聖書通読日記 2

2001年ペンテコステに受洗、プロテスタントのキリスト者

エレミヤ書4章 (悔い改めへの招き)、北からの敵 その2

2010年05月29日 | 旧約聖書日記
つづき

旧約聖書略解 日本基督教団出版局 をまとめて。
『4・1~4
最初の二節は、イスラエルに対する悔い改めの呼びかけである。
大切なことは、バアルを捨ててヤーウェに立ち帰り、真実と公平と正義をもって「主は生きておられる」と誓うことである。
3~4節はユダの人、エルサレムの人に呼びかけており、ここでは「新田を耕せ」と呼びかけられている。
この言葉は、そのまま、ホセ10・12に記されており、そこでは「新しい土地を耕せ」と訳されている。
訳文の調整が必要とされる。
神の戒めの根本は変わらないが、新しい戒めによって、心を耕すべきだと言うのである。
「割礼」を受け、「心の包皮」を取り去るというのも同じことで、神の戒めを実行するのにふさわしい新鮮な感受性が求められていることが表されている。
神と人間、人間と人間の交わりは、新しくまた積極的な愛によって活性化される必要がある。
同じことでもマンネリ化すれば死んだものになって空洞化するばかりでなく、悪行をとどめることができず、神の怒りを招くことになると言うのである。

★北からの敵
4・5~31
「北からの敵」というテーマは、エレミヤの召命の記事にも切迫した問題として記されている。
初期の預言には二つの最重要のテーマがある。
一つは、北イスラエルに対する悔い改めの呼びかけであり、もう一つはアッシリア時代末期の外敵の来襲の預言である。
新バビロン帝国を興したナボポラサルは、エレミヤの召命の次の年に即位し、さらに次の年にはメディアにキアクサレスが即位した。
やがて両者は協力して、前612年にアッシリアの都ニネベを占領する。
しかし、エレミヤの初期預言における北からの敵は、新バビロン帝国の攻撃を指しているとは思われない。
既に五十年以上も前からメソポタミア地方の北方から、スキタイ人とキンメリア人が侵入して、アッシリア帝国を苦しめていた。
新しい帝国の建設をもくろむ勢力の来襲には、その攻撃の意図と方法が予測しうるものである。
しかし、略奪を目的として広い地域にわたって自在に出没し、攻撃を仕掛ける騎馬民族は、農業をいとなむ民族にとっては、不安と恐怖の的であった。
初期のエレミヤは「北からの敵」の来襲について、ほとんど終末的な恐れを抱いて、警鐘を鳴らし、非難を呼びかけている。
しかし、これほど恐れた「北からの敵」は結局ユダとエルサレムには来襲しなかったのである。
ギリシアの歴史家ヘロドトスは、スキタイ人の軍勢がエジプトを襲い、帰途ペリシテのアシュケロンを略奪したことを記しているが、エルサレムを攻撃することはなかった。
「北からの敵」に関する預言は、この箇所のほかに、5・15~19、6・22~26、10・19~22にも記されている。
いずれも、強い不安と恐怖を示している。

5~8節 神は預言者に命じて、ユダとエルサレムに向かって非難を呼びかけさせる。神が「北からの災い」を表させられるからである。

9~12節 この箇所の前半は、神の言葉とされているが、「災いの日」が来れば、ユダの指導者たちは、王も高官も、祭司も預言者も共に、神がユダとエルサレムの民に「平和」を告げられたのに、約束を裏切って「剣」が喉もとに突きつけられたというだろうと警告している。
後半では、そのとき、激しい裁きの風が神自身によって吹き付けられると宣言している。

13~18節 ここでは、預言者と神の言葉が区別しにくいように結びついている。恐るべき戦車と騎兵が北から襲ってくる。
そのことをダンからエフラエムの山々から、エルサレムに知らせよと言っている。
「ユダがわたしに背いたからだ」という部分だけは、明らかに神の言葉である。
ユダのなした仕業こそが、この災いの原因であることが、最後に確認される。

