森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

「やさしくひも解くハワイ神話」こぼれ話3

2020年07月04日 | 神話・伝説


今日のハワイも快晴! 朝からウォーキングに出かけ、先ほど帰ってきました~。明日はアメリカ独立記念日なので、今週末は3連休。自粛…しつつも、ハワイの夏を楽しみたいですね。

そうそう、今月からようやくコンドの庭でのBBQ施設も解禁になりました! さっそく主人にBBQしようと提案したら、面倒くさいと断られましたが…。

さて、今日は前回お約束したように、拙著「やさしくひも解くハワイ神話」から漏れたお話をもう1つ公開しちゃいますー。第8章「大とかげ、モオ」の章の冒頭に入るはずだった、短いお話でございます。

ハワイには本当に、モオにまつわる話がいっぱいありますよね。ほかにもモオと仲良しになった少女の話、モオに一目ぼれした酋長の話などあって、本にどの話を入れるか、悩みに悩んだものでした。

では以下、丸々、注釈付きご紹介します。どうぞお楽しみください~!


「ライエ岬の伝説」

 ハワイには神々に倒されたというモオの伝説が多々あり、元々はモオだったという岩や島が⑴各地に点在しています。オアフ島北東部のライエでも、そんな島々を見ることができます。

 昔々の大昔。風光明媚な海辺の地、ライエにある岬に恐ろしいモオが住み着き、一帯を恐怖に陥れていました。
 今、この岬はライエ岬と呼ばれますが、昔はラニロア岬と呼ばれていました。なぜなら当時、岬には邪悪なモオ、⑵ラニロアが住んでいたからです。モオは海に向かって長く伸びた岬に陣取り、通りかかる人々を片端から襲ったので、旅人やカヌーは絶対に岬に近づくことができませんでした。
 そんな邪悪な怪物の噂を聞きつけ、やって来たのが、カナとニヘウという勇猛な兄弟です。2人は不思議な力を持った半神。カナは細長い縄の形で生まれ、成長するにつれ、その住居は海から山に向かってどんどん細長く拡張されなければなりませんでした。一方、ニヘウは並外れて小さいけれど怪力の持ち主です。
 オアフ島にやって来る直前、2人は母を誘拐したモロカイ島の酋長を力を合わせて倒し、母をハワイ島に届けたのち、ハワイ中の怪物退治へと乗り出したのでした。
 モロカイ島の救出劇でも、半神としての怪力と神通力で恐ろしい化け物を次々倒した2人。ラニロア岬の先端で牙を剥くモオも、2人にとっては敵ではありません。
 2人はまずモオの頭を切り落とし、身体を5つに切断。海に投げ捨てると、それぞれが小さな島になりました。岸のすぐ近くに浮かぶククイホオルア、プレモク、モクアウイア、ケアヌアカルアパアア、キヘワモクという5つの島々です。
 また岬でカナがモオの頭を切り落としたとされる地点には、今も地中に大きな穴があいたままになっています。
 時が流れ、ラニロア岬はいつしかライエ岬と呼ばれるようになりましたが、ナニロアというモオの名は、今も岬に⑵近い道の名前として残っています。岸近くに浮かぶ、獰猛なモオの名残りである5つの島々も、当時のままの姿を見せ続けています。
 
※注1 ハワイにはこのように退治されたモオにちなんだ地名が各地に残り、たとえばホノルルのモイリイリは「モオ・イリイリ」が短くなったもの(ハワイ語でイリイリは「小石」の意)。その地域でモオが女神ヒイアカに倒され、細かく切り刻まれたという伝説にちなみ、その地名がついたとか。また同じくクアロアでヒイアカに退治されたモオ、モコリイの名も、クアロア沖に浮かぶ島の名として残っています。
※注2 ラニロアはハワイ語で「背の高く偉大な」を意味します。
コメント
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