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みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

「ハンナ・アーレント」観ました。

2015-10-23 12:00:00 | 洋画
2013年:独・ルクセンブルグ・仏。 監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ。 
WOWOWからの録画。

地味ながらも注目度の高い映画なので、観てみました。
第二次欧州大戦時にナチスドイツ高官として、多くのユダヤ人をガス室送りにしたアイヒマン氏。
長年の逃亡生活の末についに南米で逮捕されたとの新聞記事を、当時小学生だった自分も
読んだ記憶があります。
一面をぶち抜きにした紙面構成は滅多にないことなので未だに記憶に残っています。

 
長い逃亡の末に南米で逮捕されたアイヒマン氏。   エルサレムでの裁判を傍聴する許可が下りる。

エルサレムで行われるアイヒマン氏の裁判。しかし敗戦国の人間を裁くなどと
いう行為は東京裁判の例でも判るように、意図は始めから見えているわけです。
これは決してリンチなんかじゃない、と勝者が取り繕うために行われる儀式.....。

世界的に注目度の高い裁判なだけに傍聴希望者が殺到。
審査が厳しくて滅多なことでは受理されない中、ハンナの申請は許可される。
 ○ ハンナ自身も抑留の経験をもつ在米ユダヤ人であること。
 ○ 哲学者であり、大学教授であり、世界的に著名なライターでもあること。
 ○ 彼女のような高名な人間が傍聴することは、今回の裁判の箔付けにもなること。
以上のような理由で例外的に許可が下りたと思われます。
ともあれ友人たちからの祝福と激励を受けてイスラエルへ向かう。

 
イスラエルの裁判にかけられるアイヒマン氏。    彼の発言から「いたって普通の人間だ」と確信。

実際に裁判に接して、アイヒマン氏の発言を聞いているうちにハンナは確信する。
「この人はいたって普通の人だ」と。
「だが普通の人がある体制の中で自らの思考を停止したとき、人類未曾有の”巨悪”を
無自覚に為してしまう」
「人間にはこの種の悪を裁くことは出来ない。アイヒマン氏個人を裁くことも出来ない。
ただし彼のした行為の結果を彼に負わせるのはやむを得ないだろう」

 
夫ハインリッヒが倒れる。             しばらくは看病のため執筆は中断。

裁判にハンナが没頭しているさなかに夫のハインリッヒが倒れる。
さいわい早いうちに知人に発見されて命をとりとめる。
急遽彼女は帰米して、しばらくの間は夫の看病に専念。

 
ユダヤ側にもナチに協力的な者がいたと発言。   これには抗議の電話が殺到。予想ができたことだが。

ニューヨーカー誌に掲載されたハンナの記事は大きな波紋を呼ぶ。次いで抗議の電話の嵐。
ユダヤ人の大量虐殺に関して、ユダヤ人の側にも結果的にナチに加担する姿勢があったとする
彼女の論調が猛烈な反発を招いたのだった。
それは記事を最後まで読まないうちに感情的な反応を示した人たちが大半だったのだが。

映画でテツガクできる、稀有な例でしょうね(^^;
”アイヒマンは大量殺人を為した極悪人=問答無用で死刑が当然だ!”とする感情論も
人間として間違いとは言えないでしょうが、論理的な立場からは浅さが見えてしまいます。
自分もこの作品を観ながら、あれこれと考えてしまいました。
たまにはこんな映画を観るのも結構良いですかね。
この映画のテーマは確かに深いのですが、とりたてて難解というわけではありません。
無用に深刻ぶった作りにはしなかったのは制作陣の手柄だと思います。

「ストックホルムでワルツを」観ました。

2015-10-21 16:00:00 | 洋画
2013年:スウェーデン。 監督:ペール・フライ。 WOWOWからの録画。
ジャズファンにはお馴染みのアルバム、ビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビー」。
それの女性ヴォーカルバージョンでヴォーカルを務めたモニカ・ゼタールンド。
そのモニカ・ゼタールンドの半生を描いた映画です。

