モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

初冬の妻女山陣場平と堂平大塚古墳へ。里山の恵み、最後のムキタケとホダ木の椎茸。長野えびす講煙火大会(妻女山里山通信)

2022-11-25 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前の記事から1周間が経ち、前回以上に小春日和の好日になりました。最低気温は4度、最高気温は14度ですがほぼ無風。来週、妻女山里山デザイン・プロジェクトの里山保全作業と納会があるので、妻女山陣場平やログハウスを回りました。

 まず堂平大塚古墳へ。まだ緑が少し残る楓の黄葉。

 前回真っ赤に紅葉していた楓はほとんど散りました。ドウダンツツジの葉も色づき始めています。左の杉にはナツヅタが色づいていました。

 ログハウスの裏山の落葉松もかなり落葉しています。

 前回小さいので残してきたムキタケが大きくなっていました。もっと大きなものも。6枚ぐらい採れました。氷点下になったらもう大きくなりません。

 陣場平もかなり枯野になってきました。ヒヨドリの甲高い鳴き声が響きます。日本の里山でここにしかない貝母(編笠百合)の群生地の保護活動をして13年。毎年4月の満開の季節には、大勢の方が訪れてくれます。保護活動でいちばん大変なのは帰化植物の除去です。オオブタクサやハルジオンは毎年何百本と抜いています。それでも絶滅しません。ベトナム戦争の枯葉剤とほぼ同じ成分のラウンドアップは絶対に使えません。ここでは使いませんが、除草剤を使うならアルテア根エキスが原料の安全な「アルテア」をお勧めします。
松代夢空間主催の「妻女山 花と歴史のハイキング2022」。斎場山や堂平大塚古墳、貝母満開の陣場平を案内しました。楽しんでいただけた様です(妻女山里山通信):今年の満開の様子です。

 長坂峠の旧東風超えあたりからの斎場山。ここが地元では江戸時代から妻女山と呼んでいた山です。斎場山は本名で、妻女山は江戸時代につけられた俗名です。『信濃宝鑑』中巻には、下のように記されています。
【妻女山】
 まことは斎場山なるべし、上古県主及び郡司(或は田村将軍東夷征伐の際とも云ふ)などの天神地祗を祭れる壇上の意ならん。今岩野・清野・土ロの三村に跨りて峠立せり、即ち、岩野は、斎野(いはひの)・清野は須賀野にて清く須賀須賀しき野の意なるべし、然して土ロは祭壇への登りロの意ならん。現今、古墳やうのもの多きは、皆祭壇にてこれ穿てば祭器古鏃*を出だすを以ても上古の斎場たる事知る可きなり、後永禄年中甲越合戦の際上杉謙信の陣を張れる処たり。

 クヌギはほとんど落葉。春の芽吹きまで枯れ葉が残っているのは、ヤマコウバシ。散らない落ちないということで受験生のお守りになったりします。
妻女山の真実「妻女山は往古赤坂山であった! 本当の妻女山は斎場山である」:長野郷土史研究会に載せていただいた小論文の元となった記事です。

 長坂峠から善光寺平方面の眺め。落葉して戸隠富士と呼ばれる高妻山(左)と右の飯縄山も見えるようになりました。手前は千曲川。

 山を下って仲間と椎茸のホダ木栽培をしている場所へ。前回残してきた椎茸が大きくなっています。来週の納会で焼いて食べようと思います。向こう側のホダ木は今年菌を打ち込んだので、発生するのは来年の秋からです。

 わりと雨が降ったので割れてどんこにはならず上にめくれています。かなり肉厚です。酒蒸しやバター醤油炒めがお勧めです。ひき肉や海老と長芋のシンジョを詰めてフライや天ぷら、蒸し物も美味です。

 四阿から観る北アルプスの白馬三山の雄姿。先週と比べると白さが増しました。

 温泉へ向かう途中で仁科三山。白いススキの穂。大きな木はドロヤナギやハリエンジュ(ニセアカシア)です。

 右奥にはチュウサギか。手前には十数羽のマガモでしょうか。次は望遠レンズを持ってきましょう。

 三週間干していた干し柿ができあがりました。渋柿ではないので白い粉はふいていませんが充分に甘く仕上がりました。野沢菜の溜まり漬けも美味しくなりました。野沢菜に加えて大根と青大根、人参、白菜も入れました。野沢菜の収穫と野沢菜漬けの繁忙期です。私は少し早めに漬けました。乳酸発酵したものとか古漬けが好きだからです。野沢菜のじゃこ炒め、おやき、炊き込みご飯、福建炒飯など、絶品の料理が作れます。水上勉原作、沢田研二さん主演の映画『土を喰らう十二ヵ月』の様な暮らしです。信州の小谷村が舞台の四季の映像が美しい染み染みといい映画でした。「沢田研二さん演じる主人公の暮らしや食べ物は、まんま私と同じ。自分の毎日を観ているみたいだった。違うのは私には犬と松たか子さん演じるまちこさんがいないことかな。」とツイートしたら、映画の公式ツイートからリツイートとライクが。そしてライクが55も続きました。

 23日は「長野えびす講煙火大会」でした。あいにくの雨だったので写真は滲んでいます。これが終わると信州には冬が来ます。初雪もまもなくでしょう。
3年ぶりに開催の「長野えびす講煙火大会」。「遠花火 人妻の手が わが肩に」寺山修司(妻女山里山通信):昨年の3年ぶりの花火大会の記事です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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小春日和の好日に妻女山と茶臼山恐竜公園と自然植物園へ。キノコ狩りと銀杏拾い。ヒオドシチョウ舞う(妻女山里山通信)

