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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『リトルプリンス 星の王子さまと私』

2015年11月30日 | 映画(ら行)
『リトルプリンス 星の王子さまと私』(原題:The Little Prince)
監督:マーク・オズボーン
声の出演:ジェフ・ブリッジス,レイチェル・マクアダムス,ポール・ラッド,マリオン・コティヤール,
     ベニチオ・デル・トロ,ジェームズ・フランコ,ポール・ジアマッティ,アルバート・ブルックス他

11月最後の水曜日。年に2度、恒例の全館停電の日。
友人と北浜でランチの前に1本だけ。
TOHOシネマズ梅田で8:45からの回を観ることに。
もはやお決まりの「仕事に行くときよりも早く家を出て映画」
箕面発梅田行きの各駅停車に座って本を読みながらゆっくりと。

サン=テグジュペリの不朽の名作『星の王子さま』をモチーフにした作品を撮るのが
『カンフー・パンダ』(2007)のマーク・オズボーン監督だなんて。
まるでちがうタイプのアニメでも、どちらも夢いっぱい。
子ども心を忘れない、素敵な作品に作り上げる手腕がお見事。
2D字幕版を鑑賞しました。3D版もさぞかし楽しいことでしょう。

名門校“ワース学園”のお受験に失敗した9歳の少女。
ワース学園への入学こそが勝ち組への入り口、
そうすることが娘の幸せに繋がると信じる母親はメゲたりしない。
新入学が駄目ならば転入を目指そうと、ワース学園の学区内にわざわざ引っ越し。
分刻みのスケジュールを組んで娘に勉強させる。

娘も母親の期待に応えることになんら疑問はない。
母親が仕事に出かけたあと、少女は数秒の狂いもなく日課をこなしていたが、
いきなり飛行機のプロペラが壁を突き破って飛んでくる。
プロペラの主は隣家に住む風変わりな老人。
彼はかつて飛行士で、庭でプロペラ機を製作中。

最初は変人の相手などしていられないと思っていた少女。
しかし、老人が語る王子さまの話にいつしか夢中になり……。

星の王子さまの世界をストップモーションアニメで。
少女と老人の世界をCGアニメで。
異なる2つの技法によって描かれる世界に引き込まれます。
沈む夕日、昇る朝日がまばゆいほど美しい。
アニメであることを忘れるぐらい。

『星の王子さま』にちりばめられた数々のきらめく言葉。
映画の随所にもそんな言葉が登場して、いちいち納得。
人を思いやる気持ち、夢を見ることの素晴らしさ、心で物を見ることの大切さを
押しつけがましくならずに説いてくれているような気がします。

高校のとき、英語の授業の教材が『星の王子さま』でした。
教科書はほとんど処分してしまったけれど、
これだけはなぜか捨てられず、今も手元にあります。
もう一度読み返してみようと思いました。

問題は、大人になることではなく、忘れてしまうこと。

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『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』

2015年11月29日 | 映画(は行)
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』(原題:Fehér Isten)
監督:コルネル・ムンドルッツォ
出演:ジョーフィア・プソッタ,シャンドール・ジョーテール,
   ラースロー・ガールフィ,リリ・ホルヴァート他

平日の晩、ダンナは飲み会。またまた仕事帰りに映画を観に行くチャンス。
4DX3Dを初体験した109シネマズ大阪エキスポシティにて、今度は普通の作品を。

座席は前日にオンライン予約済みだから、焦る必要もなし。
開映までに1時間ほどあるので、海遊館プロデュースの水族館NIFREL(ニフレル)へ。
綺麗な魚たちを見るのは楽しいけれど、私は動物ゾーンのほうが楽しいなぁ。
ホワイトタイガーのじゃれる姿がめっちゃ可愛かったです。

