夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

6回目の『トップガン マーヴェリック』はMX4D吹替版で。字幕版と見比べる。

2022年06月30日 | 映画(た行)
『トップガン マーヴェリック』(原題:Top Gun: Maverik)
監督:ジョセフ・コシンスキー
出演:トム・クルーズ,マイルズ・テラー,ジェニファー・コネリー,ジョン・ハム,グレン・パウエル,
   ルイス・プルマン,チャールズ・パーネル,モニカ・バルバロ,エド・ハリス,ヴァル・キルマー他
声の出演:森川智之,宮野真守,本田貴子,加瀬康之,中村悠一,
     武内駿輔,楠大典,内田真礼,菅生隆之,東地宏樹他
 
4回目を鑑賞した後、また観たくなって5回目は109シネマズ箕面で通常版を鑑賞しました。
通常版でもいいんですが、一度IMAX版を観ると物足りなくなってしまった。
だったら残るは4D版を観るよりほかありません。
 
4Dには4DX版とMX4D版があるのですよね。
私の行動範囲内の劇場だと、109シネマズは4DX、TOHOシネマズはMX4Dを採用しています。
何が違うって、つまりは開発した会社が異なるのです。
4DXは韓国の会社、MX4Dはアメリカの会社が開発したもの。
現時点では4D上映に前者を採用している劇場のほうが多いみたい。
 
私が初めて4D上映を体験したのは109シネマズ大阪エキスポシティで『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)。
しかもこのときは4DX3Dだったので、同じ回を観ていた若者が「超絶疲れた」と言っているのを聞いて
「ホンマに疲れたわ」と笑ったことを思い出します。
2度目の4D上映も同じ劇場でした。『オデッセイ』(2015)を観たとき。
私の感想は、4DX上映は画面と座席の動きとの一体感がないから、別にどうでもええ、でした。
だからその後も、観るものがなくなったときや、ハシゴの効率がよいときにしか4D版は観ていません。
 
本作も「残るは4D版のみ」という理由によりTOHOシネマズ西宮でMX4D版を選択しただけだったのです。
ところが予想に反してこれがとてもよかった。
 
まずはMX4D版がよかったということよりも、吹替版のよさに驚いてしまいました。
私は元来洋画は字幕で観るですし、特に本作は、トム・クルーズの声を吹替で聴くなんてありえないと思っていました。
ところがめちゃくちゃよかったんです。
 
字幕版を5回観ても意味不明だったところとか、吹替版を観てスッキリ。
たとえば、マーヴェリックの指導初日、ルースターが腕立て伏せをしているのを見て
フェニックスがほかのふたりに「ちょっとは彼のこと見直した?」と言うところとか。
腕立て伏せしてるのを見てどうして見直さなあかんのか疑問でした。
 
もちろん、戸田奈津子さんらしい字幕の好きな点もあります。
たとえば吹替版では「死の淵」となっていた、Gの負担から解放されたあとの迎撃場所。
戸田さんの訳では「棺桶ポイント」です。断然こっちのほうがよくないですか。
あと、マーヴェリックの「ヤバすぎ」、ルースターの「メチャ短い」。
片仮名を使用した戸田さんならではの翻訳だと思います。
吹替では「その顔は好きじゃない」と言うシーンも戸田さんの「その目つきは何だ」のほうが良い。
 
吹替版のほうが好きだったのは、ルースターがマーヴェリックにちゃんと敬語で話している点です。
終盤のふたりがF-14を盗む前後のやりとりは吹替版のほうがうんと好き。
 
客の間で笑い声が漏れるのも吹替版のほうがずっと多かったし、
泣きそうになったのも吹替版のほうが多くて、こりゃ何が何でも字幕版という認識は変えなければと思いました。
 
一度字幕版を観た方には吹替版をご覧になるのがオススメです。
そして私はたぶん、一体感なく風が吹いたりする4DX版よりMX4D版のほうが好き。

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『ザ・ロストシティ』

2022年06月29日 | 映画(さ行)
『ザ・ロストシティ』(原題:The Lost City)
監督:アダム・ニー,アーロン・ニー
出演:サンドラ・ブロック,チャニング・テイタム,ダニエル・ラドクリフ,ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ,
   オスカー・ヌニェス,パティ・ハリソン,ボーウェン・ヤン,ブラッド・ピット他
 
