夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『阪急電車 片道15分の奇跡』

2011年04月28日 | 映画(は行)
『阪急電車 片道15分の奇跡』
監督:三宅喜重
出演:中谷美紀,戸田恵梨香,南果歩,谷村美月,有村架純,
   芦田愛菜,小柳友,勝地涼,玉山鉄二,宮本信子他

生まれてからずっと、阪急電車のお世話になっています。
宝塚線、千里線、箕面線の沿線に住み、宝塚線と京都線で通学し、
行きつけの店へは神戸線と今津線を乗り継いで。
だから、私にとっての電車といえば阪急電車で、
それが主役となる小説に映画と来たら、読まずにも観ずにもいられません。

いきなり全国区になったかどうかは怪しいですが、
本作の舞台となっている阪急今津(北)線は、
宝塚~宝塚南口~逆瀬川~小林(おばやし)~仁川~甲東園~門戸厄神~西宮北口を
約15分で結んでいます。
仁川での競馬開催時や、平日の通勤ラッシュ時を除いて、基本は各駅停車。
そんなローカル線に乗り合わせた人の群像劇。

婚約者を後輩に寝取られたOLの翔子。
半同棲中のDV男と別れる決意ができずにいる女子大生のミサ。
息子夫婦との関係に悩む老婦人の時江と、無垢な孫の亜美。
PTAのおばさまたちからの高級ランチの誘いを断れない、主婦の康江。
大学生の美帆は、オシャレな同級生との間に距離を感じ、
同じ大学に通う地方出身の圭一も、周囲になじめないまま。
会社員と交際している女子高生の悦子は、進路に迷っている。

この辺りが主要な面々。
原作で最初と最後に登場する図書館カップルは姿を見せず、
携帯のスピンオフドラマとして別仕立てになっているのはどうなんだか。
大事な「生」の光景も、エンドロールで一瞬写るだけです。

という、残念な事柄もいくつかはありますが、
贔屓目なしに観るのは無理というもの。

率直な感想は、原作を読んだときと同じ、「普通」。
普通と言いつつ、3回ぐらい泣きました。翌朝まぶたが腫れるぐらい。(^^;

ぶおっと泣いてしまったシーンは、
まずは、宮本信子演じる時江が、中谷美紀演じる翔子の話を聴くシーン。
説教はいらん。こんなふうに言ってほしい。聞き上手の王道。

その次は谷村美月演じる美帆が、西宮北口駅の階段で、
勝地涼演じる圭一に声をかけるシーン。
その後もこのカップルは原作同様、私のツボにだだハマリ。
最後は、小林駅での翔子と小学生の女の子との会話。
涙なしでは観られず。

それと、悦子の恋人役を演じる玉山鉄二が◎。
この人の登場でぐっと温かみが増します。

あのいつも綺麗に磨かれた小豆色の電車は
沿線に住む人のちょっとした誇りかも。

『ミックマック』

2011年04月25日 | 映画(ま行)
『ミックマック』(原題:Micmacs à Tire-Larigot)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:ダニー・ブーン,アンドレ・デュソリエ,オマール・シー,ドミニク・ピノン,
   ジュリー・フェリエ,ニコラ・マリエ,ヨランド・モロー,
   ジャン=ピエール・マリエール,ミシェル・クレマデ,マリー=ジュリー・ボー他

大好きでたまらないジャン=ピエール・ジュネ監督。
なのに、劇場で観そびれてしまい、DVD化されるやいなやレンタル。
同監督の作品といえば『アメリ』(2001)ですが、
私は『デリカテッセン』(1995)と『ロスト・チルドレン』(1995)のほうがうんと好き。
『アメリ』はDVDを買いませんでしたが、その2作はしっかり手元に置いています。
本作も購入決定。

レンタルビデオ店で働く中年男のバジル。
30年前に地雷で父親を亡くし、そのショックから母親は心を病む。
孤児院に入れられた彼は、その環境に馴染めずに脱走して今にいたる。

ある夜、いつものように店番をしていると、表通りで銃撃騒ぎが。
様子を窺おうとしたところ、頭に銃弾を受けてしまう。
なんとか一命は取り留めたものの、頭に銃弾が埋まったまま生きていくことに。

退院して帰宅すると、家がない。
復帰すべく職場に立ち寄るが、店主からクビを言い渡される。
ホームレスとなったバジルは、小銭を稼いで耐え忍ぶ。

そんなバジルのことを2カ月間見守っていた男がプラカール。
昔、ギロチン刑にかけられたのに、生き延びたらしい。
プラカールは、バジルを不思議なつくりの家へと連れてゆく。
そこでは超個性的な7人が廃品を回収しながら共同生活を送っていた。
彼らに温かく迎えられるバジル。