19~22節 この箇所の22節と、27~28節は、後代の加筆であろう。
エレミヤの終末的恐れが表現されている。「はらわた」はヘブライ語では感情の座であるが、エレミヤは苦しみにもだえ、心臓は激しく鼓動し、不安を抑えることができない。
「破壊に次ぐ破壊」が北から迫るのをエレミヤは予感したのである。
そしてまさに、そのことはユダの民の無知と無分別のためであると、神は告げられた。

23~28節 民の罪とそれに対する罰としての「北からの災い」によって、被造の世界そのものが、創造以前の混沌にもどることをエレミヤは示され、ユダの町々がすべて崩壊する様を予見したのである。
天と地の嘆きを賛詠的に歌い、これらすべての罰を下したことを神は後悔されないと断言する。
しかし、逆に「わたしは滅ぼしつくしはしない」という保留を付けている。これは生き残った世代の加筆と思われる。

29~31節 エレミヤが幻に見る都の悲惨である。
「目の縁を黒く塗る」は当時のエジプト風の化粧の仕方であった。
気を失おうとする女の叫びで、この幻は閉じられている。
幸か不幸かこれらの預言は、その時期には実現せず、エレミヤに対する迫害の原因の一つになった。』


以上の日本基督教団の旧約聖書略解では、北からの敵は騎馬民族のスキタイ人とキンメリア人になっている。
同じ日本基督教団の、旧約聖書注解Ⅱでは、
「北からの災いについては、古くからバビロン説とスキタイ説との二つがあって、両論相半ばする状態であった。
著者の私見では、基本的にバビロン説をとることはできない。」
とあるので、バビロン説とスキタイ説との、どちらの見解もあるらしい。
いのちのことば社の新実用聖書注解では、北からの災いはバビロン軍となっている。
なので、このつづきには、いのちのことば社の新実用聖書注解を載せてみようと思う。


つづく


「キリスト教神学入門」を読む 5

2010年05月22日 | 「キリスト教神学入門」マクグラスを読む
「キリスト教神学入門」マクグラス を読んで。

★95ページから129ページまで
『第三章 宗教改革とそれ以後の時代(1500年頃~1750年頃まで)
ルター派宗教改革
カルヴァン主義宗教改革
宗教改革急進派(アナバプティスト)
カトリック宗教改革

主要な神学者
マルティン・ルター
ジャン・カルヴァン
フルドリヒ・ツヴィングリ

主要な神学的発展
神学の資料
恩恵論
サクラメント論
教会論

神学的文書の発展
信仰問答
信仰告白
組織神学の書物

宗教改革以後の動き
プロテスタント正統主義
ローマ・カトリック教会
ピューリタニズム
敬虔主義』


なんか、途中に、父の体調がちょっと崩れて心配していたり、家の用事でやらないといけないことを優先的にやっていたら、
本を読む時間がとれなくなってしまって。
途中でだいぶ時間が空いてしまった。
そしたら、それまでに読んでいたところを、すっかり忘れてしまっていて。
かなりショックだった。
1回読んで覚えてられないなあ。。。歳かな。。。
で、今日はもう一度読みかえして、ノートに重要な用語をまとめたりしていた。
読むのも時間かかるけど、ノートに用語をまとめるのも時間がかかるなあ。
でも、勉強になるからいいかな(o^^o)
しっかし、わたしは読むのが遅い。かなり遅い。
なっかなか頭に入ってこない。
そのうちだんだんと慣れてくるのかな??
ちなみに、今回のところは、宗教改革だったので、わたしにもちょっと分かっているところがあって、嬉しかった。馴染みがあった感じがした。
では。ぼつぼつと次へ進んでいきますm(_ _)m

(英語とギリシャ語の勉強もなっかなか進んでいない(≧◇≦)あかん
それに、エレミヤ書のところを、注解書を読んでまとめてからアップしないといかん。
どれも、なかなか簡単にはできないなあ。。。( ̄□ ̄;))

