みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『麦秋』 観ました。

2018-01-01 16:00:00 | 邦画
1951年:松竹。 監督:小津安二郎。 NHK-BS103からの録画。
66年も前に公開された邦画です。モノクロの画面にスタンダードサイズ。
それだけでも今どきの映画とは全く違う雰囲気ですね。
ストーリーの流れ方にもいかにもな昔あった「静謐さ」が感じられます。
自分の小さいころには、世の中には現在とは異なるゆったりした感覚が
まだ残っていたので、少なからず当時を思い出すことしきり。
もっともあの当時に人々がゆったりした空気を感じていたというわけではなく、
あくまで”いま思いかえしてみれば”ということなのですけど。
いつだって生活というものは、どんな時代でも同じく大変。それは変らないと思います。

 
いつもの慌ただしい朝の風景。           近所の矢部氏と駅のホームで挨拶を交わす。

ひとつ屋根の下で暮らす父母、紀子(=ヒロイン)、兄(=勤務医)、
兄嫁、そして二人の甥たち。
彼女も28歳。そろそろ結婚を真剣に考えるべき年齢だ。

 
専務秘書として有能な紀子。            専務から見合相手の写真を渡されるが。

そんな時に会社の直接の上司・佐竹専務から見合いの話が持ち込まれる。
どうやら相手は専務の親しい友人のようだ。
少し年齢は高めで満40歳。四国の旧家の次男坊とのこと。
世間一般の基準から考えても、悪い話ではなさそうだ。
紀子の様子を見る限り、彼女自身も満更でもなさそうだ。
それで周囲もすっかりそのつもりでいたのだが、ある時を境に事態は急転する。

 
「紀子に良縁が来た」と喜ぶ兄と兄嫁。       紀子の出した意外な結論に、急遽 家族会議。

兄の同僚の矢部医師が秋田へ転勤することが決まった。
彼には母親と幼い娘が一人いる。妻にはかなり以前に先立たれて今は独身。
長い間矢部医師に密かに好意をもってきた紀子は、彼の母親から懇望された
こともあり、彼との結婚を決意。
この突然の成り行きは周囲=家族にはすんなり受け入れられず、
可なりの悶着が起きてしまう。
だが紀子もなかなか強情だ。結局は自分の意志を通してしまう。

むかしの作品なので、色々な意味で「現在の映画とは違う」のですが、
そのあたりを納得して観るのならば、それなりに楽しめると思います。
冒頭にも描きましたが、作品に流れる「静謐な」空気が、今となっては
なかなか貴重なものと感じられました。
ところでタイトルの『麦秋』ですが、”初夏を表す季語”なんだそうです。
麦の収穫時期が初夏のころなので。
もちろんご存知の方も多いでしょうけど、老婆心ながら(^^;