森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

ケワロの海を見つめる聖女の像

2019年02月05日 | 歴史


この週末は予想に反して青空が広がり、またアラモアナビーチでウォーキングしてきました! 雨上がりだったのに海まで青くて、嬉しい驚きでした。

アラモアナビーチの西端にはケワロ湾という波止場があり、一帯はケワロ湾公園という小さな公園になっています。

目立たないけれど、静かで美しい海辺の公園には、聖なるマリアン・コープ尼の銅像も立っております。先日、その銅像を初めて見たのですが、清々しいその姿にしばらく見とれてしまいました。

あ、マリアン尼はハワイでは超有名ですが、日本ではご存じない方が多いかもしれませんね。少し説明すると…。マリアン尼はカソリックの聖職者。ニューヨークから6人の尼を引き連れて1883年にハワイ入りし、当時、猛威をふるっていたハンセン氏病患者の救済に尽くした驚くべき女性なのです。

ハワイでハンセン病患者に尽くした聖職者としては、自らもハンセン病で亡くなったベルギー出身のダミアン神父(聖ダミアン)が有名ですよね。ダミアン神父はモロカイ島のハンセン氏病患者隔離施設に赴き、16年後、モロカイ島で亡くなっています。

そのダミアン神父の後継者であり、ダミアン神父の最期を看取ったのが、ほかならぬマリアン尼。ダミアン神父もマリアン尼も、後年バチカンで聖人の列に加えられ、今では聖ダミアン、聖マリアンとして知られています。

それにしても、なぜマリアン尼の銅像がここにあるのでしょうか? …なぜなら、ハワイ入りしたマリアン尼はまず、公園に近いカカアコ地区にあったハンセン氏病隔離施設で任務にあたったからなのです。



当時、ハンセン氏病患者の状況は悲惨で、カカアコの施設でも老若男女が一緒に収容されており、しかもひどく不衛生。女性が襲われる事態も起きていたことから、マリアン尼は男女の病棟を分けることを政府に提案し、施設の徹底的な清掃から作業を始めたそうです。

当初は、来たばかりの尼僧が生意気な、みたいな批判を受けましたが、「要求が受け入れられない場合、尼僧は全員、ニューヨークに帰る」と談判。その結果、全ての要求が受け入れられたのだそうです。

…きっとマリアン尼は慈愛に溢れた献身的な尼僧だっただけでなく、強い意思を持った有能な人だったのでしょうね。

小さいけれども尊いマリアン尼の似姿を見ながら、なんだかいろいろなことを考えてしまった、日曜の午後でした。
コメント (5)
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