モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

長野えびす講煙火大会2023。「遠花火 人妻の手が わが肩に」寺山修司。煙火大会が終わると雪が降る長野(妻女山里山通信)

2023-11-25 | 展覧会・イベント・コンサート
■長野えびす講煙火大会2023 vol.1


■長野えびす講煙火大会2023 vol.2



 普通に綺麗に花火の写真を撮ってもつまらないので色々小細工したらこんな写真になってしまいました。なんかちょっと設定を間違えた様です。でも面白いので載せます。長野えびす講煙火大会の綺麗な写真はネットでたくさんアップされていますから。
 花火の始まりは狼煙(のろし)だそうですが、花火大会を最初に見たのは、天正9年(1582年)4月にイエズス会が最初だとか、天正17年(1589年)7月の伊達正宗が最初だとかいわれていますが、戦国時代ですから庶民が楽しめるようなものではなかったでしょう。本格的に花火大会が行われる様になったのは、慶長18年(1613年)8月に明の商人によって持ち込まれた花火を見た徳川家康からだといいますから、平和になった江戸時代からということです。いわゆる打上花火は、1751年に開発されたとされているようです。それまでは、いわゆる大筒から火の粉が吹き出すような花火だったようです。長野は花火の生産地で、妻女山の山向こうにもあったそうですが、爆発して廃業したそうです。

「しずかさや 外山の花火 水をとぶ」小林一茶
 これは、一茶の草庵近くの野尻湖の花火の俳句でしょうか。
「大名の 花火そしるや 江戸の口」小林一茶
 江戸の庶民が大名の花火をけなす様子が笑えます。
「音もなし 松の梢の 遠花火」正岡子規
 本当に遠い花火は風向きによっては音がしません。花火の光でかすかに松葉が浮かび上がるのでしょうか。
「死にし人 別れし人や 遠花火」鈴木真砂女
 遠花火は、もう会えない人を思い出させます。昔はお盆の精霊のものでしたから。
「遠花火 人妻の手が わが肩に」寺山修司
 自分の夫と勘違いして。彼らしいいい句ですね。ちょっとドキドキします。

 私の駄作です。
「露草に 映して光る 遠花火」
 在京時代に調布の花火は国分寺崖線の上から家族で見ました。露草が香る夕立の後の花火。
「幼子の 瞳に映る 遠花火」
 小さかった息子達の瞳に花火が映っていました。懐かしくもう戻れない瞬間。
「遠花火 隠して匂う 夏木立」
 夕立の後は、草いきれや梢の葉の匂いに包まれます。ああ夏の匂いだなと。
「遠花火 歓声もなく 温(ぬく)もなく」
 ひとりで見る遠花火は声も温もりもありません。ただただ人生の侘びがあるのみ。
「遠花火 記憶の底に 散る夜かな」
 何度、遠花火を見たことでしょう。記憶の底に色々な記憶が蘇ります。
「君の名を 呟いてみる 遠花火」 林風
 亡き妻と見た遠花火。


 27日は満月でした。空気の澄み切った冬の満月は清々しい。望遠を手持ち撮影なのでクリアではありませんが、久しぶりに月を沁み沁みと観ました。

インスタグラムはこちらをクリックツイッターはこちらをクリックYouTubeはこちらをクリックもう一つの古いチャンネルはこちら。76本のトレッキングやネイチャーフォト(昆虫や粘菌など)、ブラジル・アマゾン・アンデスのスライドショー

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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寅年の元旦は須坂市動物園へ。ベンガルトラと人気者のカピバラ温泉(妻女山里山通信)

2022-01-02 | 展覧会・イベント・コンサート
 旧年中は当ブログをご愛読、応援いただき本当にありがとうございました。300万あるgooブログでもアクセスランキングがたいていいつも1000から2000番台をキープしています。過去の記事への検索での訪問も非常に多いのが特徴です。グーグルボットなどが来ると、時に3位とかも。本年もよろしくお願い申し上げます。皆々様にとってよい年でありますように。

 元旦は須坂市動物園へ。以前は、ボクシングをするアカカンガルーのハッチ(『天才!志村どうぶつ園』などに登場)が有名でしたが、現在はカピバラの入浴やフンボルトペンギンの餌やりで人気です。まず寅年ということでベンガルトラに会いに行きました。オスメスの二頭がいます。レンズを向けたらポーズをとってくれました。これはメスの未桜(みお)ですね。

 二頭で檻の中をゆっくりと咆えるでもなくグフグフと歩き回っていました。お腹が空いているのでしょうか。トラは獲物を狩る時以外はそれほど走り回る動物ではないのでしょうけど、肥満にならない様に食事制限もされているのでしょうね。

 臥桜と未桜の新年の飾り。訪れた小学生のコメントが貼られているのですが、面白いです。

 ちょうどフンボルトペンギンの給餌の時間になりました。飼育員のお姉さんがバケツを持って来るとグーグー鳴きながらワラワラと集まってきます。

 ペンギンにも序列があるのでしょう。気後れしたり下手だったりするペンギンもお姉さんはよく分かっていてあげていました。餌は私達が唐揚げにして食べる小アジ。午後にもう一度餌やりタイムがある様です。

 フラミンゴ。アクリル板が古くて曇っているので隙間から撮影したら、ちょっと幻想的なカットが撮れました。

 人気のカピバラ温泉「華の湯」。まもなく入浴タイムの様です。カピバラは、ネズミ目テンジクネズミ科カピバラ属の哺乳類で、世界最大の齧歯類です。和名は、オニテンジクネズミ(鬼天竺鼠)。南米のアマゾン水系やラプラタ水系のパンタナールやオリノコ川水系などに生息します。私は1983〜1984年の南米アマゾンとアンデス200日放浪の時に、何度かカピバラと遭遇しています。あまり大きな声では言えませんが、カピバラさんを食べたこともあります。
『アマゾン一人旅』30数年前のアマゾン一人旅のフォトエッセイ。アマゾンやアンデスの大自然と、人々との交流、危険なことも多々ありましたが、その後の生き方を決める様な重要な放浪の旅になりました。今思うと、よく生きて帰って来れたなと思います。

須坂市動物園のカピバラ温泉


[CAPINO] SAVE THE RAINFOREST 【カピーノ:ジャングルを守れ!】

 カピバラの少年を主人公に、昔作ったウェブ絵本です。


 こちらは入浴しなかった二頭。干し草をムシャムシャ食べています。なんていうかカピバラは何を考えているのか全く分からないこのぼ~っとした表情がいいのです。昔、テレビでカピバラをやっていて、5、6頭の子供達を連れたお母さんが餌を食べに来て、帰る時に子供達を置いてひとりで帰ってしまって、途中でアッ!と気がついてそそくさと戻るシーンがあり爆笑しました。その間子供達はというと、固まってお母さんぼくらはどうなるの?という顔をしていました。

 入浴した一頭には、お正月なので紅白の餅に見立てたミカンとカブが振る舞われたのですが、飼育係の男性は、普段あげてないから食べないかもと言っていました。ミカンには見向きもしません。カブは食べようとするのですが、ツルツルして噛めない様です。これって元旦からイジメじゃないですか(笑)。やっぱリンゴとか干し草がいいわと言いそうです。

 バーバリーシープ。ウシ科バーバリシープ属に分類される偶蹄類。アフリカ北部の高地にいる野生のヒツジで、長いたてがみ状の毛と、長さ75cmにもなる巻いた角が特徴で、別名はタテガミヒツジ。旱魃、スポーツ・ハンティングによる乱獲などにより生息数は激減し、絶滅危惧種です。動物園は、こういう絶滅危惧種を保護育成する重要な役目も担っているのです。私が、妻女山里山デザイン・プロジェクトで松代の妻女山山系の里山で希少植物や絶滅危惧種の生物のために保護活動をしているのと共通するものがあります。

 D51型蒸気機関車の401号。通称「デコイチ」。話題のアニメ『鬼滅の刃 無限列車編』に出てくる機関車にそっくりと話題に。近くには話題の「龍の割石』とそっくりの岩も人気。デコイチは須坂を走る長野電鉄には無関係ですが、長野電鉄屋代線(河東線)が最初に走った頃は、蒸気機関車だったのです。ただ、養蚕の桑畑が汚れるとのことで、早い時期に電化されました。

 臥竜公園の竜ヶ池。臥竜公園は、日本さくら名所100選、日本の名松100選、長野の自然100選に選定されています。黒いおでんと団子が名物です。

(左)動物園入場の際にクジを引いたらなんと大当たり。カレンダーやら年間パスポートが当たりました。小さな孫がいたら最高なんですけどね。(右)須坂市旧上高井郡役所(現須坂市文書館)の建物。美しい。

 元旦の遅い朝食は、昔から太く長く生きるようにと長野県でも旧埴科郡と更級郡にしかない辛味大根を味噌でといていただく「おしぼりうどん」が習わし。辛味大根とシナ大根のブレンドに味噌をといていただきます。泡は糖分で辛いだけでなく甘みと旨味があります。醤油が生まれる前の食べ方ですから、うどん通は絶対に食べなければならない逸品です。松代、篠ノ井、戸倉上山田温泉、坂城には名店があります。

 遅めの昼は、九州のアゴの白出汁で作ったお雑煮。餅に鶏肉、蒲鉾、ほうれん草、白髪葱。夜はモツ鍋。今回は九州でまとめました。鍋を食べた後は煮込みうどんで締め。つまみには、松本の名店のスモークサーモン、ナスの揚げ浸し、鶏の唐揚げ、だし巻き卵など。ゆるゆると夜はふけていきました。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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3年ぶりに開催の「長野えびす講煙火大会」。「遠花火 人妻の手が わが肩に」寺山修司(妻女山里山通信)

2021-11-23 | 展覧会・イベント・コンサート
 3年ぶりに「長野えびす講煙火大会」が開催されました。コロナ対策で離れた4箇所で順番に打ち上げるとか。妻女山展望台には、県外からもカメラマンが訪れていました。花火には思い入れがありますが、撮影に関しては割とどうでもいい私。まあ写真は望遠ですが手持ちなのでそれなりです。45分と短い花火大会でした。しかし、3年ぶりの花火大会は、色々考えさせられるものがありました。私は遠花火が好きです。遠花火は記憶の底や深層心理を呼び起こします。

 花火の始まりは狼煙(のろし)だそうですが、花火大会を最初に見たのは、天正9年(1582年)4月にイエズス会が最初だとか、天正17年(1589年)7月の伊達正宗が最初だとかいわれていますが、戦国時代ですから庶民が楽しめるようなものではなかったでしょう。本格的に花火大会が行われる様になったのは、慶長18年(1613年)8月に明の商人によって持ち込まれた花火を見た徳川家康からだといいますから、平和になった江戸時代からということです。いわゆる打上花火は、1751年に開発されたとされているようです。それまでは、いわゆる大筒から火の粉が吹き出すような花火だったようです。長野は花火の生産地で、妻女山の山向こうにもあったそうですが、爆発して廃業したそうです。

 信州では、イベントや運動会の合図に盛んに花火が打ち上げられます。これは東京から来た人には信じられないことなのですが、当の信州人は子供のころからそれが当たり前と思っているので、不思議には思いません。ところで妻女山にも麓の小学校で打ち上げた花火の丸い殻がよく落ちているのですが、この「音花火」は非常に危険なんだそうです。「花火の威力と危険度」で検索を。火薬がたくさん詰まった花火が、こんなにたくさん一般商店で売られているのは、中国と日本ぐらいじゃないでしょうか。欧米ではあり得ないことです。武器が作れますから。子供の頃、よく花火を分解しましたが、絶対やってはいけないと言われていた意味が、これを読むとよく分かります。


「しずかさや 外山の花火 水をとぶ」小林一茶
 これは、一茶の草庵近くの野尻湖の花火の俳句でしょうか。
「大名の 花火そしるや 江戸の口」小林一茶
 江戸の庶民が大名の花火をけなす様子が笑えます。
「音もなし 松の梢の 遠花火」正岡子規
 本当に遠い花火は風向きによっては音がしません。花火の光でかすかに松葉が浮かび上がるのでしょうか。
「死にし人 別れし人や 遠花火」鈴木真砂女
 遠花火は、もう会えない人を思い出させます。昔はお盆の精霊のものでしたから。
「遠花火 人妻の手が わが肩に」寺山修司
 自分の夫と勘違いして。彼らしいいい句ですね。ちょっとドキドキします。

 私の駄作です。
「露草に 映して光る 遠花火」
 在京時代に調布の花火は国分寺崖線の上から家族で見ました。露草が香る夕立の後の花火。
「幼子の 瞳に映る 遠花火」
 小さかった息子達の瞳に花火が映っていました。懐かしくもう戻れない瞬間。
「遠花火 隠して匂う 夏木立」
 夕立の後は、草いきれや梢の葉の匂いに包まれます。ああ夏の匂いだなと。
「遠花火 歓声もなく 温(ぬく)もなく」
 ひとりで見る遠花火は声も温もりもありません。ただただ人生の侘びがあるのみ。
「遠花火 記憶の底に 散る夜かな」
 何度、遠花火を見たことでしょう。記憶の底に色々な記憶が蘇ります。
「君の名を 呟いてみる 遠花火」
 亡き妻と見た遠花火。
 林風

 この煙火大会が終わると、善光寺平にも本格的な冬がやってきます。風景が真っ白になる日もそう遠くはありません。

DAOKO × 米津玄師『打上花火』MV Short ver.


