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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

私を連れて行って。 『プリシラ』(2023)

2024年04月22日 00時00分57秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2342回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

『プリシラ』

 

 

 

政界的スターのエルビス・プレスリーに見初められた少女プリシラが恋に落ちるロマンス・ドラマ。

キング(オブ・ロック)ことエルビス・プレスリーの妻だったプリシラ・プレスリーが、1985年に発表した回想録『私のエルヴィス』を脚色し、実写映画化。

 

プリシラ (2023):作品情報|シネマトゥデイ

 

原題は、『PRISCILLA』。
『プリシラ』。

 

製作年:2023
製作国:アメリカ
上映時間:113分
映倫:PG12

 

配給:ギャガ  
 

 

物語。

1960年代西ドイツ。
14歳の少女プリシラは軍人の父の仕事の関係で、故郷テキサスから離れ、西ドイツで暮らしている。
ある日、軍の音楽担当から、軍役についているエルビス・プレスリーのパーティに誘われる。
ホームシックのエルビスのために、同郷の女性を呼んでいるようだった。
しかし、厳しい父と母から、反対される。
プリシラは、なんとか両親を説得し、パーティに行く。

 

監督が、『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』のソフィア・コッポラ。

主演は、『パシフィック・リム アップライジング』のケイリー・スピーニー。
彼女は、第80回ベネチア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。

もう一人の主役と言えるエルビス役には、『Saltburn』『キスから始まるものがたり』のジェイコブ・エロルディ。

音楽は、フランス出身のロックバンド<フェニックス>が担当。

 

 

スタッフ。

監督・脚本:ソフィア・コッポラ
製作:ソフィア・コッポラ、ロレンツォ・ミエーリ、ユーリー・ヘンリー
製作総指揮:プリシラ・プレスリー、ロマン・コッポラ、フレッド・ルース、クリス・ハッチャー
キャスティング:コートニー・ブライト、ニコール・ダニエルズ、ジョン・バカン、ジェイソン・ナイト

原作:プリシラ・プレスリー、サンドラ・ハーモン  『私のエルヴィス』(新潮社刊)

撮影:フィリップ・ル・スール
プロダクションデザイン:タマラ・デヴェレル
衣装デザイン:ステイシー・バタット
ヘア・デザイナー:セリオナ・フューリー
メイク・デザイナー:ジョー=アン・マクニール

編集:サラ・フラック
音楽:フェニックス
音楽監修:ランドール・ポスター

 

 


出演。

ケイリー・スピーニー (プリシラ)
ジェイコブ・エロルディ (エルヴィス・プレスリー)

ダグマーラ・ドミンスク (アン・ボーリュー/プリシラの母)
アリ・コーエン (キャプテン・ボーリュー/大尉/プリシラの継父)
ティム・ポスト (ヴァーノン・プレスリー/エルヴィスの父)
リン・グリフィン (ドッジャー/エルヴィスの祖母)

オリヴィア・バレット (アルバータ)
ダニエル・バーン/ダン・バーン (ジョー)
ダン・アブラモヴィッチ (ジェリー)
ロドリゴ・フェルナンデス=ストール (アラン/ホッグ・イアーズ)
ステファニー・ムーア (ディー)
ルーク・ハンフリー (テリー・ウエスト)
ディアナ・ジャーヴィス (キャロル・ウエスト)

 

 

 

