『まんがと図解でわかる 経済学のキホン(ケインズ理論、マネタリズム…日経新聞に出てくる用語が簡単に理解できる!)(別冊宝島 1876) 』
藤屋 伸二 (監修)
宝島社 (出版)
B5判、ソフトカバー、144ページ
2012/07/11出版
ISBN-13 978-4-7966-9816-0
NDC分類: 331
定価 :980円(税込み)
内容(下記出版社の公式頁より)
累計130万部突破のシリーズ第10弾は「経済学」がテーマ。A・スミスの「見えざる手」、マルクスの資本主義批判、ケインズの「ケインズ政策」「流動性の罠」、シュンペーターの「イノベーション」、ロールズが考えた分配の正義、フリードマンの「マネタリズム」など、名前や言葉は知っていても、詳しくはわからない、そんな71の経済用語をまんがと図解で平易に解説。
目次 p.02
人物紹介、本誌の読み方 p.04
Introduction 「経済学」ってどんな学問? ――経済学の目的と使命―― p.05
[まんが Introduction] 「経済学」の役割って何? P.06
経済学ってどんな学問?(1) 人間と社会を理解し、より「豊かな」社会を目指す p.12
経済学ってどんな学問?(2) 細かく市場を見るミクロ経済と大局的な変化を見るマクロ経済 p.14
column1 ひと味違う経済学の「費用」の考え方 p.16
Chapter1 経済学はどのようにして生まれた? ――経済学的な思想の始まり―― p.17
[まんが Chapter1] 「競争」って何?――A・スミスやリカードが言う「豊かさ」―― p.18
[1] 経済の始まりは労働し、所有すること
“早い者勝ち”を容認したロックの「私的所有権」 ジョン・ロック p.26
[2] 「同感」を得られない競争の勝ち方はダメ!
市場の「見えざる手」は相手との意思疎通から生まれた アダム・スミスp.30
[3] グローバル経済は労働者を豊かにする
自由貿易はみんなが得をするシステムだ! デヴィッド・リカード p.34
(中略)
[5] 「豊かさ」は物だけでは計れない
快楽を生む「富」は量と質を考えるべきだ ジョン・S・ミル p.42
column2 「限界」にも経済学ならではの意味がある p.46
Chapter2 経済の「あるべき姿」とは? ―― 資本主義、社会主義の起源と展望 ―― p.47
[まんが Chapter2] 「発展」って何?――マルクス理論とシュンペーターの「新結合」―― p.48
[1] 資本主義の矛盾を糾して労働者を守れ!
「社会主義」はボッタクリのしくみを止めようという思想 カール・マルクス p.56
[2] 資本主義の起源は「ユダヤ人魂」にあり!
資本主義の生みの親はキレイ事を言わず営利第一のユダヤ思想 ヴェルナー・ゾンバルト p.60
[3] 経済を発展させるカギはイノベーションにある
経済分析はイノベーションを理解することから始まる ヨーゼフ・シュンペーター p.64
(中略)
[5] 不確実な未来に勝つことが利益を生む
自由競争だけでは格差が生まれるのは不確実性があるから フランク・ナイト p.72
column3 世界情勢と合わせてわかる!! 主要経済学者年表 p.76
Chapter3 資本主義で「勝つ」には? ――マクロ経済と経済政策―― p.79
[まんが Chapter3] 「お金」って何? ――ケインズとハイエクが考える「市場」のあり方―― p.80
[1] 「新古典派総合」が現代経済学の潮流
ミクロ経済学とマクロ経済学を融合し市場安定を図る ポール・サムエルソン p.88
[2] 不況対策には有効需要を拡大すべし!
世界恐慌脱出のために生まれた「ケインズ政策」 ジョン・ケインズ p.92
[3] 世の中にお金があふれても使われないことがある
投資するのはイヤ! 人間心理が生み出す「流動性の罠」 ジョン・ケインズ p.96
(中略)
[6] 通貨供給量を一定のルールでコントロールせよ
“小さな政府”の経済政策のカギ「マネタリズム」 ミルトン・フリードマン p.108
column4 「金融政策」と「財政政策」の違いとは? P.112
Chapter4 経済学の現代的な切り口とは? ――知識と情報が経済を動かす時代へ―― p.113
[まんが Chapter4] 「公正」って何?――ロールズとA・センが唱えた社会正義―― p.114
[1] 「断絶の時代」を生き抜く意識と知恵を持て
将来の変化に対応する術「マネジメント」とは? ピーター・ドラッカー p.122
[2] “消費”は個性を表現するものへ
まわりとは違う自分を演出するための“購買”が経済を回す! ジャン・ボードリヤール p.126
[3] 本当の正義は恵まれない人々を救うことで成り立つ
自分が貧乏だったら…… 「無知のヴェール」で正義と格差を考える ジョン・ロールズ p.130
[4] 「平等」とは何が等しいことなのか?