 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
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圧巻の葛飾北斎。北斎館で「旅する浮世絵」を堪能(妻女山里山通信)

2021-06-12 | 展覧会・イベント・コンサート
 旅の最終日は、北竜湖、小菅神社を参拝して中野を散策。昼食後に小布施へ。北斎館で開催中の「旅する浮世絵」を観に行きました。インバウンドの観光客がほとんどいないので、信じられないほど静かな小布施でした。最近は、撮影可能な美術館や博物館が多いのでこんな風にブログでアップできます。但し、フラッシュと動画撮影、三脚の使用は禁止です。あまりに点数が多いので厳選してアップします。

「旅する浮世絵」の看板。浮世絵、北斎漫画、肉筆画。期待が膨らみます。

 鳥瞰図「東海道名所一覧」。後世の吉田初三郎にも影響を与えたと思われる鳥瞰図。なかなか公開されたことがないので、初めて観たという人も多いのではないでしょうか。私も初めて観ました。江戸から京都までが描かれています。北斎の波は、高速度撮影した波の一瞬と言われていますが、これはドローンで遙か上空から撮影した様。北斎の視点と想像力に圧倒されます。

 鳥瞰図「木曽路名所一覧」。これも江戸から京都ですが、中山道、木曽路、北国街道、善光寺街道などが描かれています。ディフォルメの仕方が北斎独特です。諏訪湖の向こうに松本があり、そのすぐ向こうが京都です。

 右上の部分を拡大してみました。右の善光寺から左の松本へ。下に諏訪湖。左下に甲州。右下は浅間山。丹波島、篠ノ井、矢代(屋代)、戸倉など信州には馴染みの地名が見られます。

 鳥瞰図「百橋一覧」。当時実際にあったのでしょう。興味深い構造の橋がいくつか見られます。

(左)諸国瀧廻り「木曽路ノ奥阿弥陀ケ滝」。滝上の流れと滝の水の表現が凄い。滝を愛でながら宴をする人々。(中)相州大山ろうべんの滝」丹沢山系大山の滝で滝行をする人々。大山講は江戸時代から盛んでした。(右)木曾海道小野ノ瀑布。長野県上松町のある御岳信仰の水行の滝。

 信州諏訪湖の氷渡り。御神渡り。旅人の笑顔がいいですね。

 富嶽三十六景 武州 玉川(多摩川)。渡し船と馬子の配置が北斎らしく絶妙。

 富嶽三十六景 相州 江ノ島。まだ橋はなく、干潮の時に砂州を渡った様子が分かります。当時は江島神社に三重塔がありましたが、明治維新の廃仏毀釈で失われました。1182年(寿永元年)鎌倉幕府を開きつつあった源頼朝の藤原秀衡調伏のために文覚が弁財天を勧請し、これが実質的な弁財天信仰としての江ノ島の創建といわれます。江戸時代は多くの参拝者で賑わいました。

 版本 絵本「隅田川両岸一覧」。桜咲く隅田川沿いに繰り出す花見客。団子売り。舟遊びに興じる人々。

 版本 絵本「隅田川両岸一覧」。舟釣りを楽しむ人々。面白い釣り針ですね。何を釣っているのでしょうか。ハゼかな。スズキ、タイ、ウナギ、ボラ、アナゴ、コイなどが連れた様ですが。女性二人は、その出で立ちから町娘ではなく遊女かと。右の男は太鼓持ち、左の男はボディガードかと思われます。

 版本 絵本「隅田川両岸一覧」。新吉原。吉原遊廓は、江戸幕府によって公認された遊廓です。新吉原というのは、明暦の大火後、浅草寺裏の日本堤に移転したもの。映画「HOKUSAI」では、歌麿が逗留したといわれる吉原の様子が生き生きと描かれていました。吉原遊廓の真実というのは、歴史学者が克明に研究をしています。
吉原遊廓

 葛飾応為「吉原格子先之図」(浮世絵 太田記念美術館):これは現在の展示品ではありません。北斎の三女お栄(応為)が描いた吉原遊廓です。以前、宮崎あおい主演で応為のドラマもありました。当館でも応為の研究ビデオを流していたことがあります。女北斎と呼ばれた彼女のミステリアスな人生は、非常に興味深いものです。遊廓の女性を、歌麿や北斎とは全く異なる女性の目線で描いています。
葛飾応為
 wiki
 「二美人図」。立像と坐像の二人の遊女。神奈川沖浪裏や富嶽三十六景があまりにも有名なので、北斎と美人画?と思う方もいるかも知れませんが、数多くの肉筆画を描いています。また春画も数多く描いています。重要文化財の肉筆画。

「東海道旅行」前北斎一筆/絹本着色一幅(部分図)。渡し船に乗る人、茶店「ゑどや」でくつろぐ人。当時の旅人たちの楽しそうな様子が、生き生きと伝わってきます。江戸時代を貶めたのは、欧米金融機関の傀儡となってクーデターを起こした薩長の田舎侍達。その支配が現在まで続いています。本当の自由は実は江戸時代にあった。士農工商という身分制度は無かったと、現在の教科書では教えられていません。江戸は、世界一環境に配慮した美しい都市だったのです。但し、奔放な姓故に梅毒が蔓延していました。

 常設展の東町の祭屋台。天保15年(1844)北斎85歳の時に半年を掛けて描いた天井絵の鳳凰と龍。鳳凰は、岩松院の天井絵の元になったと思われます。北斎逝去前年の作である岩松院の天井絵は、多くの専門家により北斎の直筆ではないといわれています。

 弘化2年(1845)に高井鴻山が私財を投じて制作した祭屋台。上町の飾り舞台には、高井村の彫師・亀原和田四郎作の『水滸伝』の武将・皇孫勝と、江戸の人形師・松五郎作の龍が置かれています。唐破風の妻飾りや欄間も見応えがあります。当時の小布施の繁栄も感じます。

 天井絵。怒涛図の「男浪(おなみ)」。海どころか宇宙を感じさせる名画。映画「HOKUSAI」のラストシーンの重要な画。

 天井絵。怒涛図の「女浪(めなみ)」。怒涛図の周りの絵は、北斎の下絵に鴻山が彩色したと伝わっています。

(左)北斎館エントランス。(右)話題の映画「HOKUSAI」の主人公二人のサイン。もちろんフィクションですが、最高に楽しめました。超オススメです。

 左から「北斎 肉筆画集成」。美人画26点と肉筆春画24点。次は「葛飾北斎・春画の世界」。春画はアップできませんが、江戸時代の性がいかにおおらかであったかが分かると思います。上は北斎館のパンフレット。右は、映画「HOKUSAI」のパンフレット。とても良くできています。
 一泊二日の短い旅でしたが、皆、充分に満足してくれた様です。さて、梅雨入りの前に里山保全の作業もしないといけません。

世界で最も有名な日本人 葛飾北斎の「北斎vs北斎」を観に小布施へ。圧巻の展覧会でした(妻女山里山通信):2019.12.22の記事です。必見。世界的に有名な「神奈川沖浪裏」は、再現され買うこともできます。当時のものでも摺師によって色調が微妙に違うのです。彼の原画を忠実に再現した彫師、摺師の存在を忘れてはいけません。
葛飾北斎 wiki
北斎館 公式サイト

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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清津峡渓谷トンネル Tunnel of Light マ・ヤンソン/MADアーキテクツ 2021(妻女山里山通信)

2021-06-08 | 展覧会・イベント・コンサート
 日本三大峡谷の清津峡にある清津峡渓谷トンネル。心と身体、全てで体験できる素晴らしい作品です。750mの最後に観られるパノラマステーション。【TUNNEL OF LIGHT. 】トンネルの内側にはステンレスが貼られ峡谷を映し水面は揺らぎながら景色を映します。龍安寺の石庭を思わす、自然を借景として取り入れる高度な環境芸術です。昨秋は一人で訪れましたが、今回は長男と友人二人を案内しました。

 人がいないカット。下のカットをご覧いただくと分かると思いますが、この作品は人がいることで輝き、自らの存在理由(レーゾンデートル)が浮かび上がるのです。
『東洋的自然観を基に現代社会における新しい建築の在り方の発展に取組み、人々の感情を中心に据えた未来都市「山水都市」のコンセプトを核とし、人と都市と環境との新たな関係性の創出に専心している』マ・ヤンソン/MADアーキテクツ

(左)コロナ禍の自粛で、首都圏ナンバーの車が少ない。10時前でも通常は駐車できない第一駐車場に止められました。数件の宿や土産物店、食堂がある道を進みます。(右)プロムナードを歩くとカフェ。その先に清津峡トンネルの入口があります。

(左)清津峡トンネルの入り口。発券機はこの入口奥にあります。(右)昭和8(1933)年の清津峡歩道。1988年(昭和63年)に峡谷内で落石死亡事故が発生したため、遊歩道は通行禁止となり長いこと閉鎖に。1996年(平成8年)10月1日に清津峡渓谷トンネルが開業しました。2018年(平成30年)に行われた第7回大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレで、トンネル全体が中国出身の芸術家マ・ヤンソン(MADアーキテクツ)の作品として改修されました。これがインスタ映えすると大評判になり、国内外から来訪者が激増しました。

 750メートルのトンネル内は、色変わりの照明が。これは作品ではなさそうです。入口近くに清津峡の地質や自然の説明があります。

 第二見晴所の「見えない泡」。トイレです。昨年訪れた時には、黒白のストライプはありませんでした。ストライプが加わったことで、新たに素晴らしいオプティカル・アートが生まれました。

(左)トイレ内からの幻想的な景色は必見。(右)平衡感覚がおかしくなります。

 第三見晴所「しずく」。『風の谷のナウシカ』のオーム(王蟲)の胎内にいる様です。

 清津峡の柱状節理。気が遠くなる程の時間を掛けて地球が造った造形美。

 コロナ禍で、インバウンドがほぼなくなり、昨年の様な中国人観光客はいませんでした。台湾の人とアジア系の人達がツアーで訪れていました。いい思い出になったことでしょう。

 撮影位置を変えることで、新鮮な景色が見えてきます。柱状節理が美しい。そして、こんな断崖に生きる逞しい植物。

 ステンレスのドームは、普通に見ると曇っているのですが、見る角度を変えると、こんな風に劇的な景色を見せてくれます。

 入り口方面はこんなです。水面の両脇は水深1センチで歩けます、中央部は水深15センチ。

 柱状節理を借景として、人のシルエットが映えます。逆光でつぶれているのがいいのです。

 現在は通行禁止の遊歩道。トンネルは、左の岩山の中にあります。

 いつまでも観ていたくなります。後ろ髪ひかれつつ戻ります。10時前に入ることをおすすめします。10時〜2時ごろは大混雑します。GW、5月、7-8月、10月は事前予約しないと入れません。午後は、本格的豚骨ラーメンの『天池屋』で昼食をとり、国宝の縄文土器が展示されている十日町博物館へ向かいました。次の記事で。

■清津峡渓谷トンネル Tunnel obo Light マ・ヤンソン/MADアーキテクツ 01

以下の動画はぜひYouTubeで観てください。

■清津峡渓谷トンネル Tunnel obo Light マ・ヤンソン/MADアーキテクツ 02


■清津峡渓谷トンネル Tunnel obo Light マ・ヤンソン/MADアーキテクツ 03


■清津峡渓谷トンネル Tunnel obo Light マ・ヤンソン/MADアーキテクツ 04


清津峡渓谷トンネル Tunnel of Light マ・ヤンソン/MADアーキテクツ 2020(妻女山里山通信)