2022-11-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 小春日和の好日に妻女山と茶臼山恐竜公園と自然植物園へ出かけました。晩秋の森の貴婦人・ムラサキシメジと森の男爵・シモフリシメジを探したのですが出ていませんでした。

 妻女山奥の堂平大塚古墳の鮮やかな紅葉。妻女山山系では赤い楓は少ないので貴重です。最低気温が5度を切るようになって一気に進みました。

 落葉松も色づきかなり落葉しています。両側が落葉松林の林道は、オレンジ色に染まっています。枯れ葉は滑ります。特にイチョウは油分が多いので滑りやすい。山村の人は知っています。

 長坂峠の紅葉。右少し奥の緑は斎場山(旧妻女山)。512.8m。山頂は円墳です。上杉謙信が最初に本陣としたと伝わる場所です。

 峠の陽だまりでアキアカネが交尾をしていました。アキアカネの交尾で検索すると分かるのですが、通常はオスがメスの首根っこを捕まえ、メスは体をオスの方に曲げてオスの体をつかむのですが、これは一直線。初めて見ました。しかもこれは地面の上の枯れ葉上なのです。朝晩冷え込んで天敵のトカゲやカナヘビに襲われる危険がなくなったからでしょうか。

 クヌギの太い倒木に大きなヒラタケ。反対側にももっと大きな株がありました。

 妻女山里山デザイン・プロジェクトのメンバーで栽培しているホダ木に椎茸が出ていました。十数本を採取。干し椎茸にします。

 上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる陣場平。枯れ葉が厚く積もっています。信濃柿の実もほとんど食べられていました。右のクマノミズキの実もかなり鳥に食べられています。

 妻女山展望台は、長野市の怠慢で老朽化が激しく危険なので、うしろにある四阿から茶臼山と北アルプスを撮影しました。帰郷した十数年前と比べると麓の長芋畑は6割ぐらいに減少しています。農家の高齢化でどんどん耕作放棄地が増えています。このままでは自給率は落ちていくばかり。食糧危機が来るかもしれません。軍事力よりも食料の安全保障の方が遥かに重要ということを政府もマスコミも言わない。腹が減っては戦はできぬ。戦争以前の問題です。茶臼山へ向かいます。

 茶臼山の恐竜公園へ。イチョウの黄葉が眩しい。

 ここに来たのは銀杏を拾うためでした。ものすごい数が落ちています。以前は拾いに来る人がけっこういたのですが。臭いのを我慢して100粒ほど拾いました。帰りの車内がもの凄い臭いで閉口しました。
 よく知られていると思いますが、ギンナンには、ビタミンB6と構造の似た4'-メトキシピリドキシンを含んでおり、摂取するとビタミンB6の働きを阻害し、数時間のうちにビタミンB6欠乏症となり、中毒になると考えられています。症状は、主に嘔吐と痙攣、呼吸困難、めまいや意識混濁、便秘、発熱など。許容量は、大人で1日10粒、子供はその半分といわれていますが体質によっては少なくても出る人も。6歳以下には食べさせないほうがいいでしょう。

 プロントザウルスのハリボテ。息子達が小さな頃に帰省すると訪れました。不具合がある様で立入禁止になっていました。遠く笠ヶ岳や横手山、竜王スキーパークが見えています。

 茶臼山の東斜面は林檎畑が続きます。現在真っ赤に実っているのはサンフジ。麓の共和園芸農協りんご直売所で、お安く買えます。少量ならば篠ノ井のAコープで買えます。

 登って茶臼山登山道入り口へ。クヌギもかなり散っています。この山にもキノコはありませんでした。

 北アルプス白馬三山の絶景。この一週間でかなり降雪がありました。横手山・渋峠スキー場もオープンしました。スノーモンキーで有名な地獄谷野猿公苑の猿たちも温泉につかっていることでしょう。

 茶臼山自然植物園の上部へ。シロガネヨシは、イネ科シロガネヨシ属の多年生植物。英語ではパンパスグラス。東京の調布市の深大寺の公園にはもっと大きな株があります。

 ノコンギクにヤドリバエ(寄生蠅)の仲間。コガネオオハリバエでしょうか。幼虫は他の昆虫などに捕食寄生します。

 やはりノコンギクで吸蜜するヒオドシチョウ(緋縅蝶)。成虫のまま越冬し、春一番に舞い始めます。ノコンギクは園芸種かもしれません。

 冬のグルメ。幻の小麦粉イガチクオレゴンに松代名産の長芋のとろろ、地卵、出汁粉を大量に入れた大阪風お好み焼き。キャベツと豚バラ肉をたっぷりと。アオサ海苔と花鰹をたっぷりかけてソースと明太子マヨネーズを。とろろを入れると軽くなりたくさん食べられます。また冷めても固くなりません。

 信州の冬といえば野沢菜漬け。添加物を一切入れない本漬けです。野沢菜に粗塩、煮干し、干しアミ、唐辛子、柿の皮、昆布で漬けました。今年は溜まり漬けも。醤油漬けとも。醤油、本味醂、キビ糖、自家製柿酢、塩昆布、煮干し粉、鷹の爪を適当に。野沢菜だけでなく大根、人参も入れました。今夜は冷え込むので、大根、ヤリイカ、天然ムキタケ、ヒラタケの煮物を作りました。粕汁や鍋が恋しい季節です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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蕎麦好き信州人は新蕎麦を食べないと秋が終わらないので新蕎麦行脚。牡蠣と天然キノコ4種の鍋焼きうどんとおしぼりうどん(妻女山里山通信)

