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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

液体の水が存在するかもしれない? 地球によく似た惑星

2014年04月20日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
低温の恒星の周りをほどよい距離で回る、
地球と同等サイズの惑星が500光年彼方に見つかりました。

恒星からの距離がちょうどよく、
液体の水が存在できる範囲を“ハビタブルゾーン”と言います。

この“ハビタブルゾーン”にある地球サイズの惑星が、
NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”の観測で初めて見つかりました。

“ハビタブルゾーン”にある系外惑星は、これまでも発見されているのですが、
いずれも地球の1.4倍以上の直径を持つものばかりだったんですねー

惑星が見つかったのは、
はくちょう座の方向500光年彼方にある恒星“ケプラー186”です。

太陽の半分ほどの質量を持つこの恒星の周りには、
これまで4つの地球サイズの惑星が見つかっているのですが、
いずれも恒星からの距離が近すぎたんですねー
“ケプラー186”の惑星系(上)と太陽系(下)を同スケールで並べた図。
赤色矮星“ケプラー186”は太陽に比べて放射が少ないので、
“ハビタブルゾーン”までの距離も短い。

今回見つかった惑星“ケプラー186f”は、
恒星からほどよく離れたところにあり、しかも地球の1.1倍という大きさです。

質量や組成ははっきりしていないのですが、
以前の研究からは岩石惑星らしいことは分かっています。

“ケプラー186f”は130日周期で恒星を回っていて、
“ハビタブルゾーン”内といってもかなり外側に位置しています。

なので、恒星から受けとるエネルギーは、
地球に降り注ぐ太陽エネルギーの3分の1しかなく、
真昼でも地球の日没前ぐらいの明るさしかないそうです。

また、大気の濃さや組成によって地表温度が著しく変わるので、
“ハビタブルゾーン”にあるからといって、
必ずしも生命に適した環境とは限らないんですねー

“ケプラー186”が分類される“赤色矮星”は軽い低温の天体で、
天の川銀河の恒星のおよそ7割を占める多数派です。

っということで、いつか生命の兆候らしきものが検出されるとしたら、
“赤色矮星”を回る惑星かもしれません。

地球そっくりの惑星探しの次のステップは、
太陽と同じタイプの恒星の“ハビタブルゾーン”にある、
地球サイズの惑星を見つけて、その組成を調べることだそうです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 715個の系外惑星が一気に確定

火星の温暖湿潤な気候は一時的だった?

2014年04月19日 | 火星の探査
現在は寒冷で乾燥している火星も、かつては温暖で湿潤だったようですが、
どうやら、穏やかな気候は一時的な期間に発生したもので、長続きはしなかったようです。
火星探査車“キュリオシティ”が撮影した、
ゲールクレーターのグレネルグ周辺

生命の貴重な要素である水、これをめぐり火星で一体何が起きたのか?
この謎は科学者たちを長きにわたり悩ませてきました。

これまでに無人探査車からは、
削られた跡がある渓谷、盆地、堆積三角州など、興味深い画像が地球に届いていて、
水和物を含む岩も見つかっています。
これらはすべて、火星にかつて数百キロ規模の河川や湖が存在したことを示すものなんですねー

でも、今の火星はひじょうに寒冷で、
主に二酸化炭素で構成された大気の大気圧もひじょうに低いので、液体の水が存在できない環境になっています。
火星の表面で水をまいたとしても、水は凍ると同時に蒸発してしまうそうです。

では、火星に液体の水が存在したのは、いつ頃なんでしょうか? そして、その水はどうなったのか?


