菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

喪失の失踪。 『愛のタリオ』

2017年05月29日 00時00分32秒 | 俺は好きなんだよ!

【俺は好きなんだよ】第926回は、『愛のタリオ』(2014)

 

 

英語題は、『SCARLET INNOCENCE』。

『紅い無垢』ですね。

『スカレット・レター』にもかけているのかしら。

 



上映時間: 112分
製作国: 韓国
映倫: R18+

 

 

スタッフ。

監督: イム・ピルソン
脚本: チャン・ヨンミ、イム・ピルソン
撮影: イ・スンジェ
音楽: モグ

 


出演。

チョン・ウソン  (ハッキュ)
イ・ソム  (ドク/セジョン)
パク・ソヨン  (チョン)
キム・ヒウォン  (チェ氏)

 

 

キャッチコピーは、「欲望に溺れ、愛は沈む。」

 
 

物語。

そこそこの小説家で大学教授のハッキュは、スキャンダルでソウルの大学を追われ、病気の妻と娘を残したまま、片田舎でしがない小説講座の講師の仕事に縋りつく。

そこで、口のきけない母の世話と田舎の退屈な毎日に辟易していた純朴少女ドクと出会う。

互いに満たされない思いを抱えていた2人は激しい愛に溺れる。

しかし、ハッキュは友人のツテで大学への復帰が決まり、ソウルに戻ることになる。

しかも、ドクが妊娠したことが発覚する。

 

 

 

 

『私の頭の中の消しゴム』、『アシュラ』のチョン・ウソンが欲望のままに少女の純愛を弄び、やがて因果応報の破滅へと堕ちていく大学教授を演じる愛と復讐の官能サスペンス。

 

 

共演は、モデル出身のイ・ソムと『レッド・ファミリー』のパク・ソヨン。

監督は、『南極日誌』、『ヘンゼルとグレーテル』のイム・ピルソン。

 

 

 

 

"タリオ"はラテン語で、「眼には眼を」というハンムラビ法典的な復讐の意味だそう。

 そういえば、『眼には眼を』 (1957)って、サスペンスの佳作がありましたね。

 

こちらは、いわば、若い女性版の『危険な情事』(鍋に異物オマージュもある)なのだが、元々ある韓国の昔話(冒頭にも字幕で示される)を敷くことで、まるで違った物語を提示していく。

見せ場のみを応用している。

日本やハリウッド(特にディズニー)が得意としてきた、名作、古典の換骨奪胎、自国の物語にそれらの語りを取り入れる方法論、ベースを残してのメロディのアレンジというテクニックを韓国映画界も定番の方法として獲得している。
そこにアクションや新しい撮影方法、エロスを加えるなどの娯楽的味付けをして、観客に届けることにも手を抜かないものも多い。

これもその一本。

 

イ・ソムが美人過ぎない純朴で童顔なのがちょうどよいのよね。でも、モデルなので、スタイルは抜群なのもまた隠した欲望や執念を感じさせていいんですよ。

 

娘役のパク・ソヨンは美系なので、危なさと切なさが倍増してます。 

彼女の方でもドラマが描けそうなくらいですから。

韓国のコクのある濃厚ドラマです。 

 

 

 

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