2022-11-12 | 男の料理・グルメ
 信州蕎麦というと戸隠や善光寺界隈を思い出すと思いますが、もちろん地元の人も紅葉狩りついでに立ち寄りますが、ほとんどが観光客です。そして、多くの蕎麦好きの人は観光客がほとんど来ない地元の名店を知っていて訪れるのです。いずれも人気店で昼は満席で待つことになるので、開店時間を狙って行きました。

 初日は、篠ノ井の街外れの東福寺という小さな集落の端にある「そば処 安心(あんじん)」。開店時から人が続々訪れ始め、まだ正午前でしたが私が出る頃には満席になっていました。

 今回頼んだのは、新蕎麦十割の安心蕎麦中盛り(280g)です。かえしのつゆと胡桃(くるみ)だれに煮物の小鉢が付きます。1250円。蕎麦は玄蕎麦でやや細め。新蕎麦の香りが豊かです。まずそのままで、次につゆで、半分ぐらい頂いたら胡桃だれで。胡桃はかなりクリーミーにすられています。新蕎麦の時は天ぷらは頼みません。平日は地元のサラリーマンが多く、ランチセットがお得です。

 次の日訪れたのは、稲荷山の善光寺街道沿いにある「信州蕎麦 わきゅう」。ここも開店時間に訪れたのですが次々に入ってきました。ここは昔、「つる忠」という名店でした。「つる忠」の時は両親を連れて来たことがあります。「つる忠」で修行して独立した人も少なくないと思います。ここも地元の人ばかりです。

 頼んだのは胡桃蕎麦。ここの胡桃は粗目です。砂糖かキビ糖が混ぜてあります。これをつゆに入れていただきます。蕎麦は細めでこちらも風味が豊かです。量もけっこうあります。私は基本的に葱は入れません。途中で山葵をわずかに蕎麦につけて味変します。920円。満足です。この後で、前の記事の龍洞院へ向かいました。

 翌々日は、70号で山を超えて国道19号沿いにある信州新町道の駅の「そば信」へ。ここは産直の隣にあるのですが、県外ナンバーの観光客は産直の野菜やキノコやジンギスカンなどを買い求めて出ていきます。「そば信」で食べているのはほぼ地元の人。ローカルテレビで何度も紹介されているので地元では有名なのです。蕎麦は左右(そう)高原で収穫されたもの。セルフサービスなので安いのが魅力です。まだ11時前ですがお客さんが次々と。

 ざる蕎麦580円。普通信州では東京の様に海苔がのったものをざる蕎麦、ないものをもり蕎麦とは言いません。海無し県なので海苔がのった蕎麦は無いのが普通です。ここの蕎麦は、とにかくコシが強い。歯の悪い高齢者は難儀するかも知れません。量はたっぷり300gぐらいあるのではないでしょうか。食べごたえがあります。大盛りにしても+150円と良心的。おしぼり蕎麦もお勧めです。天ざる蕎麦950円はリーズナブル。天ぷらも美味です。郷土料理のおとうじ蕎麦もお勧め。父はお斎(葬儀の後の宴)でも供されるおとうじ作りの名人でした。そば店の隣ではおやきも売っています。
 あと一軒行くとするなら信濃町の「そば処 おがわ」ですね。以前ブログで紹介したことがあります。東京の下町出身のきっぷの良いおかみとの話もなごみます。幸運ならば頭も骨も食べられる旨いイワナの焼き物がいただけます。漬物も女将の手作りで美味です。実はこの10年ぐらいで信州蕎麦のレベルは信じられないぐらい上がったのです。
 正直言うと90年代とかは家族で帰省して軽井沢や戸隠、善光寺界隈の名店といわれる店を訪れましたが満足できる店はほとんどありませんでした。東京の更科や砂場の名店と比べると蕎麦は旨くてもつゆが駄目とか、薬味がなんで玉葱なのとかでした。それが、現在は江戸前の蕎麦を上回る店がいくつもあります。蕎麦は、ひきたて打ち立て茹でたてといいますが、地の利を生かしてそれを最大限に生かした店が次々に生まれたのです。北信だけでなく、上田や安曇野、松本や木曽のスンキ蕎麦、伊那の高遠蕎麦、青木村のたちあかね、長和町の韃靼蕎麦など長野県中に名店や名物蕎麦があります。飯山のオヤマボクチを練り込んだ富倉蕎麦も以前紹介しましたが絶品です。おとうじ蕎麦という摩訶不思議な郷土料理もあります。

 産直コーナーへ。ジビエの鹿肉ジンギスカン。これは食べたことがあるので、一番左の鹿肉唐揚げを買いました。正月に息子達といただきます。サフォーク羊は超絶美味ですが、高価なので断念。ムサシヤのレストランか、さぎり荘で召し上がって下さい。羊肉に対する概念がひっくり返ると思います。

 国道19号へ出る犀川の橋の手前にある「信更いっぽ工房」おやきで有名な店です。包おやきは、小川村の灰焼きおやき、焼いてから蒸すもの、我が家の様に青紫蘇の葉やミョウガの葉で挟んで蒸すもの、ここの様におまんじゅうの様に蒸すものと色々あります。そのどのやり方も皆美味しいのです。ここも次々と訪れていました。30個とか買っていく人も。お勧めは定番の野沢菜、ナス、切り干し大根、かぼちゃ、あんこあたり。すべて150円です。

