みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『山河ノスタルジア』観ました。

2018-04-28 16:00:00 | アジア映画
2015年:中・日・仏。 監督:ジャ・ジャンクー。 WOWOWからの録画。
評判の良い映画なので観てみましたが....まあまあでしたかね。
特秀を期待していたら、実はだったという感じ。
前半が4:3、後半が16:9の画角なのも時間(時代)の変化を感じさせる演出のようです。

 
休日の三人ドライブ。               黄河のほとりで。手頃な行楽地。

映画は三部構成になっています。
①そもそもの物語の発端。映画では1999年という設定。  
②それぞれが進むべき人生の岐路を選択。映画では2014年という設定。
③新世代の青年ダオラーの現在の立ち位置。映画では2025年という設定。
物語の始めのうちは、よくある仲良しトリオとも言える三人。
常に蓄財を怠らず、しっかりと世渡りしていくジェンシン(男)。
取り立てて才覚はないが、実直に生きていくリャンズー(男)
そして二人の思いを知ってか知らずか、ずっと友だち関係でいたいタオ(女)。
結局タオを手に入れるのは経済力のあるジェンシン。
三人の友情も消えて、傷心のリャンズーは遠くの地へと去っていく。

 
タオを譲れと直談判~リャンズーは拒否。      結局、金のあるジェンシンがタオの夫に。

ジェンシンの蓄財は順調そのもの。次々に炭鉱や会社を買収して自分の
企業グループを
形成していく。やがて米国に移住して更にビッグに。
タオとの間にできた子どもにダラーと命名。
米ドルのように強力な人間になってほしいとの意図からだ。
一方リャンズーは長年の炭鉱労働がたたって肺をやられてしまう。
治療には高額な費用がかかるが友人知人たちにも余裕があるわけではない。
結局タオ(=ジェンシンの妻)に助けてもらうことになる。

 
リャンズーは妻と治療費の心配。          かつての友人タオからの援助。

そして2025年。
青年ダラーは悩んでいた。彼には実業家としての才覚はなく、
また父親の言うような堅実な将来設計にも全く興味がもてない。
取り立てて何をしたいというわけでもないが、ともかく大学を辞め、
親元から離れて自分の思うような人生を進んでいきたい。
思い切って気持ちを父親に打ち明けるが、当然ながらジェンシンは激怒。
彼にしてみれば「世間しらずの若造のたわごとなど聞きたくない!」
といったところだろう。交渉決裂。
ダラーの行く末は、さて?

 
友人を伴い父親に会いに行くダラー。        結局解りあえないまま決裂。

ドラマの進行に合わせて、時代や空気感などが刻々と変化してゆくのが解ります。
言ってみればダラーの悩み・立場は現在の中国の姿(世相)に重ね合わせて
見ることも可能でしょう。
評判はけっこう良い映画のようですが、
さながら大河小説のようだと一部評するまでのモノは感じませんでした。
でもいい映画だとは思いました。80点くらいですかね。

『オフィス 檻の中の群狼』観ました。

2017-10-02 16:00:00 | アジア映画
2015年:韓国。 監督:ホン・ウォンチャン。 WOWOWからの録画。
事前知識なしで観ましたが、まあまあ面白かったです。
ただ結末が、いまひとつ曖昧なのでモヤッとした気分が残るかもしれません。

 
キム課長の帰宅。                  家族全員を金づちで殴り殺す。

家族思いの優しいパパと周囲からは思われていたキム課長。しかし突然暗い本性を現す。
あろうことか母親、妻、そして幼い息子を金づちで殴り殺し、以後姿を消したのだった。

 
㊧部長と ㊨刑事。                 緘口令が敷かれ、当たり障りのない証言ばかり。

家族を惨殺したあと姿を消したキム課長。
彼の勤めていた会社に聞きこみ捜査のために刑事がやってきた。
職場の同僚たちはもちろん、見習い社員に対しても例外なく話を聞こうとする。
会社側にしてみれば世間体もあるし、なるべく穏便に済ませたいようだ。

 
刑事は見習い社員にも聞きこみ捜査。         部長は怒鳴り散らす。職場の雰囲気は暗い。

ただでさえ営業成績が上がらない中でのキム課長の不祥事。
部長はいたく不機嫌だ。
部下たちに対して普段以上に暴言・叱責がエスカレートする。
職場の雰囲気は暗くなり「こんな職場はもう辞めたい」との言葉も出る....。
警察が必死にゆくえを探しているキム課長。
しかし意外にも彼は会社の中に姿を隠していた。
天井裏、事務机の奥、物陰などに身を隠しつつ社員たちの動静を監視しているのだった。
まるで『オペラ座の怪人』のようですね(^^;