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
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水彩画イラストレーター「林 真理」の軌跡(妻女山里山通信)

2021-01-24 | 展覧会・イベント・コンサート
 一昨年の台風19号が上陸した深夜に天国へ旅立ってから一年以上が過ぎました。ここで、水彩画イラストレーター「林 真理」の軌跡をまとめてみようと思います。彼女と出会ったのは、1988年の初夏でした。私はある受験雑誌のアートディレクターをしていました。女性を描けるイラストレーターを探していて、友人のイラストレーター二人がやっている事務所に問い合わせてみました。そこで、うちでアルバイトしている真理ちゃんはどう。まだ学生だけどと。彼女は21歳、私は33歳でした。年の差は12歳。やがて突然に彼女と結婚するよと言った時、友人達からは嫉妬轟々でしたが、皆祝福してくれ結婚祝福パーティーを開催してくれました。そして、新婚旅行はなんとアマゾン(笑)。ツアーではありません。全て私が手配しました。当時はポルトガル語がほぼできたので(今は怪しい)、そんな旅も可能でした。新婚旅行を撮影したビデオが3時間あまりあるのですが、小舟をチャーターしてピラニア釣りに行き、現地の家で昼食したりナマケモノや大嫌いな大蛇と遭遇したり、アマゾン川の支流の村で子供達と交流したり水彩画を描いたり、ジャングルの四ツ星ホテルに滞在と、アマゾンを満喫して心から楽しんでいる彼女が印象的に映っています。
 当時はまだバブル景気。打ち合わせも事務所のあった原宿の喫茶店やカフェで。お昼も一時間でグルメの仕事もしていたので、原宿やときには恵比寿まで足を伸ばす余裕がありました。土井善晴さん、平野レミさん、ジュディ・オングさんなどとレギュラーの仕事を。芸能人や文化人との仕事も数しれず。女子高生や女子大生を集めてのシンクタンクも。原宿も活気がありました。最大の邂逅は、プライベートで竹下通りに現れたエリザベス・テイラーを間近で見られたこと。若い恋人や友人達と一緒でした。何度かの打ち合わせの後、酔った私は忘年会で隣りにいた彼女の手をずっと握っていたと後で彼女から聞きました(笑)。そして、彼女とはいつしか付き合うようになりました。凄く感性が合うんですね。二人共、映画やテレビやネットサーフィン、ゲームなどの受け身の鑑賞だけでなく、自ら創造し発信することが何より大好きでした。
 ホテルオークラの飲食関係の部長をしていた義父が(後にエンタープライズの社長に。そんな関係で我家のイベントはいつもホテルオークラでした)、彼が私の郷里に疎開していたことも因縁かと。翌年の梅雨の晴れ間。打ち合わせの後で、彼女を原宿駅まで送っていく途中、「私、今日誕生日なの」と。待っててといって目の前のコープオリンピアの高級生花店へ。1万円で真紅の薔薇の凄く大きな花束を作ってもらい、おめでとうと言って渡しました。それが実質的なプロポーズでした。
 結婚生活は奇妙なもので、夫婦でありながら彼女を本物のイラストレーターにするために厳しい指導もしなければなりません。上手くいったのは、そのオンとオフの切り替えが、二人共完璧にできたということです。年の差が功を奏したのかも知れません。私は妹が二人のためか父性が強いのです。よく女性から包容力があると言われました。アートディレクターとして、彼女には実力以上の要求をしてきました。彼女は相当苦しんだと思いますが、見事に応えてくれました。要求は感情的なものではなく、極めて緻密で具体的なものです。結婚前の彼女は、泣いて帰ったこともあったと言っていました。やがて、業界でも認められ始め、大手のクライアントからの仕事も来るようになりました。水彩画フード・イラストというジャンルも確立しました。プランタン銀座でのカフェメニュー教室や自由が丘や調布での絵画教室も好評でした。マスコミにも出るようになりました。二人でコラボして作ったパナソニックのカレンダーは優秀賞に、ネット社会の歩き方という教育サイトは文科省のコンペで最優秀賞になりEテレでも放映されました。他にも数々の受賞歴があります。彼女は最高の妻であり、最高の同士でした。彼女には、もっともっと活躍し続けて欲しかった。運命なのかもしれませんが、本当に大切な人でした。



Mari Watercolor Cafe(水彩画ギャラリー)
 2008年までの彼女の作品や活動の記録です。一緒に企画と構成を考え、私がサイトを作り運営しています。特に、SchoolとWorksは、彼女の活動の幅と深さが分かるでしょう。それ以後は、彼女のブログ「マリンアイランド」でご覧いただけます(現在は長男が運営)。マリンアイランドやマリングルメ、Mari Watercolor Cafeは、私の命名です。もちろんマリンの元は彼女の名前から来ています。何度も彼女と歩いた湘南の海岸を思い出します。


 そのスペシャル・ギャラリーから。私が彼女に提案したケーキショップの四季シリーズ。銀座で開催した初めての個展でも大反響を呼んだ作品達です。左はスプリング(春)がテーマ。春の喜びと華やかさ。右はメイ(5月)がテーマです。右にショウウィンドウのガラスの映る並木の葉の影。かなり大きな作品です。銀座での個展は大盛況でした。その後、自由が丘で開催したり、仙川などでも開催したり。いずれも大盛況でした。私も超多忙でしたが、パンフレットやポスターを作ったり、企画のアドバイスをしたりと、全力で彼女をサポートしました。写真のスウィーツは、どこかのお店のものではなく、すべて彼女の創作です。家族の誕生日やクリスマスなどには、こんなケーキを作ってくれました。


 バレンタインデーがテーマの作品。この作品のポスターが右上に掛かっています。その中にもそのポスターがという永遠に続くレトリック。これを提案したのは私ですが、彼女はそれを見事に描きあげてくれました。右はイタリアン・レストランの一作。マルゲリータのシズル感(美味しそうに見えること)が、最大の魅力です。あるイタリアン・レストランで使っていただきました。水彩画でのフードイラストというジャンルを確立しました。


 とある猫好きの紳士からの依頼で描いた猫の絵。原画はかなり大きいです。それは依頼者の元にありますが、それを大きな見開きの絵本にしました。彼女には珍しく水彩絵の具ではなく、アクリル絵の具です。我が家は猫好きなのです。私の村上春樹さんのブログに、「ピーター・キャット」のマッチのチェシャ猫と、猫と猫と猫の物語」があります。猫好きの人は必読です。村上春樹さんと猫の秘密も。


 彼女の実家が横浜の郊外だったので、小さな息子達を連れてよく江ノ島や湘南海岸、鎌倉に行きました。横浜中華街や元町へも。サイト「マリングルメ」でご覧いただけます。右は高速ドリブルで男子を翻弄するサッカー少女。息子二人は、日本代表も出たことのあるサッカークラブで活躍していました。私がそこのロゴマークを作りました。そのクラブの親子サッカーで、4ゴール3アシストをしたこともありました。私自身、中学生時代はサッカー小僧だったので、大好きなのです。彼女もサッカーが大好きで、ワールドカップの時は、家族で日本代表のユニを着て応援していました。
 長男を妊娠してお腹が大きくなった時、彼女と仙川へ買い物に行く道すがら熟年の紳士とすれ違ったんのですが、驚愕の表情。一見女子高生みたいなお腹の大きな女の子と、私も結婚間際の過労で新宿の有名な漢方薬の店に行った時に年齢を言ったら、薬医の方がえっ!て叫ぶほど若く見えたのですが、30代。これは父もそうですが若く見えるのは我が家の遺伝子なのです。思わず二人で振り返って苦笑いしました。医療関係の記事も担当していたので、会陰切開とか授乳不全とか産後鬱の知識もありました。そんなわけで、最大限彼女をサポートしました。出産というのは大変な事なのです。育児もそうですが、夫が全力でサポートすべきものなのです。それができない社会は、それ自体が間違っているのです。


 私が探していたのはこういうイラストでした。ある受験雑誌のモノクロページの扉のイラストです。出版社の担当者にも大好評でした。右は、ある大手新聞社のPR誌のアートディレクターをしていた時に、私がたてた絵本の特集企画で描いてもらった不思議の国のアリス。美少女を描くのも非常に得意でした。長男出産当時人気だった育児漫画も描いていたのですが、中途半端になると思いどちらかに専念するようにアドバイスをしました。彼女が選んだのは水彩画でした。当時のイラスト入りの育児日記は爆笑もので最高です。二人共仕事で激務でしたが、子育てを思い切り楽しんでいました。面白すぎて長男をいじって遊んでいたら、話し始めたばかりなのに「僕はおもちゃじゃない」と言われて二人で「え!」と顔を見合わせて驚いたこともありました。胎内記憶に興味があったので、子供が生まれて言葉を覚え始めたら、お腹の中にいた時の話を必ず聞きました。特に次男は未熟児で生まれたのですが、なんで早く出てきちゃったのと聞いたら、外が楽しそうだったからと言いました。彼女と爆笑しました。胎内記憶は3歳位で消える(忘れる)ので、言葉を覚え始めた頃に聞くといいです。

 その他に彼女のために作ったサイトが二つあります。adobeがフラッシュのサポートを今年で中止するために、上にあるフラッシュムービーが消えています。いずれhtml5に変換してアップするつもりですが、なかなか時間が取れません。ただ、サイトのコンテンツは最高です。見ごたえがあります。アイデアや技術的なことは、私も協力しています。


Mari's Handcrafts Room(クラフトギャラリー)
 仕事はもちろん子育てで忙しいのに、時間があると工作もしていました。そのDNAは、息子達にも受け継がれ、「T&T STUDIO」というペーパークラフトのサイトがあります。彼らもテレビ(日本テレビのスッキリ!)やラジオ、新聞に載ったり、個展もしていました。こちらも必見です。世界中からアクセスがあります。現在は二人共大学を卒業し、社会人として活躍しています。時々私とも遊んでくれます(笑)。彼女が亡くなってから、正月は彼らと過ごすのですが、グルメ三昧、温泉三昧、古刹めぐり三昧です。コロナ禍で、今回は色々違ったものになりました。

Mari's Handcrafts Roomからの抜粋。ミニ工作の教室。机はかまぼこ板。腰板はアイスの棒です。家族で登った多摩や神奈川、山梨の山で拾った木の枝や実で作ったキャンドルスタンド。彼女のイラストがプリントされたミニトートバッグ。麻が好きな彼女が自然素材で作ったアクセサリー。これら以外の作品は、上のMari's Handcrafts Roomのサイトでご覧いただけます。とにかく彼女も私も常に何かを創造し追い求めていないと駄目なんです。で、お互いにこれどう思うとかどうしたらいいかななどと話し合っていました。そこには12歳の年齢差は関係ありません。彼女もですが私も彼女のアドバイスにどれだけ助けられたことか。

マリングルメ(317のオリジナルレシピ集)プランタン銀座のエコールプランタンでのカフェメニュー教室も 
 317のレシピ集は、和食(信州郷土料理も)・洋食・中華(横浜中華街仕込み)・エスニック(ブラジル料理なども)・スウィーツ・ドリンクのオリジナルレシピ集でお役立ちコンテンツ。料理制作は主に彼女が、レシピは二人で、スタイリストは彼女が、撮影は私が担当しました。もちろん料理は家族でいただきました。

 レシピ集からの抜粋。左から日本料理から信州の郷土料理丸茄子のおやき。私の母から彼女へ伝授されたもの。人体に有害な砂糖は入れません。水に沈む緻密なナスと信州麹味噌の旨味で充分美味です。西洋料理からイタリア・ミラノのママの味オッソブッコ。味のポイントは、アンチョビーとレモン。中華は、おそらく他でレシピはないであろう梅干菜扣肉(メイガンツァイコウロウ)。中国東江地方の伝統的な客家(ハッカ)料理の一つです。彼女と二人で二日がかりで作りました。激旨ですが、あまりにも大変で一度しか作ったことがありません。横浜中華街でも出している店はないのでは?あったら教えてほしいです。エスニック料理からは、アマゾンのソッパ。これは私がアマゾンで教えてもらい彼女に伝授したもの。先住民が、装飾や虫除けとして体に塗るウルクンという赤い木の実の粉を入れたコロラウという独特な調味料を使います。味にくせが無く、日本人にもなじみやすい料理で、わが家の夏の定番料理の一つになっていました。ブラジリアンのソウルフード、フェイジョアーダのレシピもあります。タイ料理の鯖と発酵タケノコのカレーは、新橋のタイ料理店で習得。デザートからは、アンズとチーズの春巻きパイ。仲人をしてくれたあんずの里森の伯父が毎年杏を贈ってくれていました。最後は飲み物から麦茶オレ。不思議なんですが、麦茶にミルクを入れるとコーヒー牛乳の味がするんです!他にはお茶の本を作った時にスタッフに大好評だった抹茶ビールなども。317のオリジナル・レシピがあります。お役に立つと思います。ご利用ください。プロがやる基本の出汁の取り方も。