 県道70号を山を超えて戻ります。くねくねと道幅が狭いところもありながら実は交通量が多いので対向車には要注意です。長野県宝の木造金剛力士像がある長勝寺へ。紅葉の里山の向こうに鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳。

 鮮やかな紅葉と本堂。本堂は扉が閉まっていますが開けて参拝することができます。絵馬の奉納ができます。

 真言宗豊山派 仁王山長勝寺の本堂内部。ご本尊は大日如来。

 阿吽の仁王像。鎌倉時代中期の作で長野県宝に指定されています。この仁王門の先には本堂はなく、遠く虫倉山が見えます。言い伝えによれば、犀川対岸の虫倉山の麓に建つ「廣福寺」が飢饉続きの困窮でこの仁王を売却し、牛車で移動していたところ、仁王の天罰か、牛が倒れ進退窮まった際に長勝寺の住職が引き取ったという。そのため長勝寺の仁王門は、今も廣福寺の仏を守るため、長勝寺の本堂ではなく対岸に通じているのだという。すぐ下の広場の四阿では、地元の老人たちがバーベキューをしていました。本当に眺めのいい古刹です。

 本堂に入ってすぐ左に鎮座する賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)。善光寺にもあるおびんずるさん(なでぼとけ)です。自分の体の悪いところや良くなって欲しいところを撫でると良くなるというありがたい尊者。

 途中の湧池の紅葉。里山の紅葉もそろそろ終わりです。

 信更赤田の里山風景。ひと月後ぐらいには初雪も降るでしょう。しかしここは豪雪地帯ではありません。この西山地区は、東京白金のスイーツの名店があったり、美味しいベーカリーやピザ屋さん、ハムの工房とかが点在するのです。

 今回のお土産。左はいっぽ工房の野沢菜、ナス、キノコ、あんこのおやきと唐辛子。右は道の駅で買ったかくてきと生芋を使ったコンニャク。そして、鹿肉の唐揚げです。正月に息子達といただこうと思います。返ってあんこを食べましたが、皮の香りが酒まんじゅうの様です。ただ私には砂糖が感じられて好みではありませんでした。祖母や母、妻は野菜の甘味や麹味噌の甘さや旨味を大事にして砂糖は使いませんでした。砂糖を入れると味がくどく下品になります。現代人は砂糖のとり過ぎで自然の旨味とか甘みを感じる感度が低くなっていると思います。

 私の冬の到来を知らせる料理。牡蠣とスギヨのカニカマ、小松菜と、天然キノコ4種の鍋焼きうどん。キノコは、クリタケ、ハタケシメジ、ムキタケ、ヒラタケです。キノコの味が強いので、出汁はアゴ出汁にイリコ出汁です。体が芯から温まります。

 信州の郷土料理の「おしぼりうどん」。といっても旧埴科郡と旧更級郡だけで食べられてきた古くからある伝統食です。本来は激辛のねずみ大根とか地大根の絞り汁を使うのですが、ここ2年ぐらい辛さへの耐性が低くなってしまったので、やや辛味の少ない青大根、別名中国大根(江都青長)を使いました。生食用の大根で、辛味もありますが甘みも強い大根です。信州味噌をといて花鰹や葱を薬味にいただきます。北信州の坂城町、千曲市、戸倉上山田温泉、篠ノ井、松代には、おしぼりうどんを食べさせてくれるお店が何軒かあります。北信州に冬来られたらぜひ食べてみてください。東京でも信州郷土料理のお店で出すところがあります。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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紅葉の古刹・千曲市稲荷山の桑原山 龍洞院で燃える秋に酔う。登録有形文化財の龍洞院架道橋(妻女山里山通信)

2022-11-10 | 歴史・地理・雑学
 毎年、里山の紅葉だけでなく紅葉が綺麗な古刹を訪れています。2019年には長野市保科の阿彌陀山清水寺を訪れました。それは見事でした。2020年は息子達と小諸懐古園へ。昨年はあんずの里、森の観龍寺、禅透院、興正寺、岡地天満宮を訪れました。さて今年はと考えて、千曲市稲荷山の龍洞院へはまだ行っていないことに気が付きました。しかも、信州は今新蕎麦の季節。信州ならではの胡桃蕎麦もいただきたいと出かけました。観光客は来ない地元民に大人気のお店です。

 龍洞院(りゅうどういん)は、1504年に建立された曹洞宗の名刹です。山号は桑原山。週末は混雑すること間違いないので平日に。見頃でした。燃える秋に酔う。そんなひと時でした。

 上まで急坂を登って車で行けますが、下の広い駐車場から登ることをお勧めします。右上が桑原山なのでしょうか。この奥にはブログで紅葉を紹介した篠山がそびえています。また近くには、越将軍塚古墳、塚穴古墳、遠見塚古墳などがある歴史ある地籍です。

 総門。曹洞宗は、中国の禅宗五家の1つで、中国禅宗の祖である達磨から数えて6代目の南宗禅の祖・曹渓宝林寺の慧能の弟子の1人である青原行思から、石頭希遷、薬山惟儼、雲巌曇晟と4代下った洞山良价によって創宗されました。日本には鎌倉時代に宋から伝えられ、臨済宗・黄檗宗とともに日本三大禅宗の一つです。

 参道を登ります。両側は畑だったり民家があったり。期待が高まります。

 そして、紅葉に加えて見どころなのがこのトンネル。登録有形文化財の龍洞院架道橋です。明治33年に作られたもので、旧国鉄(現JR東日本)の篠ノ井線が上を通っています。橋の長さは7.4m。幅員21m。煉瓦造単のアーチ橋です鉄道マニア必見の歴史的構造物といえるでしょう。

