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萌ゆる神の国!

2012年10月24日 | ★★☆☆☆
『 萌ゆる神の国! 』
鈴木 ドイツ (著), 田中 松太郎 (イラスト)

 
イカロス出版 (発行)
A5版、ソフトカバー、270ページ
2007/10/10 発行
ISBN-13 978-4-87149-993-4
NDC分類: 302.1
定価 :1,500円(税込み)


 内容(下記出版社の公式ページより)
「美少女キャラを交え、歴史・外交・安全保障などについて主張する「萌え系オピニオン書」が誕生! 巫女さんみたいな女神さまが、日本の歴史、憲法、蓮国神社、安全保障などを分かりやすく解説します。 」


(コミック) 今の日本はどうなっているの? P.04
登場神々(+人物)紹介 p.12
目次 p.14
第一章 日本の神話と神々 p.15
 日本のなりたち p.16
 天皇の成立 p.36
コラム 農耕の定着 p.42
第二章 天皇と皇室 p.43
(コミック) 女性の天皇は本当にいけないの? P.44
 天皇とはなにか p.48
 天皇の意味 p.65
第三章 日本の憲法 p.73
(コミック) 日本国憲法はどこ生まれ? P.74
 日本国憲法のなりたち p.80
 武器と戦争 p.85
 憲法改正と各国の憲法 p.108
萌ゆる神の国 女神絵巻 p.119
第四章 あの戦争と国旗・国歌 p.127
(コミック) 日の丸と君が代って、何か悪いことしたの? P.128
 大東亜戦争はなぜ起こったか p.134
 支那事変とは p.146
 コミンテルン p.157
 国旗と国歌 p.176
第五章 核兵器、そして靖国神社 p.187
(コミック) これが抑止力?危険なあのコが乱入! P.188
 核兵器と日本 p.194
 靖国神社をめぐって p.209
 日本の戦後補償 p.223
第六章 日本を護るために p.231
 ネットを通じて p.232
 日本の安全保障と日本文明 p.236
 わたしたちの選択 p.250
(コミック) 最終章 日本を護っていくのは… p.258
あとがき(鈴木ドイツ) p.264
おもな参考文献 p.266
あとがき(田中松太郎) p.267
既刊紹介 p.268
奥付け p.270


萌え本分類:擬人化、解説書型。
ナビゲーター: 天照大神(美女)と、大和撫子や日本国憲法、左翼少女、米国産核兵器などを象徴するオリジナルの神×7柱(全員美少女)。

カバー表紙:タイトルは横書き。タイトルの字色は青鼠と白の縁取りつきの黄~緑、赤~黄色系グラデュエーション。表裏のカバー全面に渡る、神社を背景としたナビゲーターの女神8柱の集合イラスト。
中表紙:タイトル(縮小版)とナビゲーター8柱(SD版主体)の集合イラスト。
折込ポスター:なし。本文中ほどにカラーグラビア「萌ゆる神の国 女神絵巻」8頁あり。
(カバー下、本体表裏表紙にモノクロイラスト)
本文:縦書き、1段組み(脚注あり)。コラム部分は横書き、二段組み。
構成・設定: 巻頭から目次まで14頁とグラビア「萌ゆる神の国 女神絵巻」8頁はカラー、その他はモノクロ印刷。この構成は、同社発行の『 萌えよ!戦車学校 (X型) 』シリーズの流れを汲む。
朝のお掃除を寝坊でサボったせいで、人間界で修業を積むように高天原から降ろされた「天見倣井撫子比売(あめの ならいの なでしこひめ)」が、偶然知り合った左翼少女「左頼子(ひだり よりこ)」や地上の様々な神様といっしょに、日本の国のなりたちや天皇制、現行の日本国憲法、太平洋戦争、日本の国旗や国歌、核兵器と靖国神社のあつかい、これからの国防などについて学んでいく、という構成。第二から第五の各章ではそれぞれの章頭に6~8頁の漫画、その後に本文の解説が続く。
カバーを取るとおまけのイラストが現れたり、各章のテーマごとに担当の神様が増えていく(章扉はその神様のイラスト)点など、全体の構成はよく練られている。
参考文献一覧はあるが、索引は付属しない。