本格的に外食を再開しました。
毎日寄っていた実家の滞在時間をそろそろ加減してもよいかなと思って。
六甲で晩はんの前にTOHOシネマズ西宮へ。2カ月半ぶり。
 
めっちゃ面白そうだったんです、予告編。
サンドラ・ブロックももう立派なアラ還、来月には58歳になるのですね。
本作ではダニエル・ラドクリフに「ひきこもりのばあさん」みたいに言われていて
アンマリだと思いましたが、58歳なら仕方ないか。
あら?ばあさんとまでは言っていなかったかな。おばさんかな?やっぱりばあさんだった気がする。
なんにせよ、いくつになっても彼女にはコメディがよく似合う。
 
売れっ子の恋愛小説家ロレッタは、執筆中の小説“ロストシティ”の続きを書くのに苦戦。
適当に終わらせたいと思っているのに、親友でマネージャーのベスがそうさせてくれない。
渋々参加した宣伝ツアーには、“ロストシティ”のイメージモデル、アランも参加。
ロレッタひとりでは心配だと考えたベスがアランを同席させたのだ。
 
会場にはアラン目当ての客ばかりが押し寄せ、作品についてはろくな質問も来ない。
やる気を失ったロレッタがとっとと会場を後にして帰ろうとしたところ、
謎の大富豪フェアファックスが現れ、ロレッタを南の島へと連れ去ってしまう。
 
フェアファックスはロレッタの小説を読み、
彼女が伝説の古代都市“ロストシティ”の場所を知っていると確信したらしい。
そこには王と王妃の眠る墓があり、財宝が隠されているはず。
羊皮紙に書かれた文字をロレッタに解読させようとするのだが……。
 
ロレッタ役はもちろんサンドラ・ブロック。
女性ファンに大人気だけれど、逞しい見た目とは違ってまるで頼りにならないアランにチャニング・テイタム
予告編で「イケメンすぎじゃない?」とロレッタが言うシーンがおかしかったブラッド・ピットは、
ロレッタを助けるためにアランが協力を仰いだトレーナー役。
もっとたっぷりブラピを見られるのかと思ったら、速攻で脳天を撃ち抜かれてお陀仏で笑った。
でもそれまでのわずかなシーンのブラピがめちゃめちゃ強くて格好良く、かつ、変。
 
“ハリー・ポッター”シリーズの主役だったダニエル・ラドクリフがいまやこんな悪役。
もう40ぐらいになったのかと思ったけれど、まだ32歳。
あれだけ人気のシリーズで長く主人公を演じると、イメージ払拭が大変ですね。
この役は本当に嫌な奴で、それも似合っていました。
 
ドタバタするだけのコメディというわけでもありません。
ロレッタには一緒に研究を続けていた最愛の夫がいましたが、彼を亡くしてしまった。
ロストシティに眠る王と王妃のように夫の隣で眠りたいと思っていたと語るシーンは、
彼女の切ない想いが伝わってきます。
頼れるマネージャー、ベスの奮闘ぶりも最高です。
 
エンドロールが始まっても席は立たないように。
脳天撃ち抜かれたはずのブラピの姿をまた拝めます。ネタバレしまくりですみません。(^^;

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『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』

2022年06月28日 | 映画(は行)
『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』
監督:曽利文彦
出演:山田涼介,本田翼,ディーン・フジオカ,蓮佛美沙子,本郷奏多,黒島結菜,内山信二,
   杉本哲太,風吹ジュン,麿赤兒,舘ひろし,佐藤隆太,新田真剣佑,内野聖陽他
声の出演:水石亜飛夢
 
