夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『エクスペンダブルズ2』

2012年10月30日 | 映画(あ行)
『エクスペンダブルズ2』(原題:The Expendables 2)
監督:サイモン・ウェスト
出演:シルヴェスター・スタローン,ジェイソン・ステイサム,ドルフ・ラングレン,
   テリー・クルーズ,ランディ・クートゥア,ジャン=クロード・ヴァン・ダム,
   ユー・ナン,ブルース・ウィリス,アーノルド・シュワルツェネッガー他

さて、T・ジョイ京都でゴージャスなソファ席体験をしたあと、
家に帰ってもうじき封切りの『悪の教典』の原作を読むか、
近所のシネコンでもう1本観るか悩みました。
観るならば、時間的に本作か『SAFE セイフ』しかありません。

前作が面白かったので、この続編も観たいリストには入っていたのに、
封切り後すぐに観たという知人が「観に行かなくていいです」と。
その知人曰く、「パチンコ屋みたいな映画です」。
それを押し切って観に行ってしまったわけですが……オモロイやんか!

バーニー・ロス率いる少数精鋭の傭兵軍団“エクスペンダブルズ”。
今回、CIAのチャーチが彼らに持ち込んだミッションは、
墜落した輸送機に積載されているデータボックスを回収せよというもの。
チャーチはデータボックスの中身を明かそうとしない代わりに、
それを知る女性マギー・チャンを同行させると言う。

バーニーらは輸送機が眠るバルカン半島アルバニア領の山中へ。
マギーがデータボックスを無事回収し、出発地点に戻ると、
残忍きわまりないジャン・ヴィランをリーダーとする武装組織“サング”が、
エクスペンダブルズの優秀な新人ビリーを人質に取って待ち構えていた。
ビリーを救おうと、マギーはデータボックスを差し出すが、
ヴィランはそれを受け取るや、ビリーの心臓を一突きして立ち去る。

ようやくマギーからデータボックスの中身を聞いたバーニーらは、
若い仲間の命を奪われた怒りに燃えるとともに、
悪党の好きにやらせてたまるかと、サング抹殺を誓って始動する。

いや~、「パチンコ屋」、言い得て妙です。
突っ込みどころは満載で、納得のいかない部分もいっぱい。
特にジェット・リーがカメオ出演みたいなチラリだけで、
これは寂しすぎるというものです。

しかし、飄々とした風体のチャック・ノリスは見るだけで笑えます。
なにしろ私はオハイオで生チャック・ノリスを目撃していますから、
そのときの光景を思い出すと可笑しくてたまらない。

ほかにも小ネタがてんこ盛り。遊びの台詞が嬉しい。
ドルフ・ラングレンがフルブライト奨学金を得てMITに進んだのはホントだし、
シュワちゃんが“I will be back.”を連発するのに対し、
ブルース・ウィリスが「オマエは戻ってきすぎなんだよ」と言えば、
今度はシュワちゃんが“Yippee-ki-yay!”。これは『ダイ・ハード』の定番台詞ですね。
『ターミネーター2』(1991)で溶鉱炉に沈められるのを字幕で茶化したとおぼしき、
“You will be terminated.”という台詞もありました。
「ボクシングでも習え」と言われるロッキー、スタローンも。
字幕のむずかしさもしのばれて、林完治さん、お疲れさまでした。

そんなわけで、細かいことは言いっこなし。
むちゃくちゃしすぎだけど、いいんじゃないでしょか、「男祭り」。

『キック・オーバー』

2012年10月28日 | 映画(か行)
『キック・オーバー』(原題:Get the Gringo)
監督:エイドリアン・グランバーグ
出演:メル・ギブソン,ダニエル・ヒメネス・カチョ,ピーター・ストーメア,
   ケヴィン・ヘルナンデス,ドロレス・エレディア,ボブ・ガントン他

10月の初め、JR大阪駅構内で職場の「広報活動」のために休日出勤。
その代休を取った木曜日、めちゃ愉快なアラ還の方々に囲まれて京都へ。
美味しい蕎麦懐石とビールと日本酒で満腹に。昼間の酒はほんとに旨い。
泉涌寺付近を散策して帰るという皆様にお別れをして、私は京都駅へ。

梅田ブルク7と同系列のT・ジョイ京都、初体験。
12あるスクリーンのうち、本作を上映しているのは5番シアター。
チケット窓口で過去に5番で観たことがあるかどうかを問われ、
初めてだと答えたらこんなところだと説明してくれました。

