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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

銃火で焼いた目玉焼きを醤油、ケチャップ、マヨ、胡椒で食らう。  『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』

2010年05月21日 00時00分50秒 | 映画(公開映画)
 
で、ロードショーでは、どうでしょう? 第139回。



「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』

 







ジョニー・トーの名品2作『ザ・ミッション/非情の掟』と『エグザイル/絆』に続くノワール・アクション三部作の最終章。
だから、タイトル的には『ヴェンジェンス/約束の銃弾』とかの方が雰囲気だったかもなぁ。

で、“三部作”と、よく書いてあるけど、これは、“三部作”っていうものなのだろうか?
これで終わったともいってるわけでも無し。
(ただし、ジョニー・トー自身は、このジャンルからのしばし撤退を表明)
3作どれも似ているけど、つながってるわけのは、同じ名前の主要キャラ、鬼(クワイ)が出てくること。
なので、鬼シリーズ三作目というのがしっくりくるかな。



ジョニー・トー作品に触れてきた方には、ニヤニヤが止まらないほどのジョニー・トー節の変奏曲をこれでもかと堪能できます。
逆に見たことない方には、そのこなれたいぶし銀にうなることでしょう。

やはり、ジョニー・トー印といえば、食事シーン。
ジョニー・トー作品は料理と食事のシーンが重要で、会話よりも饒舌に語り、心を表していくんですな。
それが、いつもより大盛りになってます。
オープニングから、てんこ盛りです。
もちろん、いい意味でも、悪い意味でも。
はっきりいっていつもの1.5倍な感じです。
銃声も、料理も、血煙も、仁義も。
逆にいうと、少々、油が安くなった感じもします。
アンソニー・ウォンに、サイモン・ヤム、ラム・シュといったいつもの顔はがっちりと物語を牽引してくれてるんですけどね。
けれど、ジョニー・アリディというバターがいい感じでクリーミーにしていて、舌触りはソフトになっていますけどね。


特に、上下に展開されるアクション・シーンは、さすがの一言。
タイトルに入れたくなるほどの雨がまたよい。
冷たい雨が降り、敵の刺客は揃いのレインコート、濡れた足元のおぼつかなさまで、ガンファイトの緊張をガンガン高めてくれて、もう笑けてきちまいますもの。
そこに、友情の赤い花。
これは、ジョニー・トーのファンタジー世界なんです。
なにがあってもコートとサングラスは崩れないのですから。
そこにノレるかノレないかが、分かれ目。
おいらはのっちまいましたが。




そうそう、実はジョニー・トー作品では珍しく、脚本があったそう。
そもそも、多くの香港映画の現場では脚本が存在しないことも多いのです。
出演俳優も「トー監督の現場では、毎朝現場に行くとその日に撮影する分のセリフのメモを手渡される。俳優が前もって映画の全体像を把握するのは不可能なんだ」とインタビューで答えています。
あと、前作『エグザイル/絆』は2年、『スリ/文雀』は4年と別の作品をしながら撮り続ける際でも、そうしていたそう。
しかし、さすがにフランス製作で、フランスの大スターを主演に起用している作品ではそれは最初から無しとの契約だった模様。
ただ、いつもどおり、現場では変えたでしょうけど。




男になった男の子によるフィルムノワールにほんのり火の色が射している。
ハードボイルドは、固く茹でたゆで玉子のこと。
ジョニー・トーのハードボイルドは、ハードだけど、ユーモアがマイルドにさせている。
いわば、白身は固いけど、黄身はとろとろの半熟のハード&マイルドボイルド。
この味は癖になりますぜ。
ただ、ゆで玉子というよりは、半熟のサニー・サイドアップ(片側だけ焼いた目玉焼き)って感じですがね。
もうね、トーさんのフランス料理も取り込んだ中華の技を堪能できること請け合いです。






真っ向、中華な『エレクション』の続編もようやくDVDで出たことだし、それを味わったら、次回作のリーアム・ニーソン、オーランド・ブルーム、チョウ・ユンファが出るフランス映画のリメイクを待つとしますか。
トーさんの中華から、洋食への挑戦を舌を長くしてね。




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