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みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『ある優しき殺人者の記録』観ました。

2016-01-20 16:00:00 | アジア映画
2014年:日・韓。 監督:白石晃士。 WOWOWからの録画。
タイトルがちょっと面白そうなので観てみました。
実際になかなか面白かったんですけど、こりゃ~かなり低予算で作られていますね~。
まあお金をかけたからといって面白い映画ができるとは限らないですけど。

 
連続殺人犯パク・サンジュンの手配ポスター。    サンジュンの指定した廃マンションの一室に入る。

精神障害者施設から脱走して18人もの人を殺害し指名手配を受けているパク・サンジュン。
そのサンジュンから連絡を受けてインタビューをすることになったジャーナリスト、キム・ソヨン。
サンジュンとソヨンは幼馴染の間柄だったのだ。
サンジュンの希望により、日本人カメラマン一名を伴い指定の場所で出あう。
さびれた地区の、ある廃マンションの502号室だった。
それにしても子どもの頃の大人しいサンジュンを知っているソヨンには彼の凶行が信じられない。

 
久々に顔を合わせるソヨンとサンジュン。      連続殺人の理由を説明するサンジュン。

彼は少しづつ殺人の理由を話しはじめる。だがそれは常人にとっては荒唐無稽の内容だった。
子どもの頃サンジュン、ソヨンそしてユンジンの三人は仲よしでいつも一緒だったが、
ある時ユンジンは交通事故で亡くなってしまう。
それ以降、サンジュンには神の言葉が聞こえるようになったと話す。
彼が27歳になったときに27人の人間を殺せば、ユンジンは生き返る。
そのために殺した27人も何事もなかったように生き返って、この世に戻ってくる。
神さまの言うことは絶対正しいし、自分は神さまの言うとおりに行動しているだけなのだ。
そりゃあ人を殺すのは胸が痛むが、総てが終わった時には殺された27人は無事に生き返ると
神さまは言っている。だから殺しても結局それほど大した問題じゃない。

こういう理屈は、やはり常人には理解しがたい。
彼サンジュンは精神を病んでいると判断せざるを得ない。

 
奥の部屋にも死体が。               ソヨンに同行したカメラマンの説得。 無視されるが。

サンジュンは18人の他にも7人殺していた。合計25人。あと2人だ。
彼の言うには、間もなくここに日本人のカップルがやってくる。
神さまが俺に教えてくれたんだ。そいつらを殺せばそれで27人になる。
しばらくして本当に日本人の新婚夫婦がやってきた。
新婚旅行中に物好きにも寂れた場所をうろついているうちに迷い込んだようだが、
とにかくサンジュンにとってはカモネギだ。
二人に襲いかかるサンジュン。だが夫婦は意外にもしぶとく抵抗。
逆に彼の方が殺されそうになる(^^;

 
極限状況の中の夫婦を見て『これこそが愛だ』    ソヨンにもサンジュンにもアザがある。

なんとか日本人夫婦を殺し終えてから二人の死体を点検して訝しがるサンジュン。
おかしい。
神さまの予言では最後の二人の身体にはアザがあるということだったのだが、見当たらない。
すると標的とすべきはこの二人ではなかったのか?
そんなサンジュンにソヨンが言葉をかける。
「あなたと私、どちらの体にもアザがあるじゃない」
してみると殺すべきはこの夫婦ではなく、幼馴染のソヨン、そして自分自身だったのか?

最後は「そう来たか」のラストシーンになります(^^;
昔はこんなパターンのストーリーって良くあった気がしますが、
久しぶりなので見事にかかってしまいました~。でも面白かったです。

『殺人犯』観ました。

2016-01-09 16:00:00 | アジア映画
2009年:香港・米。 監督:ロイ・チョウ。 WOWOWからの録画にて視聴。
かなりキツイ映画ですね。ランクは違うけど『SAW』の香港版とでも言うべきかな?(^^;
仕込みが結構こみ入ってるんで、終盤近くにならないと話の全体像が見えてきません。

