モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

満開の森の杏と鏡台山(妻女山里山通信)

2009-04-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 早朝6時前に出発して、杏の里・森へ出かけました。背後の大峯山からまだ陽が登らず杏畑は朝もやの中だというのに、カメラマンがたくさん出ていました。ほとんどリタイヤした老人ですが。畑に入るなと書いてあるにもかかわらず、入る人が続出。困った人達です。

 ほとんど人が行かない山際へ。在来種の杏の花を求めて彷徨いました。思えば高校時代、母校の大正12年に長野県で初めて造られたという鉄筋コンクリートの三階の教室から、満開の森の杏がよく見えました。暖かい春の陽射しに授業も上の空、ボーっとして遠くに霞む杏の花に埋もれた森の集落を見ていたものでした。

 でも、記憶の風景と何かが違うんです。まず、家並みが違いますね。昔は藁葺きの屋根に土壁がほとんどでした。たまにグレーの瓦屋根と白壁の土蔵がある程度。今は、ほとんどが黒い瓦屋根と白い壁や明るいパステルカラーの壁。黒い瓦屋根は、杏の花とコントラストがつきすぎるんです。

 それ以上に変わってしまったのが花の色。現在は新品種がほとんどですが、以前は在来種もたくさんありました。新品種は、やや青みがかったピンクなのですが、在来種は写真のように白みの強いピンクに雄しべの黄色が混ざって、遠くから見るとコーラルピンクに見えたのです。それが現在は、やや青みがかったピンクで、なにか感じが違うんですね。この花しか知らないと何も疑問に思わないでしょうけど…。

 在来種には、写真のように濃いピンクと薄いピンクが混ざったものもあって、これもきれいです。在来種の杏は、小ぶりで酸味が強いのですが、小さい頃から食べていたせいか、こちらのほうが好きです。ジャムにしても在来種の方が美味しいと思うのですが…。

 そして午後、時間ができたので急遽山登り。森の上にある鏡台山へ楽チン登山をすることにしました。まず杏の里・倉科から林道芝平樽滝線に乗り大峯山の裏へ。ここに倉科コースの登山口があるのですが、頂上まで2時間かかります。そこで林道の支線があったことを思いだし、さらに進むと未舗装の林道があり、鏡台山登山口700mと書いてありました。林道をどん詰まりまで行き駐車。2時に登り始めました。5分ほどして山頂まで85分の標識。急げば60分かなと計算しグングン進みました。

 百瀬分岐を過ぎて三滝山への尾根分岐を過ぎて北峯へ。転げるように鞍部に下り、山頂に着いたのが調度3時でした。まず富士山は見えないかなと笹藪の唐松林を20mほど歩いて南へ。八ヶ岳の左裾に微かに雲をまとった、あれは富士山に違いない。

 戻って春霞に浮かぶ北アルプスを眺めていると、隣の丸太にヒオドシチョウが一頭留まりました。気配を消してそっと近づきます。スーパーマクロにして徐々に近づき撮影。最も接近したのはレンズから蝶まで、わずか4センチ。日向ぼっこするヒオドシチョウを撮影できました。やがて緊張が切れると気配を感じたのかユラユラと飛び去って行きました。ありがとうと声をかけました。【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】にアップします。

 そして帰りは、再び森の集落へ。途中林道の切れ目から杏の里が俯瞰できるところが一箇所だけありました。淡くスモーキーピンクに染まる杏の里は、さながら桃源郷のようでした。里に下りて、夕日色に染まり始めた杏を撮影して帰路に就きました。




★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の項目に、ヒオドシチョウもあります。ご高覧ください。信州の里山からのパノラマ写真集もあります。
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