宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

おつかれさん“LADEE”。 ミッション完了で月面へ制御落下

2014年04月26日 | 月の探査
NASAは17日、月探査機“LADEE”を月面へ落下させ、223日間に渡るミッションを完了しました。
“LADEE”は、NASAのエイムズ研究センターによって開発された月探査機で、
月の表面に存在する、ごくごく僅かの大気の構成や変化、また表面上にあるチリの構成を観測。
これにより月の環境を理解するとともに、将来の月探査機の運用に役立たせることを目指していました。

オービタル・サイエンシズ社のミノタウルスVロケットで2013年9月に打ち上げられた“LADEE”は、
1か月後には月を周回する軌道に入り科学観測を始めています。

今年の3月には、予定していた100日間の観測を完了、
でも、まだ“LADEE”の状態が良好だったので、延長ミッションに入っていたんですねー

4月上旬には軌道高度をさらに下げ、月面にかつてないほど接近して観測を実施、
そして4月11日には、月の裏側へ制御落下させることを目的とした軌道変更行っています。

また、4月14日から15日にかけては月食を経験することに…
太陽光から電力を得ている月探査機にとっては、地球の影に入ってしまうと太陽光から電力を得ることができず、死活問題になります。
低温にさらされることになったのですが、無事に乗り切ったんですねー

今度、正確な落下位置と時間が調査されることになります。
またその結果に基づき、NASAが運用する月探査機“ルナー・リコナサンス・オービター”によって、落下地点の撮影が行われるようです。

探査機“メッセンジャー”、水星3000周回を達成

2014年04月25日 | 水星の探査
史上初の水星周回軌道からの観測。
これを行ってきたNASAの水星探査機“メッセンジャー”が、4月20日に3000周目を迎えたんですねー
これからは、これまでにない低い高度から水星を観測し、その地表を詳しく探っていくことになります。
水星3000周回を達成した探査機“メッセンジャー”

2004年に打ち上げられた“メッセンジャー”は、金星や水星のフライバイ観測を経て2011年3月に、史上初めて水星周回軌道に投入されました。

そして、1年後の2012年4月に軌道修正を行って高度を下げ、
1日3周のペースで水星上空を回りながらの観測で、
水星地表の組成や環境について、最初の1年で生じた疑問をさらに詳しく調べているんですねー
今年3月末に撮影した水星の地表。
画像中央は直径132キロのスカルラッティ盆地。

現在は徐々に高度が下がる軌道にあり、もっとも近づくときで高度約120キロまで接近するそうです。

近距離からは、詳しい観測を効率よく行えます。
なので、地形や地表の組成も細かいところまで分かり、地表がどのように形成され変化してきたかについて、さらに理解する手がかりを得ることができるんですねー

“メッセンジャー”は、6月17日まで高度120キロをさらに降下し続け、
地表のようすや重力場、地場にいたるまで、太陽からもっとも近い惑星の姿を1周ごとに明らかにしていくことになります。

地球より住みやすい惑星は見つかるのか?

2014年04月24日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
プラネットハンターたちが地球に似た惑星を探すのに躍起になっている中、
地球より生命に適した“スーパーハビタブル惑星”が存在する、という新たな説が発表されました。

もしこの説が正しければ、
地球外生命他を見つけるには、“スーパーハビタブル惑星”を探す方がいいということになるんですねー
ケンタウルス座アルファ星Bの周りを公転する惑星(イメージ図)
太陽型恒星の周りを公転する惑星としては、
これまで発見された中でも最も明るいもの。

1995年、太陽系の近くにある恒星の周囲を回る惑星(系外惑星)の存在が報告され始め、
これまでに発見された系外惑星の数は1000個を超えています。

そして、海があり、大気中に十分な量の酸素が含まれる地球にそっくりな惑星を見つけようと、熾烈な競争が繰り広げられてきました。

でもこれらは地球中心的な見方だそうで、
多種多様な生命居住可能環境の中では、地球は辛うじて住めるというレベルかもしれないんだとか…
生命中心の観点からすれば、地球は極めて特異な環境ということもあり得るそうです。

なので、地球より生命に適した条件を備えた環境(スーパーハビタブル)が存在する可能性があり、
それらに焦点を絞って惑星の探索を行うほうがいいようです。


では、スーパーハビタブル環境を特徴付けるものとは何なのでしょうか?