誰もが同じように「潜在能力」を発揮できる社会こそ豊か アマルティア・セン p.134
〈さくいん付〉 経済学がわかる用語集71 p.138
参考図書、奥付け p.144
萌え本分類:解説本型。
ナビゲーター: 漫画の主人公、寂れた商店街のスーパーの息子と「商店街アイドル」に抜擢された街の高校生3人娘。
カバー表紙:タイトルは横書き。タイトルの字色は青と黒、サブタイトル部分は緑色と黄色・白。商店街を背景に立つ、主人公3人娘のイラスト。
中表紙:メインタイトルに、都市スカイラインのシルエットを配する。
折込ポスター:なし
本文: 縦書き、三段組みが基本。図解部分には横書き、変形配置を多用。
構成・設定: 巻頭の16頁はカラー、以後巻末までは黒赤の二色印刷。序章は6頁のイントロ漫画と「経済学の基礎的解説」2章。本文の4章では章頭に8頁のストーリー漫画、以後は見開き4頁単位の解説部が続く。漫画部分は小さな商店街を舞台に「商店街アイドルに抜擢された商家の3人娘と、マネージャーを命じられたスーパーの息子の小さな成功物語」というストーリー。ぼんくら息子が経済マニアの娘その1に経済学の基礎を叩き込まれるという展開がメインプロット。
解説部は17世紀のジョン・ロックから現代のアマルティア・センまで18名の経済学者をとりあげ、彼らの経済理論解説を通じて経済学の基礎を身につける。項目あたり4頁を基本単位とし、はじめのページには取り上げる経済学者のイラスト、略歴を置く。三段組みの下一段が文書解説、上二段分に原著の引用、理論や方法論の図解、キーワード解説、主張のポイントなどを配する。
章末のColumnでは、経済用語の特殊性や学者達の年表などを掲載。
「解説内の漫画カットでサブストーリーが進行する」点はシリーズの特徴。各章の解説部分、索引内には「あいづち」要員として無名の男女2名が登場する。
巻末には「索引をかねた用語集」が付属。
評価:
萌え絵度: ストーリー部分、挿絵部分とも現代漫画風。表紙イラスト、漫画部分と本文イラスト、章扉イラストと本文(あいづち)カットの担当は各々、珈琲貴族さん、nevさん、葉月さんの3名で、各々がゲームや書籍の挿絵、名作マンガ化本などの業績を持つ。この3人分業体制は本シリーズ共通の特徴なのだが、本書ではシリーズ初の試みとして表紙・章扉・漫画の登場キャラクターが統一されている。ナビゲーターを立てようという意図は買えるが、微妙にタッチの異なる3種類の同一キャラが混在するという同人誌みたいな紙面構造が生じており、更に本文中のあいづちキャラもナビキャラ2名に似ているがちょっとだけ違うっぽく。何というか、もやもやした気分になる。
テーマ萌え度:経済学萌えの成分は特になし。入門書というよりは「経済学者の系譜から辿った経済学史解説本」という位置づけか。文体は解説先行のせいか、ややとっつきにくい感がある。「萌え本のフォーマットにのっとりながら萌えを意識しない編集」という本シリーズ共通の特色がここにも現れている。
萌え本的意義: 宝島社発行のB5版萌え本『まんがと図解でわかる 』シリーズとしては、
『
-ドラッカー(1710) 』
『
-ニーチェ(1729) 』
『
-ドラッカー リーダーシップ論(1750) 』
『
-正義と哲学の話(1767) 』
『
-空海と密教(1781) 』
『 -決算書(1794) 』
『 -7つの習慣(1805) 』
『
-ドラッカー 使えるマネジメント論(1823) 』
『 ぜんぶマンガで簡単にわかる ドラッカー超入門(1840) 』
『-マーケティングの神様 コトラーの思いやり仕事術(1841) 』
に続く第11作目。文庫、書籍などを入れると15冊目となる。
類書には『マンガ+講義でよくわかる 経済学超入門 』(東洋経済新報社刊 10/03)。関連書籍としては『マンガ 行動経済学入門』(PHP研究所刊 11/02)、漫画形式の解説本としては『日本の未来はのぞみにおまかせ! ~マンガで分かる新経済成長戦略~』(日経BP企画刊 09/08)、『就活女子大生ミユキと読み進める マンガ 経済ニュースの裏を読め』(TAC出版刊 10/12)などがある。表題をみる限り、経済学者の皆さんは「マンガという表記」がお好きなようだ。
『萌え経済学』(講談社刊、05/10)、『萌える!経済白書』(宝島社刊、05/12)は、実体経済の面から萌えを分析したもので「経済学で萌える」本ではないが、関連書籍としてここにあげておく。
総合萌え度 :★★☆☆☆
表紙イラスト担当、珈琲貴族さんのブログ:
珈琲貴族ノ館 2012年06月09日づけ記事、
まんがと図解でわかる経済学のキホン
http://coffeekizoku.blog77.fc2.com/blog-entry-102.html
(宝島社紹介頁へのリンクつき) 表紙写真を掲載。
「表紙を描かせていただいておいて非常に恐縮なのですが、
自分は経済学とか勉強関連はいっさい苦手でして(;゜Д゜)
難しいことはわかりませぬ
でも そんな僕でも読んでて解かりやすく書かれて おります 」
章扉・人物カット担当、葉月さんのブログ:
Pacco_memo 2012年06月12日づけ記事、
まんがと図解シリーズ
http://pacco1020.jugem.jp/?day=20120612
「人物カットや扉絵など描かせて頂きました
お見掛けの際は宜しくお願いします! 」
2011年09月の
『 -7つの習慣(1805) 』まんが部分に続いて2冊目の参加。
宝島社の
紹介ページ:
http://tkj.jp/book/?cd=20187601
>
「まんがと図解でわかる」、書籍検索結果:
Amazon.co.jp の
紹介頁
オンライン書店bk1(honto) の
紹介頁
楽天ブックス の
紹介頁
セブンネットショッピング の
紹介頁
紀伊国屋書店BOOK WEB の
紹介頁
付記:
Amazon.co.jpおよび出版社公式ページ上の発売日は06月11日。その他の書店サイトでも、ほとんどが6月発売との記述あり。ちなみに本書は6月20日に大型書店の店頭で購入した。
上記サイトのうち幾つかでは、サブタイトルが「ケインズ政策、マネタリズム…日経新聞に出てくる用語」とだけ記載されている。何故総てがここで切れてるのかは不明。表記に字数制限でもあるのだろうか?