さて、おそらくシネコンではかからないだろうと思っていたミニシアター系の本作。
封切り早々、終業後10分以内に駆け込める劇場でかかるなんて超シアワセ。
エグゼクティブシートの端っこ席をいつもどおり確保して入場したら、
ほかに客がいない。開映時間になっても誰も入って来ない。マ~ジ~で~!?
開業後1週間だというのにまさかの“おひとりさま”
5分経過してもう誰も来ないと確信、荷物をまとめて中央席へ移りました。
靴を脱ぎ、座席に体操座りをして鑑賞に臨んだ私を許してください。

第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、
同部門グランプリとパルムドッグ賞をダブル受賞したハンガリー/ドイツ/スウェーデン作品。
監督はハンガリー出身で、俳優としても活躍するコルネル・ムンドルッツォ。
「カンヌを打ちのめした衝撃作」との触れ込みで、その惹き文句に偽りなし。

たぶんハンガリー、ブダペスト
所属する楽団でトランペットを吹いている13歳の少女リリ。
両親が離婚し、母親とともに暮らす。
孤独な彼女の心の支えとなっているのは雑種の愛犬ハーゲンのみ。

あるとき、母親が仕事で3カ月間海外へ出張。
その間、リリは父親ダニエルのもとに預けられることに。
当然のことながらハーゲンも連れていくと、ダニエルは不快感あらわ。
同じアパートに住む老婦人も汚らわしいものでも見るような目つき。

翌朝、老婦人が通報したらしく、役所の職員がやってくる。
雑種犬の飼い主に税金を課す法律ができたから、税金を払えと。
そんなものを払うつもりなどないダニエルは、ハーゲンを捨て去る。
ハーゲンはリリを、リリはハーゲンを、懸命に探すのだが……。

なまっちょろい感動物語とは180度異なります。
そもそも冒頭のの場面から相当厳しい話になることは予想され、
もしも『ある精肉店のはなし』(2013)を観ていなかったら
直視できなかったかもしれないと思いました。

捨てられたハーゲンは幾多の困難に遭い、
やがて野生の本能に目覚めると獰猛な野良犬に。
人間の勝手な気分で虐げられてきた数百匹に及ぶ犬の反乱は圧巻。
“猿の惑星”の犬版とも言われていますが、あちらはCG。
こちらはCGではないというのですからビックリ。凄いです。

心温まらない動物もので、ホラー並みに残酷なシーンあり。
なのに、なぜでしょう。この圧倒的な余韻。
切なく哀しくも美しい最後は、今年観た中で最高のラストシーンかも。

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『Re:LIFE リライフ』

2015年11月28日 | 映画(ら行)
『Re:LIFE リライフ』(原題:The Rewrite)
監督:マーク・ローレンス
出演:ヒュー・グラント,マリサ・トメイ,ベラ・ヒースコート,
   J・K・シモンズ,クリス・エリオット,アリソン・ジャネイ他

3本ハシゴの3本目。
1本目をTOHOシネマズ梅田、2本目をなんばパークスシネマ、
この3本目はTOHOシネマズなんばにて。

このところ、ヒュー・グラントを見かけるのは2年おきぐらい。
ダメ男を演じさせたら世界一と言われていた彼も、さすがに需要が減ったのかと思いきや、
『コードネーム U.N.C.L.E.』ではダメ男に見せかけて実はキレ者というオイシイ役。
と思ったら、1週間後には主演作の本作が公開で、やっぱり愛すべきダメ男。

マーク・ローレンス監督は、『トゥー・ウィークス・ノーティス』(2002)、
『ラブソングができるまで』(2007)、『噂のモーガン夫妻』(2009)に続き、
ヒュー・グラントとは4度目のコラボとなります。

キースは若くしてアカデミー賞脚本賞を受賞したハリウッドの脚本家。
しかし、受賞作の『間違いの楽園』以降15年間、ヒット作とは無縁。
妻には逃げられ、一人息子にも会えないまま。
腕利きの女性エージェントがあちこちと掛け合うも仕事なし。