 振り返ると紅葉越しに千曲市稲荷山の街。蔵の街です。近くに武水別神社があります。手前の尾根は一重山から五里ヶ峯に続く五一山脈。もちろん拙書でも紹介しています。

 トンネル内で振り返って見る紅葉。上を列車が通過して行きました。

 トンネルの出口での光景。思わずウッホーとつぶやきました。

 架道橋を見下ろしたところ。線路の手前に後で造られたと思われる道路があります。

 山門へ向かいます。六体の石仏。

 山門脇の紅葉と黄葉。イロハモミジとヤマモミジでしょうか。アントシアニンの生成に違いが出るのでしょうか。面白いですね。

 山門から振り返った景色。楓の紅葉と杉の緑の補色の対比が美しい。

 山門の山号が書かれた額。額は古そうですが、山門は装飾含めそう古くはなさそうです。

 銅葺きの本堂。中は隙間から少し見えました。中が見たかったのですが、ちょうど昼時なのでご住職に問い合わせは遠慮しました。

 右はモチノキ科の常緑高木の多羅葉(たらよう)。葉に傷をつけるとあとが黒くなるので、インドで写経をしたタラジュの葉にちなんでの命名。俗には葉書の木といわれます。これも紅葉との補色の対比が際立ちます。

 鐘楼と観音堂。観音堂は割と新しい様です。手入れされた庭園が美しい。

 観音堂には千手観音が。千手観音は正式名称を「千手千眼観自在菩薩」といい、観音の持つ慈悲の力を最大限に表したもの。「サハスラブジャ」とは「千の手」あるいは「千の手を持つもの」の意味で、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神やシヴァ神、女神ドゥルガーといった神々の異名でもあり、ヒンドゥー教の影響を受けて成立した観音菩薩の変化身と考えられています。三十三間堂の千手観音は国宝。

 参拝していると後ろで列車の音が。振り返るとワイドビューしなのが通過していきました。これは最後尾です。

 脇道をたどって見上げると燃える秋。紅葉と黄葉が、まるで燃え上がる炎の様です。紅葉のメカニズムをざっくりと説明すると下記の様になります。
・緑色→葉緑素の色
・赤色→葉緑素が壊れてアントシアニンが生成した色(アントシアニンは、植物が紫外線など有害な光から実を守るために蓄えられる青紫色の天然色素。 ポリフェノールの一種で、ブルーベリー、ナス、紫芋などに多く含まれている。 視力・視覚機能の改善や眼精疲労の予防に効果があるとされている)
・黄色→葉緑素が壊れて、元々あった地の色(カロチン系)が出た。ただ冷え込みが緩いと同じ樹種でもアントシアニンが生成されにくく紅葉ではなく黄葉になることもある
・茶色→葉緑素が壊れてタンニンが生成した色

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

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松代夢空間主催の「妻女山 紅葉と歴史のハイキング」が行われ天城山へ、私がガイドをしました。問題の妻女山展望台(妻女山里山通信)

2022-11-07 | アウトドア・ネイチャーフォト
 松代夢空間主催の「妻女山 紅葉と歴史のハイキング」が行われ、私がガイドをしました。春は貝母(編笠百合)が満開なので、陣場平の貝母見学に時間を多くとったためコースは短めでした。今回は天城山(てしろやま)までの紅葉狩りなのでコースは長め、急登も二ヶ所ほどあります。

 ほぼピーカンの晴天ですが冷え込みました。9時の集合時間の気温は4度ぐらいでした。日陰にいると本当に寒いです。挨拶して注意事項を少し。出発です。

 ガマズミ(莢蒾)の赤い実。抗酸化作用のあるガマズミ酒の話をしました。所々で植物や昆虫や歴史の話などをしながら登ります。

 アオツヅラフジ(青葛藤)の青い実。有毒ですが薬草でもあります。つる植物なのでこのつるを集めて工芸品を作る人もいます。万葉集では黒葛(つづら)という名で登場します。
「駿河の海 おしへに生(お)ふる 浜つづら 汝(いまし)を頼み 母に違(たが)ひぬ」東歌
(駿河の海に生えている浜つづらのように、長くいつまでもそなたを頼りにしていて母と仲違いしてしまった)

 ゆっくり歩いて20分ほどで長坂峠。黄葉は榎(えのき)。国蝶のオオムラサキの幼虫の食草であることなどを説明しました。遠くに目的地の天城山方面が見えます。見えているのは芝山です。この20mほど左に清野から土口に抜ける東風越えという旧道がありました。洪水時には松代藩の大名行列が超えたという斎場越し。例えば善光寺街道は道幅二間(3.6m)、松本藩の差切峡の旧道も1.5間(2.4m)で、けっこう広いのです。人ひとりがやっと歩けるような登山道では無かったのです。
 さらにここでは、妻女山でも深刻な松枯れ病の原因の多くが排気ガスであることや、松枯れ病対策のネオニコチノイド系農薬の空中散布で昆虫が絶滅したことや、ネオニコの散布を止めさせた話、復活まで何年もかかった話などをしました。ベトナム戦争の枯葉剤とほとんど同じ成分のラウンドアップやグリホサート剤の危険性も。当ブログでも何度も記事にしています。

