夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈な行〉

2023年12月29日 | 映画(な行)
《な》
『なまず』(英題:Maggie)
2018年の韓国作品。U-NEXTにて配信。
ある病院で、男女がSEXしているところを盗撮したレントゲン写真が流出する。
盗撮したのが誰かではなく、被写体のカップルは誰なのかと皆が騒ぐ。
看護師のユニョンは、これは自分と恋人ソンウォンの姿だと確信。実はそうではないのに。
噂の的になっているかもしれないとビビりながら翌朝出勤すると、
副院長のギョンジンしか出てきておらず、他の職員は全員体調不良だと言う。
そんなことがあるはずはないと怒るギョンジンをなだめるユニョン。
ちょうどその頃、街のあちこちにシンクホールが出没。
無職だったソンウォンはシンクホールの埋め戻し工事に職を得るのだが……。
『梨泰院クラス』でブレイクする前のイ・ジュヨンがユニョン役。
ソンウォン役のク・ギョファンが脚本と製作を担当。
ギョンジンを演じるのは、一気に作品の格を上げるムン・ソリ
なまず目線で描かれているのが面白くはあるけれど、オフビートすぎてちょっと困る。
ユニョンがソンウォンの元カノからの情報でソンウォンのDV気質を疑って振る。
すがるソンウォンがシンクホールに落っこちておしまいという驚愕のラスト。
思わず「えっ!?」と声に出ました。これで終わるのかよっ。
 
《に》
『苦い涙』(原題:Peter von Kant)
2022年のフランス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
フランソワ・オゾン監督がドイツ出身の映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの戯曲を映画化。
ファスビンダー自身がメガホンを取った『ペトラ・フォン・カント 苦い涙』(1972)のリメイクです。
ゲイの映画監督のピーター・フォン・カントは、恋人と別れて落ち込んでいたところ、
親友で大物女優のシドニーから紹介された青年アミールに一目惚れ。
俳優志望のアミールを自らの手でスターにしようと、自分のアパートに住まわせるのだが……。
40歳で巨漢、著名な映画監督でなければ男も寄ってこないだろうという外見のピーター。
確かに、痩せていたら格好いいかもしれないし、愛嬌のある顔立ちではあるけれど。
そんな彼が若くて美しいアミールにぞっこんになるところを見せられても私は嬉しくない。
アミールのほうは打算ありありだし、相手にされていないこともわからない中年男の情けなさ。
ピーターのことを本当に愛し気遣ってくれているのは秘書のカールなのに。
まったく、観ていて嫌になっちゃいました。
シドニー役には本当に大物女優のイザベル・アジャーニを起用。凄い大物感があります。
 
《ぬ》
『ヌーのコインロッカーは使用禁止』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
脱サラに失敗した挙げ句、保険金詐欺で捕まって懲役刑を食らった黒迫和眞(上西雄大)は、
出所後、息子の大学入学資金を工面しようと、知り合いのヤクザを頼る。
ヤクの売人となった和眞は、その受渡場所に指定されているコインロッカーへと向かうが、
“ぬ5515”を使用しようとすると、そばにいた那須叶(なすかなえ)(古川藍)が怒る。
ヌーと呼ばれている彼女は、生まれてすぐに“ぬ5515”に捨てられていたらしい。
発達障害のあるヌーは、絵を描きながら毎日“ぬ5515”を見張っているのだ。
彼女に興味を持った和眞が、自作のふりをしてSNSに絵をUPすると反響があり……。
上西監督の作品は相変わらずVシネマちっくなのですが、人情があって面白い。
最初はどうだかなぁと思っていたヌー役の古川藍も良いものに見えてきます。
彼女を妹のように思うソーシャルワーカーには上西作品の常連、徳竹未夏。
ラーメン店主役の菅田俊にも味があるし、検事役で登場する田中要次も○。
もしも発達障害者への虐待シーンを見せられたら目を覆いたくなるところでしたが、
そこはなくてありがたかった。でも現実にはそういうことが多々あるでしょうね。
 
《ね》
『劇場版 ねこ物件』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
同名TVドラマシリーズの劇場版。
2匹の猫と祖父とともに暮らしていた二星優斗(古川雄輝)。
祖父が亡くなり、気持ちの整理をつけられずにいたが、
親切な不動産屋の広瀬有美(長井短)にシェアハウスの再開を促される。
最初は断ったものの、自分には生き別れの弟がいると祖父から聞いたことを思い出し、
シェアハウスの様子を全国に発信すれば、弟を見つけられるのではないかと考える。
そこで、シェアハウスの入居者を大々的に募集して、SNSをフル活用するのだが……。
猫が好きです。猫を見ているのは確かに楽しいけれど、この劇場版だけではどうかなぁ。
人間関係もイマイチわからないから、ぼんやり眺めるだけになってしまいました。
TVでじゅうぶんかもしれません。
 
《の》
『ノーウェア:漂流』(原題:Nowhere)
2023年のスペイン作品。Netflixにて配信。
財政難に悩むスペイン政府は、労働力を見込めない妊婦や子どもを殺すという暴挙に出る。
身重のミアとその夫ニコは、国外へ脱出することを決意。
仲介業者に高い金を払い、アイルランドへ向かう貨物船で密出国することに。
ところが同様の者が押し寄せたためにひとつのコンテナには収容しきれず、ミアとニコは離ればなれに。
しかもミアが入ったコンテナが検問でひっかかり、なんとか隠れたミア以外、全員射殺されてしまう。
出港した貨物船は嵐に遭い、ミアはコンテナごと大海原へ放り出される。
かろうじて繋がった携帯電話でニコに救いを求めるが、ニコのほうも大変な状況。
やがて産気づいたミアは、水位が増してきたコンテナの中、たったひとりで出産。
生まれてきた赤ん坊と共に漂流を続けるのだが……。
冒頭ではボーッとしているミアにイライラさせられましたが、その後は逞しさ全開。
コンテナ内で水に浮かぶ積荷から使えるものを探し出し、必死で生き延びます。
食べるものがなくなってへその緒に齧りつく姿はホラー。
コンテナから外へ出ようとしたときに太ももが切り裂かれるシーンはこっちも絶叫したくなる。
最後はちょっとジーンと来た。あ、でもニコとの再会は叶いませんのであしからず。

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