やっと舞い込んだのは、ニューヨーク北部のビンガムトン大学で
シナリオコースの講師をしないかという話。
プライドが許さぬ仕事は嫌だと断ろうとした矢先、電気を止められてしまう。
家まで用意してくれる講師の話をのまないわけにはいかない。

シナリオコース受講者の定員は10名。
受講者などいないのではないかと思っていたが、70名も希望者がいるらしい。
「受講希望者全員に数十枚のシナリオを書かせたから、
すべて読んで10名に絞るように」と、学科長のラーナーからお達し。

やる気ゼロのキースは、写真で受講者選び。
自分好みの美人女子学生と、モテそうにないオタク風男子学生のみを選んだうえに、
最初の授業開始後5分で1カ月休講を学生たちに宣言。

好き放題のキースに、ラーナーが当初から忠告していたとおり、
大学の倫理委員長を務めるウェルドンが激怒。
職を失いたくはないと、キースはそれなりの授業を始めるのだが……。

ダメ男の本領発揮、とても楽しい作品です。登場人物もそれぞれに魅力あり。
『セッション』の鬼教師ぶりはどこへやら、J・K・シモンズが強面で涙もろいラーナー。
ジェーン・オースティン命の女教授ウェルドンにアリソン・ジャネイ
シングルマザーの中年女性であり学生でもあるホリーにマリサ・トメイ
尻軽の女子学生、頭の中がお花畑の女子学生に、ゴスっ気のある女子学生。
“スター・ウォーズ”オタクの男子学生がいるかと思えば、
キースが驚くほどシナリオの才能を見せる男子学生も。

ちょっぴりほろ苦いのは青春も大人の再出発も一緒。
キースの心の動きに共感し、いっぱい笑っていっぱい泣けます。

映画ネタも満載ですから、映画好きの人のほうがより楽しめると思いますが、
ヒュー・グラントの自虐ネタだけでも見る価値あり。オススメです。

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『サヨナラの代わりに』

2015年11月27日 | 映画(さ行)
『サヨナラの代わりに』(原題:You're Not You)
監督:ジョージ・C・ウルフ
出演:ヒラリー・スワンク,エミー・ロッサム,ジョシュ・デュアメル,
   ロレッタ・デヴァイン,マーシャ・ゲイ・ハーデン,フランシス・フィッシャー他

3本ハシゴの2本目。
1本目を観た梅田からなんばへ移動、なんばパークスシネマにて。

「美人役のときのヒラリー・スワンク」がどうも苦手で、
あまり観に行く気はなかったのですが、評判良さそう。
時間的にもちょうど良かったので観ることにしました。

生まれついて金に不自由したことがなく(←たぶん。想像です)、
豪邸でセレブな友人に囲まれて毎日を送る、自らもセレブなケイト。
夫は百点満点、イケメンで優しい弁護士のエヴァン。

幸せな日々を送っていたのに、ある日突然、体に異変を感じる。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)に冒されているとわかったケイトは、
1年後、車椅子生活を余儀なくされ、ひとりでは何もできなくなっていた。
日中、彼女の世話をするヘルパーが必要だが、
エヴァンが面接して採用したヘルパーのことがどうにも気に入らず、
ケイトは独断でクビにしてしまう。

その事実を知らされたエヴァンは唖然、今から出勤しなくてはいけないというのに、
いったいどうするつもりだと頭を抱えていると、大学生のベックがやってくる。
ケイトが勝手に面接に呼んだ女性らしいが、
見た目はまるでヒッピー、やることなすこと雑で、家事能力ゼロ。
エヴァンは即刻断ろうとするが、ケイトは彼女に来てほしいと言う。

こうして、ケイトとベックの毎日が始まるのだが……。

ケイトがヘルパーに望むことは、自分の話に耳を傾けてくれること。
クビにしたヘルパーは、介護の達人ではあるけれど、
まるっきり自分を病人扱い、話なんて聞いてくれないと言います。
これは『最強のふたり』(2011)と同じこと。
腫れ物に触るようにではなく、普通に接してくれる人を望んでいるのです。
わかるけど、こんなふうにはなかなかできない。
何も考えていないのと紙一重だもの。