 そして、プランタン銀座でのカフェメニュー教室。これは、私が企画して売り込んだもので、4年続きました。二人の合作で、半分ぐらいは私の創作レシピです。サインボードやランチョンマットも二人で相談してデザインしました。Worksに載せていますが、お茶を使ったレシピ集の本とかパナソニックの世界の料理を載せたカレンダーも制作しました。自由が丘の会社から依頼されたエコバッグや大手ゲームメーカーのジグソーパズルも作りました。ウィークデイは超多忙だった私も、週末は家事や子育てもして彼女をサポートしました。彼女はフリーランスなので、月曜日に提出ということもあったので、サポートが必要でした。出勤時間が遅かったので、息子を保育園に送り届けたことも度々。しかし、改めてサイトを隅々まで見ると、よくこれだけできたなと思います。好きだからこそでしょうね。息子達にも、好きなことをやりなさい。儲かるとか時代の最前線とかで職業を選ぶと本当に危機に陥った時に乗り越えられない。時代もすぐに変わる。本当に好きなら乗り越えられると言いました。彼らは、そういう職業について頑張っています。

 プランタン銀座のエコールプランタンでのカフェメニュー教室の作品。ブラジリアンカフェと最後の教室となったクリスマスカフェ。サインボードやランチョンマットは、二人のデザイン。レシピも二人で作り上げました。私は超多忙な本業、アートディレクターの仕事もありましたが、最大限協力しました。で、家族でトレッキングをしたり、深大寺や野川公園や多摩川にサイクリングしたり、子供達のサッカークラブの撮影をしてサイトを運営したり、展覧会をしたり、テレビや新聞などマスコミの取材を受けたりと。今思うとよくできたなと思いますが。好きなことをしているので、二人共充実していて楽しさで乗り切れていたのでしょうね。


 彼女の家はインドア派でしたが、信州の山猿と結婚したことでアウトドア派になりました、それが彼女が自然を描くきっかけにもなりました。左から、次男が2歳半の時に登った世界一登山者の多い高尾山の、最も長い稲荷山コースを登った時のもの。アメリカンのおばさんが、まだ赤ちゃんじゃないのと驚いていました。通常の2倍の時間をかけて登りました。子供の登山については、「キッズトレッキングのアドバイス」という記事を載せているので下のリンクをクリックしてください。非常に大切な記事です。次は冬の三国山へヴァージン・スノーのトレッキング。足跡が全く無い雪山を家族で登りました。次は拙書でも紹介の根子岳の山頂。最後は、山梨の牛ノ寝通りの登山道などない幻の30mを超える大栃を見に行った帰りに、登山道に戻るためにとんでもない急登を登る我が家。息子達が小さなころから登山道などないバリエーションルートを登っていました。ある意味究極のサバイバルレッスンでした。そのために、ネットや現地で充分すぎる下調べをし、万一の場合のことも考えました。それでも迷ったこともあります。そういう時には、私が分かっていても息子たちに地図を見せて考えさせたりしました。
「キッズ・トレッキング」のアドバイス。(信州妻女山里山通信):子連れ登山の大切な要項です。特に5歳未満のトレッキングには、絶対に知っておかなければならない重要なことがあります。ぜひ見てください。
MORI MORI KIDS 低山トレッキング・レポート:東京、神奈川、山梨、長野の里山のトレッキング・フォトレポートです。2000年から2014年まで。それ以降は、このブログにアップしています。ユーチューブでも下記のサイトでスライドショーがご覧いただけます。
saijouzan:現在Googleのアホ仕様でログインできなくなっています。なのでコメントに関する返答はcapinoの別アカウントでしています。東京や神奈川、山梨や信州の里山や亜高山のトレッキングのフォトレポートです。


 彼女は業界では有名なので、検索すれば私以上に彼女の画像が出てきますが、そういうところでは絶対に出ない彼女をアップします。一番左は、婚約中の正月に私の実家に帰省したときのもの。22歳。まだ学生で、卒業制作を製作中だったり、卒業生総代で答辞を話すことになり、その相談を受けたりしていた頃です。千曲川の堤防で。身長は157センチで小柄なのですが、小顔でスレンダーなのでフォトジェニックです。次は新婚旅行で行ったアマゾンで、彼女がピラニアを釣り上げたところ。彼女はアマゾンを満喫していました。次は私の妹の結婚式で帰省した時。27歳。左の様な学生っぽさが抜けて、大人びて美しくなりました。一番右は次男が小学校入学の時。34歳。家庭も仕事も充実して、表情にも自信とゆとりが感じられます。私はバブル崩壊で逆に超多忙になり、過労から二度ほど死にかけました。それも私が仕事大好き人間でワーカホリックだったからなのですが。彼女には随分と迷惑もかけてしまい世話にもなりました。いつも明るく優しく私のことを気遣ってケアしてくれました。本当に感謝しています。
 実は彼女とは、一度も夫婦喧嘩をしたことがないのです。もちろん怒鳴ったことも、暴力をふるったこともありません。人間関係で悩んで泣きながら相談されたこともありましたが、自信を失わないようにケアしました。それは子供達に対しても同様で、問題を起こしても反省していることを分かっていたので叱ることもしませんでした。勉強しろと言ったことは一度もありません。好きなことをとことんやらせる。意見を聞き考えさせるけれど、極力指示はしない。アドバイスは優しく的確に。子育てで彼女と意見が割れたことも一度もありませんでした。彼女以上の女性にはもう出会えないでしょう。もし出会えたら、それは天国の彼女からの奇跡のプレゼントでしょうね。息子達も彼女のことをおかあさんとかママではなく。赤ん坊の頃から、真理ちゃんと呼んでいました。それは私が彼女をそう呼んでいたからです。子供が生まれると呼び名がおかあさんとかママになってしまう家が多いと思いますが、そういう普通名詞で呼ぶことに抵抗を感じていたので真理ちゃんと。息子達もそれに習ったわけです。物心がついてからは、お母さんになりました。彼女も私も海外生活の経験や海外の友人もたくさんいたので、出かける時や帰宅時は、必ずハグしてキスしていました。息子達もそれを見て育ちました。昔の日本の様に、スキンシップを大事にしていました。

●高木紗友希「逢いたくていま」カバー

 最後に彼女と会った時、抱きしめてキスをして愛してるよと言った時、彼女は絶対良くなるからまた会いに来てねと言いました。それは叶わぬ夢でした。彼女を守りきれなかった負い目を私は背負って生きていきます。でも、それは負の遺産ではありません。前を向いて進みます。それが彼女の願いだと分かっているからです。そういう人でした。永遠に愛しています。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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清津峡渓谷トンネル Tunnel of Light マ・ヤンソン/MADアーキテクツ(妻女山里山通信)

2020-10-10 | 展覧会・イベント・コンサート
 4つ前の記事で、新潟県の十日町にあるキナーレ現代美術館を紹介しましたが、それは清津峡渓谷トンネル を観るためのリサーチでもありました。今回そのチャンスが得られたので訪れました。それは素晴らしいものでした。もの凄い人気で、平日でも混雑します。週末や連休、これからの紅葉の時期は、交通規制や入場規制もあります。訪れる最適な時期は最後に記します。参考にしてください。

 750mの最後に観られるパノラマステーション。【TUNNEL OF LIGHT. 】トンネルの内側にはステンレスが貼られ峡谷を映し水面は揺らぎながら景色を映します。龍安寺の石庭を思わす、自然を借景として取り入れる高度な環境芸術です。下の人がいないカットを観ていただくとわかると思いますが、この作品は人がいることで輝き、自らの存在理由(レーゾンデートル)が浮かび上がるのです。「東洋的自然観を基に現代社会における新しい建築の在り方の発展に取組み、人々の感情を中心に据えた未来都市「山水都市」のコンセプトを核とし、人と都市と環境との新たな関係性の創出に専心している。」

 赤ちゃんを抱っこしたお母さん。この子が物心ついたときに再び訪れて欲しい。この写真を未来ある赤ちゃんに捧げます。右は母親と訪れた娘さんでしょうか。長いトンネルを抜けて観るこの景色は、命の尊さや人は自然に抱かれて生きているのだということを感じさせてくれます。積雪の冬にはモノトーンの墨絵の世界。4月の芽吹きの頃には、何種類もの緑と春紅葉が見られるでしょう。

 水面は端は歩くことができます。ただ布の靴はだめです。人が歩くと水面が揺れて美しい波紋が見られます。小さな女の子が恐る恐るお母さんの後をついて行くのがとても可愛らしかった。

 普通に撮影していたらつまらないので探しました。二つのトンネルが現れます。鏡像の不思議。確かに私は見たということの不確定さ。視覚の揺らぎ。

 ひとがいない「清津峡渓谷トンネル Tunnel obo Light」。誰もいないと水面は鏡面と化し風景を鮮明に映し出します。これはこれで貴重なカットです。愛の渇望。不在の不安。

 清津峡渓谷トンネルの入り口。このカットを載せている人がいないので載せました。真ん中は水深15センチ。黒い線の外側の両サイドは、布の靴でなければ歩けます。

 何を感じるか、何を思うか、どう反応するか。それはあなたの生きてきた人生の鏡なのです。

 水面(みなも)に映る清津峡の柱状節理。黒部峡谷・大杉谷とともに日本三大峡谷の一つとして知られる信濃川の支流である清津川が形成した峡谷です。日本列島創生の痕跡が見られる峡谷でもあります。
清津峡

 第二見晴所の「見えない泡」。トイレです。

 そのトイレの内側から見える風景。白い点が銀河の様。揺らぎ。

 第三見晴所「しずく」。私はナウシカを思いました。危うい柏崎原発。

 しずくの映ることの安定と不安。この表現は、コンセプチュアル・アートに通じるものがあります。

 赤いトンネル。心が高揚し揺らぐ。

 青いトンネルを行き交う人々。それぞれに人生がある。何を感じ、何を思い日常に帰るのでしょう。車椅子の方も何人かいました。トンネル内は緩い坂道がありますが介助の方がいれば大丈夫です。

■清津峡渓谷トンネル Tunnel obo Light マ・ヤンソン/MADアーキテクツ

パンしてたらおばさんにぶつかった。それも一興。

■清津峡渓谷トンネル Tunnel of Light

短いですが観客が映っています。


(左)第二駐車場。(中)第一駐車場の先にある温泉街を振り返ったところ。ここに泊まるのもいいでしょう。(右)渓谷沿いのプロムナードを進むとエントランス施設。

(左)一階はカフェとショップ。二階には無料の足湯。(中)抗道入り口。入ってすぐ右にチケット売り場。(右)N-079「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」の番号。

(左)渓谷沿いに咲く花たち。シュウメイギク(秋明菊)。(中)キツリフネ(黄釣船)。(右)ミゾソバ(溝蕎麦)。

平日でこの賑わいです。11時に着きましたが、第一駐車場はすでに満車。第二駐車場は4台ほどでしたが、12時半に出てくるとほぼ満車になっていました。開抗時間は8時30分から17時(最終入抗は16時30分)です。午前中の早い時間か午後3時以降がおすすめと案内所の女性がアドバイスしてくれました。入抗料金は、大人が800円。小中学生が400円。
マ・ヤンソン/MADアーキテクツ
 MAD Architectsは2004年に中国出身の建築家、マ・ヤンソンによって設立され、ダン・チュン(中国人)と早野洋介(日本人)の3名にて運営される建築事務所。北京、ロサンゼルス、ニューヨーク、ローマに事務所を構える。東洋的自然観を基に現代社会における新しい建築の在り方の発展に取組み、人々の感情を中心に据えた未来都市「山水都市」のコンセプトを核とし、人と都市と環境との新たな関係性の創出に専心している。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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新潟県松代町の大地の芸術祭へ。草間彌生の《花咲ける妻有》。蒲生泥火山。マリンドリーム能生でカニ三昧。夕映え(妻女山里山通信)

