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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ラ・コシーナ/厨房』

2025年07月18日 | 映画(ら行)
『ラ・コシーナ/厨房』(原題:La Cocina)
監督:アロンソ・ルイスパラシオス
出演:ラウール・ブリオネス,ルーニー・マーラ,アンナ・ディアス,モーテル・フォスター,ローラ・ゴメス,
   オデッド・フェール,リー・セラーズ,スペンサー・グラニース,ベルナルド・ベラスコ他
 
テアトル梅田で観る時間はつくれなさそうだなとあきらめていたら、少し遅れて塚口サンサン劇場で公開。
口コミでは賛否両論、というのか低い評価のほうが多くて、観に行くかどうかかなり迷いました。
けれど『ディナーラッシュ』(2001)とか『ボイリング・ポイント/沸騰』(2021)といった厨房ものは好きですから。
 
監督はメキシコの俊英アロンソ・ルイスパラシオス。キャストの中で知っているのはルーニー・マーラのみ。
さてどうなるか。
 
ニューヨークのレストラン“ザ・グリル”。スタッフのほとんどが移民で、ターゲットとしているのは観光客の大箱店。
厨房に新しく雇われたメキシコ人女性エステラは、故郷で慕っていたペドロに会いたくてここにやってきた。
ちょうど店では売上金の紛失騒ぎがあり、盗難を疑う社長とマネージャーは犯人捜しに躍起になっているところ。
 
ペドロの腕は確かだが、性格に難があってトラブルメーカーらしい。
フロアを担当するアメリカ人女性ジュリアはペドロの子を身ごもっているが、中絶しようと決めている。
どうしてもジュリアに自分の子を産んでほしいペドロは、ジュリアに懇願するのだが……。
 
原作はイギリス人の劇作家アーノルド・ウェスカーの戯曲なのだそうです。
メキシコやモロッコの移民が忙しく働く店の様子は面白く映るものの、厨房の酷さは直視がつらいほど。
全編モノクロだから観ていられるけれど、これがカラーだったらオエーっです。
 
40歳になったルーニー・マーラは可愛いまま。
しかしペドロ役のラウール・ブリオネスの役柄も顔も好きになれないから、ちと厳しい。
話もテンポがよいとは言えず、寝たり起きたり起きたり寝たりを繰り返しながらの140分となりました。
 
働かせてやっている、給料もちゃんと渡している、食事だって与えている。
何が不満だというのか、どうしたいのかと問う社長。
上から目線だし、スタッフに尊厳はないのかとも思うけれど、それにしてもペドロの態度はどうですか。
 
少なくともこの店で食事したいとは思えません。病気になりそう。(^^;

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『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』

2025年07月16日 | 映画(ら行)
『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』
監督:小林健
声の出演:栗田貫一,大塚明夫,浪川大輔,沢城みゆき,山寺宏一,片岡愛之助,森川葵,鈴木もぐら, 水川かたまり他
 
前述の『かたつむりのメモワール』の後、TOHOシネマズなんばにて21:50からのレイトショー。
 
“ルパン三世”の2D劇場版アニメーションは約30年ぶりだと書いてありましたが、
『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』(2013)なんてのもあったし。
ルパン三世は常に近くにいる感じではあるのですが、ルパン三世マニアではないから、
どんなシリーズがいつ作られてそれらがどう繋がっているのか私にはわかりません。
 
ルパン三世と次元大介、石川五ェ門、峰不二子はこれまで何者かから命を狙われること多数。
そのたびに刺客を倒して生き延びてきたが、黒幕が誰なのかが気になる。
ある日、邸を丸ごと焼かれたルパンは、メッセージ代わりに謎の島の地図が残されているのを見つけ、次元たちと乗り込むことに。
ルパンを追ってもれなく銭形警部がついてくる。
 
目的地であるバミューダ海域上空を飛んでいると、何者かによって飛行機が撃墜される。
不時着した島には大昔の対戦の頃に用いられたとおぼしき兵器や核ミサイルが積まれ、
かつて戦っていた兵士たちが人間とも思えない姿で徘徊していた。
 
