【俺は好きなんだよ】第1632回
『呪われた老人の館』(2021)
介護ホームに入った老女を超常現象が襲うが、認知症の症状だと取り合ってもらえないホラー。
原題は、『The Manor』(『領主の館』)
Manor(マナー)は、領主邸、〔中世の〕荘園の意味。
ちなみに、作法の方のマナーはManners。
製作国:アメリカ
上映時間:81分
スタッフ。
監督・脚本:アクセル・キャロリン
製作総指揮:サンディ・キング、リチャード・J・ボスナー、ジェレミー・ゴールド、マーシー・ワイズマン、リサ・ブルース、ジェイソン・ブラム
撮影:アンドレス・サンチェス
美術:トレイシー・ディッシュマン
編集:クリスティナ・ハミルトン=グロブラー、ロバート・ホフマン
音楽:クリストファー・ドレイク
出演。
バーバラ・ハーシー (ジュディス・オルブライト)
ニコラス・アレクサンダー (ジョッシュ/孫)
ケイティ・アマンダ・キーン (バーバラ/娘)
ブルース・デイビソン (ローランド)
ジル・ラーソン (トリッシュ)
ナンシー・リネハン・チャールズ (アネット)
フラン・ベネット (ルース)
シエラ・ペイトン (リーゼル)
マーク・スティガー (ミニオン)
シェリー・ロバートソン (エリザベス)
物語。
夫を亡くし、年を重ねるだけのジュディス・オルブライトは脳卒中を患う。
そこで、自ら歴史的な荘園をつかった介護ホームに入ってしまう。
孫のジョッシュはそれに不満をもらす。
彼女はそこで超自然的な何かを見る、。
だが、それは認知症の症状であると思われて、誰も信じてくれない。
本作は、アンソロジー「Welcome to the Blumhouse」シリーズの第8弾だそう。
amazonスタジオの映画。
主演は、『エンティティー/霊体』、『或る人々』、『インシディアス』シリーズのバーバラ・ハーシー。
共演は、ニコラス・アレクサンダー。
監督・脚本は、『ハロウィン2016』のアクセル・キャロリン。
女優としても、TVドラマのディレクターとしても活躍している。
老人恐い、老い怖いホラー。
落ち着いたペースで展開する、しっかりと構成された脚本。
老人ものではるが、パートナーに若い孫を配置して、観客の層を広げている。
ホラー映画にありがちな、超常現象の当事者はフィクションのルールで、知らないものは現実のルールで動くのを途中から、うまく融和させている。
老人のため、走って逃げられない、孫も若くて社会的に助けることができない。
館ものホラーで、美術など古い装飾がなかなかステキ。館自体の特徴はそこまで際立ったものではないけれども。
介護ホームなので、病院ものでもあり、出られない場所なので監禁もの、脱獄ものにもなっている。当然、老いることの恐怖もしっかりと組み込まれている。
小品ですが、近年の流行りのスタイルであるなめらかなミクスチャーによるホラーになっている。
映像はやや暗めなので、部屋をやや暗くして見るといいですよ。
後半驚きの展開があります。そこが強くて、まとめかたがやや雑ですが、バーバラ・ハーシーのおかげで、ある種の緊張感を保ちます。
大人向けホラーとして、年齢が上がったホラーファンも楽しめる。
ベテランの技が光る一本。
Amazon Prime Videoで2021年10月8日から配信。
ネタバレ。
後半は衝撃的な展開はするが、やや雑になる。
急に説明的になっちゃうのよね。
芝居もバーバラ・ハーシー以外はちょっと弱い。
実際、このネタかな、という想像の範囲は出ない。
だが、撮影やバーバラ・ハーシーによるジュディス、孫のジョッシュがいいし、ラストの選択には驚かされるけど、道徳的に好まない人もいるだろうね。
このブラックさは嫌いじゃないです。
系統としては、『ヘレディタリー/継承』と同じ方向だしね。
分解するとよくある話になってしまってもいる。
ぐっとまとめて、『世にも奇妙な物語』の一本になりそうな感じ。
好みのセリフ。
「きっと、新しい生きる理由が見つかるさ」
このセリフにある前向きさを魔術による若さを、他の人をいけにえにしてでも得ようとする迷惑なポジティブさが皮肉でもある。