写真を見てビックリ、入場してさらにビックリ。
2人掛けの真っ赤なソファが14脚。各ソファにはクッションも2個ずつ。
ドリンクやフード類用のトレイも置かれています。
隣のソファとはくっついているものの、
座ると目の高さぐらいまで来る「壁」に囲まれているため、個室っぽい。
同伴喫茶(←まだあるのか?)ってこんな感じじゃないでしょか。(^^;

その2人掛けの空間を1人で使ってよいのです。
どんな格好もし放題(?)、いや~、めちゃ贅沢な気分。
ものすごく座り心地がいいとは言えませんが、
少なくともキャバレーの椅子よりは100倍ぐらいイイ。

で、本題の映画は、実在した悪名高きメキシコの刑務所を舞台にした架空のお話。
メル・ギブソン復活かと謳われていますが、その言葉に偽りなし。ヨレ具合完璧。

マフィアから数百万ドル以上を強奪して逃走中の通称“ドライバー”。
アメリカとメキシコの国境に沿って走りつづけ、双方の警官から追われる。
最後は国境の壁を車でぶち抜いて、メキシコ側で御用となる。

メキシコ側は、手続きが面倒だと言ってアメリカ側に任せることにするが、
大破したドライバーの車中を覗いて態度が一変。
この大金をアメリカ側に渡してなるものかと、メキシコ側で引き受けると言う。
どっちにしたって汚職警官。アメリカ側は捨て台詞を残して立ち去る。

メキシコの警察官はウハウハ状態。
しかし、ドライバーがいったい誰で何をやらかしたのかは知らない。
相当やばい金だろうが、それでもなんとかなるだろうと高を括る。

ドライバーがぶち込まれたのは悪名高き刑務所“エル・プエブリート”。
金さえ積めば何でもあり、囚人たちがすべてを仕切っている。
場末のような店や宿が建ち並び、囚人以外も出入り自由。
家を建てて家族と一緒に暮らすこともできる。

脱獄を目論むドライバーは、少年キッドと出会う。
大人びて冷めた目のキッドは、囚人のボスであるハビから特別待遇を受けている。
というのも、肝臓病を患うハビと血液型が完全一致する唯一の存在がキッドで、
将来肝臓移植するためのドナーとして大事にされているらしい。
キッドとその母親は次第にドライバーに心を開いてゆくのだが……。

『推理作家ポー 最期の5日間』と同じく、残虐な拷問シーンがあるのでR15+指定。
またしてもそれは直視できませんでしたが、あとは痛快。
ヨレヨレ気味のメル・ギブソンは体力で勝てずとも頭で勝負。
あの手この手で巧く立ち回り、見事にやっちゃってくれます。

ラスト間際、大金の入った鞄が目に入り、
金を持ってトンズラしよかなという思いが頭をよぎり、
いやいやそれはアカンやろとキッド救出に行くときの表情は、
一瞬の逡巡が表情によく映し出されていて絶妙でした。
キッド役の少年は知的で愛らしい。母親も疲れた美人で好印象。

英題は2種類あり、もう1つは“How I Spent My Summer Vacation”。
結局アンタは何者なのよという疑問は残りますが、
人生いろいろ、裏切りに対する復讐も果たしてスッキリ、
メル・ギブソンも本作でスッキリなのでは。

それにしてもメキシコ、怖すぎる。(^o^;

『捜査官X』

2012年10月26日 | 映画(さ行)
『捜査官X』(原題:武侠)
監督:ピーター・チャン
出演:ドニー・イェン,金城武,タン・ウェイ,ジミー・ウォング,クララ・ウェイ他

最初は珍しかった「TSUTAYA独占レンタル作品」も今は乱発気味で、
全作制覇するのはとても無理になってきたため、
最近は本当に興味を惹かれたものだけを観ています。

本作は『君さえいれば 金枝玉葉』(1994)の監督作品であり、
いつぞやそのビリヤードの腕前に驚いた金城武を久々に見たくなり、レンタル。
謎を匂わせる邦題が付いていますが、原題はシンプルに『武侠』。
ミステリーというよりは本格派のカンフーアクション映画です。

1917年、雲南省ののどかな村。
旅人とおぼしき人相の悪い二人組がメシ屋で酒を飲んだあと、両替店に押し入る。
たまたまその場に居合わせた紙職人のジンシーは、
しばらく扉の陰に身を隠していたが、意を決して強盗に体当たり。
もみ合いになった末、強盗は二人とも死に至る。