 
深夜残業のチョン代理。キム課長が姿を現す。     天井から首を吊られ殺されたチョン代理。

部下をしじゅう怒鳴りつけていた部長も、あるとき死体で発見される。
ストーリー中盤まではあまり明らかにされないのですが、
実はキム課長は職場の中では浮いた存在であり、まじめで大人しいだけが取り柄の彼は、
上役からは格好のイジメの対象とされていたようだった。
そのことの沸騰点を越えたとき、キム課長に一種のスィッチが入ったようだった。
だが同様の精神構造を持つ者が職場にもう一人いた。
キム課長亡きあとも、その者に殺意のバトンタッチがなされ、殺人事件は続いていく....。

キム課長の遺した言葉に「職場(オフィス)とは猛獣たちの檻のようである」
とありますが、それがこの映画のタイトルにもなっています。
多少の不満点は見えるにしろ、観て損のない映画ではないかと思いました。

『最終兵器 ムスダン』観ました。

2017-09-14 16:00:00 | アジア映画
2016年:韓国。 監督:ク・モ。 WOWOWからの録画。
韓国と北朝鮮との軍事境界地域で複数の兵士が惨殺されるという怪事件が発生。
状況査察のため、急ぎ調査隊を派遣する命令が下る。
だが韓国軍上層部は当事件について何がしかの極秘情報を掴んでいるようでもある。

 
事件解明のため調査隊が急ぎ組織される。     早朝に出発。作戦時間は24時間。

早朝6時集合、出発。作戦に与えられた時間は24時間。
隊員全員に緊張がみなぎる。
トラックで現地着。以後は徒歩で森の中に入っていく。

 
死体発見。軍服を見ると北朝鮮兵のようだ。    シン中尉。上層部から別途の命令を受けている。

やがて窪地の中に死体発見。北朝鮮兵のようだ。
調査隊の任務とは別に密命を受けているシン中尉。
付近のウィルスを採取したり、湿地の化学調査などを行う。

 
警戒しつつ歩を進める韓国側。          一方、北朝鮮側からも調査隊が出ていた。

だが調査の途中で犠牲者が出る。死角から襲われ、瞬殺の憂き目を見る。
隊員たちに緊張が走る。
この辺りには用済みになった古い倉庫がある。その付近に犯人が潜んでいるのではないか。
調査隊はその古い倉庫に向かう。
いっぽう、北朝鮮の方でも調査隊を繰り出していた。
韓国側と調査の目的は異なるが。


ムスダン。体じゅうが著しく変形を遂げている。

韓国軍上層部の掴んでいる情報とはこうだ。
北朝鮮側では最近人間を戦闘用野獣(ムスダン)に変容させるウィルスを発見したようだ。
その特殊なプロセスを通して平凡な人間を強靭な野獣に改造できる。
そんな野獣たちで戦闘部隊を編成できれば無敵の軍隊というべきだろう。
いわば”最終兵器”というわけだ。
それは利用しだいで韓国側にとっても非常においしい情報となる。
シン中尉に与えた別命には、可能ならばムスダンを射殺の後に死体を持ち帰る
という事項が入っているのだが、それは果たして可能なのか。
なにしろ敵(ムスダン)は恐ろしく素早い動作と凶暴さを兼ね備えているのだ。

観終わって、B級映画という印象を受けました。良いところもあるんですが、
全体に中途半端さを感じてしまい、残念ながら自分はあまりノレませんでした。

また映画には直接関係ないことですが、”ああ、韓国の人たちって
こんな顔だちだったんだなあ”とかボンヤリ考えながら画面を見ていました。
同じアジアの人間とはいっても、やはり別の文化圏なんだなあとか思いました。
あたりまえか(^^;

『海にかかる霧』観ました。

2016-09-11 16:00:00 | アジア映画
2014年:韓国。 監督:シム・ソンボ。 WOWOWからの録画。
実際にあった事件をベースに作られた映画とのことですが
大筋ではともかく、細かいところで事実とは異なるところもあるようです。
純愛ストーリー?を盛り込んであるところなんかは完全に創作でしょうね。
まあ結局は映画=作り物ですからね(^^;
製作は『殺人の追憶』(2003年)を監督したポン・ジュノ。

 
ついに一線を越える船長。             密航者を運ぶと聞かされ船員たちも動揺する。

麗水(ヨス)のカン船長はドン詰まりの状況に追い込まれていた。世間には不景気の
風が吹き荒れている。海に出ても油代も出ないような深刻な不漁がずっと続いている。
長いこと稼ぎがないために、最近は妻ともうまく行かない状況だ。
とうとう彼は一線を越える決心をする。
中国からの密航者たちを韓国に運ぶというヤバイ仕事を受ける。
金にはなるが違法行為であり、捕まれば人生はそこで終わってしまう。
しかし状況は彼に躊躇を許さない。いずれにしても他に選択肢はなく腹を括るしかないのだった。
船長からいきなり密航者を運ぶと聞かされ、船員たちの間には動揺が広がる。
しかし結局やるしかない状況なのは皆とっくにわかっている。