そんな兵士たちを支配しているのは不死身のムオム。
世界から無用な人間を排除して統率しようとしているムオムは、ルパンたちをも過去の遺物とみなす。
島に呼びつけて皆殺しにするつもりらしく、立ち込める濃霧は毒。
24時間以内に島から脱出しなければ、ルパンたちは毒によって体が砕け散ってしまう。
頭を撃ち抜こうが全身を焼こうが死なないムオムを葬る手段などあるのか。
 
寝不足の状態で観に行ったのに、寝ませんでしたねぇ。やっぱりルパンは面白い。
次元と五ェ門がカッコイイのも相変わらずで、特に五ェ門には惚れそうです。
 
不死身のキモい怪物が相手でも負けないのがルパン。
ルパンが目の前で溶岩の海に落ちるのを見た銭形のオッサンがルパンの死を悼むシーンも笑えます。
死ぬわけないやろ!って。
 
エンドロール後もお見逃しなく。洒落てるなぁ。
利子は1本。

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『ルノワール』

2025年07月15日 | 映画(ら行)
『ルノワール』
監督:早川千絵
出演:鈴木唯,石田ひかり,中島歩,河合優実,坂東龍汰,リリー・フランキー,
   ハナ・ホープ,高梨琴乃,西原亜希,谷川昭一朗,宮下今日子,中村恩恵他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
スルーしそうになっていたところ、後述の『F1/エフワン』の封切り日にハシゴ可能な時間帯の上映。
んじゃ観ようかということで。
 
『PLAN 75』(2022)がたいそう話題になった早川千絵監督ですが、テーマが重くて観る気になれないまま今まで来ました。
本作はそれとはまた違うテーマだけれど、なんとなくカンヌっぽい(芥川賞っぽい)イメージ。
日本/フランス/シンガポール/フィリピン/インドネシア作品で、多様な人が関わっているようです。
 
小学5年生の沖田フキ(鈴木唯)は溢れ出す好奇心を抑えきれない少女。
たくましすぎる想像力で作文を書けば、教師も傑出した文才を認めつつ、その内容が大人を戸惑わせる。
 
父親の圭司(リリー・フランキー)は癌に冒されて余命わずか。
母親の詩子(石田ひかり)は勤務先で管理職に昇進したばかりだが、そのきつい物の言い方のせいでパワハラ認定される。
圭司の最期を自宅で迎えられるようにすべきだと思うものの、公私ともにイライラを募らせる詩子。
 
こんな家庭で親の目を向けられることが少ないフキは、あちこちに興味を向けます。
英会話教室で見かけるいかにもお嬢な同年代の少女(高梨琴乃)のお下げ髪に触る。
最近夫を亡くしたらしい近所の物憂い女性(河合優実)に話しかけて家に上がり込む。
郵便受けに入っていたチラシを見て伝言ダイヤルにかけ、話し相手の大学生(坂東龍汰)から呼び出されて会いに行く。
もうなんというのか、フキの行動は危なっかしいばかりか、見ていて不愉快にすらさせられます。
 
フキの心情をあらわにするシーンはないから、観て感じ取るしかありません。
いちいち言葉で説明されるよりもそのほうが余韻があって良いには違いないけれど、とにかく心地が悪い。
ただ、登場人物の誰にも共感できないにもかかわらず、作品自体には惹かれます。
 
いつ頃の話なのか作品中では具体的に明かされないせいで、最初はいろんな描写がひっかかる。
癌だということの本人への告知が珍しいという台詞やパワハラなど、え、いつのこと!?と思う。
キャンプファイヤーでYMOの“ライディーン”がかかると、確実に1980年代だわかります。これは楽しいシーン。
 
藁にもすがりたい人たちの思いにつけ込む商売に私もすがりかけたから、そんなシーンは複雑な思いで観ました。
 
好きじゃない。でも気になる作品であり監督でもあります。

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『リライト』

2025年07月12日 | 映画(ら行)
『リライト』
監督:松居大悟
出演:池田エライザ,阿達慶,久保田紗友,倉悠貴,山谷花純,大関れいか,森田想,福永朱梨,
   前田旺志郎,長田庄平,マキタスポーツ,尾美としのり,石田ひかり,橋本愛他
 