この強盗が指名手配中の凶悪犯であると判明し、
偶然とはいえ、腕に覚えもないはずのジンシーが成敗したことで村は沸く。
ジンシーはもちろん正当防衛を認められ、知事は名誉を授ける。

しかし、捜査を担当することになった刑事のシュウは、
ジンシーの動きが武術の達人のそれにちがいないとにらむ。
検死の結果からも、強盗が偶然死に至ったのではなく、
ジンシーがあきらかにそれを狙っていたと考えるのだが……。

金城武演じるシュウが、両替店で発見した足跡やモノから、
ジンシーの動きを想像するシーンがとても面白いです。
抜けた歯が瓶に飛び込んだところなど、お見事。
達人には虫すら寄ってこないという話は「ホンマか!?」と疑うし、
達人なら避けるはずと鎌を振りかざすところはやりすぎですが。

ジンシー役のドニー・イェンが見せる、キレ味抜群のアクション。
北京の体育学校で武術を学んでいたときはジェット・リーと同期生だったとのこと。
温厚な人柄を感じさせる表情とアクションの鋭さが対照的。
この人は善人なのだろうか悪人なのだろうかと最後まで悩まされますが、
悪いことをしてきた人も変われる、そう信じたくなる顔です。

ジンシーを信じ支えつづける妻に『ラスト、コーション』(2007)のタン・ウェイ。
寂しげで健気で強さも見せる彼女はとても素敵です。
「シュウさんは優しい人だけど、自分でそのことに気づいていない」という彼女の台詞は、
その後シュウが取る行動に現れています。

適当に借りたわりにはかなり楽しめるアクション映画でした。
金城武はやっぱり○。

『伏 鉄砲娘の捕物帳』

2012年10月24日 | 映画(は行)
『伏 鉄砲娘の捕物帳』
監督:宮地昌幸
声の出演:寿美菜子,宮野真守,宮本佳那子,小西克幸,坂本真綾,神谷浩史,
     野島裕史,水樹奈々,桂歌丸、竹中直人,劇団ひとり他

日曜日にひょっこり1本だけ観る時間ができました。
立ち寄る劇場をテアトル梅田に限定して、
間に合いそうな作品を出かける前にネットにて物色。
大のお気に入りの石ラーにまつわる『ペンギン夫婦の作りかた』が気になるけれど、
なんとなく気分は桜庭一樹のアニメ作品。

桜庭一樹の著書で初めて読んだのは『赤朽葉家の伝説』。
女性作家よりも男性作家の小説のほうが好きなようだと漠然と感じていた私は、
名前からこの桜庭一樹という人も男性だと思い込んでいました。
ある村で製鉄業を営む名家に生まれた女三代について、
三部に分けて描いた壮大な小説で、これが面白いのなんのって。
男性作家なのに女のことをうまく書くなぁと思っていたら女性作家でした。

その後、これは読んでみなくちゃと手に取った彼女の著書いろいろ。
直木賞受賞作の『私の男』は暗い生々しさに引き込まれました。
『少女には向かない職業』と『少女七竈と七人の可愛そうな大人』も好きでした。
でもライトノベルっぽいものはどうもイマイチ、苦手です。
時代劇も映画同様食わず嫌いというのか読み進められる自信がなくて敬遠しているため、
本作の原作『伏 贋作・里見八犬伝』は未読です。

山に囲まれた村で育った浜路(はまじ)は、まだ少女でありながら腕の立つ猟師。
祖父を亡くし、この家にたった一人になった彼女のもとへ、
近くの寺の住職が持ってきた浜路の兄・道節(どうせつ)からの手紙。

字が読めない浜路に代わって住職が読んで聞かせるには、
道節が江戸で一緒に暮らそうと言っている。
浜路は村を離れる決意をすると、さっそく江戸へ。

江戸のにぎわいは浜路の想像をはるかに超えるもの。
右も左もわからずおたおたしていると、犬の首が並べられているのを発見。
こんなものは山で見慣れているが、子犬の首まで取る理由がわからない。
聞けばこれは人と犬との合いの子、“伏(ふせ)”と呼ばれる生き物で、人の心臓を喰うらしい。
人に化けて江戸に潜む“伏”を殺せば、徳川家定公から報奨金が貰えると言う。
道節と浜路はただちに“伏狩り”を始めることに。