 
高層アパートから突き落とされたタイ刑事。     7Fには無傷のレン刑事が倒れていた。

現職のタイ刑事が高層アパートから突き落とされて瀕死の重傷を負う、という事件が起きる。
その体には電気ドリルによる穴がいくつも開けられていた。
タイ刑事はレン刑事から電話で呼び出され現地に向かったことを周りの同僚が目撃している。
件のレン刑事は同じアパートの7Fから失神した状態で発見されていた。
当然何らかの事情を知っているものとして事情聴取を受けるが、レン刑事には当時の記憶が
一切無かった。医者の言うには「何かの薬物による記憶障害かもしれない」。
これまで署内の出世頭と目されてきたレンだが、この事件以降周りの目が冷やかになってくる。

 
9Fから凶器のドリルが発見される。         レン刑事の自宅ではドリルがケースから紛失していた。

捜査が進むうちに、アパートの9Fから凶器と見られるドリルが発見される。
だがそれはレン刑事の自宅からいつの間にか紛失したものだった。
状況としては非常にまずい。
出てくる物証のことごとくが何故か自分=加害者だと指さしているかのようだ。
もちろん自分が犯人であるはずは無いが、客観的に見てこれは非常にまずい状況だ。
事件当時の記憶は相変わらず戻らず、だんだん彼には焦りが出てくる。
もしかして誰か自分をハメようとしている者でもいるのか?

 
記憶が戻らないまま焦れるレン刑事。        そうしているうちに次の被害者が出る。

時々は事件当時の記憶の断片的に戻ることもある。
しかしそれは一瞬にして消えてしまい、纏まったイメージにはならないのだった。
タイ刑事の意識が戻ればしっかりした証言も得られるのだろうが....。
そうしているうちに次の事件が発生。
同じような残虐なやり口で女性の被害者が出る。

 
各被害者の身体には特徴的なドリル傷が。       幸せそうに見えるレン刑事一家。 だが....。

警察が被害者の身体を調べたところでは、いずれもその背中に(子どもが書いた
動物の絵のような)ドリルの傷跡が残っていた。
”犯人像を特定するのに何か役立つかもしれないから、各自の記憶に留めておくように”
捜査会議ではそのような報告が出る。
だがレン刑事には、そのウサギの絵には記憶があった。
自分が子どもの頃に描いた絵だ....。

レン刑事にとっては、仕事から離れて、家族と過ごす時間が一番ホッとする。
美人の妻㊧と可愛い子ども(手前)。この生活だけは何が有っても守り抜きたい....。
とにかくこれはショッキングな映画ですね。後半に入ればかなりお話は見えてきますけど。
香港ではあまりに過激な表現のため規制が入って、ストーリーや結末を変えて
公開せざるを得ず、そのため別の映画になっちゃっているとか聞きますね。

それにしても香港では刑事ってかなり高収入のエリートなんですかね?
高級住宅に住み、乗っているのは英国の大型SUV車ランドローヴァーという優雅さ。
日本では刑事というと所詮月給で暮らす一介の公務員。
周囲も羨むような贅沢な暮らしなんて、悪事にでも手を染めなきゃ無理ですよ(^^;
まあ主人公(レン刑事)のイメージアップのための、単なる映画上の設定ですかね。

『TATSUMI 漫画に革命を起こした男』観ました。

2015-12-21 16:00:00 | アジア映画
2011年:シンガポール。 監督:エリック・クー。 WOWOW録画にて視聴。
"劇画家" 辰巳ヨシヒロ氏の来歴や数本の短編を織り交ぜて一本の映画に仕立てたものです。
そのデキの良さには唸らされるモノがありますね~。
もし日本の制作会社が同じテーマで映画を作ったとして、こんな風に仕上がるかな?

 
進駐軍のジープが走る大阪。             一日伏せっている病身の兄。

終戦間もない大阪。街中を進駐軍のジープがわがもの顔に走る。
多くの日本人がしじゅう腹をすかせ、戦後の困難な時代をようやく凌いでいる有様だった。
辰巳家の家長(父親)は家庭というものに関心がなく、ほとんど家にいることが無かった。
家には病身の兄がいたが、入院費用が払えないため自宅での療養生活。
そのため学校にも行けず、毎日を床の中で鬱々と過ごす。
健康なヨシヒロに嫉妬して、時々癇癪を起し折角弟の描いた漫画の原稿を破り捨てたりもする。