109シネマズ箕面にてポイント鑑賞しました。
 
法条遥の同名小説を基に、劇団ヨーロッパ企画主宰者の上田誠が脚本を手がけたそうです。
それを松居大悟監督が映画化したとなると、面白そうな匂いしかしません。
 
原作では中学校が舞台となっていますが、映画版では年齢を少し上げて高校の設定。
 
高校3年生の夏を迎えた美雪(池田エライザ)。
同級生の茂(倉悠貴)から本の返却を頼まれて図書室へ行くと、目の前に転校生の保彦(阿達慶)が現れる。
空から降ってきたか飛んできたとしか思えない出現の仕方に驚いていると、
保彦は自分が300年後の未来からやってきたことを明かし、今は昨日からここへ飛んできたのだと言う。
 
信じられずに唖然とする美雪だったが、保彦から「今」の案内を頼まれて、
学校のみならずあちこちへ一緒に出かけては楽しく過ごす。
保彦によれば、彼は未来である小説に出会って魅入られたらしい。
そこに書かれていたのはここ尾道のこの時代で、タイムリープできる薬をつくってやってきたと。
 
ある日、保彦から分けてもらった薬で10年後に一瞬だけタイムリープした美雪は、
彼女を待っていたとおぼしき10年後の自分から、小説に書くように言われる。
保彦が未来に帰ることになったとき、必ず小説を書き上げて時間のループを完成させることを約束。
 
書き上げた小説を出版社に持ち込むも、保彦との思い出を綴った小説は編集者(長田庄平)からダメ出しを食らう。
しかしそのセンスは認められ、ほかの小説を書くとこれが出版されて思いのほかヒット。
美雪は堂々の作家となり、いよいよあの夏の日をテーマにした小説の出版話にこぎつけるのだが……。
 
完全ネタバレです。
 
保彦の秘密を知るのは美雪だけかと思ったら、同級生だった鈴子(久保田紗友)が同じ体験をしていたことを知ります。
同様に小説を書いていた鈴子から敵意をむき出しにされて美雪は戸惑う。
そして、もしかすると自分たちは二股をかけられていたのではないかと考えるように。
 
この時点では、保彦って、なんて酷い男なんだと思いましたね(笑)。
ところがそうではありませんでした。
 
タイムリープしたのはいいけれど、どうにも抜け出せなくなった保彦は人のよさそうな茂に相談。
将来小説を書き上げてループを完成させてくれそうな同級生は誰かを探していたのでした。
結果、茂以外の同級生全員が保彦と夏を共に過ごし、男子も女子も心をときめかせていたというわけで(笑)。
 
いや~、茂の頑張りが凄い。
もとの時代に帰れなくなった保彦は増え続けて実に33人。
33人の保彦それぞれと行動している同級生たちがバッティングしないように注意を払う。
保彦に何の義理もないのに、普通はできませんよね、こんなこと。
 
自分を含めて33人が保彦にときめいていることに当時気づいたのはただひとり、友恵(橋本愛)だけ。
保彦に恋しつつ憎み、自分を33人目として紹介した茂のことを恨み、
自分以外の32人に先に小説を完成させてたまるものかと誓う。
 
とても面白い話でしたが、不幸な家庭に育った友恵の執念と演じる橋本愛の表情が少し怖かった。
なんにせよ、上田誠の脚本は面白い。

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『レオ:ブラッディ・スウィート』

2025年07月10日 | 映画(ら行)
『レオ:ブラッディ・スウィート』(原題:Leo)
監督:ローケーシュ・カナガラージ
出演:ヴィジャイ,トリシャー・クリシュナン,サンジャイ・ダット,アルジュン・サルジャー,マシュー・トーマス,イヤル,
   プリヤ・アーナンド,マドンナ・セバスチャン,ガウタム・ヴァスデフ・メノン,ジョージ・マリヤーン他
 