「キリスト教神学入門」を読む 4

2010年05月08日 | 「キリスト教神学入門」マクグラスを読む
つづき

「キリスト教神学入門」マクグラス を、読んで。
☆73ページから94ページまで。

2章中世とルネサンス

人文主義

主要な神学者
 カンタベリーのアンセルムス
 トマス・アクィナス
 ドゥンス・スコトゥス
 オッカムのウィリアム
 ロッテルダムのエラスムス

主要な神学的発展
 スコラ主義とかかわる
  教父の遺産の整理
  神学における理性の役割の探求
  神学体系の発展
  サクラメント論の発展
  恩恵論の発展
  救済の図式におけるマリアの役割
 人文主義とかかわる 
  キリスト教神学の資料への直接的回帰
  聖書のヴルガータ訳批判

ビザンチン神学



この中世とルネサンスの時代に、神学がたくさんの発展を遂げたようで。
読んでいて、わたしには、難しく感じました。
スコラ主義と人文主義が、わたしには、もひとつ説明できにくいですが。
とりあえずは、次へと進んでいきます。
でも、次に進むそのまえに、
またまた、この章での、重要な名前と用語としていくつかあげられている言葉は、ノートにまとめて暗記していきますm(_ _)m

エレミヤ書4章 (悔い改めへの招き)、北からの敵 その1

2010年05月06日 | 旧約聖書日記

『4:1 「立ち帰れ、イスラエルよ」と/主は言われる。「わたしのもとに立ち帰れ。呪うべきものをわたしの前から捨て去れ。そうすれば、再び迷い出ることはない。」

4:2 もし、あなたが真実と公平と正義をもって/「主は生きておられる」と誓うなら/諸国の民は、あなたを通して祝福を受け/あなたを誇りとする。

4:3 まことに、主はユダの人、エルサレムの人に/向かって、こう言われる。「あなたたちの耕作地を開拓せよ。茨の中に種を蒔くな。

4:4 ユダの人、エルサレムに住む人々よ/割礼を受けて主のものとなり/あなたたちの心の包皮を取り去れ。さもなければ、あなたたちの悪行のゆえに/わたしの怒りは火のように発して燃え広がり/消す者はないであろう。」

◆北からの敵

4:5 ユダに知らせよ、エルサレムに告げて言え。国中に角笛を吹き鳴らし、大声で叫べ/そして言え。「集まって、城塞に逃れよう。

4:6 シオンに向かって旗を揚げよ。避難せよ、足を止めるな」と。わたしは北から災いを/大いなる破壊をもたらす。

4:7 獅子はその茂みを後にして上り/諸国の民を滅ぼす者は出陣した。あなたの国を荒廃させるため/彼は自分の国を出た。あなたの町々は滅ぼされ、住む者はいなくなる。

4:8 それゆえに、粗布をまとい/嘆き、泣き叫べ。主の激しい怒りは我々を去らない。

4:9 その日が来れば、と主は言われる。王も高官も勇気を失い/祭司は心挫け、預言者はひるみ

4:10 言うであろう。「ああ、主なる神よ。まことに、あなたはこの民とエルサレムを/欺かれました。『あなたたちに平和が訪れる』と約束されたのに/剣が喉もとに突きつけられています。」