 
電話交換手として忙しく働くモニカ。        歌手としてなかなか評判の良い彼女。

モニカは昼は電話交換手として働き、夜はクラブなどで歌っているシングルマザー。
いつかは大きなステージで歌えるような一流のジャズ歌手になるのが夢。

 
NYでの代役の話が。これはチャンスなのか?     思い切ってNYまでやって来たが....。

そんなモニカのもとに”NYで歌ってみないか”と急ぎの代役の話がくる。
なんでも急に歌手のスケジュールの調整がつかなくなったためとのこと。
直ぐに返答が必要だ。もちろん彼女の答えは”イエス”。 

 
アメリカでのステージは惨敗。           マネージャーから訳を聞かされて呆然となる。

アメリカでの初舞台と意気込んでステージに上がるモニカ。だが観客の反応が妙だ。
不快そうに席を立ち、みんな次々に帰り始める。これはどういうこと?
ステージを降り、支配人からようやくその理由を聞かされる。
客たちは白人のくせに黒人たちの伴奏で歌うモニカが気に入らない、ということの
ようだった。
NYのような大都会でさえ人種差別がいまだに公然と残っていたのだった。

 
大先輩エラから酷評されてしまう。         帰国してからも直ぐに巡業に出て稼ぐ。

それ以上にショックだったこと。
尊敬するエラ・フィッツジェラルドに偶然出会って歌を聴いてもらえたのだが、
”あなたの歌は、ただのサルまねだ”とアッサリ切り捨てられる。
プライドも何もあったものじゃない。ズタズタだ。傷心の帰国。
NYでの惨敗ぶりは小さな街ではすでに誰知らぬ者はいない。だが生活は続いていく。
生活のために地方巡業の旅に参加するモニカ。そこで一人のベーシストと親しくなる。
未来の夫となるストゥーレ氏だ。

 
ストゥーレ氏からのアドバイスを受ける。      スウェーデン語でジャズを歌う。 ㊧:ストゥーレ氏

あくまで自分はスウェーデン人だ。その事実からは逃げられない。
ジャズに多く歌いこまれるアメリカの情景情感はしょせん自分には解りっこのないことだ。
だったら自分はまず自分の言語、すなわちスウェーデン語を基本にするべきじゃないのか....。
そんな時にストゥーレ氏から受けたアドバイス。ジャズに通じる雰囲気の詩を書く男がいる。
その詩人ヴォルゲシュ氏に会ってスウェーデン語のジャズ歌詞を書いてもらうのはどうか?
モニカもその気になり詩人に会うなり意気投合。
スウェーデン語で吹き込んだモニカのジャズレコードは大きな評判をとる。
ようやく彼女にも運が向いてきた。進むべき先が見えてきた思いだ。
次第に彼女は一級のジャズシンガーとして周りにも認知されてゆくが....。

モニカの運命はこれ以降も困難な局面を何度も迎えます。
自分も彼女の”ワルツ・フォー・デビー”のCDは持っていますが、どういう人生を
送ったヒトか?といったことには殆んど知識がありませんでしたので、
今回の映画はそうした勉強も兼ねた興味深い視聴でした。

「LIFE!」観ました。

2015-10-20 16:00:00 | 洋画
2013年:米。 監督+主役:ベン・スティーラー。WOWOWからの録画。
映画『虹を掴む男』(1947年公開)のリメイク作品だそうですが....
自分はそっちの方を観ていないので、なんともコメントできませんが(^^;
ともあれコレを単独で観ましたが、結構面白い映画だと感じました。

 
出会いサイトで恋人募集中のシェリル。       ある朝、会社が買収されたことを知る。

ウォルターは長年ライフ社でネガフィルムの管理担当として働いてきた超ベテラン。
最近入社してきたシェリルに片思い中。
たまたま彼女が出会いサイトに登録していることを知り、早速自分も登録。
近くの部署にいるんだから直接声がけすれば良いのに....。
と思うのは素人の浅はかさ。世の中にはいろんな性格があるのさっ?
ある朝ウォルターが出社するとライフ社が買収されたことを知る。そうなると次に
来る現実は大量の首切りだ。ともかく今は自分の仕事に専念するしかない。