 記事でも何回か紹介している見晴らしのいい場所。山座同定などを。戌ケ瀬や猫ケ瀬など戦国時代の地名や千曲川の流れを解説しました。

 天城山林道を歩いて、芝山と天城山の鞍部で急登をこなして尾根で休憩です。南面はケヤキが多く黄葉が光っています。篠ノ井の地名のもとになった高句麗の帰化人の話なども。

 ここから東へ急登をこなして天城山山頂へ。今回の最高地点です。標高は694.6m。登りはじめの妻女山の駐車場が411mですから、標高差284mとなります。山頂は坂山古墳という円墳で天井の石は失われており盗掘もされています。明治時代に、塚掘り六兵衛(北村六左衛門)という不届き者がいて盗掘しては出土品を売り払い酒代に替えていたそうです。

 妻女山方面へ下ります。かなりの急斜面です。これを下るとダンコウバイの美しい黄葉の間から白馬三山が見えました。

 堂平大塚古墳へ。ちょうど持ち主のKさんご家族がいらしたので見学をお願いしました。みなさんには古墳の中まで入って見学してもらいました。Kさん一家の話や、戦前に住んでいた乃木希典の軍隊で軍曹をしていた山岸義十郎(漢字不詳)やここに住みたいと打診してきた川島芳子の話や、皇太子時代に見学に来た大正天皇の話などをしました。

 最後は陣場平へ。川中島の戦いで上杉軍が七棟の陣小屋を建てて本陣としたと伝わることや一基だけある高句麗人の積石塚古墳の話し、貝母の話しなどを。貝母を発見するきっかけになった菱形基線測点も紹介しました。貝母の見頃は、4月の10〜20日頃であることや、当ブログで開花状況を発信していることなども。帰化植物の除去などの大変さも。そして、下山しました。予定より30分オーバーでしたが、満足いただけたのではないでしょうか。

 温泉に入って再び妻女山に戻りました。戊辰戦争の戦没者を祀る松代妻女山招魂社(妻女山松代招魂社)。劣化が激しく瓦が落下したため、危険なので現在は参拝できなくなっています。奉賛会も高齢化している様ですし、クラウドファウンディングを始めるとかなにか対策が必要でしょう。

 問題の妻女山展望台へ。樹木が大きくなり松代城が見えなくなってしまいました。複数の県内外の観光客や歴史マニアに苦情を言われました。加えて老朽化で階段や展望台の木材の塗装が剥げ割れています。大勢の人が訪れる場所なのに長野市の管理が杜撰すぎます。偶然であった引っ越してきた女性が展望台へ登り始めたら怖くなって戻ったとか。直後に私が登っていたので行けるのねと登ってきた。話をすると、これは本当に酷いですねと。別の女性は床板が無いことに気づかず登ってきて転びそうになったことも目撃しています。本当に危険です。

 加えて展望台の川中島合戦図が、あまりにもデタラメで間違いだらけの上、実際の風景と全くリンクしないため、どこがどこやら全く分からないのです。これも度々苦情を言われています。夢空間の代表もこれは酷いなと。戦国時代の地名ならば現在地は妻女山ではなく赤坂山です。また戦国時代には妻女山という名の山はありません。斎場山です。鞍骨城の位置も完全に間違っています。長野市にメールをして担当課長の返事を待っています。この様なメールを出したのは初めてではありません。約10年前に同様の苦情が出て市に伐採してもらいました。しかし翌年にはひこばえが出て、10年後にはまた同様の事態になってしまったというわけです。課長や職員も代わったでしょうから全く問題が継承されていないのでしょう。いわゆるお役所仕事というものですね。それでは、訪問者の安全は守れません。

 展望台から左に茶臼山。右奥に虫倉山。そこまでが松代藩の領地です。右へ陣場平山。富士ノ塔山と続きます。眼下の長芋畑ではつる壊しやつる燃やしが始まり、長芋掘りも始まっています。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。地形図掲載は本書だけ。山の歴史や立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。10本のエッセイが好評。掲載の写真やこのブログの写真は、有料でお使いいただけます。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせか、メッセージからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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錦秋の聖山へ紅葉狩り。360度のパノラマを堪能。北アルプス仁科三山、白馬三山の雄姿。舞茸の栽培開始(妻女山里山通信)

2022-11-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
 文化の日は朝からこれ以上無いほどの秋晴れでした。聖山は長野県の小学生が遠足で最も多く登る山で、33校が登ったそうです。今回の三和峠には大きな駐車場がないので、大岡村の聖山パノラマホテルから登るのでしょう。私も出会って、昆虫や花の説明をしてあげたことがあります。山頂までは40〜60分ぐらい。

 三和峠の登山口。すでに車が3台。近くの空き地にも4台、奥の路肩にも2台。紅葉も見頃とテレビで紹介されていましたが、さすが人気の山です。登山口から風越(1308m)まで標高差100mの急登が始まります。二番目の急登は特にきつい。短いけれどきついのです。体調がもうひとつだったので、度々休みながら登りました。普通は山頂まで50〜60分ぐらいですが、今回は脇道に入ったり森に入ったりしたので2倍かかりました。その分紅葉も楽しめました。

 風越に登ると、聖峠まではこんなアップダウンの少ない散歩道が続きます。右側(北面)は緩斜面で別荘地があります。左側(南面)は崖上の急斜面です。北側は落葉松林が多く、南側は広葉樹を中心とした自然林です。白樺も見られます。