2020-09-27 | 展覧会・イベント・コンサート
 キナーレ現代美術館の建物内にある明石の湯に入って長いトンネルを抜けて、松代町(まつだいまち)へ。最初は十日町の道の駅クロス10で車中泊するつもりでしたが、狭いのとあまりにも街の中なので、もっと静かでひなびた所が良いなと。まつだいふるさと会館が道の駅で、ほくほく線の松代駅が併設されています。24時間営業のコンビニもあり便利です。
大地の芸術祭:公式サイト 作品は、十日町市と松代町のあちこちにあって、とても観きれません。公式サイトで観たい作品を選んで回るのがいいでしょう。

 《花咲ける妻有》草間彌生。世界的な前衛芸術家、草間彌生の作品です。これを観るために訪れたといっても過言ではありません。彼女自身も最も好きな作品だそうです。明け方にかなり激しい雨が降りました。連休で人影もほとんどない朝7時半から鑑賞の散歩にでかけました。左奥に見える農舞台もまだ開いていません。雨後の真夏のそれとは異なる草いきれ。

 どこから撮影しても電線とか建物や街の風景が入ってしまいます。このカットは、電線をフォトショップで消してあります。90歳を過ぎてなお制作の情熱を失わず創り続ける彼女には感服します。

 あえて電線や街の風景を入れてみました。真後ろに見えるビルがまつだいふるさと会館。芸術と俗のコントラスト。芸術は分かりやすい必要はありません。マスメディアや大量消費、大衆文化の隆盛で、分かりやすいものが溢れています。しかし、芸術はそうでなくていいのです。大衆に迎合したらレベルは堕ちます。政治もテレビも、本も入門書ばかりで、日本の文化レベルは地に落ちています。分かりやすいものは必要ですが、それだけではいけない。高度なものは絶対に必要です。分からなくても可能性を信じて、それに投資する金持ちや政府があったから芸術も科学も伸びたのです。すぐに役に立つものだけでは、人類の進歩はありません。

 《棚田》イリヤ&エミリア・カバコフ(ロシア/アメリカ)。

 《リバース・シティー》パスカル・マルティン・タイユー(カメルーン/ベルギー):一本一本には世界の国々の名前が書かれています。

 見上げると山城が。松代城跡。行きましょう。しかし、なかなか辿り着けませんでした。最後は舗装路ですが、かなりの急登。

 《人生のアーチ》イリヤ&エミリア・カバコフ(ロシア/アメリカ)。:かなりペシミスティックな人生観。松代城跡へ行く途中にあります。

 日本三大薬湯の松之山温泉へ行く途中から山を下って美しいブナ林の「美人林」へ。解説には樹齢100年ほどと書かれていましたが、それにしては随分と細いですね。豪雪地帯だからでしょうか。ブナ林では、息子たちとよく登った山梨県の牛ノ寝通り、鶴寝山のブナの巨木を思い出します。
牛ノ寝通り(山沢)・大トチと鶴寝山・大ブナ:私のサイトです。樹高30mを超える巨木は、神々しく感動します。クリックすると大きなカットがご覧いただけます。
 
(左)再び長いトンネルを抜けて蒲生泥火山へと向かいましたが、通り過ぎてしまいました。理由は、蒲生の信号が三ヶ月前に撤去されてしまったからです。でも地元のおじいさんに聞いてやっと辿り着けました。(右)この藪の向こうにあるのですが、これではとても行けません。泥火山て何!?と思われた方は、下のリンクをクリックしてください。
蒲生泥火山

 その足元の小さな流れに石油みたいなものが。これは拙書でも「みすずかる信濃の国の鉄バクテリアがずくを出す」というエッセイで紹介している鉄バクテリアです。古代日本では、この死骸を集めて製鉄をしていました。

(左)山間部を抜けて、国道253号を上越市へと向かいます。左右にはコシヒカリの広大な水田地帯。(右)上越市で大渋滞にはまり、首都圏ナンバーの車が多いことに気づき、マリンドリーム能生も大渋滞大混雑と予想し、高速に乗り親不知ピアパークへ。しかし、ここも満車。やっと入れましたが、人が多すぎて何もできず。下路をすごすごとマリンドリーム能生へ戻ったのは2時過ぎでした。

(左)いつもの海富丸へ。7回目のスタンプを押してもらいました。回転が早すぎて解凍が間に合わないのよ。ゆっくり食べてねと。(右)三密を避けて裏の海岸べりの芝生へ。ここも満員でしたが空いてる場所をなんとか確保。大おまけしてもらってズワイガニ三杯。お腹いっぱいになりました。

 いつもの長者温泉に入り5時過ぎにマリンドリーム能生に戻りました。観光客はもういませんが、車中泊の車やキャンピングカーが30台以上います。こんなことは初めてです。夕日。防波堤の上には、夜釣りをする人々。狙いはキジハタかチヌでしょうか。雲の濃淡のグラデーションが、ため息が出るほど美しい。

 太陽が落ちて。夕映えの空。鴇色(ときいろ)の空。濃い雲は、紺青(こんじょう)やら紅掛空色(べにかけそらいろ)とか藤色とか。やや黄色がかった部分は鳥の子色か。和色名には灰色の色名が非常に多いのです。紺色も多い。カシミールで絨毯を織る女性たちは、赤だけで100種類以上見分けができます。水平線と防波堤の上の線をあえて揃えてみました。さて、翌日は信州へと戻ります。
和色大辞典

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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新潟県十日町市の越後妻有里山現代美術館 [キナーレ]と道の駅クロステン。充実の日(妻女山里山通信)

2020-09-24 | 展覧会・イベント・コンサート
 4連休の日曜日に、新潟県の十日町市と松代町(まつだいまち)へ、美術館と博物館への鑑賞の旅にでかけました。松代(まつしろ)の長野インターから上信越自動車道に乗り、豊田飯山で下り国道117号を千曲川沿いに北上します。県境を超えると信濃川になり、2時間ほどで十日町に着きました。織物で栄えた十日町の歴史と文化レベルの高さに驚かされました。来年行く予定の清津峡トンネルの情報収集もしました。
大地の芸術祭:公式サイト

 美術館は、京都駅や札幌ドームで知られる建築家・原広司氏の設計で2階建てで□型。一階には入り口やカフェ、明石の湯があります。中庭にはなんだこれの不思議な絵。レアンドロ・エルリッヒ(アルゼンチン)の《Palimpsest: 空の池》:ある地点から見ると完全に鏡像が一致します。探してみてください。
越後妻有里山現代美術館 [キナーレ]

 一階の入り口から。中庭は浅いプールになっています。

 幼子が二人、お兄ちゃんの後を恐る恐る歩いていく妹。たまらなく可愛い。素敵で不思議な体験をしています。記憶に残るでしょうね。

 山本浩二《フロギストン》越後妻有地域の多様な植物相をサンプリングし、地域内の各所から様々な樹木を入手し、彫刻を施した後に炭化させた彫刻群。:オリジナルの樹木と炭化した作品の対比が面白い。炭焼きは大切な文化であると同時に、里山の豊かさと里山保全の大切さも教えてくれます。

 レアンドロ・エルリッヒ《トンネル》越後に多いトンネルを題材とした作品。:右の写真で分かる様に、実際は先へ行くほど小さくなっているのです。その向こうのトンネルは写真。錯視を上手く利用しています。単なるアイデア一発のトリックアートではありません。

(左)エルムグリーン&ドラッグセット《POWERLESS STRUCTURES, FIG.429》鑑賞者がこの不安定さに積み上がった「架空のギャラリー」内部で何が起こって居るのか想像して欲しい。:想像力が試されます。(右)カルロス・ガライコア《浮遊》都市に見られる無名の建物の形と越後妻有に見られる家屋の形をリサーチし、幾つかの類型を導き、小さな銀色の紙に切り抜いたものが大量に巨大なガラスケースの中でキラキラと粉雪のように乱舞する作品。:儚さと美しさ。

 クワクボリョウタ《LOST #6》ゆっくりと動く光源が床に置かれた様々なモノの影を大きく壁に投影しながら移ろい、まるでこの地域を旅する車窓からの風景をみるようなあるいは映画をみているような魅力的な世界がうつしだされる。床に展開するのは十日町を特徴する織物器具など、この地域を使用されてきた用具など。人々の営みを支えた繊細な道具に地域の風景が重ねあわせられている。:ずっと観ていたい作品。心が落ち着く。畏れと郷愁と孤独と懐かしさ。失われていくもの。サウダージ。

 時間によって水の色やきらめきが変わります。周囲のベンチで和む家族やカップルがたくさん。

 映る揺らめく景色は变化し同じものはないのです。泡沫(うたかた)の現(うつつ)。無常なり。

 カールステン・ヘラー《Rolling Cylinder, 2012》赤白青の螺旋模様が回転するトンネルを通り抜け、平衡感覚が揺さぶられる作品。:床屋の赤と青のアイコンは動脈と静脈の比喩。血液に紛れ込んだウィルスの気分? 前後には永遠に続く合わせ鏡が。楽しい反面、底なし沼の不安も。存在はヴィトゲンシュタインが言った様にスパイラル、回転することで安定しています。回る回る。回って上昇し下降する。宇宙も銀河も太陽系も。そして我々も回って回って回る。それが人生。

 Rolling Cylinder,2012/カールステン・ヘラー:越後妻有里山現代美術館 [キナーレ]

タイトルをクリックすると、YouTubeでハイビジョンでご覧いただけます。
 これら以外にもいい作品があります。場外にも。機会があったらぜひ訪れてみてください。


 隣の道の駅「クロス10」へ。ギネスに収録の大きなつるし雛。

 ひとつひとつに、人々の喜びや願いや祈りや夢が込められています。

(左)昼はクロス10のつまり食堂で天ぷらへぎ蕎麦を。喉越しと腰があります。ただ布海苔入なので、蕎麦粉本来の風味や味はありません。天ぷらが美味でした。(右)「クロス10」で買い求めたエチゴビールと魚沼酒造の純米大吟醸酒・天神囃子。ふくよかで甘み酸味苦味のバランスが良く美味です。つまみには道の駅あらいで買った幻魚の干物とホタルイカの干物を軽く炙って。そして、ピスタチオの入った猪肉のハム。これは翌晩にコノスールのフルボディと共にマリンドリーム能生でいただきました。さて、午後は、縄文の展示が充実している6月に開館したばかりの十日町市博物館へと向かいました。素晴らしい展示でした。次の記事で。そして、旅はマリンドリーム能生のやれやれでしたのカニ三昧へと続きます。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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芸術の秋に行きたい美術館。おうちで信州の美術館を旅しよう! 無言館(妻女山里山通信)

2020-09-13 | 展覧会・イベント・コンサート
 芸術の秋といえば、美術館巡りがあります。一人で、好きな人と、家族で、友人達と。ミュージアムショップで売られているグッズも魅力的です。

ホキ美術館 画家の眼がとらえた美


ホキ美術館 オリジナル動画

 写実絵画の美術館。写実絵画については、作家が色々述べているのでそれを聴くといいでしょう。写実絵画の歴史は古く、その欲求と衝動は単なるリアリズムの追求だけではありません。もちろん写真の代わりではありません。よって写真みたいは褒め言葉になりません。よく鑑賞し感じれば見えてくるでしょう。

おうちで信州の美術館を旅しよう!