 
ショ―ンの25番ネガがどこにもない。        はるばるグリーンランドまでやってきたウォルター。

ライフの表紙写真を長年撮りつづけてきた冒険家兼写真家のショーン。
彼に言わせれば”最終号を飾るにふさわしい傑作写真”だというのだが、
ウォルターと部下の二人がかりで、どんなに必死に探してもそのネガは見当たらない。
〆切りは刻々と近づいてくる。もはや彼に会って直接問いただすしかない。
そういうわけでウォルターははるばるグリーンランドまでやってくるが、
僅かなタイミングの差で会えずじまい。
もともと始終あちこちと動き回って掴りにくい、かなり厄介な人物なのだ。

 
今にも飛びたつヘリに乗り込む。          ヘリから漁船へ飛び移ろうとするが....。

仕方なく町に一軒だけある小さな食堂兼酒場に入って情報を仕入れる。
その結果、ショーンがアイスランド行きの漁船に乗ったことを知る。
たまたまその漁船に届けものをするというヘリがあるにはあったが、
操縦士は深酒をして酩酊状態。大丈夫なのか、このおっさん?(^^;
悩んでいても他に手段がなければ仕方がない。思い切って酔っ払いヘリに同乗。
漁船にはヘリポートなどというシャレたものは無い。
ヘリから直接飛び降りるが海にボッチャン。早速サメがやってきたが危うく助かる。
だが又してもショーンには会えない。

 
漁船から自転車に乗換えショーンを目指す。     スケボーに乗換えショーンを目指す(^^;

僅かな情報を頼りにショーンを追い続けるウォルター。
アイスランドの美しい大自然の風景のなか、自転車に乗換えスケボーに乗換えて
ひたすら走り続ける。
だが苦労のかいあって、ショーンとの距離は縮まりつつあった。

 
なんとショーンは複葉機の上から火山の撮影。    火山の大噴火に遭遇。とにかく逃げろ!

「ショーンならちょっと前までいたよ」又しても一足違い。飛行機に乗ろうと
ホテルからチェックアウトしたとのこと。急いで後を追おうとするウォルター。
だが事態は切迫していてショーンどころではなかった。
近くの火山が大噴火を起こしはじめ付近一帯は非常に危険な状態が迫っていたのだ。
早く逃げないと自分の命が危ない....。

あまり肩肘はらずに観られて結構面白い映画でした。
本作ではベン・スティーラーは製作・監督・主演とイロイロ大活躍です。

「タンゴ・リブレ 君を想う」観ました。

2015-10-19 16:00:00 | 洋画
2012年:白・仏・ルクセンブルグ。 監督:フレデリック・フォンテーヌ。 
WOWOWからの録画。

ダンス+音楽を下敷きにした映画の場合、多くは陽気というか明るいハナシが
多いんですけど、これはちょっと暗さの混じるストーリーとなっています。

 
タンゴ教室で出あったJCとアリス(中央の二人)。   JCの職業は刑務所の看守。

JCの職業は刑務所の看守。仕事面では至って真面目。
楽しみは週一回通っているタンゴの教室。
そこに新しい生徒として教室に入ってきたアリス。素敵な人だなあとJCは内心思っている。

 
アリスの夫フェルナンは収監中の身。        JCとアリスの関係にヤキモキする夫。

ところが翌日。今日は刑務所の面会日。多くの面会希望者が刑務所にやってくる。
その人たちの中にアリスの姿を見つけて驚くJC。アリスの方でも彼に気づく。
何となく気になってしまいアリスの面会の様子を窺うJC。
夫フェルナンはJCの視線に気づいて「2人きりにしてくれよ」。
だがアリスの態度も妙だと気づく。
「ヤツを知っているのか?」と聞かれ、同じタンゴ教室で踊っていると正直に答えるアリス。
それを聞いて居ても立ってもいられなくなるフェルナン。
シャバでの二人の仲を想像して嫉妬できりきり舞い。
初めは腹を立てる一方だったが、そのうち自分もタンゴを踊れるようになろうと思いつく。
どういう心境の変化なのか、その辺はちょっと描写が曖昧ですが....。
JC以上に踊れることをカミさんに見せて「どうだ」とでも言いたかったのだろうか?