そんな折り、犬の面を付けた美しい青年・信乃(しの)と浜路は出会う。
ふたりは少しずつ心をかよわせていくのだが……。

『蛍火の杜へ』(2011)を思い出させますが、
こちらは話の流れがちょっと大ざっぱで、理解しづらい場面があります。
多少わからないところがあってもええかと思えるのは、作画の美しさ。
江戸のにぎわい、吉原の艶っぽさ、はらはら舞う桜、舟が行き交う川、
きわめつけは朝日に映し出される川面。

人物も魅力的で愛嬌のある人ばかり。
浜路と親しくなる冥途ちゃんはなんと滝沢馬琴の孫という設定で、
この冥途ちゃんの語りで始まり、終わります。

滝沢馬琴が『南総里見八犬伝』を書いたのは、
悪者に見られている“伏”を救いたかったのだという台詞があり、
それを心に留めつつ浜路と信乃を見ていたら涙が。

映像とともに、音楽にもやられました。
エンディング曲のCharaの『蝶々結び』以上に心を揺さぶられたのが
挿入歌の浜田真理子の『のこされし者のうた』。
「ゆかないで わたしをおいて ゆかないで
 悲しくてこころが はりさけそうだ
 夜空の星も 朝の霧も みんなみんなあげるから
 わたしをおいてゆかないで」。
ちょっぴりおおたか静流を感じる曲調で、強く印象に残りました。

『赤朽葉家の伝説』もこの監督がアニメ映画化してくれないかなぁ。

『アニマル・キングダム』

2012年10月22日 | 映画(あ行)
『アニマル・キングダム』(原題:Animal Kingdom)
監督:デヴィッド・ミショッド
出演:ジェームズ・フレッシュヴィル,ベン・メンデルソーン,ジョエル・エドガートン,
   ガイ・ピアース,ルーク・フォード,ジャッキー・ウィーヴァー,サリヴァン・ステイプルトン他

2010年のオーストラリア作品。
日本公開は今年に入ってからで、先月初旬にDVD化されました。

監督は『メタルヘッド』(2010)の脚本家で、監督としてはこれが長編デビュー作。
物語の基となっているのは、1988年にメルボルンで起きた警官射殺事件。
のちに無罪判決を受けた容疑者とその家族に監督が着想を得たのだとか。
本国ではもちろん、アメリカやイギリスなど、各国の映画協会賞を受賞。
クエンティン・タランティーノが選んだ2010年のベスト作品のうち、3位に本作が入っています。

1980年代のオーストラリア、メルボルン。
17歳の高校生ジェイことジョシュアは、母親と二人暮らし。
ところがその母親がヘロインの過剰摂取で急死し、
疎遠にしていた祖母のスマーフことジャニーンに連絡を取る。

スマーフはただちにジェイを迎えにくる。
ジェイにとっては伯父となるスマーフの息子たちとともに、
スマーフの家で暮らすことに。

しかし、彼らは強盗や麻薬で生計を立てる犯罪一家。
伯父のバズ、クレイグ、ダレンはジェイを拒んだりしないが、
どうにもジェイは彼らの日常になじめず、力が抜けない。
しかも、もう一人の伯父ポープが行方不明で、
彼の帰りを見張っているのか、表には常に警官がいる。

戸惑いつつも元の高校生活へと戻るジェイ。
ガールフレンドのニコールも支えになってくれる。
だが、いつしか伯父たちはジェイにも仕事を手伝わせるようになり……。

地味に淡々と進むのに、終始不穏な空気が漂い、何が起こるかわからない。
いったいこれはどういう種類の映画なのか判断がつきません。
冒頭からして狭い部屋の中、すでに死んでいるように見える母親の隣、
騒ぐでもなくテレビを見ながら救急隊員の到着を待つジェイに引きつけられます。

ジェイ役のジェームズ・フレッシュヴィルの徹底して無表情な演技が素晴らしく、
無表情でありながら心の動きはしっかり感じさせます。
自分の居場所を求め、一旦は逃げだそうとしても、
どうあがこうがこのファミリーからは抜けられないことを悟り、
戻ったときには王者の風格さえ見え隠れしています。

ファミリーの中で唯一不動の存在であるスマーフは、
息子たちにいびつな愛を注ぎつづけ、息子たちとともに過ごすことに固執します。
息子たちを裏切ったら、孫でさえも許さない。
そんな彼女が打ちのめされる瞬間は目が離せません。
なんとも言えない重々しい余韻。

ちなみにタランティーノが選んだ2010年の1位と2位は、
『トイ・ストーリー3』と『ソーシャル・ネットワーク』だそうで、とっても楽しい守備範囲。(^O^)