森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

ハワイの聖地を護る白人レンジャー

2012年10月20日 | ハワイアナ


前回ご紹介したプウホヌア・オ・ホオナウナウ。現在は歴史国立公園になっています。すでに述べたように古来、本当に文化的に重要な聖地でした。そこにあるヘイアウ、ハレ・オ・ケアヴェには昔、カメハメハ大王のひいおじいさんを含め、偉~い首長、23体のご遺体が安置されていてあまりに神聖だったため、1819年、カメハメハ2世によってハワイ中のヘイアウに破壊令が下された際も、破壊を免れたほどです(今は遺体は移されています)。

そんな聖地が1961年には歴史国立公園に認定され、アメリカの連邦政府によって保護されているのは、嬉しい限り。今回の訪問の際も、それが実感できるある出来事を目撃しました…。

公園の海辺の一角は小さな湾になっています。ごく小さな、でも美しいその湾はその昔、王族のカヌーだけが出入りできる特別な場所でした。一般人は立ち入り禁止だったそうです(入ったら、もしかして死刑になったのかも?)。

私がその湾の写真を撮っていたその時。海でスノーケルをしていた白人夫婦が湾近くで顔を出し、上陸しようとしました。すると! どこで見ていたのか、制服を着たパークレンジャーが大急ぎでやってきて、大声で警告。

「そこの人たち!! ただちに湾から出てください~!!!」

そして夫婦になりやら言うと、夫婦はまた湾の外へと泳いでいきました。シニアのご夫婦でしたが、2人に周囲の視線がいっせいに集中して、ちょっとお気の毒だったなあ。

湾の回りのビーチには、黄色のテープが張られていて。まあ立ち入り禁止だったのですが、海から湾に近づいた夫婦にはそれがわからかなったんですよね。ビーチ側からは一目瞭然だったので、私はテープの外から写真を撮りましたが。

でもそのテープの理由は、正直私にはわかりませんでした。まさか、ここが聖なる湾だからじゃないよね~、海亀の生息地なのかな? と私は推測していたのです。

そこで以上の光景を目撃した後、(ちょっと怖かったけれど)パークレンジャーに聞いてみたのです。「なぜこの湾は立ち入り禁止なのですか?」と。パークレンジャーは米本土出身風の白人男性でしたが、

「ここは昔、王族だけが出入りできた神聖な湾だからです」(レンジャー)
「ああ! だから今もしっかり護られているんですね?」(私)
「その通りです」

…私は感動しました。土地で生まれたハワイアンではなくても。パークレンジャーの人たちはしっかりと聖地に目を光らせ、護っているんですね。正直言って、連邦政府の職員って、そういうこと全く気にしていないのかと思いました。でも違った! ハートを注いで聖地を護っているのが、よ~く感じられました。あの人たちのお陰で、これからもずっとこのハワイの聖地は、護られていくのでしょう。

そんなことを考えながら、なんだかとても温かい気持ちになって、美しい湾を後にしました。


コメント (4)
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