 
中国からの密航者たちを受け入れるが。       ホンメに即席ラーメンをふるまうドンシク㊨。

中国の密航船からチョンジン号へと密航者たちが次々に乗り移ってくる。
若い女ホンメは飛び移りそこなって海に落ちる。
新入りの乗組員ドンシクがすぐさま海に飛び込み彼女を救助。
ドンシクは寒風のきつい甲板上からホンメを暖かな機関室内へ案内し、インスタントラーメンを
ふるまったりしているうちに二人の気持ちは少しづつ近づいていく....。

 
お粗末な設備に密航者たちから不満が出る。     カン船長は文句を言わせない。

老朽船チョンジン号には密航者たちが心地よく居られるような場所はない。
寒い甲板の上か、魚の腐ったようなひどい匂いのする船倉に行くかのどちらかだ。
密航者たちから不満の声が出るが、船長はそいつを海にほうりこんでしまう。
文句を言わせない断固とした彼の態度に、密航者たちは気押されて黙り込んでしまう。

 
密航者の大半が船倉内で窒息死。          霧はますます濃くなってきて何も見えない。

韓国巡視艇のチェックをやり過ごした直後に、船倉内の密航者たちが
全員窒息死するという事故が発生。機関室にいたホンメだけは死を免れる。
老朽化した冷凍庫から漏れ出たフロンガスが隣接する船倉内に充満したためだった。
事態の発覚を恐れた船長の命令で密航者たちの死体は次々に海に捨てられていく。
早く魚たちの餌になるようにと身体をバラバラにされて。
霧はますます濃くなっていき、もはや視界はほとんど利かなくなっていた....。

なかなか面白く観られる映画でした。とくに後半は物語りのテンションが
グッと上がって観ごたえがありましたね。
サラウンドの音響に関しても、かなり意識がなされているようです。
いきなり予想外の方向から人の声や物音が聞えたりするのは驚いたりしますが、
”いま映画を観ているんだ”という気分が盛り上がりますね。

『ザ・レイド』観ました。

2016-02-29 16:00:00 | アジア映画
2011年:インドネシア。 監督:ギャレス・エヴァンス。 WOWOWからの録画。
中々評判が良いようなので観てみました。
う~ん、タイ映画『マッハ!』のインドネシア版といったところかな?
向こうは田舎出の純朴な青年、こちらは武装警官(SWAT)の一員という違いはありますが。

 
「作戦決行」の命が下り、一斉に突撃。       犯罪者は残らず逮捕する意気込みだ。

悪人どもの巣窟である某高層ビル。武装警官の部隊が全員逮捕の勢いで突撃をかける。
特に麻薬王であるボスを何度も捕まえ損ねた経緯があるだけに、
今度こそは絶対に逃さない意気込みだ。

 
アパート中の様子をテレビ画面で監視。        ボスは余裕綽々。

一方こちらはボスのリヤディ。アパートじゅうに仕込んだTVカメラで警察側の動きは筒抜けだ。
自分は安全なところに潜んでいて手下どもに命令を下しているだけ。
腕の覚えのある命知らずの悪党どもが大挙してSWATに襲いかかる。
多勢に無勢の理屈で、警察側は一人、また一人と犠牲者が出る。

 
久しぶりに兄の姿を目撃。             兄を説得するが、結局ムダに終わる。

苛烈な戦闘のなかラマ(主人公の青年)は、むかし家を出て行った兄アンディの姿を見る。
足を洗い、家に戻るよう兄を説得するが不調に終わる。
もはやアンディは骨の髄までダークな世界に浸りきっていて、今さら堅気には戻れないのだった。

 
廊下には警官の死体が累々。            もはや生き残りはこの三人だけとなる。

作戦前には大勢いた警官も今はわずか三人だけになってしまった。
おまけに今回の作戦は上層部の許可をとらないままに勝手に実行したものだと
今になって知らされる。そうなると応援も当然期待できない。
どうする?
どうもこうもない。確かに絶対絶命のピンチだが自力で切り抜けるしか道はない。
こうして彼らは生き残るため死に物狂いで闘い抜いていく....。

こういう格闘技の応酬がメインという映画は香港のカンフー物あたり
からだと思うけど....最大のスターは何と言っても故ブルース・リー御大でしょうね。
彼亡き後も、根強く製作され続けているジャンルですね。
この映画の格闘シーンを見るとけっこう高度な技が連発で「さすが」とも思うんですが、
それがストーリーの大きな流れにうまく寄り添ってくれない憾みがあります。
ラマ役のイコ・ウワイスに大きな華がないせいもあるのかな。
あとサラウンド音声がなかなか優秀ですね。
あらゆる方向からいろんな人声や物音が聴こえてくるのはドラマを盛り上げますね。