4:11 そのときには、この民とエルサレムに告げられる。「荒れ野から裸の山々の熱風が/わが民の娘に向かって吹きつける。ふるい分ける風でも、清める風でもない。

4:12 それにまさる激しい風が/わたしのもとから吹きつける。今やわたしは彼らに裁きを下す。」

4:13 見よ、それは雲のように攻め上る。その戦車はつむじ風のよう/その馬は鷲よりも速い。ああ、災いだ。我々は荒らし尽くされる。

4:14 エルサレムよ/あなたの心の悪を洗い去って救われよ。いつまで、あなたはその胸に/よこしまな思いを宿しているのか。

4:15 聞け、災いをダンから告げ/エフライムの山から知らせる声を。

4:16 諸国の民にこれを告げ/エルサレムに知らせよ。「包囲する者が遠い国から押し寄せ/ユダの町に向かって戦いの喚声をあげ

4:17 畑の見張りのように彼らを包囲する。ユダがわたしに背いたからだ」と主は言われる。

4:18 あなたの道、あなたの仕業が/これらのことをもたらす。これはあなたの犯した悪であり/まことに苦く、そして心臓にまで達する。

4:19 わたしのはらわたよ、はらわたよ。わたしはもだえる。心臓の壁よ、わたしの心臓は呻く。わたしは黙していられない。わたしの魂は、角笛の響き、鬨の声を聞く。

4:20 「破壊に次ぐ破壊」と人々は叫ぶ。大地はすべて荒らし尽くされる。瞬く間にわたしの天幕が/一瞬のうちに、その幕が荒らし尽くされる。

4:21 いつまで、わたしは旗を見/角笛の響きを聞かねばならないのか。

4:22 まことに、わたしの民は無知だ。わたしを知ろうとせず/愚かな子らで、分別がない。悪を行うことにさとく/善を行うことを知らない。

4:23 わたしは見た。見よ、大地は混沌とし/空には光がなかった。

4:24 わたしは見た。見よ、山は揺れ動き/すべての丘は震えていた。

4:25 わたしは見た。見よ、人はうせ/空の鳥はことごとく逃げ去っていた。

4:26 わたしは見た。見よ、実り豊かな地は荒れ野に変わり/町々はことごとく、主の御前に/主の激しい怒りによって打ち倒されていた。

4:27 まことに、主はこう言われる。「大地はすべて荒れ果てる。しかし、わたしは滅ぼし尽くしはしない。

4:28 それゆえ、地は喪に服し/上なる天は嘆く。わたしは定めたことを告げ/決して後悔せず、決してこれを変えない。」

4:29 騎兵や射手の叫びに、都を挙げて逃げ去り/茂みに隠れ、岩に登る。都は全く見捨てられ/だれひとりとどまる者はない。

4:30 辱められた女よ、何をしているのか。緋の衣をまとい、金の飾りを着け/目の縁を黒く塗り、美しく装ってもむなしい。愛人らはお前を退け、お前の命を奪おうとする。

4:31 まことに、産みの苦しみのような声が聞こえる。初めて子供を産む女のような苦しみの声が/あえぎながら手を伸べる娘シオンの声が。「ああ、殺そうとする者の前に/わたしは気を失う。」

4:1 The Lord says, "People of Israel, if you want to turn, then turn back to me. If you are faithful to me and remove the idols I hate,

4:2 it will be right for you to swear by my name. Then all the nations will ask me to bless them, and they will praise me."

4:3 The Lord says to the people of Judah and Jerusalem, "Plow up your unplowed fields; do not plant your seeds among thorns.

4:4 Keep your covenant with me, your Lord, and dedicate yourselves to me, you people of Judah and Jerusalem. If you don't, my anger will burn like fire because of the evil things you have done. It will burn, and there will be no one to put it out."

4:5 Blow the trumpet throughout the land! /Shout loud and clear! /Tell the people of Judah and Jerusalem /to run to the fortified cities.

4:6 Point the way to Zion! /Run for safety! Don't delay! /The Lord is bringing disaster /and great destruction from the north.

4:7 Like a lion coming from its hiding place, /a destroyer of nations has set out. /He is coming to destroy Judah. /The cities of Judah will be left in ruins, /and no one will live in them.

4:8 So put on sackcloth, and weep and wail /because the fierce anger of the Lord /has not turned away from Judah.

4:9 The Lord said, "On that day kings and officials will lose their courage; priests will be shocked and prophets will be astonished."

4:10 Then I said, "Sovereign Lord, you have completely deceived the people of Jerusalem! You have said there would be peace, but a sword is at their throats."

4:11 The time is coming when the people of Jerusalem will be told that a scorching wind is blowing in from the desert toward them. It will not be a gentle wind that only blows away the chaff-

4:12 the wind that comes at the Lord's command will be much stronger than that! It is the Lord himself who is pronouncing judgment on his people.

4:13 Look, the enemy is coming like clouds. Their war chariots are like a whirlwind, and their horses are faster than eagles. We are lost! We are doomed!