9/19からアルフォンス・ミュシャ展が行われる松本市美術館や、美術館の宝庫といわれる軽井沢もおすすめ。
松本市美術館:公式サイト
軽井沢ニューアートミュージアム:公式サイト
軽井沢現代美術館:公式サイト
前衛芸術家 草間彌生の「魂のおきどころ」を観に松本市美術館へ。感動と充実の日でした(妻女山里山通信)
軽井沢ニュー・アート・ミュージアムへ草間彌生を観に。素晴らしい展覧会と美術館でした(妻女山里山通信)

無言館 『詩の朗読とバイオリンの演奏』Vol.2 ~バイオリンの演奏 天満敦子~

戦没画学生慰霊美術館 無言館:公式サイト  一度は必ず訪れて欲しい美術館。

夏の美ヶ原高原美術館 Utukushi-gahara Open-Air Museum

美ヶ原高原美術館:公式サイト

【2021年春オープン新美術館】ランドスケープ・ミュージアム 〜開かれた美術館として〜


「ライトケープ」大地の芸術祭2018

日本三大峡谷 清津峡:公式サイト  必ず行きたいアートトンネルですが、この4連休は大混雑で無理でしょう。
北アルプス国際芸術祭2017 Japan Alps Art Festival 超絶オススメ!(妻女山里山通信) :今年は新型コロナウィルスで中止になりましたが、2017年の芸術祭はそれは素晴らしいものでした。国際的なアーティストの感動ものの作品をアップしてあります。ぜひ御覧ください。次回の開催を心から楽しみにしています。
新会期:2021年8月21日(土)~10月10日(日) 51日間

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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妻女山春霞。東京国立博物館『日本書紀成立1300年 特別展 出雲と大和』

2020-02-23 | 展覧会・イベント・コンサート
 週末は、来週末に松代の旧樋口家で行う講演会の準備をしました。その前に買い物へ。最高気温が14度と2月とは思えない暖かな日でした。

 妻女山(旧赤坂山)展望台から望む松代方面。松代の向こう、東条の山麓には春霞がかかっています。左は奇妙山。右の30mの崖を登るコースも拙書では紹介しています。奥には根子岳と四阿山。積雪が少ないですね。
 手前のソメイヨシノの冬芽も少しずつ膨らんできました。今年の開花予想は3月25日。なんということでしょう。もしかしたら杏、桜、桃がほぼ同時に咲いてしまうかもしれません。

(左)妻女山の麓にある会津比売神社。祭神は大国主命のひ孫にあたる会津比売命。全国でただこの地に一社だけという出雲系の貴重な神社です。初代科野國造の妻と言い伝えられています。(右)妻女山展望台後背に鎮座する妻女山松代招魂社。戊辰戦争以降の戦没者を祀る神社で、松代藩が建立しました。真田氏も大彦命を祖とする滋野一族の仲間なので、大和や出雲とも深い関係があります。

(左)実は今週末の日曜は、上京して東京国立博物館へ『日本書紀成立1300年 特別展 出雲と大和』を観に行く予定でした。しかし、新型コロナウイルスの蔓延で断念。すでに10万人の来場者だとか。残念です。そこで図録をネットで買い求めました。(右)A4変形で厚さ24ミリの豪華なものです。パンフレットを見るだけでワクワクします。

(左)鎌倉時代の出雲大社の復元模型。(右)もの凄く太い三本の柱で本殿を支えていました。

(左)鎌倉時代の出雲大社。(右)祭祀に使われたという銅鉾と銅鐸。実際の戦では、すでに鉄器が使われていました。

(左)勾玉と管玉(首飾りやブレスレット)。こんな細い宝石にどうやって穴を開けたのでしょうか。(右)大和王権の象徴ともいえる神鏡。古墳からの出土品。

(左)左から鉄弓と鉄矢。銅製弣(ゆづか)。鉄弓に装着して用いられたと考えられるものだそう。美しい。(右)勾玉(まがたま)、管玉(くだたま)の数々。これが古墳時代になると突然姿を消すのです。いや、本当に素晴らしい展覧会です。行きたかった。ただ、古代中国に言及する文章が全く無い。歴史学ではタブーなんでしょうか。誰に遠慮しているのでしょうか。人口動態を見ても大量の人々が中国から移入したのは否定できない事実なのですが。

(左)まあそんなで、週末は講演のプロットを考えながら料理を作りました。スライドの選択も。講演は、原稿を作るのではなく構成を考えて、キーワードや短文を書き、後はその場で臨機応変にお話していきます。その時の雰囲気や、何に興味を持っているかを感じながらお話をします。笑いも重要です(笑)。まずイカ大根。スルメイカだけでなくヤリイカも入れました。味付けはやや濃いめです。私は砂糖は使いません。本みりんとコクが必要なら沖縄のサトウキビ100%の黒糖か蜂蜜を使います。
(右)豚バラ肉と仲間と栽培したブラジル黒豆(フェジョン・プレット)のトマト煮込み。トマトは、デルモンテのちょっとお高いリコピンリッチのトマトジュースで。豚バラ、玉ねぎ、人参、ニンニクをオリーブ油で炒めて赤ワインでフランベ、煮込んだ豆に入れて更に煮込みます。マギーブイヨンで味付け。パンにもバターライスやサフランライスなどにも合います。

(左)これは備忘録的なものでアップしました。私が高校3年の時に美術班で描いた油絵の静物画です。大学ではコンセプチュアル・アートにはまりましたが、高校時代は印象派が好きでした。(右)武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科在籍当時に課題で描いたレンダリングの作品。今ならフォトショップ、その前ならブラシでしょうが。これは鉛筆と色鉛筆。当時でもプロはパステルで描いていましたね。フロントのパネルは全て鉛筆です。これは、村上春樹さんのジャズ喫茶でのことを書いたブログ『国分寺・国立70sグラフィティ』の記事に載せていますが、このプリメインアンプのラックスの方から嬉しいメールを頂いたのが宝物です。下記のリンクの上から11番めの記事です。できればまたLUXMANのアンプを買いたいですね。
『国分寺・国立70sグラフィティ』「70年代は、オーディオブーム。そのために必死で「ピーター・キャット」等のバイトをした日々」

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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世界で最も有名な日本人 葛飾北斎の「北斎vs北斎」を観に小布施へ。圧巻の展覧会でした(妻女山里山通信)

2019-12-22 | 展覧会・イベント・コンサート

 週末は、信州小布施の北斎館で1月19日(日)まで開催中の「北斎vs北斎」富嶽三十六景と富嶽百景を観に行きました。人気の展覧会なので入場者が多いと読んで、開館すぐに着くように家を出ました。9時20分に入館。世界で一番有名な日本人、葛飾北斎の展覧会を地元で観られる幸せ。2005年に東京国立博物館で開催された北斎展には家族で行きましたが、とんでもない混雑と素晴らしい展示でした。日本国内はもとより、大英博物館、ベルギー王立美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館ほか多数の欧米の美術館から出品という途方も無いものでした。

 展覧会の看板。これですら見ごたえがあります。1998年に出版されたアメリカのフォト・ジャーナル紙『LIFE』が選んだ『過去1000年の間で最も重要な人物』調査でベスト100に選ばれた、たったひとりの日本人。それが葛飾北斎です。
信州小布施 北斎館(画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館)ホームページ

(左)エントランス。画狂人北斎。もうここからワクワクします。昔、小さかった息子達と訪れたときとは内装も展示スタイルも一新されています。(右)さてさてどんな展示になっているのでしょう。彼の作品の魅力は、その西洋の芸術家も魅了した構図や色彩ですが、江戸時代の庶民を生き生きと描いた点も惹きつけられるのです。

(左)クルクル回すと動いて見え北斎漫画と北斎の絵のスタンプ。惜しむらくは、スタンプする紙が用意されていない。これは残念です。(右)北斎の作品をモチーフにした旗と北斎の画号の変遷。

(左)30種以上の異称を持っていた葛飾北斎。(右)宗理型美人の誕生。後で見たビデオでは、北斎と娘の描いた女性に対する描写や想いの違い。非常に興味深いものがありました。

(左)挿絵1000図以上。イラストレーターのパイオニアに。(右)シーボルトとの関係。「北斎漫画」で世界の北斎に。日本が世界のアニメ大国となる萌芽。そのさらに昔に鳥獣戯画。

(左)ドビュッシー、カミーユ・クローデル、マネ、モネ、ドガ、ゴッホ、セザンヌ、ロートレックに多大な影響を与えた。彼の大胆な構図は、世界の芸術家にとって驚愕のものでした。(右)80歳頃から肉筆画に傾注。90歳で永眠。
 翁死に臨み、大息し天我をして十年の命を長ふせしめバといひ、暫くして更に謂て曰く、天我をして五年の命を保たしめバ、真正の画工となるを得べしと、言吃りて死す。
 辞世の句は、「悲と魂で ゆくきさんじや 夏の原」(人魂になって夏の野原にでも気晴らしに出かけようか)というもの。

 作品は撮影禁止ですが、フォトブースがあって記念撮影ができます。版画はもちろんですが、特筆すべきは肉筆画です。北斎が描いた生の線と彩色が観られます。凄いです。秦の始皇帝の命で不老長寿の薬を探して村人3000人と来訪し、裏切って帰らなかった大和王権の祖ともいわれる徐福の絵もあります。

 赤富士。原作はこんな大きくないですが。麓の赤い線は流れ出した溶岩でしょうか。晩年に善光寺地震にも遭っているはずです。次に富士山大噴火が起きたら東京は壊滅するかもしれません。

 超有名な「神奈川沖浪裏」。これは複写ですが、展示では本刷りと制作過程が観られます。この波の描写は、天才と呼ばれた宮彫氏、諏訪立川流の和四郎富昌にも影響を与えました。諏訪大社秋宮など信州には各地に彼の見事な木彫が残っています。右上のブログ内検索で記事を探してください。北斎の影響力の凄さが分かります。
 葛飾北斎は生涯に2度結婚しています。それぞれの妻との間に一男二女を設けていて二男四女がいました。北斎が娘のお栄(画号:応為)とともに小布施に来たのは80歳。理由は幕府の浮世絵に対する締め付けが厳しくなったから。実は応為は、北斎を支えるために春画を描いていたといわれています。私はその春画を集めた本を持っていますが、これは江戸時代のAVだったのでしょうね。人の営みや欲望は不変なのでしょう。むしろ、化学物質や放射能で性欲が激変した現代ほど危機的な時代もないかもしれません。

(左)2時間半も滞在しました。小布施の二基の屋台も必見。ビデオの「北斎ミステリー」も観ました。娘の葛飾応為の話が非常に面白かった。北斎作といわれている作品に応為の影が。必見です。映像ルームのオランダの話も必見です。生き生きとした江戸時代の日本人が描かれています。左に北斎館。(右)冬の木漏れ日の小路を歩きます。表通りは外国人観光客でいっぱいですが、小路は静かです。

(左)小布施堂の壁面の椅子。(右)土産物屋。栗、林檎、りんごパイ、シードルやワインなどなど。長野オリンピックの頃でしょうか、マーガレット王女が小布施に来訪した時に、ホテルオークラに勤めていた義父が食事のサーブを取り仕切った話を聞きました。小布施の栗はおすすめです。

 栗菓子や栗おこわなどは近所の支店でも食べられるので、昼は須坂の龍音(るおん)で、煮干し出汁の味噌ラーメン600円。美味でした。

 今回の土産。「北斎館肉筆画大図鑑」とTシャツと北斎研究所の本。パンフレットなどなど。「北斎館肉筆画大図鑑」は、秀逸です。大満足の一日でした。さて今夜は早く寝て、深夜に行われるクラブワールドカップ決勝、リバプールvsフラメンゴを観ます。どちらが勝っても初優勝。結果は、リバプール1-0フラメンゴで、リバプールが世界一。なんとこのウルトラスーパーなチームに、日本代表の南野が加入するのです。期待しかありません。
葛飾北斎(Wikipedia)

 拙書でも、雁田山のページで、岩松院と有名な鳳凰の天井絵を許可を得て載せています。今回買い求めた研究紀要には、その制作過程や製作者についての論文が載っています。北斎は高齢だったので、雁田山には登らなかったと思いますが、翼を広げた雁の様なこの山を毎日見ていたのでしょう。そう遠い昔の話ではありません。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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前衛芸術家 草間彌生の「魂のおきどころ」を観に松本市美術館へ。感動と充実の日でした(妻女山里山通信)

2019-12-20 | 展覧会・イベント・コンサート
 軽井沢ニューアートミュージアムへ草間彌生の作品を観に行きましたが、そうなると出身地の松本にある松本市美術館に行かないわけにはいきません。平日でしたが、駐車場はほぼ満車。長野、松本ナンバーが大半でしたが、県外ナンバーも見られました。それは素晴らしい展示でした。

