が書いてありました。

ノートの中の歌は、中の五が、「足はなく」になっていたのですが、それだと意味がすんなり通らないので、「ものなくも」に推敲しました。その方が、かのじょの言いたいことに近いと思ったのです。

どういう状況で書かれたのかはわからないが、推敲する暇もないほど焦った状況で、さらさらと書いて、そのまま忘れたのかもしれませんね。

カタツムリのように、のろい足でも、わたしは退くことはしない。
前に進み続ける。

そんなかのじょの麗しい決意が、この歌に込められているような気がします。

確かに、かのじょには、努力しても努力しても、一向に報われない時期がありました。人々に心を伝えようとして、がんばっても、誤解と無理解の風にみんな吹き飛ばされてしまい、何にも伝わらないという日々がありました。

そんな日々の中でも、努力することをかのじょはやめなかった。カタツムリのようなのろさでも、前に進み続けようと思っていた。

孤独の闇の中を、確かな自分の力を信じて、進み続けた。

カタツムリは、確かにゆっくりとしか進めないけれど、決して退くことはしないのだと。




この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 花の野を | トップ | 美人だと »
最新の画像もっと見る

短歌」カテゴリの最新記事