この謎を解くためには、まず火星の過去の大気圧に関する情報を得る必要があり、
情報を得るのに、小惑星の衝突でできた火星のクレーターの大きさを測定することが必要になります。

これは、大気との接触で生じる摩擦により、小惑星が燃え尽きてしまうことを考慮すると、
大気の層が厚ければ厚いほど、小惑星の大きさはより大きくなければならないと考えることができるからです。

逆に言うと、大気が薄ければ、小さな岩でも燃え尽きることなく、地面に激突することがあり得るということになります。

このことを示す材料を得るために、
過去に水流が存在した証拠を示す、約36億年前に形成されたエオリス・ドルサ地域のクレーター319個が詳細に調べられました。
そして、これらのクレーターが、火星の大気圧が最大900ヘクトパスカルだった時期に形成された、と推算されることになります。

この大気圧は現在よりも150倍高く、興味深いことに、水が豊富な地球の海面における大気圧に近いんですねー

でも、ここで問題になるのが、
  火星が地球より太陽から遠くにあること、
  当時は太陽の輝度が現在よりも低かった、
ことです。

これらを考慮すると、火星の地表が水の凝固点を上回る気温を保つには、5000ヘクトパスカル以上の大気圧が必要になります。
でも、河川が存在した時期に、長期間持続する必要のある厚い大気は、火星には存在しなかったと考えられているんですねー

なので、火星に河が流れていた当時、安定した大気が存在しなかったとすると、
温暖で湿潤なCO2と水の温室の存在は除外され、長期の平均気温は氷点下だった可能性が非常に高くなります。


ただ、火星の水に関しては別の解釈もあるんですねー

1つは、水の酸性度と塩分含有量が高いので凝固点が下がり、大気圧が低い状況下でも水が液体のままで存在できたというもの。
もう1つは、火山噴火による温室効果ガスで、水流を可能にする高密度の大気が火星上にしばらく存在できたというものです。
さらにもう1つの可能性は、火星の傾きによって高密度の大気が「一時的な間隔」で発生するというものです。

軸が中心から少しずれている火星は、自転軸の周りをゆっくり傾転運動しています。

火星の歳差運動の周期は12万年ですが、この間に火星の極地方に届く太陽光の量には大きな変化が生じます。
極地方の水は、この変化に応じて凍結して氷床を形成するか、
もしくは暖められて大気を「再膨張」させ、穏やかな気候の時期に流れる河川を形成したのかも知れませんね。

謎が多い天体、超新星残骸“G352”

2014年04月18日 | 宇宙 space
天の川銀河の中で2200年前に起こった超新星爆発。

この超新星爆発をNASAのX線天文衛星“チャンドラ”が観測したのですが、
爆発後にできたはずの中性子星が見当たらないんですねー
そして、主なX線源となる物質が通常と異なるんだとか…  謎が多い天体なんですねー

さそり座方向に約2万4000光年彼方の
超新星残骸“G352”。ピンクが電波像で青がX線像。
太陽よりはるかに重い恒星は、その一生の最期に大爆発(超新星爆発)を起こします。

膨大なエネルギーや物質を放出しながら、銀河そのものと同じくらいに明るく輝く超新星は、毎日のように発見されているのですが、
そのほとんどは遠方の銀河で発生したものになります。

天の川銀河内では、大体100年に2回ほど発生するようで、
画像は、天の川銀河で2200年前に爆発したとみられる超新星残骸“G352”。
少しつぶれた円形のような電波放射(ピンク)の中に、X線放射(青)が見えるという不思議な形をしているんですねー

不思議なのは形だけではなく、最近の研究からは、
このX線の主な源が3000万度という高温の爆発デブリだということが分かっています。

爆発からの時間が“G352”と同じくらい経った多くの超新星残骸の場合、
その主なX線源は、衝撃波とぶつかって押しのけられた周囲の物質とされているので、
“G352”は珍しい例ということになります。

しかも、“G352”の爆発によって押しのけられた周囲の物質は、
天の川銀河内の超新星残骸としては大量で、太陽の45個分もの量があるんだとか…
ひょっとすると、爆発前の星の周囲に大量の物質があったのかもしれません。

また、残骸の中心には中性子星が残るはずなんですが、全くそれらしいものが見当たらないんですねー
暗すぎて見えないのか? あるいは中性子星ではなくブラックホールができたのか?
とにかく、謎が多い天体なんですねー