 
初期の傑作短編「地獄」。              毎日新聞社の紹介で手塚治虫氏を訪問。

子どもの頃から漫画が大好きだったヨシヒロ少年。せっせと毎日新聞社・大阪版に
投稿しつづけて常連となり、ついには最優秀賞を受賞。
毎日新聞社の関係で憧れの手塚治虫氏の自宅を訪問できることになり、
そのことは彼にとって一生に残る思い出となる。

 
初めての自分の単行本。抱いて寝る。         PTAやマスコミの漫画叩きが起こる。

先輩・友人の助力により出版された『こどもじま』がデビュー作となり、
じょじょに漫画家として生活を成り立たせるようになる。
弱小出版社から出される貸し本を通しての執筆活動は原稿料は安かったが
それなりには充実していた。
しかしPTAやマスコミが「まんが=俗悪」「教育に悪い」と決めつけて
漫画に対する排斥運動がほぼ全国的に起こる。
彼自身も子ども向け作品を描くことに限界を覚え、自分の作品をある程度以上の
年齢の読者むけに限定していくことになる。

 
某編集者「子どもに振り回されちゃアキマヘン」。   いつしかウェイトレスさんと親しくなる。

貸し本むけに作品を描いていた多くの大阪周辺の漫画家が時代の趨勢を感じ取り、
しだいに東京に出ていくようになる。
(そのうちの一番の出世頭は、さいとうたかを氏でしょうね)
辰巳ヨシヒロも同様に上京して漫画活動を開始する。
そして時代も変わりつつあった。もはや貸し本の時代ではない。
東京の出版社による少年少女むけの漫画週刊誌たちが相次いで華やかに出版され、
持て囃されるようになった。
辰巳ヨシヒロは新しい時代の新しい漫画を標榜するべく「劇画」の呼び名を創設、
何人かの同志とともに劇画運動を開始、世にアピール。
それは一定程度の効果を得るが、作品の主要な発表の場が週刊誌に移行するに従い、
仕事の注文量も激増。
多忙な日常の裡に才能をすり減らしていく者も少なくなかった。

当時彼はアイデアやコマ割りの作業を複数の決った喫茶店で行うのを
常態としていたが、そのうち一人のウェイトレスと親しくなる。
後の辰巳夫人である(^^;
辰巳氏の仕事ぶりは割とマイペースだったよう気がします。
あちこちで作品を見かけるようなこともなかったし.....。
というか、最近さっぱり彼の作品を見ることがなくなったな~と思ってたら
いつのまにか断筆してたりして(^^;
この方はむしろ海外での評価の方が高かったようですね。
今年の3月に故人となってしまいましたが....。

ただ個人的には「劇画」という言い方には今ひとつピンとこないものがあります。
まあ呼び名なんて重要なことじゃないと言えば、そうなんですけどね(^^;
「劇画」ってナニ? 漫画とどう違うの? 別に変わらないじゃない?
画とストーリーがあり、語りの技法も別に変わるところがない。
だったらコレも「漫画」と呼んだっていいじゃない?
別に「劇画」なんて呼び方、要らないよ。
自分の「劇画」というものに対する感覚はそんなところですね。
ちょっとくらい絵柄やお話がダークだからと言って、それが何さ。
そんなモノもこんなコトも全~部ひっくるめて包み込んでしまうくらい
『漫画』ってのはフトコロが広いのさっ。そう思っています。
手塚治虫氏の作品のようにおシャレで都会的な雰囲気を感じさせる漫画に対して、
劇画のいかにも泥臭く汚い画柄(当時はそう見えた)は正直拒否反応が起こったです。
今でも「漫画」か「劇画」かじゃなく、面白い作品かどうかが重要だと思っています。

「殺人の疑惑」観ました。

2015-12-11 16:00:00 | アジア映画
2013年:韓国。 監督:グク・ドンスク。 WOWOWからの録画。

 
娘を溺愛する父親スンマン。            成長してからも娘自慢は止まらない。

娘を溺愛している父親スンマン。
彼の過剰なまでの愛情を受けて娘ダウンは素直に育った。
スンマンの娘自慢は彼女が成長してからも相変わらず。
(正直、周囲からは鬱陶しがられているのではないのかな?)
母親は若い時に病死してしまったので家族は二人きり。
父親の愛情が多少過剰気味になるのも当然なんでしょうか?

