goo blog サービス終了のお知らせ 

菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

金も河も世に流れる。 『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』

2017年02月19日 00時00分02秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1036回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』

 

 

 

韓国ではよく知られたキャラクターであり、朝鮮時代の伝説的天才詐欺師のキム・ソンダル(通り名)と呼ばれた主人公と仲間たちが国家をも巻き込んで繰り広げる一世一代の大勝負の行方を描いた時代劇エンタテインメント。

(※実在の人ではないそうです) 

 

監督は、長編2作目のパク・デミン。(脚本も)

 

 

 

 

物語。

1600年代の朝鮮。

清との戦争を辛くも生き延びたキム・イノンは稀代の詐欺師としてその名を轟かせていた。

力仕事担当の相棒ボウォンと弟分でまだ詐欺仲間には入れてもらえないキョンと母親役のような巫女のユンの4人のチームは、慣れ合わぬまでも、家族のように暮らしていた。

イノン、煙草の売買権を独占するソン・デリョンに目をつける。

ソン・デリョンは、清に煙草を売り、王をもしのぐ力を手に入れつつあった。

王の金塊も盗んでみせたイノンたちは、王を超えるというソンに一泡吹かせようと計画する。

 

 

 

 

出演。

ユ・スンホが、キム・イノンまたは鳳伊(ポンイ)、のちのキム・ソンダル。

 

コ・チャンソクが、相棒のボウォン。

ラ・ミランが、巫女のユン。

こういう顔の役者がメインを張るって、ホント大事。

物語の味が深まるよね。

 

 

シウミンが、弟分のキョン。

K-POPグループ・EXOのメンバーで、これが映画デビューだそう。

 

 

チョ・ジェヒョンが、ソン・デリョン。

チョン・ソクホが、部下のイワン。

ソ・イェジが、芸妓のキュヨン。

もうちょい活躍して欲しかったわ。

 


ヨン・ウジンが、王の孝宗。

キム・ヨンピルが、捕吏のソン・ジョンイク。

実は重要なのに、ここに深みが欲しかった。 

 

 

 

 

 

 

スタッフ。

撮影は、キム・ジョンジン。

音楽は、ファン・サンジュン。

ちょっと現代に寄り過ぎかな。 

 

 

 


朝鮮時代の重臣ソンを金持ちしか狙わぬ詐欺コンビが河を売りつける歴史コンゲーム・サスペンス。
韓国で有名な天才詐欺師キム・ソンダルのエピソードを脚色し、ルパン三世のような痛快なチームものとして描いている。
昔の詐欺なので手は力技だが、ツボを押さえた脚本と欧米的映画技法を駆使して、快活に見せきっていて気持ちよい。
評価は普通で映画史からはすり抜けていくだろうけど、面白かったぁと労いの娯楽作。

 

 

 

 

 

 

おまけ。

英語題は、『SEONDAL: THE MAN WHO SELLS THE RIVER』。

『知恵者:河を売った男』ってとこですかね。

キム・ソンダルについては、下記のややネタバレにて。

 

 

 

上映時間は、121分。
製作国は、韓国。

 

 

キャチコピーは、「民のためなら、国さえ騙す」

民のための部分は申し訳程度。

物語では、仲間のためなのよね。

金持ちしかターゲットにしない、ってのはあるけど。

歌舞伎町のTOHOシネマズで見たんだけど、あそこ今、アナウンスで客引きへの警告がずっと流れているのよね。

このキャッチコピーは近いものがある。

騙しの映画だから、キャッチコピーも騙していいものかね。

もっとシンプルに「命を賭けて、国を騙す」くらいでよかったのではないかな。

 

 

 

 

 

 

丁寧に、流れる、液体というモチーフを駆使した映画技法で物語っている。

詳しくはネタバレで。

欧米的映画技法をきっちり研究し、娯楽映画に反映させているのがわかる。
得意のチームプレイも楽しめる。
これが今の韓国映画界の強さ。 
これぞエンターテインメントな一本。