もちろん泣けるし、良かったと言っていいけれど、ありがちな作品です。
そしてやっぱりヒラリー・スワンクのでかい口が怖い。すみません。
おそらく彼女の顔はアメリカの美人の基準をバッチリ満たしているのでしょう。

『Songcatcher 歌追い人』(2000)で素晴らしい歌声を聞かせてくれたエミー・ロッサム。
ミュージシャンを目指す彼女がエンディングで歌を披露。
これが昔ほどよくはなかったのが少し残念。
ジョシュ・デュアメルは相変わらず存在感の薄いイケメンです。
この人、きっと印象の薄いまま年を取るんだろうなぁ。
無駄にイケメンだと顔を見るたびに思ってしまいます。

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『レインツリーの国』

2015年11月26日 | 映画(ら行)
『レインツリーの国』
監督:三宅喜重
出演:玉森裕太,西内まりや,森カンナ,阿部丈二,山崎樹範,
   片岡愛之助,矢島健一,麻生祐未,大杉漣,高畑淳子他

父の手術も無事終了し、翌日の3連休初日は弟に様子見を丸投げ。
私は映画をハシゴさせてもらうことに。
4本ハシゴする時間があったのに、さすがに前日の疲れがあり、
無謀な計画は止めて、3本観るにとどめました。
本作はその1本目。TOHOシネマズ梅田別館アネックスにて。

予告編を観て、正直なところムリだと思いました。
虫酸が走るほど嫌で(笑)、こんなに絶対ムリだと確信できる作品は久々。
それでもやっぱり話題作、本当にムリかどうか確認したい。
できるだけフェアな気持ちで、無の状態で鑑賞に臨みました。
結果、やっぱりムリだったのですけれど、
一応泣けるシーンはあったから、あれとかこれとかよりはマシ。

原作は有川浩の同名ベストセラーですが、私は未読。
忠実な映画化なのかどうかは気になります。
読んでみなあかんと思うけど、この有川浩はひょっとして私にはムリ?

大学を卒業したばかりの向坂伸行(玉森裕太)。
実家は大阪、通天閣を仰ぎ見る土地で長らく営業してきた床屋。
母親(高畑淳子)がついに店を畳むと言う。

東京の食品会社に就職が決まっている伸行が部屋を片付けていると、
高校時代に読んだ文庫本『フェアリーゲーム』が出てくる。
ところが、上中下3巻のこの本の下巻だけがなぜか見当たらない。
あれだけ夢中になった本なのに結末が思い出せず、ネットで調べてみたところ、
その本について書かれたサイト“レインツリーの国”にたどり着く。

サイトの管理人である人見利香(西内まりや)にメールしたところ、彼女から返事が。
メールのやりとりを重ねるうちに、伸行はどうしても彼女に会いたくなる。
双方そう思っているとわかったところで会うに至るが、どうも彼女の反応がちぐはぐ。
イライラした伸行が怒ったところ、彼女は聴覚障害を持っていることがわかり……。

予告編を観てムリだと思ったのは、利香の「がんばってるアピール」
加えて伸行のほうも「オレ理解しようとがんばってるアピール」全開で、
大阪弁を鬱陶しいと思ったのはこれが初めてかもしれません。
もうホント、途中で帰ろうかなと思ったぐらい。(^^;

途中退席を思いとどまったのは、伸行と利香の両母親の演技。
高畑淳子と麻生祐未が控えめな演技で泣かせる泣かせる。
前者は「大阪のおばちゃん」でもあり、台詞の間合いが絶妙でふいたシーンも。
後者からは娘に注ぐ愛情がじんじん伝わってきます。

ムリだと思ったらやっぱりムリだったけど、
中年熟年女優のでっかい心持ちの母親を見せてもらえたから良し。

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