 水路に囲まれた庭にある「幻の華(The Visionary Flowers)」。非常に大きな作品です。素材はFRPでしょうか。楽しくなる作品です。

 中国人の小さな姉妹がお母さんと来て記念写真を撮っていましたが、楽しそうでした。記憶に残るでしょうね。

 花ではなく華なんですね。しかも幻の華。こんな大きな作品をどうやって作ったのでしょうね。

 松本の街に馴染んでいます。市のバスや高速バスにも草間彌生ラッピング・バスがあります。バスタ新宿で見たという人もいるのではないでしょうか。

(左)美術館の外観。(右)壁面。

(左)自動販売機も草間彌生仕様。(右)ゴミ箱とベンチも草間彌生仕様。

(左)「水玉脅迫」という作品。(右)中庭。奥にはフレンチレストランがあります。

(左)受付の右にある「考えるかぼちゃ」。かぼちゃが考えると穴が開くようです。(右)三階の展示室に行く途中から俯瞰するエントランス。

(左)図書館側から見る草間彌生展示入り口。(右)特集展示「草間彌生 魂のおきどころ」。2019年5月21日(火) 〜 2020年3月31日(火) 。新収蔵作品「愛はとこしえ」シリーズ全50点、《天国への梯子》、《大いなる巨大な南瓜》の公開に合わせ、草間彌生の初期作品から最新シリーズまでを紹介する拡大特集展示。内部は撮影禁止です。
 素晴らしいの一言です。絵画や立体作品のほかに鏡や光を使った作品も多く、非常に見応えがあります。真っ暗な室内に浮かび上がる光のオブジェ。平行な鏡に映る無限空間。明るい部屋に並ぶモノクロの線画。カラフルな立体作品。彼女の創作に対する情熱、集中力、創造力に感動。ミュージアムショップでは、草間彌生グッズや画集、本などが色々買えます。今回はかぼちゃの手ぬぐいを買いました。併設の他の展示も素晴らしいものでした。

(左)少し遅い昼は、「そばの里 六助」で。何度もこの前を通っていましたが、入店は初めてです。遠く南に松本の市街。(中)ランチの牡蠣フライと新蕎麦のランチ、980円。小鉢と白菜と野沢菜の漬物。美味でした。(右)お店の猫。入りたいようとミャーミャー鳴いていました。

 143号を風越峠へ。途中のアルプス・パノラマ展望台。晴れていれば正面に鹿島槍ヶ岳を中心に仁科三山が、右手には白馬三山が見えるのですが。403号に出て麻績から戸倉上山田温泉へ。万葉超音波温泉に入って帰宅しました。
松本市美術館:入場料:大人410円。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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軽井沢ニュー・アート・ミュージアムへ草間彌生を観に。素晴らしい展覧会と美術館でした(妻女山里山通信)

2019-12-14 | 展覧会・イベント・コンサート
 金曜日に、軽井沢ニュー・アート・ミュージアムへ草間彌生を観に行きました。上信越自動車道が工事で車線規制なので下道で。国道18号を行き、途中で登って山際の浅間山ラインへ。浅間山ラインは眺めもいいし、雷電道の駅もあるのでおすすめですが、積雪期は避けましょう。アップダウンが激しいのです。スタッドレスを履いていても厳しいのです。

 11時20分ごろに着きました。2007年に商業施設として建てられたものを新たに美術館として内装のリニューアル工事を行いオープンしたできたてほやほやのミュージアムです。ガラスの外観。ピクトグラムが可愛い。私もキヤノンのマニュアルで、たくさんピクトグラムをデザインしたことがあります。それにしてもなんていう空の色。
軽井沢ニューアートミュージアムの公式サイト

(左)入り口。ガラス戸に頭をぶつけないように。(右)入ると奥まで書棚が続いています。アウトドアのコーナーも。拙書はありませんでしたが、持ってくればよかった。ソファーもあってゆっくり読書ができます。受付でパンフを頂いて一階のギャラリーへ。

(左)「A Book About Death」。マシュー・ローズ氏が世界のアーティストに呼びかけて集めたもの。(右)展示もマシュー・ローズ氏が行ったとか。キュレーターの女性が付きっきりで解説してくれました。感謝です。

(左)そこで教えていただいたオノ・ヨーコさんの作品。棺桶に植えられた樹木がたくさん並んでいます。カードの裏には本人のサインが。死ねば土に還ります。それを栄養にして育つ樹木。彼女は輪廻を表現したのでしょうか。(右)死がテーマということで、絶望感や戦争や犯罪をテーマにした作品が多いのですが、あえてそうではない作品を選んでみました。生き切った幸せな死というものもあっていいはずです。現在も鎮魂の日々ですが、ここ数年とても大切な人を失くしました。どんな偉い人も大金持ちであっても、死というものは極めて個人的なものです。

(左)人生というものは理不尽で残酷なものです。だからこそ生き切ることを考えて後悔しないようにと。昔、政財界や文化人の著名人が多数いるホスピスを取材したときに、もっと自分に正直に生きればよかったとか、やりたいことをやればよかったとかいう言質が多かったと。(右)死あれば生あり。「メメント・モリ」という藤原新也氏の本を思い出します。

(左)タントラの影響を感じます。ーーヒンドゥー教においては神妃(シヴァ神妃)になぞらえられる女性的力動の概念シャクティ(性力)の教義を説くシャークタ派の聖典群、仏教においては中世インドの主に8世紀以降に成立した後期密教聖典の通称であるーー(Wikipedia)。但し日本史に関してはWikiは捏造だらけです。(右)第二次世界大戦のときに若い米兵が持っていったピンナップ。戦争がもたらす精神崩壊。スターウォーズという一連のムービーは、単なるSF映画ではないのです。戦争により失われた愛や機能不全家族、PTSDが根底にあるのです。1977年公開。その後の「ロッキー」や「地獄の黙示録」などにも繋がっていくわけです。戦争は、それで巨額の富を得る極一部のものが企てるもので、99%の世界の人々は犠牲になるだけなのです。

(左)次にマシュー・ローズ氏の「週末計画」へ。(右)コラージュの作品がメインです。
 私も美大生時代に課題でフォトコラージュを作ったことがあります。下記のエッセイで観られます。
「村上春樹さんチョイスのバンドで「ピーター・キャット」ライブ演奏の熱い夜」国分寺・国立70sグラフィティ

(左)近づいてみると、モチーフがなにか分かったりして楽しい。(右)買おうかなとおもいましたが、かなりスノッブなTシャツですね。着てもいいのですが、面倒くさいやつと思われそう(笑)。でもいいと思います。

(左)FRAGILE EXCHANGE BOX(取り扱い注意の箱?)。観客参加型の作品。紙に好きなことを書いて入れます。入れたら好きな作品を一枚持ち帰れます。(右)「愛 と 無」が私の作品です。愛は自分の欲望に拘泥する愛ではなく慈愛に近いもの。無は無常。常ならず。諸行無常会者定離。なかなか興味深い作品が多数ありました。

(左)図書スペース。(右)その奥の庭にブライダルの作品。ここで結婚式を行うこともできるのだそうです。

(左)婁正綱(ろうせいこう)の作品。中国を代表する現代美術作家。(右)披露宴のテーブルセッティング。一見不思議な組み合わせですが、現代中国の歪を表しているのでしょうか。有料の二階にも展示があります。実際の披露宴もここで行われるのでしょう。

(左)小さな子供を連れてきても楽しい美術館だと思います。(右)草間彌生の「真夜中に咲く花」。
 二階は有料で1200円。基本撮影は禁止です。今井俊満の銀色と黒の海の絵はよかった。バックに伝統的な文様である青海波(せいがいは:発祥は古代ペルシャといわれる)が描かれていました。確かにイスラミックパターンを感じます。堂本尚郎の日本画と洋画の融合も素晴らしかった。草間彌生の絵は、印刷で観るとディテールや質感が分かりませんが、実際に間近で観ると、ひとつひとつ水玉を丁寧に描いていることが分かります。なので正円ではありません。凄い集中力と根気で描かれたものです。

 二階から一階を見下ろしたカットと庭を見下ろしたカット。二階はギャラリーがいくつもあってかなり広いです。気に入った作品は、何度も戻って鑑賞しました。

(左)婁正綱(ろうせいこう)の作品。(右)波や水しぶきがモチーフの作品で、ほとんどがモノクロですが、その奥行きの深さとダイナミックさは特筆に値します。現代の墨絵というべきでしょうか。感動しました。

 過去の展覧会の様子。床に絵の具をぶちまけている作品は迫力があります。作品の形態や展示方法も色々あり興味深い。

 屏風絵。見入ってしまいました。

 宇宙さえ感じるような墨絵です。スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」のあのシーンを思い出しました。

(左)スーベニアショップ。(右)今回買い求めたもの。まいにちオークションのカタログ。草間彌生が表紙のものと、アルフォンス・ミュシャが表紙のもの。それぞれ300円です。つつみ猫の布。草間彌生風の水玉のバッグがお洒落です。

 駐車場へ戻る道すがら。軽井沢は表通りだけでなく、こんな裏通りに入ることをおすすめします。標高1000mなので夏は避暑地ですが、冬は寒いところです。

 森のチャペル軽井沢礼拝堂。宇宙を感じるプルシアンブルーの空。
 軽井沢は美術館の宝庫です。次はマルセル・デュシャンの作品があるセゾン現代美術館や、草間彌生の作品もある軽井沢現代美術館にも行きたいですね。軽井沢絵本の森美術館、ペイネ美術館、ルヴァン美術館、田崎美術館、脇田美術館、軽井沢千住博美術館、軽井沢町歴史民俗資料館なども。

 遅いお昼は御代田町の名店「浅間 翁」へ。鴨ざるを頂きました。翁といえば知る人ぞ知る翁達磨グループ。美味しかったです。他の美術館にも行きたいのですが、残念ながら多くは冬季閉館です。セゾン美術館と軽井沢現代美術館には必ず行きます。
翁達磨グループ

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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北アルプス国際芸術祭2017 Japan Alps Art Festival 超絶オススメ!(妻女山里山通信)

2017-07-20 | 展覧会・イベント・コンサート
 三連休の中日は、信濃大町で開催中の北アルプス国際芸術祭 〜信濃大町 食とアートの廻廊〜】を、ほぼ一日がかりで回りました。芸術祭メインテーマは、「水、木、土、空。」。範囲がもの凄く広いので、観たい作品を厳選して、効率よく回ることが必要です。10時からとあったので、長男の勧めで、まず栂池高原の対岸の重要伝統的建造物保存地区の白馬村青鬼(あおに)集落へ行きました。いやこれがまた…。

(左)朝から雨が降ったりやんだり。前日登った栂池自然園も雨雲の中。(中)中部電力姫川第二ダム。1935年(昭和10年)運用開始。撮影は青鬼へ向かう通い橋から。(右)通い橋から見る大糸線の鉄橋。左に古い鉄橋のコンクリートの円柱が見えます。通い橋のダム側には古い吊橋のコンクリートの枠が残っています。青鬼地区へは、ここから山道をくねくねと登っていきます。

(左)観光客用の駐車場に停めて協力金を払い、まず青鬼神社へ。長い石段を登って到着。御神体は善鬼大明神(御善鬼様)平城天皇の大同元年(806年)岩戸山山腹の岩屋に奥の院として祀られ、毎年旧暦8月11日が吉例の祭日。その後、安政2年(968年)現在地に前宮として創立。明治19年、氏子の要望で青鬼神社に改名。明治15年火災で消失後に再建。毎年9月21日に例祭。(神社案内より)右の赤い屋根は諏訪社。(中)神社の下、集落の中にあるお善鬼の館。朝なので我々だけかと思ったら、次々と人が訪れてきました。(右)館の中にはツバメの巣があり、雛は巣立ったようですが、つがいが囲炉裏の上にいました。出られるように戸は開けておいてとの張り紙。床が糞だらけなのには参りましたが、オスの方かな、近づいても逃げません。悠然としています。農具や調度品も見もの。

 そこから、まず木崎湖南岸にあるインフォメーションセンターへ。作品鑑賞パスポート(2500円)を購入。地図もいただきました。最初に訪れた作品。『ベールの向こうに』Caitlind R.C. BROWN&Wayne GARRETT 空き家を布で覆った作品。手前は民家。向こう側はドライブインだったもの。美しく無常を感じる作品です。

