チェインブレーカー及び関連領域の郵便史

ユーゴスラヴィア建国当時~1922年頃までの旧オーストリア・ハンガリー帝国地域のチェインブレーカーを中心とした郵便史

190131裏 小包第1期オーストリア+スロヴェニア混貼り 速達、かさばる小包、現金支払い

2007年09月26日 21時44分55秒 | 小包第1期
190131裏 小包第1期オーストリア+スロヴェニア混貼り 速達、かさばる小包、現金支払い
到着印:MOSTE b. LAIBACH MOSTE pri LJUBLJANI 2. II. 19 a (1919年2月2日)
ドイツ語・スロヴェニア語二カ国語表記。この後しばらくするとユーゴ化されてドイツ語表記のMOSTE b. LAIBACH は削除されます。
受取人サイン日付:1919年2月2日

切手:無し
手書き:v g fr、これはスロヴェニア語の「v gotovini franco」の略であり、意味は「現金支払い」です。
この記載が行なわれていますから、現金で何等かの料金を徴収したのは間違いないと思われます。しかし、この場合は現金徴収金額が書かれていませんから、どのような料金を徴集したのかはっきりとは分かりません。

現金支払い料金の可能性の解析:
①通知料金か配達料金の可能性
この小包は速達扱いですから、受取人の住所への配達料金が含まれています。このため、通知料金や配達料金が受取人から徴収され不足切手で領収されることは規則上はありません。それにもかかわらず、現金支払いを示すv g frが記載されています。このため、郵便局員が速達の取り扱い規定を間違って、通知料金か配達料金を現金で徴収してしまった可能性はあると思われます。
②70vinar不足していた小包料金の可能性
小包の料金不足の場合は、普通の郵便物のように不足額の2倍が徴収されるのではありません。小包の料金計算と切手の貼り付けは郵便局員が行いますので、徴収不足があった場合には郵便局の責任です。このため、不足分の2倍(この場合は140vinar)を徴収するのではなく、不足した金額(この場合は70vinar)だけを発送者から徴収する規則でした。
(a)小包送票の表の解説で説明した70vinar不足していた小包料金を受取人が現金で支払ったとは普通は考えにくいと思われます。なぜならば、不足額を小包送票に記載する規則になっていますが、この場合は記載がありませんので、郵便局員が料金不足に気づいていないと思われるからです。ただし、郵便局員が取扱いを誤って小包送票に不足額を記載せずに、70vinar不足していた小包料金を受取人から現金で徴収した可能性も残されます。
(b)また、小包の受取人が不足額の支払いを拒否した場合には、受取局でRückmeldungという書類が作成され、小包の発送局へ料金不足が通知されます。そして小包発送者から70vinarが追加徴収されます。Rückmeldungの場合には、小包の受取人から徴収されることはありませんので、現金支払い済みを示すv g frが記載されることはありません。

参考文献
Rückmeldungの解説
(1)Jugopošta, Journal of The Yugoslavia Study Group, p.9-14, No.50, 1999
Withdrawal of Mail in Croatia in 1919
(2)Jugopošta, Journal of The Yugoslavia Study Group, p.1-7, No.52, 1999
Correction of my Article, Withdrawal of Mail in Croatia in 1919
上記2つの研究論文はブログ著者がJugopoštaに報告したものです。
(3)Arge der Balkan Länder, No. 130, p.6-13, (1994)
Thomas Artel
Einführung in die Verwnedung von Klebzetteln als besonderer Kennzeichnung von Paketbegleitadressen 郵便小包送票の特別表示事項へのラベルの使用
備考:各種表示に関しては、規定のラベルを貼る代わりに、手書きで表示することも許されていました。


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