ある日、父親の命を奪った地雷の製造会社と、自分の頭に埋まる銃弾の製造会社とが
向かい合って建っているのを偶然みつけたバジルは、
7人の協力を得て、このふたつの会社への復讐を決意するのだが……。

痛快、爽快。
廃品の中で暮らす7人は、天才と奇人、紙一重。
軟体女に発明家、言語オタクに人間大砲、人間計算機と、おもしろすぎ。
そして、そんな彼らの才能を存分に使ってバジルが復讐するのは、
地雷と銃弾を使用した人ではなく、製造した会社。

遊び心に溢れた芸術的なイタズラは、監督お得意の色使いで鮮やかに。
廃品ならではの失敗にも笑わずにはいられません。
風貌からして個性的な役者陣にも魅せられっぱなし。

こんな反戦映画があってもいい。
映画の楽しさって、こんな感じ。幸せがひしひしと。

『ヒロミくん!全国総番長への道』

2011年04月19日 | 映画(は行)
『ヒロミくん!全国総番長への道』
監督:宮坂武志
出演:竹内力,夏生さち,栞莱,木下ほうか,芳本美代子,波岡一喜他

TSUTAYA DISCASでレンタルすると、
いつからか表示されるようになる「あなたへのオススメ」。
たまに仰天してしまうような作品もあり、
これを私に薦める理由となった過去のレンタル商品を真剣に考えてみることがあります。
それでも理由に思い当たらない作品がかなりたくさん。
本作もそのうちの1本なのですが、興味が湧いてレンタルしてしまいました。

Vシネマ(劇場公開を前提としない映画)の帝王、竹内力主演。
『ROOKIES』の面々でも高校生役はキツいやろと思われたのに、
御年47歳の彼が16歳の高校1年生役って、
無理がありすぎるこの設定からしてワラけます。

大阪の大山町。(←架空の町です。ロケ地はどこ?)
府立大山高校1年生の白鳥広海(しらとりひろみ)は、
3年生の番長にタイマンを挑む。
圧倒的な強さで一瞬にして番長を倒した広海に、一同驚愕。

広海は妹の愛子とふたり暮らし。
両親を亡くした折り、近所で喫茶店を経営する叔母が同居を申し出たが、
妹の面倒は自分がみると言って聞かなかった。
そんな広海と愛子のことを叔母は優しく見守っている。

大山高校の番長となった広海は、
愛子が東京の渋谷という街に憧れていることを知り、
マルキューこと109へと向かう。
愛子への土産物を買う途中に、渋谷を席捲するラップなギャング集団に遭い、
片っ端から殴り倒してしまう広海。
ギャングのボスである恭介は、広海を追う決意をする。

広海は16歳の誕生日を迎えた日、
かねてから計画していた「全国総番長」になるための旅へ。
ところが、恭介らが大阪へ乗り込み、愛子拉致を図る。
広海に惹かれ始めていた東京からの転校生で、
以前から恭介を知る沙里菜が、愛子の身代わりを買って出る。
それを知った広海は、一目散に大山町へと帰ってくるのだが……。

観始めたときは、耐えられないかもと思いました。
ところが、次第に目が離せなくなり、終盤は大笑い。
老け顔を指摘しまくられる広海も可笑しければ、
広海をスカウトするヤクザ3人組が弱すぎてサイコー。
愛子と沙里菜が可愛いし、酒屋の車でポイントを押さえる山本先輩も○。

いちばんウケたのは、総番長への旅に出た広海が
各地の番長と闘うたびに映し出される文字。期待を裏切らず。

私にオススメしてくれて、おおきにです。
でも、続編は要らんよぉ。勘弁して~。

ふたつの『クロッシング』(ハリウッドと北朝鮮)

2011年04月15日 | 映画(か行)
邦題を同じくする2本の作品を観ました。
アメリカ作品の『クロッシング』(2009)と韓国作品の『クロッシング』(2008)。
どちらも日本では昨年公開され、ごく最近DVD化されています。

前者はニューヨーク、ブルックリンが舞台。
低所得者層が暮らす犯罪多発地区を管轄するニューヨーク市警の警察官3人が主役です。

定年退職を1週間後に控え、つつがなく過ごしたいベテラン警官エディ。
子沢山で、愛する家族のために広い新居を購入したい麻薬捜査官サル。
ギャングの中での生活に疲労困憊し、いいかげん抜けたい潜入捜査官タンゴ。

