夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『枯れ葉』

2024年01月07日 | 映画(か行)
『枯れ葉』(原題:Kuolleet Lehdet)
監督:アキ・カウリスマキ
出演:アルマ・ポウスティ,ユッシ・ヴァタネン,ヤンネ・フーティアイネン,ヌップ・コイヴ他
 
ここからは新年を迎えてから観た作品です。
 
ファーストデー割引のある元日は劇場には寄らずに実家から自宅へ直帰。
そうしたらあの地震が来て本当に驚きました。
被災地の皆さんが穏やかに過ごせる日が早く戻ってきますように。
 
新年2日目、シネ・リーブル梅田にて5本ハシゴを敢行しました。
駐車場難民になることを恐れつつ梅田へ車で向かったら、案の定付近のコインパーキングは満車の嵐。
致し方なく高額も覚悟して梅田スカイビルの地下駐車場へ向かってみる。
すると正月料金の設定はなく、いつもと同じ最大料金1,800円。
仕事帰りに2本観るときにその料金は高いと感じるけれど、正月で、ほぼ12時間駐車でそれは安い。
良心的だわと嬉しい気分で、迷わず入庫。
 
新年1本目はフィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督の新作を。
あれれ、私、この監督の作品はめっちゃ観ているつもりでしたが、
自分のブログを遡ってみると、お兄さんのミカ・カウリスマキ監督のほうばかり観ていますね。
ま、兄弟共に多作というわけではありませんから、たまたまそうなっただけか。
 
ヘルシンキでひとり倹しい暮らしを送る女性アンサ。
スーパーの品出しの仕事に就いていたが、賞味期限切れの商品を物乞いの青年に渡したところを見咎められ、
ついでに彼女自身もそんな商品を1点持ち帰ろうとしていたこともバレてクビに。
パワハラ上司にうんざりしていたほかの従業員たちも一緒に啖呵を切って辞める。
 
一方、同じ町に暮らす男性ホラッパは、仕事中も隠し持つ酒を飲むアル中。
それがバレて解雇されることの繰り返しで、鬱々としながら過ごしていたとき、アンサと出会う。
最初はそれぞれの同性の連れと入った店で隣り合わせに。
次に偶然会ったときもお互いの顔を覚えていたから、お茶でも飲もうということになり……。
 
ロシアとウクライナの戦争を思いっきり背景にしていて、ラジオで流れるのはそのニュースばかり。
カウリスマキ監督も争いに心を痛めているのか。
 
さすがといえばいいのでしょうか、一見暗い話なのに、クスッと笑ってしまうシーンがいくつもあります。
私のツボだったのは、アンサとホラッパが一緒に観に行く映画。
『デッド・ドント・ダイ』(2019)がスクリーンに映し出されたときはふきました。
まさかジム・ジャームッシュ監督作品の中のアダム・ドライヴァーをカウリスマキ作品の中で観るとは。
しかも、『デッド・ドント・ダイ』ってほんとにつまんない作品だったのですけれど、
アンサが「こんなに笑ったのは初めて」と感想を述べるんですよね。
「警察官がゾンビに叶うわけない」って、そこかいっ!と思うと可笑しすぎる。
 
偶然再会して、お茶を飲みに行って、映画を1本観て解散したのに、
ホラッパは友人に「結婚しかけた」と言う。なんで結婚!?とまたまた笑ってしまったのでした。
 
意気投合して電話番号も教えてもらったのに、メモが飛んで行ってしまう。
ありきたりな展開なのに、ちっともそうは思えないのがカウリスマキ監督作品。
 
ラジオから最初に流れる曲が『竹田の子守唄』だったことにも驚きました。
カラオケが世界中で人々の鬱憤を晴らすアイテムになっているのもちょっと嬉しい。
でも美声を自負するアンタ、歌下手やっちゅうねん。
これを本気でみんなが上手いと思っているのかどうかがわからなくてそこも笑った。

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