浸食で作られた、火星の美しい流線形の島々

2014年04月17日 | 火星の探査
火星探査機の観測データから作られた画像に、
浸食で作られたとみられる流線形の中洲などがはっきりと浮かび上がったんですねー

オスガ渓谷の地形。白・赤が標高の高い場所、青・紫が低い場所を示す。

マリネリス渓谷の東の端に位置する地形“エオスカオス”。
この“エオスカオス”から南へ約170キロの距離に位置するのが、総延長164キロのオスガ渓谷です。

この渓谷の中央部分を、2013年12月7日にヨーロッパ宇宙機関の火星探査機“マーズ・エクスプレス”が観測。

観測で得られた画像に見られる景色の大部分は、
ランダムな方向へと深く浸食された領域で、ほとんど占められていて、美しい流線形の中州や狭い渓谷は、速い水の流れによって削りとられて作られたように見えるんですねー

その流れは、広大なマリナー渓谷の南東縁近くにある小さな高原領域を走っていたものだそうです。

その一例が、画像の一番下に見られる、深さ2.5キロのオスガ渓谷のくぼみになります。
オスガ渓谷とそこに見られる特徴は、
破壊的な洪水によって激しく浸食して作られたと考えられています。

いっぽう渓谷中の中洲の周りに見られる流線形は、水が北東へと流れたことを示していて、
河床に見られる幅の狭い平行な溝は、水が高速で流れていたことを示しているんですねー

オスガ渓谷を上空から斜めに見下ろした図

水の流れの方向に合わせた上の画像では、溝のある谷底の詳細と、渓谷がよりはっきりと中州になっているようすが分かります。

渓谷のもっとも北側に近い部分(1枚目画像の右端)には、2つの大きな不規則な角張った形をした領域があり、同領域も周囲の環境によって破壊されたように見えますが、削りとられて丸いカーブを描く中州と同じくらいの強い浸食は経験していないようです。

ただ、洪水の水が何処に行ったのか?

カオス地形の深いくぼみに流れ込んだはずですが、
他へ流れ出たのか、または一時的に湖を形成したかは、
まだ、はっきとりと分かっていないんですねー

浮遊惑星を回る“系外衛星”候補を発見?

2014年04月16日 | 宇宙 space
ニュージーランドとオーストラリアの天文台で行われた観測から、
太陽系外の浮遊惑星を回る“系外衛星”の候補が初めて見つかりました。
一度きりの現象から見つかったので、今後確定されることはないのですが、“系外衛星”の確実な発見に向けて重要な一歩になるようです。
浮遊惑星+衛星(左)? それとも恒星+惑星(右)?

宇宙物理マイクロレンズ観測というプロジェクトがあります。
このプロジェクトでは、手前の天体の重力がレンズのように働いて、向こう側の天体が明るく見える“重力マイクロレンズ”現象を調べています。

この現象は、およそ1か月間にわたって続くのですが、
レンズとなる恒星に惑星が存在する場合、その公転運動がレンズ効果を変動させて、遠方天体の明るさがさらに変化することになります。

プロジェクトでは、この手法で多くの系外惑星を発見してきているんですねー

天の川銀河内に見つかったレンズ天体“MOA-2011-BLG-262”は、
メイン天体がパートナー天体の2000倍の質量を持つペアで、その構成については、
暗い恒星と地球の18倍の重さの惑星、あるいは木星より重い浮遊惑星と地球より軽い衛星、
という2つの可能性があることが分かりました。

前者の可能性が高いのですが、
もし後者であれば、初めての系外衛星発見という快挙になるんですねー

でも、一度きりの増光現象を再び確かめるすべはなく、この天体の正体はこの先も分からないままなんだとか…

“系外衛星”の存在を確かめるうえで今後の目標は、同様の現象が観測されている間に、
探査衛星などを使って、視差から天体までの距離を求めることになります。

レンズ効果が同程度とすれば、近くにあるほど低質量、つまり惑星と衛星のペアだと判断することができるようですよ。