『(まんがと図解でわかる)天皇のすべて(日本人なら知っておきたい天皇のお仕事と歴史が理解できる!)(別冊宝島1910) 』
所 功 (監修)
宝島社 (発行)
B5判、ソフトカバー、144ページ
2012/10/12発行
ISBN-13 978-4-8002-0163-8
NDC分類: 288.41
定価 :840円(税込み)
内容(下記出版社の紹介ページより)
累計140万部を突破した「まんがと図解」シリーズ。今回のテーマは天皇です。天皇の歴史や興味深いエピソード、祭祀や公務、日常生活といった日々の過ごし方はもちろんのこと、法的位置づけや皇位継承権にまつわる問題といった制度的なトピックなど、多彩な側面から天皇についての基本的な知識を整理、紹介します。監修は皇室に関する研究では第一人者の所功氏。井沢元彦氏(歴史小説家)×島田裕巳氏(宗教学者)の対談や石平氏の寄稿「中国からみた天皇の存在」などを収録した豪華盛りだくさんの一冊です。
監修者のことば 天皇こそ日本のソフトパワー モラロジー研究所 教授 所 功 p.02
目次 p.04
人物紹介、本誌の読み方 p.06
序章 天皇は日本にとってどんな存在か? ――「日本らしさ」の由来―― p.07
[まんが Introduction] 「天皇は象徴」の意味とは? ――君が代の「君」が示するもの―― P.08
なぜ天皇が重要なのか? 日本の「日本らしさ」は天皇の存在にある p.14
対談 井沢元彦×島田裕巳 「日本人らしさ」の由来を考える 日本にとって「天皇」とは何か? p.16
第1章 皇室の「歴史」をふり返る ~古代から近世まで ――権力と権威の関わり―― p.21
[まんが Chapter1] 武士の時代にも残った天皇 ――権力者から権威者となる―― p.22
[1] 神話の世界と歴史の伝説をつなげる初代の天皇 神武天皇 p.28
[2] 4名の皇族将軍を派遣して国内の統一に乗り出す 崇神天皇 P.30
[3] 九州から朝鮮まで遠征し、摂政としても活躍 神功皇后 P.32
(中略)
[15] 江戸幕府の干渉に堪えかねて譲位 後水尾天皇 p.52
[16] 黒船に動揺する幕府と対峙して権威を回復 考明天皇p.54
column1 世界で王室をもつ君主国 p.56
第2章 皇室の「歴史」をふり返る ~近代から現代まで ――維新、大戦を経て現在へ―― p.57
[まんが Chapter2] 明治時代と天皇の復権 ――時代が求めた絶対的トップ―― p.58
[1] 満16歳の若き天皇を中核に実現した王政復古と革新 明治天皇(1) p.66
[2] 文明開化の波を受け入れつつ和の心を重んじた 明治天皇(2) p.68
[3] ランドセル、桜、神前結婚式などの風習は大正天皇から 大正天皇 p.70
(中略)
[6] 新しい憲法のもとで皇室にも新しい風を吹き込む 今上天皇(1) p.76
[7] 「国民とともに歩む」平成の世が求める象徴天皇 今上天皇(2) p.78
column2 天皇家125代略系図 p.80
寄稿 中国から見た日本の天皇の不思議、そこに流れる知恵 石 平 p.82
第3章 皇室の「暮らし」をのぞいてみよう ――天皇の仕事や日常―― p.85
[まんが Chapter3] 天皇と「祈り」 ――天皇の最も大切な仕事とは―― p.86
[1] 天皇は、普段どんな生活をしている?
祭祀や会見、書類の決裁など 日々、分刻みで公務に追われる p.94
[2] 天皇はどんなところに住んでいる?
皇居は緑に囲まれ 宮殿や研究室などもある p.96
[2] 宮中祭祀とは、どんなことをしている?
国家と国民のために 神々に安泰と豊穣を祈っている p.98
(中略)
[9] 皇族の結婚はどのようにして決まる?
若いうちからお妃選びが始まり 皇室会議で最終決定される p.108
[10] 崩御したら「土葬」というのは本当?
飛鳥以前と江戸以降は土葬だが今後は火葬になる p.109
column3 さまざまな天皇の公務と宮中祭祀 p.110
Chapter4 皇室の「あり方」について考える ――皇室のシステムと「これから」―― p.111
[まんが Chapter4] 天皇と皇位継承問題 ――女性天皇と女系天皇、その違いとは―― p.112
[1] 天皇は日本の神道に関してどんな位置づけなのか?
日本人の心に宿る神道の祭儀における最高の権威 p.120
[2] 皇室の御紋はなぜ菊なのか?
放射状の太陽光線に似た菊の花 パスポートにも使用されている p.122
[3] 天皇・皇族には国民の権利と義務があるか?
特別身分に伴う役割がある 一般的な人生の自由はない p.123
(中略)
[10] 天皇・皇族はなぜ特別に尊いのか?
皇室は日本の国柄を象徴する 無窮の皇統(血統)と至高の徳望(品格) p.134
[11]皇室には“正しい”呼び方がある?