評価:
萌え絵度:  イラスト担当は田中松太郎さん。萌え擬人化としての完成度は高く可愛らしさとお色気のバランスも良好。
テーマ萌え度:
可愛くて健康的に色っぽい漫画とイラストを多用した萌え本の体裁をとってはいるが、
万世一系の皇室論、侵略戦争はなかった論、コミンテルン悪者説、憲法改正論議など、内容はバリバリの右翼系書籍である。
狂言回し役の左翼少女(色気なし)が、メガネを取ると実は美少女だったりするあたりもお約束であるが、そこでウヤムヤに全体の論議を〆でしまうあたり、結構あざとい。
第5章から登場する米国産の金髪爆弾肉体女神、「核兵器火雷神(さねのいくさうつわのほのいかづちのかみ)」の能天気ぶりが、3.11以降のいまとなっては清々… イヤ痛々しい。

萌え本的意義: イカロス出版発行の萌え本としては『 萌えよ!戦車学校III型 』(08/06)に続く15冊目にあたり、姉妹書『萌ゆる古事記 』(08/12)が続刊。
上記の書籍紹介に「萌え系オピニオン書」とある通り、右傾的な思想信条を打ち出した書籍である。その嗜好についての是非はともかく、萌え本としての完成度は同社発行の他シリーズを凌ぎ、『萌えよ!戦車学校 』シリーズに匹敵する良作。カウンター役の「左翼ちゃん」は唯一の人間(他はみんな一応神さま)だし、勝負ははなから決まってるんだが、それでも孤軍奮闘する頼子ちゃんにはちょっと萌えてしまったりする。


総合萌え度 :★★☆☆☆


紹介Blog記事:
アキバBlog 2007年10月14日づけ記事:
萌え系オピニオン書 「萌ゆる神の国!」 日本こそ核兵器を持つべき
http://www.akibablog.net/archives/2007/10/kaminokuni-071014.html
 11日発売、13日に店頭で確認との記述あり。
本記事中で紹介されている「書籍情報へのリンク」は2012年10月現在消失している。


著者:すずきあきら/鈴木ドイツ さんのブログ:
すずき/鈴木diary ausf3 with cats 2007年10月01日づけ記事:
萌ゆる
http://blog.livedoor.jp/hinanoahaile/archives/50996359.html
「発売日が10月15日に決まったので掲載~。」
 帯つき表紙のお写真を掲載。

2007年10月16日づけ記事:
萌ゆる……
http://blog.livedoor.jp/hinanoahaile/archives/51006191.html
「 昨日がいちおう発売日ということで、現物を。
アキバBlog(秋葉原ブログ)さんでも紹介されました。
売れるといいなぁ。(・∀・) 」
 こちらでは現物を撮影。

イラスト担当:田中松太郎さんのブログ:
FOMALHAUT
http://fomalhaut353.blog32.fc2.com/
(現在の更新は2008年04月以降で、本書に関する記述はない)

イカロス出版の紹介ページ:
萌えよ!シリーズ
萌ゆる 神の国!
http://www.ikaros.co.jp/moeseries/#08
(カバーイラスト展開状態の掲載以外は、ほぼ基本情報のみ)


Amazon.co.jp         の紹介頁(中古品のみ)
オンライン書店bk1(honto)  の紹介頁(購入不可)
楽天ブックス         の紹介頁(注文不可)
セブンネットショッピング  の紹介頁(絶版重版未定)
紀伊国屋書店BOOK WEB紹介頁(入手不可)


付記:
上記の各サイト中で唯一発売日が確定しているAmazonでは10月15日と表記されている。上記ブログの情報などからも、こちらの方が実勢に近いものと思われる。
内容が内容だったせいか、2012年10月現在では実質的に絶版状態。萌え度が高いだけに少々惜しい気もするけどこういう内容だし、仕方ないかな。
「左 頼子」ちゃんを主役にすえた、続刊「萌える人民の国」を希望します。


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