 

 

シウミンの人気のせいか、デカめのスクリーンでかかっていて、よかった。

最後には、主役と二人、短い特別コメントも流れていた。

なので、劇場では、女性がほとんどで、見回すと男性はおいらと初老の男性(奥さんの同伴かな?)の二人だけだった。

コン(騙し)ゲームものなので、ちょこちょこ、確認の会話が聞こえたのは、さもありなん、ってことで。

 

 

 

科挙は中国の一般人からの官吏登用試験で、登場したのが隋時代の598年。唐時代に制度が整えられ、宋時代に隆盛を極めたとのことで、1905年の清時代まで1300年以上も続いた。

科挙は、異様に難しい試験で受かれば皇帝直属の官僚になれ、一度受かれば三代安泰とも言われた。

合格率は、受験生一万人(受験資格も厳しい中で)のうち百人ほど。しかも、全過程は3年ほどかかる。

で、朝鮮でも近いレベルであったそうな。

とはいえ、一般人でも実力さえあれば、国の重職につける制度を6世紀には制度化できていたとは、なかなか興味深い。生まれと身分が重要な封建制度が19世紀頃まで、欧州でも東洋でも当たり前だったのに。

中国の紀元前からの歴史を考えれば、当然の帰結なのかもしれないけど。

日本じゃ、江戸時代後期で一般人の重臣への登用がようやくぼちぼちされてくるが、明文化された制度は明治までない。

一応、一般人からの成り上がり大名の代表格の北条早雲、斎藤道三、豊臣秀吉でも1500年代だからね。

 

 

 

 

 

 

ややネタバレ。 

キム・ソンダルは、実在の人物だそうですが、いわゆる物語で語られてきた人物なので、実際の人物像は明確ではないようです。

石川五右衛門、鼠小僧、一休さんとかに近い感じかな。

 

ネットでいろいろ調べてみると。

で、ソンダル(先達)というのは名前ではなく、科挙の武科に合格した後、未だ官吏の職位についていない人に与えられた呼称。 とはいいつつも、朝鮮末期には、周囲の人々に人望があったり、知者などの一般人もそう呼んだというのもあり、科挙合格者のみをさすわけでもないようです。

朝鮮末期の諷刺的な人物のキム・ソンダル(金先達)は、平壌の伝説的詐欺師として、韓国では広く知られている。

平壌出身の才士キム・ソンダルが都に来て、差別政策と低い門閥のために不自由な思いをしながらも、機知によって世の中を掻き回し、権力ある両班(ヤンバン)、裕福な商人、偽善的な宗教家を懲らしめる痛快なエピソードが伝わっています。

文献では、1906年の『皇城新聞』連載の小説が最初ですが、その前(19世紀頃)から、その武勇伝は知られていた模様。 
口伝では実名が出ていませんが、小説では金仁鴻(キム・インホン)という実名を使用しています。(映画ではキム・イノン)。

小説では、中年以降が書かれていて、若い頃は武術に長けていた青年だったので武科にも合格したという説もあれば、版本によっては、実はマラリアに罹ったふりをして試験を受けて、試験官が病気をうつされるのを怖がって近寄らなかったために、科挙に合格できたという説になっていたりするそうです。

そこが、映画でもちょっと曖昧になっていましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

どういう人物か、知らなかったから、楽しめた部分もあったけど、科挙に受かったのが有名なら、途中のしかけはバレバレで、ちょいとヌルいと思う。

 

 

流れる、液体のモチーフは、まずこういう映画でありがちな刃物で刺すキルの瞬間に特にきっちりと表れている。

刺す切る瞬間はなるべく見せずにその後の流れる血で見せている。

それはそのまま殺し側を鬼に見せる。

血と水=金=命にしているからね。

 

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2月17日(金)のつぶやき | トップ | 2月18日(土)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(公開映画)」カテゴリの最新記事