封切り日は先月の20日でした。ちょうどその頃からの具合が悪くなりました。
気が進まずともたまに映画を観に行ってはいたものの、本作鑑賞の優先度は高くない。
で、『トップガン マーヴェリック』などを優先的に観ているうちに本作の終映間近に。
『鋼の錬金術師』(2017)の続編にして完結編の前後編の前編。
これを観ておかないと、次に始まる完結編後編も観られなくなってしまうから、駆け込み鑑賞。
109シネマズ箕面にて。
 
観ているうちにだんだんと話を思い出したけど、観はじめたときは意味わからず。
しかし細かいところはわからないままでもついて行けるものです。
予習も復習も無しだから、ところどころおかしかったらすみません。
 
鋼の錬金術師エド・エルリック(山田涼介)と、その弟アル(声:水石亜飛夢)。
生身の身体を失ったままのアルは、エドがつくった鋼鉄をまとっている。
 
あるとき、国家錬金術師ばかりを狙った連続殺人事件が発生。
犯人は国家錬金術師を憎悪する男スカー(新田真剣佑)。
 
かつてスカーが住む地域は、政府の命令によって国家錬金術師から壊滅させられた。
その地域に人命を救おうと飛び込んだのが医師のロックベル夫妻(藤木直人&奥貫薫)だった。
つまり、ウィンリィ(本田翼)の両親。ロックベル夫妻は助けた患者に殺されたらしい。
もしやウィンリィの両親を殺したのはスカーではないのか。
 
一方、シン国の皇子リン・ヤオ(渡邊圭祐)とその護衛ランファン(黒島結菜)らは、
ホムンクルスのエンヴィー(本郷奏多)とグラトニー(内山信二)と出会い、
不老不死の彼らを生け捕りにしてその謎を解明したいと考える。
同様にグラトニーを捕らえたい国軍の大佐ロイ・マスタング(ディーン・フジオカ)と手を組み、
一旦は生け捕りに成功したように見えたのだが……。
 
新田真剣佑と本郷奏多がどんな作品でもこんな役回りに思えます。
どうしてこんな役のオファーばかりが来るのか。確かに合っているのですけれど。
 
貯まったポイントで無料鑑賞して、つまらなかったら寝ると決めていたのに寝ず。
だからってめっちゃ面白かったわけではないし、まぁまぁグロい。
グラトニーの腹の中なんて見たくないのに、完結編の後編はそこから始まるらしく。
 
個人的にはロイに仕えるリザ・ホークアイ役の蓮佛美沙子が好きです。カッコイイ。
それと、大好きな麿赤兒は普通にしゃべってもこんななのだろうかとふと疑問に。
どうでもええか、そんなことは。(^^;
 
絶対ここでは終われんというところで終わっています。近日中に後編も観る。

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『恋は光』

2022年06月27日 | 映画(か行)
『恋は光』
監督:小林啓一
出演:神尾楓珠,西野七瀬,平祐奈,馬場ふみか,伊東蒼,
   宮下咲,花岡咲,森日菜美,山田愛奈,田中壮太郎他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『犬王』とハシゴ。
上映開始時点で21時半を回っていますから、たいがいヘロヘロです。(^^;
 
原作は月刊誌『ウルトラジャンプ』に連載されていた秋★枝の同名コミック。
小林啓一監督の作品は私はお初のようです。
 
大学生の西条(神尾楓珠)は、恋する女性が光を放つのが視えるという特異体質の持ち主。
彼のそんな体質を理解しているのは幼なじみの同大学生・北代(西野七瀬)のみ。
言葉遣いも行動も何もかもが不思議な西条には誰も近づこうとしない。
 
ある日、教室で1冊のノートを拾った西条は、その持ち主である東雲(平祐奈)に一目惚れ。
西条にずっと恋している北代の気持ちも知らず、東雲を紹介してほしいと頼む。
ところが西条は東雲に会うやいなや交換日記を申し込み、北代は唖然。
さらには東雲がそれをあっさりと受け入れたからさらに北代は呆然として……。
 
神尾くんはこんな役もするんですね。
下手だか上手いんだかわからないしゃべり方で、たぶんこれは上手いんでしょう。
東雲に平祐奈はピッタリで、ふたりの「恋の定義」談義には聴き入ってしまいます。
 