 落葉松も黄葉しています。ちょっと強い風が吹くとチリチリと音を立てて黄土色の落ち葉の雨が降ってきます。

 コバノガマズミの実。以前紹介しましたがルビー色の綺麗なお酒ができます。抗酸化作用が強く老化防止にもいいという酸味の強いリキュールです。

 ハウチワカエデの紅葉。やや色が薄いのは冷え込みが緩いからでしょう。

 近づけないのではっきりしませんが、アブラツツジ(油躑躅)ツツジ科ドウダンツツジ属でしょうか。

 ウメノキゴケ科でしょう。排気ガスに弱く、大気汚染の指標となる菌類です。地衣類は、大部分は子のう菌に属する菌類なんですが、光合成ができないため菌糸で作られた構造の内部に藻類が共生して、藻類が光合成で作り出す合成産物によって生活しています。両者の間には高度な共生関係が成立しているのです。

 ヒメギフチョウの幼虫の食草ウスバサイシン。昨年の5月に撮影してブログにアップしました。邂逅できる確率はかなり低いかも知れません。

 聖峠から山頂への登りが始まります。山頂のアンテナが見えます。南北を結ぶ登山道は塩の道といわれた古道です。山ガール二人とすれ違いました。若い登山者が増えるのは嬉しいですね。ぜひ拙書を買って下さい(笑)。

 ウバユリの実。開くと中からプレパラートの様な薄い種がたくさん飛び出し舞っていきました。ただ発芽率は低い様で、大きな群生地というのは見たことがありません。若葉は山菜ですが、発芽してから花が咲くまで7年もかかるので採らないようにしています。

 大きなブナが見えたら山頂はすぐそこです。昨年の5月にこのあたりで下の藪から月の輪熊が登ってきて、大声と大きな音を立てて追い払ったことがあります。姿は見えませんでしたが20mぐらいでしょうか。バキバキと枝を踏みつけて登ってきました。イノシシはブヒブヒいうので分かります。ニホンカモシカやシカは音を立てません。根子岳でも追い払ったことがあります。30m位で目があったら静かに後退りすることです。背中を見せて逃げると襲われます。熊鈴にホイッスルは必携。山では音に敏感になって下さい。

 山頂には10人ぐらいいました。途中ですれ違った人を含めると30人以上が登ったと思います。左は大林山。右の台形の山は拙書の表紙になっている子檀嶺岳(こまゆみだけ)。その奥が独鈷山。いずれも拙書で紹介している魅力ある里山です。遠くの山は金峰山とか奥秩父の山々。雲取山は見えているでしょうか。谷の奥の修那羅峠の石仏群は必見といえます。

 眼下に麻績村と長野自動車道。その後背にそびえる四阿屋山。右奥のアンテナは美ヶ原の王ヶ頭。左に富士山の様な蓼科山。その右奥は南アルプスでしょう。

 善光寺平の眺め。眼下に千曲川の流れ。右(南)から伸びる妻女山から鏡台山への戸神山脈。何本もの尾根が北に向かって伸びています。奥は焼額山や岩菅山などの奥志賀高原の山々。

 右は飯縄山。左に下がって瑪瑙山。中央に双耳峰の様に見える右側が黒姫山、左は御巣鷹山。左の富士山の様にみえるのは妙高山。手前の里山山脈は、陣場平山や富士ノ塔山。手前は長野市七二会の集落。中腹を小川村まで集落を結ぶ道路は、絶景のサイクリングルート。

 北アルプスのパノラマは山頂からだとアンテナや樹木が邪魔になります。北西に舗装路(アンテナの巡視路)を100mほど下るとこの様な絶景が見られます。左に仁科三山。右に白馬三山。右へ続く栂海新道を下ると親不知で日本海。

 仁科三山。左から爺ヶ岳、長野県初の氷河があるカクネ里の鹿島槍ヶ岳、武田菱の雪形で有名な五竜岳。

 白馬三山。白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳。白馬五竜スキー場や白馬八方尾根スキー場が見えます。栂池高原へ濡れると透明になるサンカヨウを撮影に行った記事もあります。ブログ内検索でどうぞ。

 下山します。聖峠近くのマユミの実。近くに桂の木が何本かあり、甘い香りが充満していました。

 逆光に光るハウチワカエデの紅葉。

 聖湖の紅葉。多くの太公望がへらぶな釣りをしています。展望台は拙書で紹介の三峯山。1131.4m。「風林火山」や「ペルセポネーの泪」のロケ地となった大池から登るコースもお勧め。息子と待ち合わせているので妻女山へ急ぎます。

 舞茸菌糸を培養した「榾木」を彼が頂いたので埋め込みます。絶対に分からない場所二箇所に埋めました。最後の一つはプランターに。赤玉土を敷き、鹿沼土で覆います。最後に腐葉土を3センチの厚さで敷いて完成。来年の秋に出る予定。4〜6年は収穫できるそうです。楽しみです。

 その後キノコ狩りを少ししたのですが、見たことのないキノコを発見。匂いはいいのですが。図鑑やネットで調べましたが同定できません。とりあえず澄まし汁にしてみました。味はムラサキシメジの様です。食感もムラサキシメジそっくり。美味です。少し食べて半日以上経って元気なので毒キノコではない様です。何なのでしょう。と思っていたら夕食に全部食べて3時間後に吐きました。微毒でしょうが毒キノコでした(笑)。猛毒のキノコも一度は食べられますが二度目はありません。ご注意を。
 右は、ウスヒラタケ、クリタケ、ハタケシメジ、ムキタケの天然キノコに信州人のソウルフード・ビタミンちくわと松代一本葱の小田巻き蒸し(苧環蒸し)。調べて色々研究したのですが、またまたすが入ってしまいました。まあ、味に影響はないのでいいのですが。巨大な茶碗蒸しを作るノウハウを知りたいです。次は牡蠣とか紅ズワイガニのを作りたいですね。