休日、夜は庄内のカフェマタンゴにて太神楽パーカッションのコラボイベント“衛藤玉之助”。
それまでの予定は空けたままにしていましたが、予想外に朝早く目が覚める。
に面会に行き、サンドイッチを買いに行ってもまだまだ時間あり。
庄内に行くのに都合のよさそうな劇場のスケジュールをいくつか調べてみたら、
あるじゃあないか、塚口サンサン劇場で是が非でも観たいインド作品が。
 
ローケーシュ・カナガラージ監督による“ローケーシュシネマティックユニバース(ロキバース)”と銘打って贈る第3弾。
っちゅうてもいまだにその“ロキバース”なるものがなんだかよくわかっちゃいないのですが、
とにかく同監督の『囚人ディリ』『ヴィクラム』を観ていれば、知った登場人物の名前が出てきてより面白い。
 
主演は我らが大将ヴィジャイ。やはり相当な人気なのか、わりと良い客入り。
 
インド北部に位置する静かな町テオグでカフェを経営するパールティバン。
動物保護活動家でもある彼は、愛する妻サティヤと息子シッドゥ、娘チントゥの4人家族。
一家と親しい森林レンジャーのジョシは、パールティバンとお互いに信頼を置く関係。
 
警官たちが町に出没したハイエナを捕らえて殺そうと躍起になったとき、ジョシは直ちにパールティバンに応援を要請。
シッドゥを高校まで車で送り届ける途中だったが、心配するサティヤにはくれぐれも内緒にと約束して共に現場へ向かう。
獰猛なハイエナを殺すことなく麻酔銃で眠らせたあとは自ら保護することにしたパールティバンは人々から賞賛される。
 
ある晩、強殺を繰り返していたギャングがパールティバンの経営するカフェに乗り込む。
最初は金だけ渡しておとなしく帰ってもらおうと計らうパールティバンだったが、
女性従業員とまだ幼いチントゥをギャングが傷つけようとした瞬間にパールティバンはキレる。
瞬く間に5人を撃ち殺したパールティバンは逮捕されたものの、正当防衛が認められる。
ふたたび英雄として賞賛され、有名人に。
 
しかし、復讐を誓うギャングの関係者があちこちに現れて落ち着いていられない。
久々に家族と共に出かけた市場でも襲撃されるが、パールティバンは無敵の強さを見せつける。
 
孤児院育ちのパールティバンはいったいどうしてこのように強くなったのか。
サティヤとジョシがなんとなく不思議に思いかけた頃、パールティバンの父親だという男アントニーがサティヤの前に現れる。
アントニーは麻薬を製造するマフィアのトップで、ずっと前に死んだはずのレオという息子がいた。
パールティバンこそがレオで、その正体は血も涙もない殺人者だと。
 
信じたくない話ではあるが、出会う前のパールティバンのことを知らないサティヤは、
ジョシと協力してパールティバンの過去を調べはじめるのだが……。
 
死んだはずの息子が生きていたとか、普通の人だと思っていた夫が実は違いましたとか、毎度の展開。
パールティバンが本当はレオでしたというところではまたかよと思いました。
だけどパールティバンにはレオのときの記憶がないらしくて、これもまたかよと思う(笑)。
ところが次第にパールティバンはレオと瓜ふたつなだけで別人らしい。これもよくある展開ではありますが。(^^;
 
よくある展開でも面白いんです。ヴィジャイの主演作は鉄板だねぇと改めて思う。
全然タイプじゃないはずなのに、なんか格好良く見えてくるんですよねぇ。
 
ネタバレです。
パールティバンがレオと別人だというのは演技でしたというオチ。
商売繁盛には生贄が必要だと考えるアントニーが、レオの双子の妹エリサを生贄にして殺そうとしました。
レオはエリサを助けようとするも、エリサは殺されてしまう。
自分の子どもを生贄として差し出そうとする親なんて人間じゃない。
復讐のときを待ち構えていたレオはアントニーやその弟ハロルドを死に至らしめる直前までパールティバンのふりをする。
これには私も見事に騙されて、胸のすく最後。
 
おおっ、なるほど。こうして麻薬撲滅を誓うヴィクラムの話へと繋がるのですね。
楽しい!

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