夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アンダーグラウンド』【4Kデジタルリマスター版】

2024年01月02日 | 映画(あ行)
『アンダーグラウンド』(英題:Underground)
監督:エミール・クストリッツァ
出演:ミキ・マノイロヴィッチ,ミリャナ・ヤコヴィッチ,ラザル・リストフスキー,スラヴコ・スティマチ,
   エルンスト・シュトッツナー,スルジャン・トドロヴィッチ,ミリャナ・カラノヴィッチ他
 
シネマート心斎橋にて、『スイッチ 人生最高の贈り物』の次に。
 
1995年のフランス/ドイツ/ハンガリー作品です。
いつだったか、テレビで放映されていたときに母に録画を頼みました。まだVHSだった時代。
観よう観ようと思っていたのに、3時間近い長尺だから集中力がもたず、家で観るのは断念。
これを観ないまま私は死ぬのだろうかと思っていたら、鑑賞の機会が巡ってきました。
 
第48回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞しています。
エミール・クストリッツァ監督の作品は、ふだんあまり映画を観ない人にはお薦めできません。
ハリウッド映画とはまったく違いますし、そもそもこの音楽。慣れていないとビビる(笑)。
けれども凄く難解というわけでもなくて、『ウェディング・ベルを鳴らせ!』(2007)のように、
結構いろんな人が楽しめるんじゃないかという作品もあります。
 
本作は、1941年から始まった旧ユーゴスラビアの戦いと動乱の歴史を描いています。
「ユーゴスラビア」という国名が出てくることはなく、ただ「くに」と呼ばれるだけですが、
ベオグラードだったりザグレブだったりという都市名は頻繁に登場します。
 
主人公はマルコとクロというふたりの男性。
詩人で共産党員のマルコは、元電気工のクロを入党させ、共にパルチザンに参加。
ナチスの爆撃を受けたベオグラードは焼け野原となり、
マルコの弟で吃音症のイヴァンが飼育係として勤めていた動物園も壊滅。
イヴァンは生き残ったチンパンジーのソニを連れて命からがら逃げ、兄マルコを頼ります。
 
クロの妻ヴェラは、息子のヨヴァンを出産する際に亡くなりましたが、
妻の生前から舞台女優のナタリアに入れあげていたクロは、恋敵であるナチス将校フランツを殺してナタリアを奪う。
マルコの助けによりナチスからなんとか逃げおおせたクロでしたが、大怪我を負います。
 
こうしてマルコのもとに集結した生き残りの人々。
それはイヴァンやクロ、ナタリアのみならず、爆撃を避けて地下に身を潜めていた人たちで、
彼らは戦争が終わったことを知らずにずっと地下で暮らし続けることに。

戦争の終結を知っているのはマルコとナタリアだけで、クロは怪我のせいで地下室に寝たきり。
マルコは地下の住人に戦争が続いているものと思わせて武器を造らせます。
武器商人として金を稼ぎまくるマルコ。
 
3時間はなかなかにつらくて、途中少しだけ寝そうになりました。
でもこれは壮大な作品ですよね。
 
本作から30年近くが経過しようとしているのに、世界のどこかで途切れることなく戦争が続いています。
なぜ争うことをやめられないのでしょうか。

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『スイッチ 人生最高の贈り物』

2024年01月02日 | 映画(さ行)
『スイッチ 人生最高の贈り物』(英題:Switch)
監督:マ・デユン
出演:クォン・サンウ,オ・ジョンセ,イ・ミンジョン,パク・ソイー,キム・ジュン,
   キム・ミギョン,ユ・ジェミョン,ファン・スンオン,チョン・ヒョンソク他
 
ここからしばらくは2023年中に劇場鑑賞した作品が続きます。
 
先月23日、動楽亭へ落語を聴きに行く前にシネマート心斎橋へ行きました。
スマホもモバイルバッテリーもちゃんと鞄に入れたことを確認して車を走らせたのですけれど。
東三国辺りでふと気づく。私、スマホは持ったけど、財布どうしたっけ。
え、え、えーっ。財布持ってくるの忘れてるやん。
今どきスマホで何でも支払い可能やろけど、西成の駐車場ってスマホに対応してるやろか。
もしも対応していたとしても、スマホで払ったことない私がちゃんと払えるかどうかわからん。
あかんあかん、これは財布を取りに戻らねば。
 
いったん家に戻ってもギリギリ上映開始に間に合う時間に到着できるやろと思っていたのに、
千里中央までの間の新御で事故とおぼしき2件、なんやわからんけどパトカーが車を止めているのが1件。
ものすごい混みようで、家に帰り着いたのがすでに上映開始時間。
本作は28日までの期間限定上映だったから涙が出そうになりつつ、あきらめてまたミナミへと向かう。
シネマート心斎橋へ到着したときは本編開始から35分ほど経過していたのですが、
「今からでも入場させてもらえますか」と尋ねて入らせてもらいました。どっちみち席は端っこだし(笑)。
 
したがって、途中まではまったく観ていないので、どういう流れかイマイチわかりません。
でもこんなに話が進んでからでも観てよかったと思いました。
 
クォン・サンウ演じるパク・ガンは超売れっ子のスター俳優。
彼のマネージャーを務めるのが、オ・ジョンセ演じる親友チョ・ユン。
クリスマスイブの夜、一緒に飲んでタクシーに乗るが、翌朝目覚めるとふたりの人生が入れ替わっていた。
 
私が観はじめたのはこの後、ふたりの人生が入れ替わってしばらく経ってからです。
 
どうやら人生が入れ替わってしまったことを知っているのはパク・ガンのほうだけ。
チョ・ユンも、パク・ガンのまわりの人も、誰も人生が入れ替わったことを知らない。
元の人生がどうたらと、おかしなことを言う奴という認識です。
 
瀟洒なタワーマンションで華麗なシングルライフを送っていたはずが、そこは今はチョ・ユンの部屋。
パク・ガンにはスヒョンという妻とまだ幼い娘と息子がいます。て、まったく売れない。
スヒョンはパク・ガン自身の元恋人だけど、舞台俳優だったパク・ガンがスターになるために別れた相手。
この人生では彼女と結婚してこんな平々凡々とした人生を送っているなんて。
 
親友のことを気の毒に思うチョ・ユンから映画監督を紹介されるも、パク・ガンには興味を示されず。
オーディションを受けたところで大げさな演技だと指摘され、役にありつけそうにない。
 
パク・ガンがスターだったシーンは見そびれましたが、後半を観られただけでじゅうぶん幸せ。
裕福でなくても、平凡でも、温かい人生。
ま、本当にお金がないのは困るから、ほどほどにはあってほしいですけどね(笑)。
 
クォン・サンウはもともと好きな俳優です。彼の出演作はたぶん全部面白い。
スヒョン役のイ・ミンジョンは美人ですねぇ。ほかの作品も観てみたい。
 
「今日みたいな明日だったらいいなぁ」。
そう思える今日を過ごしたい。

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