出色なのは、人の恋人を必ず略奪したくなるという宿木役の馬場ふみか
コメディのセンスがいちばんあるのは馬場ふみかだと思ったほど。
北代、東雲、宿木3人の会話もすごく面白かった。
 
恋をする女性は光って見えるのに、なぜか北代は光らない。
これについて、「恋」は人によって違うものだという結論。
当たり前のようでいて、意外と気づかないものなのかも。
 
恋の光じゃなくて、恋は光。

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『犬王』

2022年06月26日 | 映画(あ行)
『犬王』
監督:湯浅政明
声の出演:アヴちゃん,森山未來,柄本佑,津田健次郎,松重豊,片山九郎右衛門,
     後藤幸浩,本多力,山本健翔,吉成翔太郎,松岡美里,大友良英他
 
午後休を取って病院と役所巡り。
の診断書やさまざまな申請に必要な書類を取得するためです。
病院までの道は、弟と何度も通ったときを思い出してやはり泣く。
弟が乗っていた車はわが家で引き取ることにしたので寂しくないけど。
 
この日も実家へ寄って母が作った晩ごはんを食べたあと、
弟の部屋の片付けを早めに切り上げ、本作を観にイオンシネマ茨木へ。
 
原作は古川日出男の小説『平家物語 犬王の巻』。
彼は『平家物語』の現代語全訳を手がけています。
何年も前に読んだ『ベルカ、吠えないのか?』が少し苦手で遠ざけていました。
でももしかするとこれは面白いかもしれません。
湯浅政明監督によるアニメ化というのもすごく興味をそそられる。
 
室町時代初期。三代将軍足利義満が南北朝の統一を目指していた頃の京の都。
後に「能」と呼ばれるようになった「猿楽」の一座“比叡座”に生まれた犬王は、
何の呪いか片方の腕が異様に長く、目は目の場所に付いていない異形を持つ。
そのせいで周囲の他人どころか父親にも疎まれ、顔をずっと面で隠して生きているが、
決して悲嘆することなく、自分の兄弟に父親が教える猿楽を見ては独学。
 
ある日、そんな犬王が琵琶法師の少年と出会う。彼の名は友魚(ともな)。
友魚は壇ノ浦の漁師の息子だったが、都からやってきた侍に頼まれて、
父親と共に海底に沈む神器を引き上げるために海へと潜った。
そのときに見つけた神器によって父親は命を落とし、友魚も盲目になったのだ。
 
なぜ父親は死に至り、自分は目が見えなくなったのか。
その謎を解きたいと都に向かい、琵琶法師となった友魚。
彼は目が見えないから犬王の異形も見えない。
皆が恐れる犬王と躊躇なく言葉を交わして意気投合。すぐに友だちに。
 
やがて友魚と犬王はバディを組んで演目を披露することに。
友魚とその仲間が橋の上で犬王の舞台を告知し、犬王が舞う。
比叡座よりもよほど面白いと評判を呼び、人々は熱狂するのだが……。
 
これも時代劇だから、私の苦手意識のある分野ではあるのですが、
こうして湯浅監督がアニメ化してくれるとその意識も吹っ飛びます。
 
犬王は実在した人物で、あの観阿弥・世阿弥と人気を二分したというのに、
詳しい資料はほとんど残っていないのだそうです。
目が目のあるべき場所にないということはなかったでしょうが、
どういう人だったのか、どんな舞台だったのかを知りたくなる。
 
旧来の能とは違って斬新だと話題になった模様。
本作中ではクイーンの“We Will Rock You”さながらにドンドンパが始まり、
観衆は手を叩き、地面を打ち鳴らし、狂喜します。
もしも当時本当にこんなロックな能があったとしたら、人々の反応はどうだったのか。
どの時代でも新しいと思われるものなのでしょうか。
 
音楽を大友良英が担当。彼自身も平家の亡霊の声で出演しています。
現代の車が行き交う交差点、亡霊はうろうろしているのかもしれません。

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