【俺は好きなんだよ】第1182回は、『ダブル・キラー』(2010)
原題は、『죽이고 싶은』。
『殺したい』。
英語題は、『ENEMY AT THE DEAD END』(または『Desire To Kill』)。
『行き止まりの敵』(または『殺意』)。
上映時間: 91分
製作国: 韓国
スタッフ。
監督: チョ・ウォニ、キム・サンファ
脚本: チョ・ウォニ、キム・サンファ
撮影: チェ・チャンミン
照明: ユ・ヨンジョン
音楽: アン・ヘスク
出演。
チョン・ホジン (キム・ミンホ)
ユ・ヘジン (パク・サンオプ)
ソ・ヒョリム (ハ・ウニョン看護士)
イ・ジョンホン (チェ・インチョル医師)
ラ・ミラン (看護師長)
ソン・ジナン (病院長)
キム・ソヒョン (ペク科長)
アン・ウンジョン (子供)
ソン・ジウン (スジン)
イ・ユンジョン (ジナ)
物語。
過去に妻と子共を殺されたミンホ。年をとり人生に意味を失ったミンホは自殺願望を抱えていた。だが、失敗し、現在は脳卒中で入院していた。動かぬ体で、いつも死ぬ機会をうかがっていた。
ある日、同室にサンオプという男が入院してくる。サンオプは記憶を失い、体も自由に動けない状態だった。
ミンホは気づく、隣の男こそミノのすべてを奪った男。
ミンホは生き甲斐を得た。
ヤツを殺すまでは死ねない。
愛する妻子を殺された男と、殺した男との壮絶な動けない死闘を描いた密室シチュエーションスリラー。
韓国映画界きっての名バイプレイヤーのチョン・ホジンとユ・ヘジンがダブル主演という通好みの作品。
ほぼ動けないという渋い二人をさらに渋くした対決を、『彼らが生きる世界』、『今日、妻やめます ~偽りの家族~』などTVで活躍するソ・ヒョリムが賑やかに飾る。
ほかに、イ・ジョンホンやラ・ミランといったいぶし銀のキャストがこのブラックコメディ・スリラーという独特のミクスチャー映画にシリアスな味わいを加えています。
この設定をきっちり押し切れるのは、スタッフの力だけでなく、業界の充実した制作体制と観客がいるからですね。豊かさは娯楽映画に本当に重要な要素ですもの。
こういったブラックコメディで、ミクスチャーで、おっさん二人を主演にした難しい作品がちゃんと面白いんだから、見ている間中、感激しっぱなしですぜ。
字幕だとミンホになってますが、響きで聴くとミノで、資料でもミノと書いてあるものが多いです。
受賞歴。
2011年のファンタスティポ国際映画祭にて、特別審査員賞(オリエントエクスプレス=インスピレーション・アワード国際映画ガイド)を受賞。
ネタバレ。
1時間で転調し、実は主人公こそがスジンを殺した犯人だと相手に言われ、お互いがお互いを食んんとして殺そうとする。これが邦題の『ダブル・キラー』=二重の殺人者の意味になるのだが、さらに最後にどんでん返しとして、もう二人の殺人者が出てくることで、意味が変わる。
手籠めにしていたスジンを二人で殺し、その娘ジナ、その異父妹ウニョンは施設で育ったどちらかの娘。可愛がっていたのはスジンの孫。
二人は、スジンを愛してたかどうかは不明だが、少なくともジナの面倒は見ていないしスジン殺しから逃げている。
奨学金は医師になったジナからの贈り物であり、復讐計画。姉は妹のことを愛せないのだろう。
リハビリ対決、不眠症での寝ない対決、記憶取戻し、回復対決が愉快。
AAPという新薬による副作用の幻覚が映画を複雑にする。
コミュケーテッド・インサニティ(感応精神病)は、映るはずのない精神疾患が感染する現象のこと。重度だと同じ幻覚を見たりするとのこと。