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みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

「めぐり逢わせのお弁当」観ました。

2015-10-03 15:00:00 | アジア映画
2013年:印・仏・独。 監督:リテーシュ・バトラ。 WOWOWからの録画。
ささやかなハートウォーミングな映画なのかな、と思って観たら違いました。
ちょっぴり切なくなるような男女(人生)のお話でした。

 
毎日の夫の弁当作り。               それを弁当運びのプロが届ける。

オフィス街のサラリーマンの昼食はどうなっているか。外食や安いバナナで済ませたり。
多いのは奥さんの作った弁当を、専門の運び屋に職場まで届けてもらうといったケース。
だがプロの配達屋にもミスはある。
主婦イラの作った弁当は見知らぬ人間(サージャン氏)に届いてしまう。それも毎日(^^;
配達間違いに気づいた時点で運び屋に苦情を言えばいいようなものだが、
何故かイラはそのままにしておき、相変わらず他人のサージャン氏に弁当を作り続ける。
その辺は「これは映画だから」ということですかね~(^^;
ただ結局は配達の間違いを指摘することになるんですが、その時の運び屋の応対が凄い。
絶対自分の間違いを認めませんね。ああでもないこうでもないと言い募って謝ろうとしません。
これは自分の身を守る方法として身に沁みついた、インドでは当然の処世術なんですかね。
現実にこれをやられると自分なら相当頭にくるような気がします(^^;


 
だが間違って配達されたお弁当。          弁当の美味しさに感激するサージャン氏。

 
イラも2~3日後に配達の間違いに気づく。     イラからのメモ書きがサージャン氏に届く。

後になって配達の間違いに気づくイラ。だが彼女はサージャン氏への弁当作りを止めようとしない。
どうしてなのか考えてみたんですが、結局彼女は寂しかったのかもしれませんね。
むかしは愛してくれた夫も今は自分に無関心。愛人の気配すらある。
自分の作った料理を舐めるように食べてくれるサージャン氏に、自分への敬意と賛辞を感じたのかも
しれませんね。

 
自分の夢や希望を書いてよこすイラ。        遂にイラから「会おう」と決心を伝えてくる。

何となく二人の間で交わされるようになった手紙のやりとり。はじめは極く短いメモ程度だったが
おたがい顔も知らない気軽さで、内容は次第にエスカレートしていく。

 
新人のシャイク。お調子者。            サージャン(左端)はシャイクの結婚式に参列。

サージャン氏は損害査定関係専門のプロ。だが彼は早期退職を考えていた。
そのため会社としても業務の引継ぎがスムーズに行われるように早めに優秀な後任者・
シャイクを雇い入れる。
だがシャイク青年は職務に関する専門知識など何一つ知らず使いものにならないヤツだった。
持参の立派な推薦状や履歴書はすべて真っ赤な偽造品。
それにもかかわらず彼にはどことなく憎めないところがあった。
ずるずると仲良くなっていき、最後には後見人として彼の結婚式にまで出てしまう(^^;

なかなか面白い映画でした。インド映画特有の例のダンスシーンがありませんが、
最近は少しづつそういう作り方の映画が出てきているもののようです。
インド映画の作風も時間をかけて徐々に平均化してゆくのかもしれませんね。

「奪命金」観ました。

2015-10-01 19:00:00 | アジア映画
2011年:香港。 監督:ジョニー・トー。 WOWOWからの録画。
以前に観たトー監督の「毒戦」はあまり面白くなくて、正直ちょっと期待ハズレでした。
でも今作はなかなか良かったです。
ストーリーがいくつもあって、お互いが絡み合いつつ進行していく構成なので、
ちょっと説明はしづらいです。本当に大まかな筋書きのみを追っていきます。

 
スタッフにノルマを課す。             お薦めはハイリスク商品(^^;

かつての投資熱もやや一服状態、最近では香港の投資家たちも慎重になってきている。
したがって営業成績は下がりがち。
そこでこの銀行ではスタッフにノルマを課してハッパをかける一方、新しくハイリスク・
ハイリターン型の商品を売り出して本土の顧客も呼び込もうとしていた。

 
何も知らない顧客にハイリスク商品を勧める。    専門家でない限り理解は出来ないだろう。

顧客の方にも落ち度はある。利益見込み額が大きいほど危険度も大きい。こんなことは
投資の常識以前の話なのだ。だが大きく儲けたいという欲望がモノを見えなくさせる。
言葉巧みな説明を受けて夢だけが膨らんでいく。
銀行員はキチンとした制服に身を包み、柔らかい言葉で親切に説明をしてくれる。
だがやっていることは結果的に詐欺師とそう変わらない。