4:14 Jerusalem, wash the evil from your heart, so that you may be saved. How long will you go on thinking sinful thoughts?

4:15 Messengers from the city of Dan and from the hills of Ephraim announce the bad news.

4:16 They have come to warn the nations and to tell Jerusalem that enemies are coming from a country far away. These enemies will shout against the cities of Judah

4:17 and will surround Jerusalem like men guarding a field, because her people have rebelled against the Lord. The Lord has spoken.

4:18 Judah, you have brought this on yourself by the way you have lived and by the things you have done. Your sin has caused this suffering; it has stabbed you through the heart.

4:19 The pain! I can't bear the pain! /My heart! My heart is beating wildly! /I can't keep quiet; /I hear the trumpets /and the shouts of battle.

4:20 One disaster follows another; /the whole country is left in ruins. /Suddenly our tents are destroyed; /their curtains are torn to pieces.

4:21 How long must I see the battle raging /and hear the blasts of trumpets?

4:22 The Lord says, "My people are stupid; /they don't know me. /They are like foolish children; /they have no understanding. /They are experts at doing what is evil, /but failures at doing what is good."

4:23 I looked at the earth-it was a barren waste; /at the sky-there was no light.

4:24 I looked at the mountains-they were shaking, /and the hills were rocking back and forth.

4:25 I saw that there were no people; /even the birds had flown away.

4:26 The fertile land had become a desert; /its cities were in ruins /because of the Lord's fierce anger.

4:27 (The Lord has said that the whole earth will become a wasteland, but that he will not completely destroy it.)

4:28 The earth will mourn; /the sky will grow dark. /The Lord has spoken /and will not change his mind. /He has made his decision /and will not turn back.

4:29 At the noise of the cavalry and archers /everyone will run away. /Some will run to the forest; /others will climb up among the rocks. /Every town will be left empty, /and no one will live in them again.

4:30 Jerusalem, you are doomed! /Why do you dress in scarlet? /Why do you put on jewelry and paint your eyes? /You are making yourself beautiful for nothing! /Your lovers have rejected you /and want to kill you.

4:31 I heard a cry, like a woman in labor, /a scream like a woman bearing her first child. /It was the cry of Jerusalem gasping for breath, /stretching out her hand and saying, /"I am doomed! /They are coming to kill me!"』
(日本聖書協会 聖書 和英対照 和文・新共同訳 英文・TEV エレミヤ書より)


旧約聖書注解へ、つづく


ローマの信徒への手紙 1章 人類の罪 その4

2010年05月05日 | 新約聖書日記
つづき


新聖書講解シリーズ 6 ローマ人への手紙 いのちのことば社 を、まとめて。
(新改訳聖書にもとづいて)
『「不義をもって真理をはばんでいる人々のあらゆる不敬虔と不正に対して、神の怒りが天から啓示されている」(1・18)
罪がどれだけ重大なものであるかは、それに対する神の怒りの大きさによってのみ知らされる。
神は罪に対して無関心ではない。
神は絶えずその聖なる怒りを示し続けておられる。
神の怒りは、人格的な神の、罪に対する厳しい反応である。
だが、私たちはその神の怒りを真正面から見つめて恐れなければならない。
また、神の怒りは「天から啓示されている」と言われる。
つまり、神の怒りは自然と歴史を通して絶えず示し続けられているのである。
一方の人間はというと、「不義をもって真理をはばんでいる」状態にある。
人間は宗教的存在であるから、多かれ少なかれ神を知っている。
しかし、同時に自分達の持っているその罪のゆえに、真の神知識を提供してくれる真理を抑圧し、これに反対しようとしているのである。
その顕著な例が、生きておられる神を捨てて、死んだ偶像を礼拝するという行為に現れている。
神に対する「不敬虔」と人間に対する「不正」。これが罪の二大局面である。
この二つは切り離すことができない。
この世の不正、不義はすべて、人間と神との関係が罪によってゆがめられたことから生じているのである。

「神について知りうることは、彼らに明らかである」(1・19)
神御自身の本質は人間には測りがたいものであるが、神は人間の心をも含む自然界のあらゆるものを通してご自身のことを示しておられる。
神は創造のみわざを通して、御自身を示しておられる。
神は目に見えないが、その「力と神性」は神のみわざにおいてはっきり現れている。
人間は被造物の一つであり、しかも理性による識別力を与えられている者であるから、神の創造の力についての知識を自分の内に持っており、またそれを否定し去ることは不可能である。
「彼らに弁解の余地はない」と言っているのはそのためである。
ただしパウロはここで、聖書による啓示がなくても人間は理性の力で神を知ることができ、その結果宗教や神学が自然に成り立つと言おうとしているのではない。
自然啓示によって神が示されているにもかかわらず、それを徹底的に無視して反抗している人間の罪の姿を描いているのである。

「神を知っていながら、その神を神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなった」人間達(1・21)
彼らは神を真の神としてあがめず、神を神以下のものにしてしまった。
またすべての良いものの源である髪に感謝することがないばかりか、自分は自力で立派に生きていると思っている。
また、「その思いはむなしくなり」とあるように、人間は心理を拒み、その代わりに虚偽を持つようになる。
確かな信仰の代わりに理性の思弁に頼って満足し、真の啓示の代わりにむなしい哲学の導きに頼ろうとする。
それらは人を真理に導くと称しながら、結局は人を迷わすだけのものであり、このむなしいものの究極が偶像なのである。
こうして罪に落ちた人間の「その無知な心は暗くなった」。
「心」は人格の中心であり、理性と感情と意志のセンターである。啓示の光を拒否するとき、心は完全に暗黒の状態と化す。

「彼らは、自分では知者であると言いながら、愚かな者となり」(1・22)。
人が他の神々や宗教を求めるとき、彼らはそれを自分自身の判断によって評価する。
そしてその結果、自分の真の姿が見えなくなってしまう。
偶像を拝することの愚かしさが理解できなくなってしまうのである。
人間が神のようになろうとするとき、その人は自分自身が何者であるか理解できなくなる。
真の神を神として知ることを拒むとき、人間は自分を神の被造物として知ることができなくなるのである。
神知識と自分について知ることは不可分であるから、哲学者が真の神知識から離れて、いくら「汝自身を知れ」と言っても、それは不可能である。

「不滅の神の御栄えを、滅ぶべき人間や、鳥、獣、はうもののかたちに似た物と代えてしまいました」(1・23)
イスラエルが出エジプト後、シナイ山で真の神の代わりに子牛の像を造って拝した出来事に言及している詩篇106・20の言い回しがここに用いられている。
偶像を造る者たちは、像は目に見えない神を表すものであると言い、人は力ある神に像を通してでなければ近づくことができないのだから、像を造るのは当然であると主張する。
しかしこんな議論は聖書の前では通用しない。
イスラエルの人々は、子牛の像は自分達を導く神を拝する手段にすぎないと考えた。
しかし神の激しい怒りは彼らの上に燃え上がったのである。
彼らは「像を拝んだ」とはっきり非難されている。
偶像礼拝は、真の神を何かの物体と取替えてしまうことである。
さらに偶像礼拝は、宗教的な礼拝の対象としての神々の像を拝することだけでなく、被造物にすぎないものをいかなる形であれ神格化する行為のすべてを含む。
それには抽象的な概念も含まれる。ピリピ教会においてパウロに反対する教師達の神は「彼らの欲望」であったとパウロは言っている。

「それゆえ、神は、彼らをその心の欲望のままに汚れに引き渡され、そのために彼らは、互いにそのからだをはずかしめるようになりました」(1・24)
罪を愛する者を罪に引き渡す、これが罪人に対する神の怒りの現れである。
「神は引き渡す」という句が三度も繰り返されているのは、異邦人の間に見られる数々の不品行が、実は彼らの不敬虔に対する神の罰にほかならないことを強調するものだと言うのである。
おまけに人間はその「心の欲望のままに」行動するのだから、それを神の怒りとして自覚しない。
しかしその結果として現れるものは、異邦人にとってもおぞましい性的な乱行なのである。

25節は、パウロはここで、人間が造り主と被造物の区別を無視したままで放置されることはありえないということを、造り主への賛美の言葉で強く訴えようとしている。

「神は彼らを恥ずべき情欲に引き渡されました」(1・26)
24節で暗示された異邦人社会の性的不品行、汚れ、倒錯は、ここでもっとはっきり語られる。
異教の教えはこれを抑制するどころか、かえってかき立てている。
結婚のことを考えてみよう。
結婚は神が創造の時に定められた男女の神聖な秩序である。
しかし26節から27節にかけて見られるのは、その「自然の用」に対する公然たる反逆の姿である。
パウロはそれらを評して、「誤りに対する当然の報い」、すなわち神が創造の秩序として立てられたものを無視し、誤用かつ濫用して放縦に走った結果として、人間は自らのうちに荒廃を招いたと言っている。
もちろん異邦人社会のすべての人が等しく放縦に走り、荒廃をきたしているのではない。
しかしここに描かれた人間の罪の姿は、異邦人社会そのものの罪を告発することのほかならない。

「彼らは、してはならないことをするようになりました」(1・28)
神を知る知識は、すべての人に明らかに提供されている。
しかし人は神を神として正しく知ろうとしていない。
この人間の実際上の無神性は、ただちに人間の「良くない思い」に結びつくのである。
人間の宗教性と道徳的な心情とを直結させるのは神の御手である。
悪い宗教は悪い道徳心と結びつく。
そして心の働きは同時に行為として現れる。神に対する不誠実な態度は、ただちに隣人に対する悪い行為となって表に表れるのである。

29~31節は、長い罪のリストである。
Ⅱテモテ3・1~4にも同じような悪徳のリストがあげられているが、こちらは「終わりの日」が到来さいた時、人の心に現れる特色であるとされている。
だが、一世紀の使徒の時代から来るべき再臨の時までを含めて終わりの日と理解すべきであろうから、テモテの記事も、今日のわたしたちの問題に直接結び付くものである。

32節「神の定めを知っていながら、それを行っているだけでなく、それを行う者に心から同意しているのです」。
この節は「知っていながら・・・行ってる」という句によって、18節からの内容を要約している。
そして、罪に対する刑罰が死であることは、人間の心に深く刻まれていることだとパウロは述べる。
それにもかかわらず、自らの悪を重ね、これを喜びとし、他人の同じ行いに対しても拍手する人間の徹底的な悪性。
パウロはそれを私たちにも突きつけている。
永遠の刑罰は未来に待っているだけでなく、現在すでに始まっている。
すべての人に与えられている自然啓示を通しての神の声を黙殺した時、地獄への道は始まる。
神はこの道を行く人間を「汚れに引き渡される」ので、人は自分の力では引き返すことができない。
ただ福音において啓示されている神の義だけが、人を罪の道、滅びの道から連れ戻す力を持っているのである。』



お祈りしますm(_ _)m
恵み深い天の父なる神さま
罪の中にあるわたしをお赦しください。
罪の中から抜け出すことはできません。
弱いわたしをお赦しください。
どうか、主の御手によって、わたしを罪の中から救い上げてくださいますように。
主イエス・キリストの御名によって、お祈りします。
アーメン

「キリスト教神学入門」を読む 3

2010年05月04日 | 「キリスト教神学入門」マクグラスを読む
「キリスト教神学入門」マクグラス

☆58ページから72ページまで。

第2章 中世とルネサンス
中世
ルネサンス
スコラ主義
人文主義


ここまで、線を引きながら、自分なりにまとめながら読んでるんですが。
ちっと難しいです( ̄~ ̄;)
ルネサンス、スコラ主義、人文主義は、
分かったような気にはなりますが、実際説明しようとすると、自分ではちゃんと説明できない感じです。
う~む。。。。
まあ、このまま進んでいくと、いつか、また分かる時が来るかもしれないですね。
各章の最後に、重要な名前と用語というのが載っているんですが、
それはちゃんと暗記しようと頑張っています。

では。次へ進んでいきますm(_ _)m