つづき
「聖書 スタディ版 旧約聖書 各書の概説 エステル記」をまとめて
【特徴・・エステル記は聖書の中でも幸せな物語のひとつであろう。
エステル記に見える人名や日付の使い方などは歴史書というより歴史を題材にした小説と言ったほうがよいであろう。
たとえばクセルクセス王の妻は実際にはアメストリスといったが、ワシュティと名を変えられ、史実に反して王妃の位から退けられたとされている。
また、ペルシアは他民族の宗教には寛容なことで知られており、信仰のゆえに人を殺すというような命令が出されたとは考えにくいことなども、小説と見たほうがよいとされる理由である。
興味深いことに、エステル記は聖書の中で神に直接言及していない唯一の書物である。
しかし、神の存在はエステルが王妃となってユダヤ人を守るという出来事の背景に明らかに意識されている。
なぜ、書かれたのか?・・今の暦で言えば2月中旬から3月中旬に当たるアダルの月に「プリム祭」というユダヤの祭りが祝われる。
エステル記が書かれた主な理由はこのプリム祭の起源を説明するためであったようだ。
プリム祭は年に一度、はめを外して楽しむ陽気な祝祭である。
A.D.5世紀に書かれたユダヤ教の中心的書物であるタルムードは「『モルデカイに祝福あれ』と『ハマンは呪われよ』の違いが分からなくなるまでワインを飲め」と命じている。
どんな背景があるのか?・・ペルシアのキュロス大王はバビロニア帝国をB.C.538年に滅ぼした。
そのとき、捕囚となって70年間バビロニアで暮らしていたユダヤ人にキュロスは故郷への帰還許可を与えた。
しかし、多くのユダヤ人はエルサレムの廃墟に戻るよりも、第二の故郷バビロニアに留まることを望んだ。
エステル記に登場するモルデカイとそのいとこエステルは、バビロニアに留まったユダヤ人である。】
「旧約聖書略解(日本基督教団出版局)エステル記 緒論」へ、つづく
「聖書 スタディ版 旧約聖書 各書の概説 エステル記」をまとめて
【特徴・・エステル記は聖書の中でも幸せな物語のひとつであろう。
エステル記に見える人名や日付の使い方などは歴史書というより歴史を題材にした小説と言ったほうがよいであろう。
たとえばクセルクセス王の妻は実際にはアメストリスといったが、ワシュティと名を変えられ、史実に反して王妃の位から退けられたとされている。
また、ペルシアは他民族の宗教には寛容なことで知られており、信仰のゆえに人を殺すというような命令が出されたとは考えにくいことなども、小説と見たほうがよいとされる理由である。
興味深いことに、エステル記は聖書の中で神に直接言及していない唯一の書物である。
しかし、神の存在はエステルが王妃となってユダヤ人を守るという出来事の背景に明らかに意識されている。
なぜ、書かれたのか?・・今の暦で言えば2月中旬から3月中旬に当たるアダルの月に「プリム祭」というユダヤの祭りが祝われる。
エステル記が書かれた主な理由はこのプリム祭の起源を説明するためであったようだ。
プリム祭は年に一度、はめを外して楽しむ陽気な祝祭である。
A.D.5世紀に書かれたユダヤ教の中心的書物であるタルムードは「『モルデカイに祝福あれ』と『ハマンは呪われよ』の違いが分からなくなるまでワインを飲め」と命じている。
どんな背景があるのか?・・ペルシアのキュロス大王はバビロニア帝国をB.C.538年に滅ぼした。
そのとき、捕囚となって70年間バビロニアで暮らしていたユダヤ人にキュロスは故郷への帰還許可を与えた。
しかし、多くのユダヤ人はエルサレムの廃墟に戻るよりも、第二の故郷バビロニアに留まることを望んだ。
エステル記に登場するモルデカイとそのいとこエステルは、バビロニアに留まったユダヤ人である。】
「旧約聖書略解(日本基督教団出版局)エステル記 緒論」へ、つづく