 そこから少し歩いて空き家の民家二軒。北風に布が揺れていました。布は、農業で使う寒冷紗でしょうか。この背後には仁科氏の仁科城跡(森城跡)があるので訪れました。現在は仁科神社が鎮座します。湖畔にその城の「阿部渡(あべっと)」伝説の看板があるのですが、読んで絶句後吹き出してしまいました。
「承久の乱の後、北条軍の手に落ちた森城を仁科盛遠の家臣阿部五郎丸貞高が奪い返し一旦は城主になるものの、木曽義仲の遺児に攻められ落城。貞高は、湖底を潜り対岸へ落ち延びようとするが、城内の鶏や犬が後を追ってしまい、泳ぎ着いた貞高は捕らえられて打ち首になってしまう。村人は鶏犬を飼わなくなったという。」

『ウォーターフィールド(存在と不在)』アルフレド&イザベル・アキリザン 樹木の枝やプラスチックのゴミで作られたボートが揺れています。こういう作品はコンセプチュアル・アート全盛の頃からありますが、湖に浮かぶのが新しい。長男によると、小学校の美術の授業でプールに浮かべてやったと。今では小学校の美術の教科書にも載るような手法ではありますが。先進国になるほどゴミが増える現実。最たるものは原発の放射能と危険物質を含んだ産業廃棄物、廃棄食品、プラスチックでしょうか。

『アルプスの湖舟』杉原信幸 (木崎湖畔のお米と蚊帳を用いて、山間の湖面に映る倒立したアルプスを造形した作品。):以下、()内はプロフィールからの抜粋です。
 蚊帳には米がたくさんついています。吊ってあるところの窪みには鹿の角があったり。地元在住の作家ならではの、大町の自然や暮らしに馴染んだ作品だなと感じました。ここは夏季学校の校舎らしいのですが、周囲を見ると削平地があったり、山城の跡かなとも思いました。

 米粒の感じが分かると思います。欄間や障子の格子、畳の色合いとも非常に美しく溶け合っています。長男は、米なので布は杜氏が使う濾布かなと言っていましたが、蚊帳なんですね。皆さん間近で観たり、座ってゆっくり鑑賞したり。たるんだ布の中にも色々何かがあるのでそれも探してみるといいかもです。

 個人的には最も楽しみにしていた作品のひとつ。『Arc ZERO』ジェームズ・タップスコット (仏崎観音寺の参道にかかる太鼓橋を、こちら側(現世)とあちら側の世界(彼の世)を通り抜ける「Gateway」ととらえ、橋を包み込む光る霧のリングをつくりだす。観客がリングを通り抜けると、ある種の浄化作用を体験する。)
 結界を分ける橋ですね。聖と俗。神社でいえば神橋。光輪から水が霧状に吹き出す。まあそれだけの作品なんですが、この作品は現場で体験しないとその凄さは分からないと思います。

(左)インドのチャイ(スパイスミルクティー)の様な色の速い流れによく合います。可愛い少女が興奮して橋の上でぴょんぴょんジャンプしていました。彼女は現(うつつ)と幻の間で、恍惚感に浸っているのでしょう。(右)お母さんが小さな女の子の手をひいて結界を越えて行きました。私は、鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』を想い出しました。生と死の彼岸。この作品は、1980年に東京タワーの近くのシネマプラセットのテントで観ました。

 現世で世俗を捨てられずに結界を眺める人々。冗談です(笑)。そう大げさに言わずとも、日常と非日常を明確に分け、意識させてくれる作品です。思考を止め、瞑想することもたまには必要です。感性と思考のリフレッシュのためにも。当たり前、常識と思っていることこそ見直すべきです。昔、政治家や経営者の入る末期患者のアンケートを見る機会がありましたが、金や世間体や権力などではなく、もっと自分に正直に生きるべきだったと応えた人がほとんどだったとか。人生は一度しかないですからね。

 大町市の名店街へ来ました。こんなアーケードがあることは初めて知りました。『全ては美しく繋がり還る』淺井裕介
 アーケードの地面にずっと描かれています。日常の中にこういう作品があるのは楽しい。彼の『土の泉』という作品があるのですが。遠いので今回は断念。常設になるという話を聞いたのでいつか観に行きましょう。入ってすぐ右手には、台湾の絵本作家ジミー・リャオの『私は大町でー冊の本に出逢った』の展示があります。また、この商店街には、素敵なレストランやお店もあります。

(左)『北アルプス 高瀬川庭園』高橋治希 (中国の隠者·宗炳の思想をもとに、伝統的日本庭園に見られる「自然環境のミニチュア化」と「山水画における三遠の法」を組み合わせ…。)
 いやあ繊細です。最初女性の作品かと思いました。高瀬川流域に自生する植物がモチーフとか。儚さを絵画ではなく立体として表現する儚さ。上から撮影したカットが多いのですが、横から撮った方が浮遊感が出て魅力的だと思いました。(右)その展示場。表の街道かに面した屋敷の離れでしょうか。下に用水が流れ高床になっています。小さな男の子が、「もうここには来ない!絶対来ない」と泣いていました。何があったんだと思いましたが、左のカットの女性の向こうに、幅50センチもない外廊下があり、それが高いしゆらゆら揺れるのです。これだ!と長男と大笑いしました。しかし、この部屋は何に使われたのでしょう。

(左)『O = 1 change-and-conservation』栗山 斉 ランプの上に水盆があり、熱で蒸発し、上で冷やされて雨粒の様に落ちてくる。その繰り返しは自然の水の輪廻。絶えることなき(いつか絶えるだろうが)地球の営みを感じさせます。(右)『たゆたゆの家』原倫太郎・原游 (「たゆたゆ」は、ものがゆらゆらと揺れる様を表す「たゆたう」を擬音化した作家の造語。)
 二階のシャボン玉製造機は人気でした。手前の綱を引くと、メッシュが上がり後ろの扇風機で大きなシャボン玉が舞い始めます。子供よりいい大人がはしゃいでいました。『シャボン玉』という童謡がありますが、野口雨情は、明治41年3月に長女みとりを生まれてすぐに亡くしています。はかなく散った娘への切ない想いが込められているとの解釈があるのも頷けます。シャボン玉は美しいけれど儚い。

 これも観たかった作品のひとつ。『信濃大町実景舎』目 (鑑賞者は、建物の間取りや階層を無視するように無差別に延ばされた導線ヘ誘われ、座標的空間のなかで「何でもない家具」や「北アルプスの巨大な峰」と唐突に関係する。)
 そうですね。荒川修作の『養老天命反転地』を想起させる作品ですが、ぶつけましたよ頭をあちこちに。ボランティアの方から制作の苦労も聞きました。なんでも展示後は現状回復するとか。ご苦労様です。日常の風景を非日常的なもので切り取って観る。
 作品のある鷹狩山山頂へは、結構渋滞していました。この辺は考えないといけませんね。大町市にとっては想定外の大盛況だったかもしれません。よく知る長男も、大町の街にこんなに人が歩いているのを始めて見たと言っていました。ただ、駐車場で車の整理をする女性が、手際よく笑顔で応対してくれたのが素晴らしいと思いました。他の会場でも、ボランティアの人の的確な案内と笑顔が印象的でした。

 在京中は近くだったので、荒川修作+マドリン・ギンズの『三鷹天命反転住宅』もサイクリンで行きましたが、こういうのは頭の柔らかい子供の方が喜ぶんですね。ある女性が座ってボーッとしていたのも分かります。頭の固い男性の方が訳わからんで終わるかも。二階もあって畳の部屋や梁を越えていくところも。体内空間(子宮)にいるような感覚が呼び覚まされるかもしれません。

『風のはじまり』リー・クーチェ (自然のメッセージを運ぶ媒介である風の力を借りた、激しい大爆風の姿をした作品が森に現れる。人間と自然の生態学的バランスの重要性を表した作品。)
 いい作品ですね。自然写真家の視点で見ても非常に魅力ある作品です。雨が降ったことで濡れて、完全に森と同化していました。個人的な願望では、高さがこの二倍ぐらいあったらなと思いましたが、製作期間とその大変さを思えば…。

 木の枝が絡み合ってダイナミックな動きを魅せています。ドームになった内部は歩けます。私も学生時代はコンセプチュアル・アートを制作していたので、大変さは想像がつきます。作品とともに周囲の森もぜひ見て欲しいですね。植生が豊かです。雨上がりなら粘菌(変形菌)も見られるかも。

 最後は旧八坂村に向かいます。『集落のための楕円』フェリーチェ・ヴァリーニ 彼の作品は以前からよく観ていたので知っています。鷹狩山から山道をくねくね走って到着。しかも作品は駐車場から遠い。しかし、それだけの価値はあります。案内のおじさんが坂道を下ってくる人に、「左見ちゃだめだよ!右見て右!ここまで来たら振り返る」とわめいていました(笑)。そう、作品のビュー・ポイントはここだけなのです。彼に聞いた話。空き家でなく人が住んでいる。夜にレーザー光線を当ててアルミのテープを貼っていく。貼る位置の角度が異なるのでテープの幅も異なる。住んでるし夜の作業だし、えらい近所迷惑な話だわ。と。でも楽しそうでした。台湾からの女性が迷ったと来ました。案内所にボランティアで台湾の女性がいたのが幸いでした。今回は、台湾の絵本作家も参加しているし、海外の人もたくさん見かけました。
 あのシャッターがいつも開いているガレージには軽トラが止まっているんだが、流石に軽トラの尻にはテープは貼らなかったな、と。

(左)たまたま居合わせた富山大学で美術を専攻しているという可愛い女の子達三人と話しました。いいですね、信州人でさえ来ないようなこんな山奥まで美術鑑賞に来るなんて。そういう好奇心や向学心が大事です。(右)つまりですね。観る角度を変えると。こんな風に全く意味をなさない造形になってしまうのです。

 さて、最後は旧八坂村の中心地へ。これも必ず観たいと思った作品。『Bamboo Waves』ニコライ・ポリスキー (雪、木、干し草などの自然の素材で大きな構造体を手作業で制作し、2000年にはある村の住民との協働のもと、200以上の雪だるまを制作した「スノーマン」で注目を集めた作家。今回ニコライは初めて日本を訪れ、八坂地区にある竹林の美しさに深い感銘を受けた。)
 想像していた以上に作品は大きいです。そしてダイナミック。非常に躍動感があります。竹という素材は均一に扱うのが難しい。その暴れ具合が絶妙な躍動感を生んでいます。制作には地元の人達も関わっています。大変だったと思いますが、貴重な経験になったと思います。

 背景には城山や左手には金太郎伝説の大姥山。雲が流れて幽玄な雰囲気も。作品の真下にも入れますし、間に小径もあります。色々な角度から観ることをお勧めします。ここにもたくさん訪れていました。県外ナンバーも多かったですね。
 さてここから長野へ帰らないといけません。前方の城山左の布川峠を越えて、とんでもない山道をくねくね走って、国道19号に出たのですが、仕事で長野県中の山村をまわっている長男も苦笑いするくらいの深山の中。私は『信州の里山トレッキング 東北信編』の取材で途中まで走っているので笑っていましたが、信州の山道は舐めたらいかんぜよ、の世界です。間違うと本当に遭難します。
 ところで【北アルプス国際芸術祭 〜信濃大町 食とアートの廻廊〜】は本当に楽しいです。7月30日までなので、計画を立ててお早めに。コアな芸術マニアから面白いことが大好きな家族や若者から老人まで。好きな作品を好きなように観ればいいのです。ここで紹介した作品以外にも、たくさんあります。6月には、人気のテナーサックス奏者、東大講師でもある菊地成孔氏参加の山下洋輔スペシャルカルテットのコンサートもあったそうです。
山下洋輔トリオ GUGAN』森山威男と小山彰太のドラムバトルが圧巻。若き日の菊地成孔も凄い!

北アルプス国際芸術祭2017 Japan Alps Art Festival Official site
 今週末と来週末は、非常に込み合うのではないでしょうか。行ける方は平日がおすすめです。とにかく効率よく歩くことが肝要です。折りたたみ自転車を携行するのもいいでしょう。駅前の『はじまりの庭』では自転車のレンタルもあるようです。暑いので日傘や日焼け止めも。水分補給も忘れずに。今回まわった中で、写真撮影禁止は一カ所のみでした。ただ他の屋内もフラッシュは必ずオフにしてください。他の方の迷惑になります。場所によっては足場が悪いところもあるので、スニーカーなど歩きやすい靴で。幼児や老人は注意してください。
 これだけの規模の展覧会はさすがに毎年は無理だと思いますが、ビエンナーレ(二年に一回)、トリエンナーレ(三年に一回)とかでできないでしょうか。信州の大町市が、現代芸術の聖地となればいいですね。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。


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