 
チョン警部補。傷害事件の現場。          休暇には奥さんにつき従って家探し。

お話変わって、こちらはチョン警部補。家庭の主導権は奥さんにシッカリ握られている様子。
ところでこの警部補さん、少々高倉健氏に似てませんか? ハンサム度は落ちますが(^^;
さてチョンさんちでは休暇ごとに家探しをしているが、物件購入の決断がなかなか出来ず、
奥さんをイライラさせている。
この間までは、中国では一般人による不動産転がしは常識だったようですし、実際にもこのように
週末ごとに目ぼしい不動産物件の見学をして廻るというのは極く普通のことだったと思います。
短期間で大きな利ざやを手にする、などという話は幾らでもありました。
でも最近の中国の景気は相当悪いようですから、現在はこういう状況は少ないかな?

 
突然はじけたバブル。               ボロく儲けていたが結局は破産。

だが好景気は永久には続かない。世界的な規模で信用不安が起き中国でもバブルがはじける。
いつまでもこれまでの状態が続くと思い込んでいた人間たちには大きなショックが走る。
チョン警部補の奥さんは煮え切らない夫に内緒で契約をしてしまい、このままだと大損だ。
一方、ヤクザから金を借りて株の売買をして儲けまくっていた男は一挙に破産状態に。
見せしめのため殺されてしまう(合掌)。

 
結果的には50万元の利益。ラッキー。        だが本当に美味しい思いをしたのはこの二人。


だが相場は下がりもするが上がりもする。それは永久に変わらない。
大暴落のあとに相場は反騰に転じた。
結局チョン夫人は損を出すことなく、幾らかの儲けを手にすることが出来た。
もう少し反騰のタイミングが早ければ、死ななくて済んだ男もいる(^^;
だが本作中で一番美味しい思いをした人物が二人だけいる。
それは誰で、どういう経緯か....それを知りたければ、この映画をどうぞ(^^;

「小さな赤い花」観ました。

2015-09-22 18:00:00 | アジア映画
2006年:中国・イタリア。 監督:張元(チャン・ユァン)。 WOWOWからの録画。
「小さな赤い花」というタイトルから、何かしらフンワリした抒情的なイメージを
抱きましたが....全然ちがいました(^^;
言ってみれば、「中国版人生道場:幼稚園編」とでもいうような印象を受けました。
そしてこの映画の子どもたちはズバリ”ガキ”と言っちゃった方が近いんじゃないかと(^^;

 
なかなか厳しい李先生。              内弁慶な槍槍。ロクに挨拶もできない。

親の事情で全寮制の幼稚園に入った方槍槍。初めのうちはロクに口もきけないほど緊張。
しかし中国の教育方針というものは子どもたちにとってはなかなか厳しいようです。
すべてが規律によって指導され、熱意の無い者・落ちこぼれる者を許容しない雰囲気が
感じられます。

 
就寝前のお尻拭き。                夢の中では堂々とおしっこ。

毎晩の就寝前には子どもたちのお尻を拭く先生たち。これって排便をしても拭いたり
していないからなのか? 
衛生観念が有るのか無いのか良く解らない(^^;
夢の中で、堂々とおしっこをする槍槍。これは現実には「おねしょしている」。


中国特有の長い溝状の便所。他人と一列になっての排便。日本人にはちょっと難しいかも。

 
みんなの成績が毎日発表される。最高が花5つ。    皆の前で出来るまで着替えをさせられる。

教室には毎日の生活の様子を赤い花の数で表す評価板がある。
この映画のタイトルの由来と思うが....
この場合の赤い花は”美しいもの”というよりも、競争心を煽り子どもたちを
都合よく指導してゆくための道具になっていて、ちょっと怖いです。

もともと甘えん坊だった槍槍はいつまでも朝の着替えを自力では出来ない。
そこで李先生はみんなの見ている中で槍槍に「出来るようになるまでは許しません」と
自力での着替えを命じる。
これはちょっとひどいですね。いわば「晒し者」です。もはや指導とは言えないのでは。
しかしこれが中国式教育ということなんでしょうか。

時間が経ち少しづつ周囲に馴染んでくるにつれて、ワガママも出はじめる槍槍。
順当にロクでもない餓鬼に成長してゆきます(^^;
ま、良く言えば自立心の芽生えとでも言いますか。

中国の現代作家、王朔氏の半自伝的小説「看上去很美」を原作としています。
イメージだけの我流の翻訳ですが、
昔のできごとは美しい、だが二度と戻らない....とでもいった意味なのでしょうか?
すいません、中国語は全くダメなんですが(^^;

