最近の映画は、見てもらうために、本来はサプライズの部分を、フックとして、宣伝に使ってしまう。
<どんでん返し>、<誘拐した少女の正体は〇〇だった>でおさめていたのが、今や、<誘拐した少女は吸血鬼><殺された妻はアンドロイド>と宣伝して、そのジャンルが好きな人に訴求する。
そういうのを分かっていて観るタイプの語りなら問題ないんですが、そこが中盤まで隠されている対応の語りのものが少なくない。
それでも『アビゲイル』は中盤から、また一ひねりして、さらに展開するからいいんですけど、『不都合な記憶』だとその先がドラマが内面の物語なので、そのジャンルが好きで見たのにそのジャンルの部分は薄まってしまうので、しっかりつくられているのに、ちょっと物足りない。
これも、アンドロイドと知らなければ、前半の面白さで後半も引きあげられただろうし、吸血鬼だと知らなければ、後半は想像してなかった展開でウハウハしてただろうしなぁ。
リアルタイムに観た人と、のちに配信で評価とかだけであらすじも見ないでさくっと観た人との評価ががらっと変わりそう。
そりゃまぁ、もっと昔には、あらすじがほぼ明かされていた時代もあったよ。
でもそれって、まだ物語が大量消費されてないから、文章から想像できるものが弱かったと思うのよ。