『プリシラ』(2023)を観賞。
60年代西ドイツ、政界的スターのエルビス・プレスリーに見初められた14歳の少女プリシラが恋に落ちるロマンスドラマ。
キングことエルビス・プレスリーの妻だったプリシラ・プレスリーが、1985年に発表した回想録『私のエルヴィス』をソフィア・コッポラが脚色と監督をして、実写映画化。
オーストラリア映画『プリシラ』(1994)のリメイクではない。
プリシラとエルヴィスの話だけに絞られて語られる。
劇中でプリシラがエルヴィスと出会ったのは9年生なので14歳。アメリカは小中高が6-2-4と5-3-4の2制度があり、9年生は高校一年生となる。エルヴィス・プレスリーがプリシラと出会ったのは24歳(10歳差)。
男性による女性抑圧について、告発する物語。
細かく丁寧な目くばせがあり、劇中でエルビヴィスが弾く『Whole Lotta Shakin' Goin' On』はキラーと呼ばれたジェリー・リー・ルイスの曲で、彼は22歳(1957)の時に13歳のマイラ・ゲイル・ブラウンと結婚しており、スキャンダルとなる。劇中ではすでに知られた事実で、これで彼はアメリカでは10年近く低迷する。エルヴィスはこれを恐れた(セッションしている知人)と思われる。映画『グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー』に詳しいが、今作は、この映画へのアンサーとさえいえる感じになっている。昨年ヒットしたバズ・ラーマンの『エルヴィス』と対比する内容でもある。(ちなみにプリシラを演じるオリヴィア・デヨンジ)。
映画を牽引するのは、どんどん変わっていくプリシラ役のケイリー・スピーニー。彼女は今作でベネチア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。もう一人の主役エルビス役はジェイコブ・エロルディで少女マンから抜け出してきたかのような美青年で『エルヴィス』でエルヴィスを演じていたオースティン・バトラーとは違って、甘さで押してきます。
支配的な内容は、リアルで、もはやホラーともいえる内容。たとえば、二人の身長差は40cm(155cmと195cm)あり、大人と子供に見える。
キングへの告発的な内容ゆえ、エルヴィス側からは映画化の許可は出ていない。
ソフィア・コッポラのいとこのニコラス・ケイジは、プリシラ・プレスリーの元義理の息子だったりする。(ちなみに、プリシラ・プレスリーは芸名で現在も存命で実業家。『裸の銃を持つ男』シリーズの出演でも知られており、リサ・マリー・プレスリーは娘、ライリー・キーオは孫娘。
『マリー・アントワネット』の姉妹編のようにも見えるが、その技の精度は格段の違いがある。
室内撮影が群を抜いている陶酔感。撮影は『グランド・マスター』などの名手フィリップ・ル・スール。
整理された構成で、テンポよく進み、こての伝記映画として有名人の妻ものの中でも出色の出来となっている。
映画における伝記の語りはどんどん発展しており、ただエピソードを並べたものは、もはや映画的な弱さを表明している状態。その点で『エルヴィス』にもあり、この2本を並べてみることに非常に受け取るものが多い。あちらのもう一人の主役であるパーカー大佐(演じたのはトンム・ハンクス)はこちらでは姿を見せないことで、さらにつながってくる。
リアルながら世界を主観的にとらえる現代的映画話法がうまく機能しており、美術などもそれを意識されているのがわかる。
美術はこの映画の見どころになっている。衣装と髪型を見ているだけで、タイムスリップできる。
音楽的な楽しさは薄いが、フランス出身のロックバンド<フェニックス>が音楽を手がけて、浮遊感ある映像と相まって60年代の空気感とつくり、プリシラの気持ちを取り出す。
ここで描かれる王様とお姫様の関係は、ディズニー的な寓話の裏返しになっている。
絵本の角で一撃食らわせる一本。


Priscilla, 5 curiosità sul film ispirato ad Elvis Presley - Rumors.it

 

ソフィア・コッポラ監督映画『プリシラ』の挿入曲32曲とサントラ&予告編紹介 | 解説付き全曲紹介Filmmusik

 

Priscilla

 

 

『マンティコア 怪物』を見た後で、『プリシラ』(2023)を見るとさらにホラーになります。
映画は、何本かをどう繋げて観るかで全く印象が変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

エルヴィス・プレスリー・エンタープライズは、映画化と、映画内でエルヴィス・プレスリーの曲の使用の許可を出さなかった。

娘のリサ・マリー・プレスリーは脚本を読んで、撮影前に元親戚のソフィア・コッポラに、「この映画に父の面影はない」などと批判的なメッセージを送ったが、撮影後の数か月後に亡くなっている。

 

撮影は、30日かからなかったそう。

 

撮影はデジタルカメラArri Alexa 35で行われている。
これは、ソフィア・コッポラ作品としては、『ブリングリング』(2013年)に次いで2本目。
他の映画は、35mmと16mmで撮影されている。
デジタル加工のためと低予算がその要因。

 

『プリシラ』(1994)のアメリカリメイクは、『3人のエンジェル』だと思われているが、あれはよく似たオリジナル作品。

 

 

実際のプリシラの身長は163cm、エルヴィスは182cm。

プリシラがエルヴィスの元を去ったのは、1973年で、28歳だった。

 

プリシラの本名は、Priscilla Ann Wagner。

 

『エルヴィス』ではパーカー大佐による支配の下にエルヴィスがいて、『プリシラ』ではエルヴィスによる支配の下にプリシラがいる。

 

 

 

 

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