水は、生命が居住できる環境かどうかを決める要因のひとつです。
でもそれ以外にも、地質や大気に関する複数の要因も居住可能性に影響を及ぼすんですねー

例えば、誕生から時間が経った惑星のほうが、生命が進化する機会が多く存在すると考えられます。
また、大きな星(最大で地球の3倍ほど)の場合、火山活動が活発でガスが放出されることから、大気が存在する可能性が高くなります。

地球自体はハビタブルゾーンの端に位置しているので、ハビタブルゾーンの中心付近に位置する惑星は、生命が存在する環境としてより適している可能性もあります。


一方で、スーパーハビタブル説に対して懐疑的な見方もあります。
表面温度が高すぎず低すぎず、水が液体で存在できる範囲を惑星が公転している場合、その惑星は生命が生存可能な環境ということになります。

でも実際には、ハビタブルゾーン内にある星の多くが生命の存在に適していないと見られる一方で、
地下に広大な海を持つ土星の衛星エンケラドスと、木星の衛星エウロパのように、
ハビタブルゾーンに含まれていなくても、生命が居住できそうな星も存在するんですねー


2018年にNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられれば、
惑星の大気を近くで観測できるほか、海があるかどうかも分かり、組成分析を行えると期待されています。

スーパーハビタブル惑星が存在するとして、それを見つける手段が開発されれば、地球に似た惑星よりも数が多いことが分かるかもしれません。

いまのところ、巨大地球型惑星“スーパーアース”と呼ばれる惑星が、地球サイズの惑星の数を上回っているので、
スーパーハビタブル説によって、生命が生存できる条件を備えたスーパーアース惑星が見つかるかもしれませんね。

超新星爆発は、ニュートリノの加熱で起こる?

2014年04月23日 | 宇宙 space
シミュレーションを元に描かれた
超新星爆発(イメージ図)
スーパーコンピュータ“京”を用いた研究から、
重い星が重力崩壊して最期を迎える超新星爆発は、ニュートリノ加熱によって起こる可能が示されました。

超新星爆発は複雑な高エネルギー現象が絡み合うので、
どのようなメカニズムで起こるのかを解き明かすのは、天文学者が50年も頭を悩ませている難問になっています。

なかでもニュートリノ加熱説(下図)は有力なんですが、
これまでは星の形状を完全な球と仮定するなど、現実の超新星爆発とは異なる設定のシミュレーションしか行えなかったので、正しいかどうかの議論を進めることができなかったんですねー

大質量星の重力崩壊(a) → (d) の順に時間経過する。
「ニュートリノ加熱説」は、一度は勢いを失った衝撃波が、
ニュートリノ(図中ν)による加熱で復活するというもの。

そして今回、スーパーコンピュータ“京”を用いることで、
従来より現実に近い設定で、超新星爆発の計算を行うことができるようになり、
自然な仮定のもとで超新星が爆発する初めての例が得られることになります。

シミュレーションでは、ニュートリノによる加熱で衝撃波の内側で対流が起こり、対流がさらに過熱を促進して衝撃波が成長するというメカニズムで、超新星が爆発する様子を作り出すことに成功。
ニュートリノ加熱説を支持する、強力な証拠になったんですねー

一方で、超新星の観測から分かる典型的な爆発エネルギーの10分の1程度の爆発しか再現できていないことや、
今回のシミュレーションより重い星でも、爆発の証拠が得られるかどうかの確認など、
残された課題もあるようです。

なので、さらに大規模なシミュレーションを行って、どのようなメカニズムで超新星爆発が起こるのかを探る必要があるようです。

土星に新しい衛星が誕生しつつあるのかも…

2014年04月22日 | 土星の探査
探査機“カッシーニ”の観測から、土星の環の縁に不思議なかく乱の痕跡が見つかりました。

これは、小天体の重力的作用によるものとみられていて、
環の中から生まれるという説もある、
土星の衛星の形成過程を知る手がかりになるのかもしれないんですねー

小さな氷の粒でできた土星の環は、明るいものから暗いもの、幅の広いものから細いものまでさまざま見つかっています。

明るい主要部分は外側のA環と内側のB環とに分かれていて、小口径の天体望遠鏡でも見ることができるんですねー

A環とB環を分け隔てている隙間は、それを発見したイタリア生まれの天文学者にちなんで“カッシーニの隙間”と呼ばれています。
そして、現在土星を間近で調査中の探査機にも同じ名前が付けられています。

その探査機“カッシーニ”が昨年4月に行った観測から、
A環の縁に長さ1200キロ、幅10キロほどのかく乱されたような構造が見つかり、
小天体の重力作用によるものとみられているんですねー
2013年4月15日に撮影された土星のA環の外縁。
かく乱されたような突起が見られる。

ひょっとすると、今まさに小天体が環の中で生まれ、環から離れて一人前の衛星になろうとしているのかもしれません。

土星の衛星は、環を構成する粒子と同じで氷を主体としていて、土星本体から遠いほど大きくなります。

なので、このような氷衛星は環の粒子から生まれ、他の衛星と合体しながら土星から離れていったという説もあります。

この天体は、おそらく1キロ足らずなので、その小さな姿をとらえるのは難しそうです。

ただ、2016年の後半に探査機“カッシーニ”が現場に接近するんですねー
このときに詳しい調査が行えるかもしれません。