 
15年前の誘拐殺人事件が映画化される。       就職試験のためにも一応観ておくべき映画。

最近封切りされて大評判になった映画「チェジン君誘拐殺人事件」
犯人は身代金目的に少年を誘拐、証拠隠滅のため生きたままカバンに詰めて川に
捨てて溺死させる。
面接時に良く話題にされる映画なので一応チェックしておこうとダウンは友人と観賞。
それにしても未だに犯人は捕まっておらず、事件は時効寸前。
警察はこの映画の最後に犯人の肉声を入れて、一般人に情報提供を呼び掛ける。

 
友人からの指摘に不安を抱く。           シムと名乗る怪しげな男。『このメモを親父さんに渡せ』。

一緒に観た友人から『あなたのお父さんの声に似てるわね』。
実はダウンも同じことを考えていたのだ。
ダウンに好意を抱いている青年はさすがにムキになって
『そんなはずはないだろう』と否定するが....。

 
スンマンに大金をせびるシム。           正しい事情を知りたいダウン。青年に頼みごと。

まさかとは思う。
真面目一点張りで生きてきた父にそんな残酷な事件を起こせるわけがない。
心で否定しつつも、ダウンはスンマンの携帯履歴を調べたり、箪笥の奥の書類を調べたり。
だが怪しい点は何も見つからなかった。
一旦は心の晴れたダウンだが、メモを渡してきた例の男シムがある日突然家に乗り込んでくる。
なにか弱みでも握られているのだろうか、スンマンはなぜか毅然とした態度をとろうとしない。
再び心に疑念のわいてきたダウン。警察に先輩のいる友人に調査の依頼をする....。

なかなか面白い映画だな、とは思ったんですが....
後半ちょっと話を作り過ぎの気味が見えてきて、それが少し気になりました。
その辺を差し引くと70点くらいの評価になってしまいました(^^;

「ラスト、コーション」観ました。

2015-10-17 16:00:00 | アジア映画
2007年:米・中・台・香。 監督:アン・リー。 セルBDにて視聴。
何年か前に購入したままになっていたBDですが、今日ようやく視聴できました(^^;
これは中々面白い映画でした。さすがアン・リー監督、158分の長尺を高い緊張感を
保持したまま一気に観せてしまいます。
過激なベッドシーンでも話題になった映画ですが、劇場公開版よりもセルBDの方が
よりオリジナルに近いとわざわざ断りが入っていました(^^;

 
日本占領下の上海。                南京政府の要人が多く住む地域。

日本占領下の上海では表向きは日本側に協力的な南京政府が実権を握っていた。
だが一般市民の中には反日の考えを持つ人たちは少なからずいた。特に学生たちの間には。

 
熱心な抗日主義者=裕民㊧。            抗日劇を上演して資金集め。

初めのうちは彼らは抗日劇を上演して、抗日運動のための資金集めに励むレベルだった。
だが彼らは次第に、もっと直接的な行動に出るべきだという考えに傾いていく。
中国のためにならないヤツらをことごとく暗殺しようと計画を練る。
その手はじめに、多くの抗日主義者を逮捕・処刑してきた南京政府の特務機関の長、
易(イー)氏をその標的に決める。

 
抗日劇は大成功。乾杯!              スパイ活動のためアジトを準備する。

しょせん彼らの多くは裕福な家庭の出身。現実を甘く考えているフシがあった。
本物のスパイというものの苛烈さなど想像もしていない。
なにかの楽しいゲームに参加しているような感覚でしかなかった。

 
後ろに立っているのが標的の易。          佳芝(チアチー)の心は揺れる。易を愛し始めていたから。

結局、警戒心の強い易(イー)を暗殺する計画は進展しないままに時間と経費ばかりがかかる。
これ以上は親からのお金も限界だ。その上、暗殺計画を知人に感づかれ口封じのため殺す羽目に。
そろそろ抗日騒ぎも止める潮時だ。メンバーはバラバラになっていく。
だがそれで終わりではなかった。学生たちの行動は、本物の抗日組織から
逐一監視されていた....。三年が経過して事態は再び動き出す。