天皇は天皇陛下または今上天皇 愛子さまは敬宮さまか愛子内親王殿下 p.136
column4 皇室制度の基本法となる「皇室典範」 P.138
〈さくいん付〉 天皇についてよくわかる用語集58 p.140
参考図書、奥付け p.144
萌え本分類:解説書型。
ナビゲーター:まんがの登場人物。高3女子の「菻」、従兄弟で大工の「悠一郎」、その祖父「一(はじめ)」と父親の「宗一郎」など。
カバー表紙:タイトルは横書き。タイトルの字色は赤、サブタイトル部分は橙色に黄色・白。寝殿造りの建物を背景に、幣を手に持つ巫女姿の主人公のイラスト。
中表紙:メインタイトルと皇室の紋章である「金色の十六葉表菊紋」を配する
折込ポスター:なし。
本文:縦書き、四段組みが基本。図解部分は横書きが主体で変形配置も多用される。
構成・設定: 巻頭の16頁はカラー、以後巻末までは黒紫の二色印刷。
序章は6頁のイントロ漫画と「皇統による天皇の重要性」、歴史小説家の井沢元彦氏、宗教学者の島田裕巳氏による対談。
本文の4章では章表紙にイラストと緒言、関連和歌一首を配し、章頭には6~8頁のストーリー漫画、以後は1~2頁単位の解説部が続く。漫画部分は「推薦入学の決まった女子高生が、従兄弟で見習い大工の彼氏との付き合いや巫女のバイトなどを通じて天皇・皇室についての理解を深めていく」という展開。
おのおののChapterでは、前半2章が代表的天皇19人の紹介で、見開き2頁では右側の偶数頁に縦書きのタイトル、基本データ、人物イラスト、四段組みの解説文などを、左側の奇数頁には解説文一段の他に図解、キーワード、項目のポイントまとめを配し、あいづちキャラもここにいる。1頁項目の場合、主に図解部分が省略・縮小されている。後半の2章では皇室の日常とこれからがテーマで、タイトルは横書き、解説部が残り3段。図解とpoint整理(結語)、という構成。
2章と3章の間に、中国問題評論家の石 平氏の寄稿3頁、巻末には「皇室典範の全文」とさくいんを兼ねた用語集4頁がある。
各章一~二か所の「図説内の漫画カットでストーリーが進行する」点、解説部分や索引内の「あいづち」要員をナビゲーター2人が担当する点はシリーズ共通で本書でも継承されている。
評価:
萌え絵度: ストーリー部分、挿絵部分とも現代漫画風。 表紙イラスト、漫画部分、章扉イラストと本文(あいづち)カットの担当は各々、加茂さん、葉月さん、南ともさんの3名。本シリーズの特徴「イラスト分業体制」は本書でも継続しているが、前書『 -世界史』に引き続き、表紙・章扉・漫画の登場キャラクターが統一されている。キャラクターの統一感はOKで、何故に3人分業なのか?というもやもや感がその分顕著。本書では漫画部分と解説本文との間に直接のつながりはないが、息抜きとしての効果はよい感じに納まっている。
テーマ萌え度: 監修の所功氏は、歴史・法制史学者。皇室の歴史についての造詣が深く、皇室関係の著書を多数出版されている。解説の記述も単純な皇室賛美/反皇室論にかたよらず、初心者向けに分かりやすく解説されており、皇室の歴史から、現況、今後の問題点に至るまでが網羅されている。
萌え本的意義: 宝島社発行のB5版萌え本『まんがと図解でわかる 』シリーズとしては、
『
-ドラッカー(1710) 』
『
-ニーチェ(1729) 』
『
-ドラッカー リーダーシップ論(1750) 』
『
-正義と哲学の話(1767) 』
『
-空海と密教(1781) 』
『-決算書(1794) 』
『-7つの習慣(1805) 』
『
-ドラッカー 使えるマネジメント論(1823) 』
『 ぜんぶマンガで簡単にわかる ドラッカー超入門(1840) 』
『-マーケティングの神様 コトラーの思いやり仕事術(1841) 』
『
-スティーブ・ジョブズ逆転の発想術(1884) 』
『
-世界史(1892) 』
に続く第13作目。文庫、書籍などを入れると16冊目。
古代史、神話、特定時代のキャラクターなど歴史関係の書籍は多いが、天皇制自体に直接言及された萌え本としてあげられるのは、『萌ゆる神の国 』(イカロス出版、07/10)くらいか。
総合萌え度 :★★★☆☆
紹介ブログ記事:
YUSUZUのブログ 2012年10月18日づけ記事
別冊宝島「天皇のすべて」
http://yusuzu-kobe.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-8bd8.html
「 監修を見たら所功先生でした。
丁寧な解説に納得です。」
監修、所 功氏の公式サイト:
所 功 Official website
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~tokoroi/
宝島社 の
紹介ページ:
http://tkj.jp/book/?cd=20191001
詳細目次、著者の略歴あり。
内容紹介(18ページ分)へのリンクあり。
Amazon.co.jp の
紹介頁
オンライン書店bk1(honto) の
紹介頁
楽天ブックス の
紹介頁
セブンネットショッピング の
紹介頁
紀伊国屋書店BOOK WEB の
紹介頁
付記:
Amazon、公式サイト上、本誌の発売日は総て10月12日で一致。
本書は『まんがと図解でわかる- 』シリーズ中で『
-ドラッカー(1710) 』につぎ、二冊目「別冊宝島 study 」とサブタイされた作品である。上記Amazonのサイト内ではそのように表記されているが、宝島社サイトの紹介ページではこの分類は表記されておらず、何のための仕分けなのかよくわからない。
10月15日、市街地の書店店頭で購入。