森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

1万ドルの学生ローン免除、「バンザイ!?」

2022年08月27日 | 日記


今日は辛口ブログの第二弾! アメリカが連邦政府の学生ローン1万ドル(135万円くらい)を免除すると発表したことについての所見です。不快に感じる方がいたらごめんなさ~い!

そう、今週、バイデン大統領が学生ローンを一部免除することを発表。すると日本のニュースでも「思いきった救済策」「多くの人が借金帳消しに」などと報道され、一般からも「アメリカは素晴らしい!」「日本でもやれ」などの声が相次ぎました。でもこれ、私からすると本末転倒で。そもそも大学費用が安い日本が素晴らしい国なのであって、バカ高いアメリカは恐ろしい国。135万円の学生ローンが免除されたくらいでは、賛美されるに値しないと、私は感じてしまいます。

というのもアメリカの大学の高いことといったら…! たとえばハワイ唯一の州立大学、ハワイ大学の授業料を例にとると。州民であれば1年間$11300(152万円。注:サイトに出ている授業料は半年分です)。州外からの生徒なら$33330(449万円)。つまりハワイで大学に一番安く行く方策を取っても、150万円超え、プラス教科書代やら経費がかかってしまいます。アメリカに入学金というのは存在しませんが、それでもこれは、日本の国公立大学の理系の初年度費用プラス授業料、そして私立大学文系の授業料を超えてしまうような?

これは別にハワイだから高いというわけではなく、どの州も同じく。たとえばワシントン州立のワシントン大学も同様。州民の年間授業料が$11189(151万円)、州外からなら$39687(536万円)です。学生寮に入れば、さらに$15000~(202万円~)以上がかかります。寮費には食事代が含まれますが、それにしても高い! これで公立なのですから驚きますね。

それが私立となるとさらに恐ろしい数字となります。年間授業料だけで軽く5万ドル~(675万円)くらい。プラス、寮と食事代で200万くらい。繰り返しますが、これは4年間の合計ではありませんよ、1年間ですよ~。4年間の授業料は、合計して軽く2000万円~3000万円。日本の医学部と比べても、決して引けを取らない? 額だと思います。

その代わりアメリカには返済不要の奨学金やら、学生ローンやらがいろいろあり、各家庭、足したり引いたりをしながらやり繰りして子供を大学にやるのですよね。我が家を例にとりますと、娘はハワイ大学に行ってくれましたが(感謝♡)、息子はNYの田舎の大学に行きました。一部は大学からもらった返済不要の奨学金でまかない、さらに連邦政府の学生ローンも借り受けて、何とか4年間で卒業。息子も学生ローンを4万ドルくらい(540万円)借りているので、バイデン大統領の英断、確かに息子にとっては朗報でした。あと3万ドルのローンは残りますがね…。

ですが息子の友人A君にとって、1万ドルの免除は残念ながら焼け石に水です。彼は100%学生ローンで大学に行ったので、30万ドル(4000万円)近く借りています。なぜ自分の故郷カリフォルニアの州立大学に行かず、NYの私立大学に行ってそんな借金をこさえてしまったのかは謎ですが…。

ただこういうケースはA君に限らず、周囲でよく聞くのです。Bちゃんは医学部を卒業するまでに20万ドル借りた、弁護士の○○君は学生ローンの残りが10万ドル…。プロフェッショナルな道を目指して借金して学校に行くケースはアメリカでは多く、息子の友達のA君も心理学者志望で大学院に行っています。ただし高給取りになっても、ローンの返済には何十年もかかることでしょう…。

…と、つい話が長くなりました。このたびの1万ドルのローン免除、確かに朗報ですが、だからといってアメリカが理想郷かというとほど遠く。現実は…真逆だと思ってしまいます。むしろ、現実的な価格で大学教育に手が届く日本社会の方が賞賛に値する。私はそう思うのですが、いかがでしょうか? 

あ、こういうと「でもアメリカは給与が高いから~」とおっしゃる人がいますが、とんでもない! 上記のような大学費用を高くないと感じる金持ちは、そう多くはありません。地元の州立大学だって、子供二人なら年間300万円。私立大学に二人なら年間1000万円~1500万円ですからね。ヒイッ!

…日本のメディアもこういうアメリカの背景を知ってから、日本とアメリカの大学事情を比較してほしい、アメリカを讃えてほしいナ、と思います。バイデン大統領は大好きだけれど、つい皮肉な気持ちになってしまう私は…意地悪でしょうか?


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする