『PERFECT DAYS』(原題:Perfect Days)
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:役所広司,柄本時生,中野有紗,アオイヤマダ,麻生祐未,石川さゆり,田中泯,三浦友和他
イオンシネマ茨木にて前述の『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』を観た後、
15分後から予告編上映開始の本作に向けて、109シネマズ箕面へダッシュ。
予告編には間に合わないのはもともとわかっていたこと。本編には間に合います。
ヴィム・ヴェンダース監督が東京・渋谷を舞台に撮り上げた日本/ドイツ作品。
なんでまたヴェンダース監督が?と思いませんでしたか。私は思いました。
きっかけは、渋谷区内17か所の公共トイレを刷新するプロジェクト“THE TOKYO TOILET”なのだそうです。
このプロジェクトのPR映画の制作が企画され、ヴェンダース監督に依頼が届いたとか。
で、当初は短編が検討されていたものの、ヴェンダース監督が長編作品として撮ることに。
下町のアパートに一人で暮らす中年男性の平山(役所広司)は、公衆トイレの清掃員。
毎朝きっちり決まった時間に起き、歯を磨き、軽自動車に乗り込むと、お気に入りのカセットテープをかけて音楽を聴きながら、渋谷の公衆トイレへと向かう。
昼食は公園のベンチに腰掛けてサンドイッチと牛乳。
何十年も使っているカメラで木々をパチリと撮影。
フィルムがいっぱいになれば写真屋に現像に出し、時折行きつけのスナックに顔を出すことも。
夜は寝床に入って本を読み、眠くなれば就寝。
こんなふうに平山のひたすら規則正しい毎日が描かれているといえばそれだけで、
だからちょっと気を抜くと睡魔に襲われそうにもなります。
けれど、なんだかそれがとても心地よい。
平山に過去に何があったかは明かされないままですが、たぶん凄く悲しいことがあったはず。
それでも、日々の幸せを感じ、生きている姿っていいなぁと思う。
家出して平山を尋ねてくる姪っ子に中野有紗、その母親(=平山の妹)に麻生祐未。
柄本時生演じるいい加減な清掃員が突然辞めた後のピンチヒッター清掃員に安藤玉恵。
なんだか観ていて安心できる面々でした。
特別なことは何も起こりません。
万人にはお薦めしないけれど、落ち着けます。
公衆トイレのデザインを見るだけでもいいかも。