で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1097回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ジェーン・ドウの解剖』
前作『トロール・ハンター』が世界的に注目を集めたノルウェー人監督アンドレ・ウーヴレダルが、ブライアン・コックスとエミール・ハーシュを主演に迎え、記念すべきハリウッド・デビューを飾ったホラー・サスペンス。
“ジェーン・ドウ”とは身元不明女性に対して一般的に付けられる名前のことで、謎めいた身元不明女性の死体が持ち込まれたことから、次第に恐るべき怪現象に見舞われていく検死官親子の運命を、死因を巡るミステリー要素と戦慄の恐怖演出で描き出していく。
物語。
代々検死官であり、自宅の屋敷が剖検と死体置き場になっているティルドン家。
父トミーと息子オースティンのもとに、身元不明女性(ジェーン・ドゥ)の美しき全裸死体が運ばれてくる。
彼女は不可解な猟奇殺人事件の現場となった屋敷の地下室の半分埋められた状態で発見されたものだった。
さっそく検死に取りかかる親子。
死体はどう死んだのか推測がつかないほど、美しい状態にも関わらず、あり得ない状態で体内にいくつも傷があった。
いったい、彼女の死因は?
謎を解くため、親子は何かにとり憑かれたように解剖を進めていく。
脚本は、イアン・ゴールドバーグ、リチャード・ナイン。
出演。
エミール・ハーシュが、息子のオースティン・ティルデン。
ブライアン・コックスが、父のトミー・ティルデン。
オフィリア・ラヴィボンドが、恋人のエマ。
マイケル・マケルハットンが、バーク保安官。
オルウェン・ケリーが、ジェーン・ドウ。
死体役の極地です。
スタッフ。
製作は、フレッド・バーガー、エリック・ガルシア、ベン・ピュー、ロリー・エイトキン。
製作総指揮は、スチュアート・フォード、マット・ジャクソン、スティーヴン・スクイランテ。
撮影は、ロマン・オーシン。
狭く、暗いスペースを映画的豊かさに繋げています。
プロダクションデザインは、マシュー・ガント。
衣装デザインは、ナタリー・ウォード。
編集は、パトリック・ラーシュゴード、ピーター・グヴォザス。
音楽は、ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアーンズ。
定番ながら、不気味さが出ています。
猟奇殺人の現場から運ばれた美女の死体は謎に満ちていた、という遺体置き場ホラー。
『トロール・ハンター』のアンドレ・ウーヴレダルのハリウッドデビュー作。
死体一つで見せきる骨のある脚本に演出が血を通わせ、画で肉付け。
心臓までは取り出しきれぬが内臓の艶に魔性があり、途中で腫瘍が見えても目を逸らさせない。
アメリカの法医ドラマを見ているような頭皮を剥ぐような開作。
おまけ。
原題は、『THE AUTOPSY OF JANE DOE』。
身元不明者のことを仮に呼ぶ名前が男性ならジョン・ドウ、女性ならジェーン・ドウ。
“AUTOPSY(オートプシー)”は「検死(解剖)」、「剖検」のことですね。ギリシャ語だと「自分の目で見ること」という意味にも。映画の会える部分に重なって、ちょっと意味深になりますね。
『身元不明女性の剖検』ですね。
上映時間は、86分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、R15+。
キャッチコピーは、「この<身元不明の死体(ジェーン・ドウ)>にメスをいれてはならない」
警告系ですね。ちょっと長いかな。
予告編の方のキャッチコピーの「この死体は生きている」はインパクトが大でした。
一緒にして、「この<身元不明の死体(ジェーン・ドウ)>は死んでいるのか?」とかどうかな?
モルグものというジャンルがあります。
モルグは遺体置き場のことで、全部がそこで描かれるというよりはモルグつまり死体になったところから始まる物語という解釈でいいかと。それはなぜかかという謎を探るものが主ですが、死体が蘇ったりもします。
古くは、『サンセット大通り』(そのシーンはカットされ、プールの溺死体から始まります)が有名です。(『アメリカン・ビューティ』も同様)
解剖もの、墓場ものもまとめて、死体ものという一つのジャンルにくくってもいいかもしれません。
『モルグ』とそのリメイクの『ナイトウォッチ』、『アナトミー』2作、『ヴィタール』、『EM/エンバーミング』もそうですね。『LOFT』、『THE JUON/呪怨』などにもありました。
検死や法医学ものもドラマなんかではいくつもあります。『BONES』や『トゥルーコーリング』もその一つですね。
死体ものはコメディにもあります。『ハリーの災難』、『9時から5時まで』、『バーニーズ』シリーズなんてのも。『龍三と七人の子分たち』にもありましたね。
『恋は負けない』は死体置き場のバイトのネタがありました。
ネタバレ。
セーラムの魔女はアメリカでは定番中の定番の事件で、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の元ネタであり、『ロード・オブ・セイラム』というこの事件と魔女を題材にした映画もあります。
ラストの親指動かしは、ホラー的驚かしを入れたかったのかもしれないけど、せっかく一度も動かない死体だったのだから、最後も動かずに、車の揺れでベルが鳴るぐらいにしてもよかったと思うなぁ。