「北京の自転車」観ました。

2015-08-16 12:00:00 | アジア映画
2000年:中国・台湾。 監督:ワン・シャオシュアイ。 WOWOWからの録画。
割に評判の良い映画のようなので観てみました。
北京オリンピックが決定する直前の頃。発展し続ける都市部には農村から大勢の人間が
仕事を求めてやってくるようになった。本作の主人公・郭(グオ)もその一人。

 
面接。 自分の名前を申告。            労働条件の説明。

彼が応募したのは自転車による宅配便の仕事。さいわい採用が決まった。
一定の配達数をこなせば自転車は自分のものになる契約だ。そうなれば歩合も上がる。
真面目な彼は頑張った。しかし目標達成の直前で自転車を盗まれてしまう。

 
真面目に仕事をこなすグオ少年。          いつの間にか自転車が消えてしまった。

もはや死活問題。自転車がないことには仕事にならない。
くる日もくる日も自転車を探してまわる絶望的な毎日。
しかしある日、奇跡的に探し出すことが出来た。ジェン少年(高校生)が通学に使って
いる自転車がそれだった。確認したところ自分が目印として付けていた印もあった。
少年の住居の自転車置き場から乗って帰るグオ。

 
友人とジェン少年㊨。               根性で自転車を見つけたグオ。

最初はジェンが自転車を盗んだのかな....と思っていたら違いました。
彼は中古自転車としてちゃんと500元を払って買っていたのでした。


今度はジェンの方が収まらない。自転車に乗っているグオを見つけて
「返せ」となる。ジェンの友人連も助太刀。
一日やりとりがあって得た解決策は”一日交替で乗る”という折衷案(^^;
だがジェンが傷害事件をおこして事態は思わぬ方向へ....。

日本の法律だったらモノが盗難品だと判った時点で品物は持主のもとへ。
損害は盗品を買い取ったショップが負担する。
映画でのやりとりを見ていると、中国の場合その辺が違うみたいですね。
悪く言うと”言い負かした方の勝ち”な感じで、明確な法律はない感じですね~。
(果たしてそうなんでしょうか?)

「海角七號/ 君想う,国境の南」観ました。

2015-07-15 16:00:00 | アジア映画
2008年:台湾。 監督:ウェイ・ダーション。 WOWOWからの録画。
この映画について何かを書く、というのはちょっと微妙なところがあります(^^;
映画の出来そのものは”まあまあだ”と思いますが、根底に流れる本当のテーマは
別にあるように思います。(そのように自分は感じます)

 
強硬に地元音楽家を主張する議長。         お酒「馬拉桑」の熱心な販売員。ベース担当。

あらすじ:
①地元ホテルでは地域振興のためコンサートを計画。日本人音楽家を呼ぶ。 
 これが町会議長の怒りを買う。地元振興が目的なのに地元の音楽家じゃなぜダメなんだ?
②モデルとしてスカウトされた日本女性・友子。だが中国語ができるため実際には
 タレントたちの世話係としていいようにこき使われ頭にきている。
 地元の音楽家たちもあまりやる気がないようだし....。彼女だけが煮詰まっていく。
③地元の音楽家・阿嘉。台北で成功する夢が破れて、今は郵便配達のバイトをしている。
 だが多量の郵便物が面倒になり自宅に持ち帰って知らん顔を決め込んでいる。
 その滞った郵便物の中のひとつが物語上、重要な意味をもつ小包だった。

 
郵便配達中の阿嘉。半端な性格が仕事にも出て...。 練習中もピリッとしない。大丈夫なのか?
 
④日本の敗戦にともない、台湾から引き上げる一人の日本人教師がいた。
 その彼が船上で綴った台湾女性へのロマンチックなお別れの手紙が数通。
 それは結局投函されないままになっていた。
 やがて件の男性も亡くなり、手紙は最近になって遺族に発見される。
 故人の意をくみとり、遺族によって改めて投函される。

 
引き上げ船上で別れを惜しむ手紙を日毎に綴る。   ついに手紙は受け取るべき人のところに届く。

海角七號というのは当時の旧番地名。現在の新番地は誰にも解らない。
だが物語の終盤になって意外にも当時の事情に詳しい人物が現れる。

 
いよいよ演奏スタート!              会場は大受け。大成功!

この映画を観て感じるのは、台湾側の日本に対する郷愁にも似た熱い思いだ。
(2008年における台湾映画の興行実績ナンバーワンのヒット作でもある)
過去に「多桑」=”父さん”という映画が1994年にヒットしたが、これも
日本統治時代の残り香を漂わせた作品だった。

経済的な意味では台湾と日本、両国間には活発な交流が持続しているが、
いったん国際政治的な場面となると、これまで日本は大陸・中共の肩をもつことが
多かった。日本側の立場を考えるとやむを得なかった面もあるのだが....。
自分には思想面・倫理面で共通項が多い台湾の方が友人としてより良い相手と思える。