3人とも、正義感あふれる警官というわけではありません。
面倒なことは見て見ぬふりをしたり、犯罪組織の金を横領したり、
出世をちらつかされて迷ったり。
「人生は、より“善”か、より“悪”かなだけ」という台詞があるのですが、
3人のそれぞれの人生を追って行くと、
物事の両側から見ないと善悪はわからないものだとしみじみ。

原題は“Brooklyn's Finest”。
3人の人生が交差すると言えなくもないですが、ちょっとこの邦題は無理やり。

余談ですが、リチャード・ギアの絡みのシーンを見ていると、
やっぱりクリント・イーストウッドよりはまだかなり若いなぁとホッ。

後者は北朝鮮が舞台。
韓国人の監督が脱北者への入念な取材をおこなって撮り上げています。

北朝鮮の田舎の村に暮らすヨンスは、妻と息子の3人家族。
妻が結核に罹りますが、北朝鮮では薬が手に入りません。
河を渡って中国へ行けば薬があることはわかっていますが、
見つかれば強制送還のうえ処刑は確実。
それでもヨンスは中国へ密入国する決意をします。

薬を得たらすぐに帰るつもりだったのが、
メディアに脱北者のひとりとして大々的に報道され、
帰国できなくなってしまったヨンス。
その間に妻は亡くなり、11歳の息子は過酷な運命を背負うことに。
息子を呼び寄せるため、ヨンスはあらゆる手を尽くすのですが……。

これは凄い作品です。
どうか生きて。そう願わずにはいられませんが、叶いません。
深い哀しみが、あとからあとから募ってきます。
前者の感想と矛盾しますが、彼らには“善”しかないのに。
そう思ってしまいました。

どちらも見応えがありますが、
前者はどちらかと言えば、豪華キャストの陰ある役柄に魅せられた感じ。
後者は俳優が著名かどうかなんてどうでも良し。
子役も含めて圧巻の演技でした。観るべき作品。

『ツーリスト』

2011年04月12日 | 映画(た行)
『ツーリスト』(原題:The Tourist)
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:アンジェリーナ・ジョリー,ジョニー・デップ,ポール・ベタニー,
   ティモシー・ダルトン,スティーヴン・バーコフ他

某SNSに映画館で働いている人のコミュニティがあり、
「お客さんのおもしろい言い間違い」というトピックを発見。
本作のチケットを買いに来たお客さんの話にウケました。
「トラベラー」。

国際指名手配されている金融犯罪者アレクサンダー。
彼の行方を捜し続けているイギリス首都警察は、
アレクサンダーの恋人エリーズを監視するようにパリ警察に依頼。
エリーズが毎朝訪れるパリのカフェを張り込んでいると、
郵便配達人から手紙を受け取った彼女が席を立つ。
その手紙がアレクサンダーからだと踏んだ警察はすぐさま後を追う。

アレクサンダーの指示でヴェネチア行きの列車に乗ったエリーズは、
捜査を攪乱するために、車内でアレクサンダーに似た体格の男に声をかける。
男はアメリカからの旅行者で、数学教師だというフランク。
妻を亡くして傷心の一人旅だったはずが、エリーズに魅了されてしまう。

ヴェネチアに到着すると、自分の宿泊先にフランクを招き入れるエリーズ。
事情がのみ込めないままついて行くフランクだったが、
イギリス、フランス両警察からマークされるはめに。
しかも、アレクサンダーはロシア人マフィアからも大金をくすねていたため、
警察内部から情報を得たマフィアまでがヴェネチアへやって来て……。

最近、アクション映画を観ていてよく思うのは、
「めっちゃオモロイけど、速すぎて何が起こってるのか見えへん」。
マット・デイモン主演の“ジェイソン・ボーン”シリーズ(これとかこれとか)もそうでした。

ところが、本作は水の都が舞台ですからね。
基本的に移動手段は船。しかもかなりちっこい。
ちんたらちんたらと水上を進むもんですから、目が血走る心配はありません。
それでも、アクションの見どころは十分。

『ダークシティ』(1998)では主役を張っていたのに、
本作では名もなき英国人役のルーファス・シーウェルにちと目が潤み、
ジェニファー・コネリーの旦那、ポール・ベタニーの好演に頬が緩み。

文句なしに楽しかったけれど、
『ナイト&デイ』(2010)のほうがタイプかもと思っていたら、
監督は『善き人のためのソナタ』(2006)の監督だと知り、
こんな娯楽大作も撮るのかぁとマジで感心。すごいっす。