 
初めのうちはチチョに拒絶されるフェルナン。    刑務所の中での時ならぬタンゴブーム。

取りあえずアルゼンチン出身の受刑者がいないかどうかを聞きまわるフェルナン。
アルゼンチンはタンゴ発祥の地だ。
ようやくアルゼンチン出身のチチョが見つかるが「俺はタンゴなんか踊れない」とアッサリ
言われる。だがそれは相手の意図をよく見極めてから、という警戒心からの言葉だった。
強面のアルゼンチン人チチョ。
だが本当にフェルナンがタンゴを教わりたいのだ、と解った途端に態度が変わる。
この上なく熱心かつ丁寧にタンゴの指導を買って出てくれる。
初めのうちは面白がったり冷やかしたりしていた周囲も、やがてタンゴの面白さに
取りつかれて刑務所内はタンゴ一色に染まっていく....(^^;
この辺の展開はヤッパリ映画ですね~。
一方、アリスに対するJCの気持ちは次第に高まっていく。フェルナンの嫉妬もあながち
的外れではなかったようだ。彼らの運命はじょじょにある一点を目指しはじめる....。

自分的にはアリス役の女優さんにあまり魅力を感じませんね~。
設定では”男なら誰でも惹きつけられてしまうイイ女”ということらしいんですがね(^^;
というか、この映画に出ている主要な俳優さんには”華のあるヒト”ってあまりいないんで、
そこがこの映画の最もツライところです(^^;
むしろ脇役やってる役者さんの方が....とか感じてしまいました。
やっぱり俳優さんの魅力って大事ですね。
なおラストを観ると、けっこう能天気なシメになっていました。やはり伝統は守られた?(^^;

「美女と野獣」観ました。

2015-10-15 16:00:00 | 洋画
2014年:仏。 監督:クリストフ・ガンズ。 WOWOWからの録画。
ディズニーアニメにもなっている有名なお話。こちらは去年公開されたフランス映画です。

 
嵐で3隻の船が沈んで破産。            仕方なく田舎での侘び住まい。

羽振りの良い商人一家。だが持ち船をすべて嵐のために失い、破産の憂き目にあう。
一家はやむなく田舎に引きはらって侘しい毎日。だが末娘だけは田舎の生活が楽しい様子だ。
「ねえパパ見て、こんなに大きなカボチャが成ったわよ」

 
先が見えないほどの猛吹雪。            目の前に城が。明りが見える。

ある日商人は用事のため出かけたが、帰りにひどい吹雪に遭う。
一時はもう駄目かと思ったが、幸いにも行き先の方向に城を見つける。
「やれやれ助かった。なんとか雪だけはしのげるかな」

 
テーブルの上はご馳走が満載。           財宝もたっぷり。

城にたどり着いてみると、なんと食卓の上にはご馳走が山のように満載されていた。
有難くたらふく頂戴する。
ふと脇の方を見ると、たくさんの財宝や高級な化粧品類も並んでいて、商人は娘たちへの
お土産にとチョイと失敬する。
帰り際に「赤いバラが欲しい」という末娘ベルの言葉を思い出して庭園のバラを一輪失敬したが....。
それがいけなかった。

  
バラを摘んだ途端に猛烈に怒る野獣。        野獣の住む城を目指すベル。

多少のふらちな行為は許してくれても、
バラの花だけは野獣(=城主)にとっては絶対不可侵の聖域だったのだ。
商人は城主から「お前を殺す」との宣告を受ける。
「一度だけは家族に会うことを許す。だが帰ってこないようなら家族全員を殺す」。
家に帰った彼は家族に訳を話して、また城に戻らなければならないと告げる。
それを聞いた末娘ベルは自分を激しく責める。
自分がバラなどを望んだために大好きなパパが殺されることになったのだ。
そうだ自分が身代りになればパパは助かるだろう。

 
城の中はバラで満ち溢れていた。        さらに内部深く入っていくと....。

ストーリーの大元は皆さんご存知の通りですが、うまく現代風にアレンジしています。
美術やCGの出来も悪くないと思います。
ただ一点、不満を言うとヒロイン=ベルを演じている女優さんが自分の好みじゃない(^^;
美人だとは思うけれど、何となくピンとこない感じが最後まで拭えませんでした。
まあそれは観る人それぞれの好みということで、仕方がないことですよね?