日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

東京オリンピックのエンブレム問題

2015年10月21日 08時42分36秒 | 日々雑感
 佐野 研二郎氏は東京オリンピックとパラリンピックのエンブレムをデザインしたことで一躍時の人になった。しかし、TOKYOUのTの字をモチーフにしたデザインがベルギーの某劇場のロゴを盗用したのではないかとの疑惑がもたれ、結局白紙撤回となった。佐野氏自身は、単なる作品撤回だけではなく、今後の仕事に対する信用が大いに失墜したことであろう。
 そもそもデザインが似ている、似ていないかは、感性が決める話であろう。同じ形でも色が異なれば、別のデザインにもなり得る世界での話であり、今回のエンブレムにしたところで、全く異なるデザインと判断してよい気がする。しかし、過去の佐野氏のデザインに盗作まがいのデザインが多数見つかったことが、佐野氏の信用を落としてしまった。今後、佐野氏の作品を見れば何かの模倣であろうとの目で見てしまう。
 エンブレムは改めて一般公募することになり、10月16日に応募要綱が発表された。今回の応募では幅広く参加を募ることになった。前回の応募総数は104点だったが、今回は1万件を越えると予想されるらしい。12月7日が締め切りであるが、審査方法は今後の委員会で話し合われるとのことだ。最終的には国民投票をしたいとの意向もあるようである。
 プロのデザイナーは、佐野騒動の余波を受けてしり込みしているそうだ。インターネットの普及で誰でも簡単に類似デザインを探し出すことが可能になったからである。デザインは、素人目には極めて簡単な作業だ。ど素人の私でさえ応募してみようとの気になる。
どれかに決まったところで必ず異議が出てくる。要は感性の問題であるため、意見は百人百様であろう。万人が一致することは有り得ない。特に斬新なアイデアは始めなかなか受け入れられないのは世の常だ。必ず選択した根拠の説明を求められる。
 デザインコンサルティング会社の中西元男氏は、「会社のロゴなどシンボルは思想の凝縮であり、理念や経営方針を明確にしなければロゴは決まらない」と述べている。さて、東京オリンピックの理念や方針は明確になっているだろうか。招致運動のとき叫ばれた東日本大震災からの復興やコンパクトの言はどこかに消えてしまった。残るは“おもてなし“であるが、これはある理念を実現するための手段であろう。
 元々のオリンピックの理念はスポーツを通しての国際平和であろうが、最近のオリンピックはお祭り騒ぎを通しての経済活性化である。これを軌道修正するためにも、エンブレムをすっきり決めるためにも、今からでも遅くは無い。東京オリンピックの理念を明確に示してもらいたいものだ。(犬賀 大好-174)

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