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30数年前のアマゾン新婚旅行。妻が描いた某大手新聞の小学生新聞の記事画像を発見!Saudade de meu amor.(妻女山里山通信)

2022-11-03 | アマゾン
 ブラジルで大統領選挙があり、前大統領のルーラ候補が当選。現職大統領ボルソナロが破れました。汚職で逮捕された前大統領が当選も驚きですが、アマゾン開発を推進し熱帯雨林を3分の1にしてしまったボルソナロが破れたのは地球にとって人類にとっていいこと。ただルーラが南北格差と経済問題を解消できるかは甚だ疑問ではあります。それ以外の選択肢がなかったブラジル国民は不幸といえます。統一教会と創価の自公カルト政権の日本はもっと悲惨ですが。
 そんなブラジルは、私にとって第二の故郷ともいえる国です。叔父が私が1歳の時に移民したこともあり、物心ついて最初に覚えた外国がブラジルでした。そして、アマゾンが好きになり1983〜84年に200日余りのブラジル・ボリビアを放浪したのです。そして、三度目には新婚旅行で2週間あまり訪れました。それをある大手新聞社の依頼で、小学生新聞に妻がイラストレポートを描きました。探していたのですが見つからず諦めていたのですが、古いハードディスクに画像が残っていました。それをアップします。これは息子達も見たことがないと思います。記事にもありますが、一眼レフに当時まだ珍しかったソニーのビデオカメラを持っていきました。そのビデオが3時間あまりあります。息子が変換する会社に依頼してmp4にしてくれました。これは宝物です。

 最初はアマゾン河河口から1500キロ上流にあるマナウスです。1900年前後をピークとする未曾有の生ゴム景気の時代、一攫千金をねらう人々の欲望が渦巻くマナウスは魔都と呼ばれました。アマゾンなのに南米で最初に市内電車が走り、わざわざイタリアから輸入した大理石で、パリ・オペラ座のレプリカ、テアトロ・アマゾナス(アマゾナス劇場)が造られ、アマゾンの奥地に黄金帝国が築かれたのです。泊まったのは確か14階建てのホテルの12階。屋上にはプールとレストランがありました。マナウスの街と遠くジャングルが見えました。ここでは小舟をチャーターしてジャングルクルーズをしました。ピラニア釣りと100種類以上ある南国フルーツのアイスが妻は気に入った様です。4mの大蛇にはビビっていましたが。現地の優しい人達との交流も心に残りました。地元の人がお気に入りの公園の野外レストランのお母さんの料理(ピラルクーのピラフなど)は忘れられません。

 次はサンタレン。サンタレンは、タパジョス河に面したアマゾン河中流の中核都市。日系人も多く、作家の故開高健が『オーパ!』執筆の基地とした町です。郊外にある三ツ星のトロピカルホテルに滞在。タクシーをチャーターして1時間ほどの白砂の中洲がある風光明媚なアルテル・ド・ションという小さな村へ。妻が水彩画を描き始めると皆が集まってきて完成まで1時間半も見ていました。その家族とは色々話してお父さんが歌ってくれたりビールをご馳走してくれました。地元の子供達と遊んだのもいい思い出です。地元のレストランで食べた、地上最大の淡水魚ピラルクーのミラネーザは細かいパン粉で揚げたフライですが、巨大なヒラメの縁側を食べているような旨さ。忘れられない味です。そして口が痺れるタカカスープも絶品でした。毎日ホテルのベランダから観るジャングルに沈む夕日の美しさに息を呑みました。毎朝プールサイドでいただくトロピカルフルーツ満載の朝食は至福の味でした。

 最後はアマゾン河口の大都市ベレン。アマゾンのパリと呼ばれる美しい街です。テムズ川が一年かかって海に流す水量を、たった一日で流してしまう長さ6770kmの大河アマゾン。河口の幅が東京ー名古屋間とほぼ同じで、その間にマラジョー島という九州とほぼ同じ面積の中州を抱えています。その河口にある人口120万人の大都市がベレンです。四つ星のホテルに滞在。猛烈な暑さに参りましたが、高級レストランのナマズのソテーやココナッツミルクで煮込んだ料理、アマゾンのカニをすりつぶしたスープは絶品でした。なんと私達に五人のボーイがつきました。私達だけのために生演奏も。街で突然襲われたもの凄いスコールや檻にパンフレット通りの動物がいない不思議な動物園や、アマゾンのスーパーパワーフードの「マニソーバ」を堪能しました。
 こんな旅ができたのも、バブル崩壊の直後とはいえ、まだ円高だったからです。現在の円安では無理でしょう。アベノミクスの悪政は、日本経済を根底から壊しました。大企業は税金を払っていません。消費税戻税や輸入戻税、減額された法人税で内部保留を500兆円も溜め込んでいます。もう少し利口になりませんか。このままだと、外国人労働者も賃金の低い日本には来ません。労働者が集まらず休業や倒産する企業も出てきます。先祖が馬鹿だったから日本は滅びたと言われない様に、覚醒しないとだめだと思います。
 叶うものならば、もう一度アマゾンへ旅をしたい。

AMAZONN.JP-アマゾン一人旅(フォト・エッセイ):アマゾンやアンデスで出会った愛すべき人達、サルヴァドールでの熱狂のカーニバル。ノルウェイに移民したアマゾンの母子。新婚旅行の逸話なども写真と共に。

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