菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

遠くまで。 『トールマン』

2019年11月18日 00時00分28秒 | 俺は好きなんだよ!

【俺は好きなんだよ】第1189回は、『トールマン』(2012)

 

 

原題は、『THE TALL MAN』。
『のっぽ男』。

フランス題は、『THE SECRET』。
『その秘密』。

 


上映時間: 106分
製作国: アメリカ/カナダ/フランス

 

 

スタッフ。

監督: パスカル・ロジェ
製作: ジーン=チャールズ・レヴィ、ケヴィン・デウォルト、クレマン・ミゼレ、スコット・ケネディ
脚本: パスカル・ロジェ
撮影: カマル・ダーカウイ
プロダクションデザイン: ジャン・キャリエール
衣装デザイン: アンガス・ストラティー
編集: セバスティアン・プランジェール
音楽: トッド・ブライアントン

 


出演。

ジェシカ・ビール  (ジュリア)

ジョデル・フェルランド  (ジェニー)
スティーヴン・マクハティ  (ドッド)
ウィリアム・B・デイヴィス  (チェスナット)
ジェイコブ・デイヴィーズ  (デヴィッド)
サマンサ・フェリス  (トレイシー)
コリーン・ウィーラー  (ジョンソン夫人)
ガーウィン・サンフォード  (ロバート)
ジャネット・ライト  (トリッシュ)
イヴ・ハーロウ  (クリスティーン)
ジョン・マン  (ダグラス)
ティーチ・グラント  (スティーブン)
フェルネ・ダウニー (ミセス・パーカー・リー)

 

 

物語。

ワシントン州の炭鉱町コールド・ロック。かつては賑わいを見せたこの町も、鉱山の閉鎖によって今やすっかり寂れてしまっていた。そこへきて今度は、幼い子どもばかりが忽然と姿を消す不可解な事件が立て続けに発生する。目撃者の証言などから、フードを被った背の高い男で、都市伝説“トールマン”の仕業との噂が広まる。
町の小さな診療所で働く看護師ジュリアの最愛の息子が何者かに連れ去られてしまう。去っていく車に彼女はなんとか追いつき、しがみつく。

 

 

 

謎の幼児失踪事件が続発する寂れた寒村を舞台に、事件に巻き込まれ奔走するヒロインが辿り着く驚愕の真相をスリリングに描くサスペンス・ミステリー・ホラー・ドラマ。

 

 

『マーターズ』でホラー・ファンの注目を集めたフランスの新鋭パスカル・ロジェ監督が、は『マーターズ』以前から構想していた題材をハリウッドに渡り、『テキサス・チェーンソー』、『トータル・リコール』(2012)のジェシカ・ビールを主演に迎えて映画化。

 

ロジェ節ともいえる、転調が素晴らしく、そこからは一気に見せ切る。甘さもあるが、モラルへの揺さぶりがあり、この二つの選択をどう考えるか、社会派ホラーとなっており、『ゲット・アウト』後の現在の方が評価は高くなるのではなかろうか。

 

 

 

 

 

受賞歴。

2013年のカナディアン・シネマトグラファー・ソサエティ・アワードにて、Best Cinematography in Theatrical Featureをカマル・ダーカウイが、受賞。

 

 

ラジー賞の助演女優賞に今作でジェシカ・ビールがノミネートしているが、彼女は今作で堂々たる主演なので、もう一本の『スマイル・アゲイン』の演技によって、とばっちりを受けたと言わざるを得ない。

 

 

 

 

 

 

 

ややネタバレ。

DVD収録のパスカル・ロジェのインタビューによると製作途中で資金が尽きてしまい、撮りたいように取れなくなる危機を迎えたが、ジェシカ・ビールが私財を投入し、援助したことで思うように完成することが出来た。ジェシカ・ビールはエグゼクティブ・プロデューサーにクレジットされている。

「モラルを揺さぶることこそ芸術の使命だ」「劇中にある矛盾は、観客に誠実にでなかった証拠」とも発言している。

『マーターズ』は最悪の状態で、これで映画は最後だと思って作った作品だったとのこと。

 

 

また別のインタビューでは、「ホラーやスリラーなどジャンル映画は、お約束ごとが決まってしまっていて新鮮さを保ちにくい。お決まりの形ではじまってもいいけれど、着地点は別に設けないとレシピ化された映画になってしまう。決まったパターンは、飛び越えなければ壁なんだ」とも発言。

 

 

 

 

ネタバレ。

パスカル・ロジェは、どこかで善意を信じているのだろう。だから、善意の暴走をも描き出すのだろう。

 

パスカル・ロジェはインタビューで、「都市伝説はモンスターの存在ではなく、アメリカでは年間1000人の子供がいなくなり、まったく発見されないことそのものだ」とも言っている。

 

ジュリアの行動が正しいではなく、モラルにゆさぶりをかけ、議論されることを望んでいるのだ。そのため、お金の子や判断できる年齢になったジェニーの存在を丁寧に描いている。

これは、大きく見ると、国を捨てる移民の姿勢をも描いていると言える。

幼い子供の場合、親でない外の大人が判断を下す必要もあることを、今の日本の幼児虐待のニュースのたびに、児童保護関連の無力を見せつけられている現在、議題となりうるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

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