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山遊び・海遊びやカメラ・写真、星、電子工作(真空管・スピーカー等)の記事を中心にブログに掲載しています
南竹 成己

リクエストに答えて、真空管アンプ紹介(その1)

2012年03月01日 | インポート
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これは実家のトランジスタアンプ代替のために作った真空管アンプ。あちこち穴が開いてるのは、廃品利用したため。新規で購入したパーツは、出力トランス2つと抵抗やコンデンサなどの小さな電子部品のみ。『廃品利用アンプ』と自分では呼んでいます。新規購入したパーツのコストは1万円弱。右は自分が学生時代に作って使ってきたパッシブアッテネーター。ボリューム調整をする機器です。もともと、学生時代からの私のオーディオシステムの構成はシンプルでCDプレーヤー+アンプ+スピーカーのみ。録音機器等を持たないため、プリメインアンプは必要なく、パワーアンプ+パッシブアッテネーターという構成です。今はターンテーブルも復活していますが、別途にフォノイコライザーアンプを付けています。今は自作真空管アンプにボリュームを付けていてこのパッシブアッテネーターをあまり使わなくなっていたので、再利用。ただし、これに使われているパーツは高級品です。たかがボリュームですが、パーツ費用だけで1.5万円を超えます。と、そんなこんなで古いパーツを組み合わせてローコストで新しいものを作り上げました。電源トランスが古くてよくわからなかったので、カットアンドトライでパーツを付けて測定して、またパーツを換えてとやりながら作りました。

このアンプは初段に6SL7GT(写真奥)、出力管が6V6GT(手前の2本)。電源の整流管に6X5GT(左端)といういずれもGT管という同一の形状のもので揃えました。6X5GTは背が低いですが。6V6GTという真空管は1930年代に開発されたもの(すでに80年前!)で、通信やオーディオによく用いられてきました。楽器としても用いられ、ギターアンプのフェンダーなど6V6GTを使ったアンプを製作しています。6V6GT等の真空管はビーム管という種類なのですが、特有のひずみ感がありそれが楽器としての味を出してくれているのだと思います。オーディアンプに使ってもバイオリン等の弦楽器がから出る倍音がより強調されてとても心地よく聴こえます。ちなみに、このアンプの真空管はすべて1960年代に製造されたものです。6X5GTは未使用品でした。真空管はこのような半世紀ものの”新品”がまだたくさんあります。

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ただし、このアンプはそのビーム管の性質を使わず、”ごく普通の音”としています。ビーム管とするとパワーもあり、どんなスピーカーでもドライブできますが、上述したように音が個性的になってしまうのです。好みの問題ではありますが。このアンプで想定しているスピーカーは感度が高いものなので、パワーは必要ありません。よって接続方法を変えてパワーは小さいですが、ビーム管としてではなく、より”ごく普通の音”が出る三極管として使っています。出力トランスをかなりケチったのが心配でしたが、結果はOK。15畳ほどの部屋で55リットルの大型バスレフスピーカー(16センチフルレンジ)を鳴らしていますが、十分な音量と量感があります。