菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

何を売り、何を売らないか。 『工作 黒金星と呼ばれた男』

2019年07月26日 00時00分32秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1550回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『工作 黒金星と呼ばれた男』

 

 

 

 

“黒金星(ブラック・ヴィーナス)”というコードネームで活動した韓国人スパイが、北の政権中枢を相手に展開する緊迫の工作活動の行方と韓国大統領選挙において水面下で進行していた陰謀の顛末をスリリングに描き出す実録ポリティカル・サスペンス。

北に起業家として潜入した実在の韓国工作員の衝撃の実話を映画化。

 

 

監督は、『悪いやつら』、『群盗』のユン・ジョンビン。

 

 

 

物語。

1992年、韓国軍の情報司令部の少佐パク・ソギョンは国家安全企画部のチェ・ハクソン室長に呼び出される。
用件は、スパイとして北に潜入し、核開発の実情を探ってほしいといおうことだった。それが韓国を守るゆういつの道だと説得される。
黒金星(ブラック・ヴィーナス、またはフックムソン)というコードネームを与えられたパクは、やり手の実業家になりすますと、北京に渡る。北の重要人物とされる北京駐在の対外経済委員会所長リ・ミョンウンへの接触のチャンスを窺う。

 

脚本は、クオン・ソンフィ、ユン・ジョンビン。

 

 

 

 

出演。

ファン・ジョンミンが、パク・ソギョンこと黒金星。

イ・ソンミンが、リ・ミョンウン所長。
チョ・ジヌンが、チェ・ハクソン室長。
チュ・ジフンが、チョン・ムテク。
キム・ホンパが、キム・ミョンス。

キ・ジュボンが、キム・ジョンイル。

チョン・ソリが、ホン・ソル。
キム・ウンスが、キム部長。
チェ・ヨンが、ファン・ビョンチョル。
パク・チニョンが、キム・チャンヒョク教授。
ナム・ムンチョルが、パク議員。
チェ・ビョンモが、ユ議員。
キム・イヌが、清原ヒトシ。

 

 

スタッフ。

プロデューサーは、クク・スラン。

撮影は、チェ・チャンミン。
照明は、ユ・ソンムン。

美術は、パク・イリョン。

武術は、ホ・ミョンヘン、チェ・ボンノク。
助監督は、キム・ジョンホ。

音楽は、チョ・ヨンウク。

 

 


90年代朝鮮半島、韓国工作員が実業家として北朝鮮の中枢に入り込んでいく実録スパイ・ポリティカル・サスペンス。
実在の韓国工作員の衝撃の実話を映画的整理はあるも90%は本当と言い切る映画化。
ひたすらに地味に工作を進めていく様の緊張感が尋常じゃない。些細なミスが命取りになる中、交渉で切り込んでいく手口を見せていく実話ならではの丁寧さに拳が震える。
信頼を得るための技の数々は意外にも実直。
ファン・ジョンミンの抑えに抑えた演技するスパイの様にまさか胸を熱くさせられるとは。イ・ソンミンの絶対零度に低温火傷。
冷たく始め、熱く進む。
撮影の的確さも刺さる。
スパイたちの葛藤にこちらも揺さぶられる。
今後、スパイものを語るときに必ず出てくるジャンルの金字塔。
ガジェットも適度に出てきます。
魂を売らないために表情で覆う顔作。

  
 
 

 

 

おまけ。

原題は、『공작』。
『工作』

英語題は、『The Spy Gone North』。
『北へ行ったスパイ』。

 

邦題は、「こうさく ブラックヴィーナスとよばれたおとこ」と読みます。

 

 

上映時間は、137分。
製作国は、韓国。
映倫は、G。

 

 

 

受賞歴。

2018年の第55回大鐘賞映画祭にて、男優主演賞(イ・ソンミン、ファン・ジョンミン)、美術賞(パク・イリョン)を、受賞。
2018年の第39回青龍映画賞にて、監督賞、美術賞(パク・イリョン)を、受賞。
2019年の第55回百想芸術大賞にて、作品賞、男子最優秀演技賞(イ・ソンミン)を、受賞。

 

 

 

 

キャッチコピーは、「誰も知らなかった南と北の裏の裏の裏」、「北に潜入した工作員の見た祖国の闇には、驚愕の真実が隠されていた――」。

そうではあるのだが、描かれるのはある男の心を隠した魂の行動であり、スパイが何かを隠すのかというところでもあったので、そこも表して欲しかった。

「二つの心でもぐりこむ」とか「二つの心を隠し、孤立無援で挑む」とか。 

 

 

 

 

 

 

 


 

ややネタバレ。

映画では描かれないが、重要な会合の時は、皮膚下に埋め込んだ録音機なども用いていたそう。

 

金大中(キム・テジュン)のある事件を描いた『KT』という映画もあります。

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

演技するスパイの部分を強調し、実在の独裁者の前での交渉を見せきった数少ないスパイもの。

スパイものではないが、『ラストキング・オブ・スコットランド』を思い出した。

  

 

 

最後まで見ると、偶然助かったかのように見えた最初のホテルでの面談も、リ所長にとっても重要な人物故救おうという思いがあったゆえと分かる。(もちろん、幹部の息子を救うために金がいたのだから、当然なのだが)

 

偽物のロレックスと北朝鮮カラーのネクタイピンを贈り合う時の裏の気持ち、だからこそ、意図せぬ再会(生きていたら来るかもという思いはあったかも)で見せ合うことが出来た。これぞ映画のシャレード。
心は秘密の形に留められる。

 

 

 

 

 

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