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『あやしい彼女』

2016年04月08日 | 映画(あ行)
『あやしい彼女』
監督:水田伸生
出演:多部未華子,倍賞美津子,要潤,北村匠海,金井克子,
   志賀廣太郎,三鴨絵里子,温水洋一,小林聡美他

これもTOHOシネマズ伊丹にて、『仮面ライダー1号』とハシゴ。

オリジナルの韓国版『怪しい彼女』(2014)と中国版『20歳よ、もう一度』(2014)は同じ台本。
特に韓国版は出色の出来で、笑った笑った、泣いた泣いた。
大好きだったその作品のリメイクは『綱引いちゃった!』(2012)、
『謝罪の王様』(2013)の水田伸生監督の手によるもの。

瀬山カツ(倍賞美津子)はワガママ&毒舌、トラブルを起こしてばかりの意地悪ばあさん。
そんな彼女の自慢の種は、女手一つで育て上げた娘・幸恵(小林聡美)。
大手出版社のファッション雑誌編集長を務める彼女のことをいつも自慢しているが、
実は幸恵は他部署に異動させられたことをカツには打ち明けられずにいる。
幸恵には息子で大学生の翼(北村匠海)がいるが、これまで翼の世話はカツに任せきり。
カツにとってはそれも自慢で、自分がいなければ家は回らないと言いふらしている。

商店街の鼻つまみ者であるカツの唯一の理解者は、昔なじみの中田次郎(志賀廣太郎)。
銭湯を経営する次郎は、行かず後家の娘・麻衣子(三鴨絵里子)から呆れられようとも、
カツのことを大事に思い、いつでもカツの味方。

ある日、カツは幸恵と大げんか。
ことあるごとに「あんたのために何もかも我慢してきた」と言うカツに幸恵がキレたのだ。
お母さんなんかいなくたって家は回る。好きなことをすればいい。
そう言われて思わず家を飛び出したカツ。
ふらふらと町を歩いているうちに見覚えのない写真館の前に。
店主(温水洋一)の優しい言葉に癒やされて、写真を1枚。

撮影後、いつもどおり商店街を歩いていると、周囲の態度がなぜかちがう。
スクーターのミラーに映った自分の顔を見てビックリ。
それは20歳のときの自分に若返った姿だった。

誰にも信じてもらえるはずはなく、家にも戻れない。
大島節子と名乗ることにした20歳のカツ(多部未華子)は、
正体を伏せたまま次郎の家に居候することに成功。
いつも憎まれ口をたたき合っていた相原みどり(金井克子)に張り合って
高齢者が集うのど自慢大会に飛び入り参加したところ、
偶然その場を通りかかった翼がカツの歌声に魅了され、バンドに参加してほしいと言う。
また、音楽プロデューサーの小林拓人(要潤)の目にも止まって……。

細かいところといえば細かい、
でも大きな部分といえば大きな部分がオリジナルと異なっています。

たとえば、オリジナルでは婆さんと同居しているのは息子一家。
実子ではなく、嫁との折り合いが悪くて家を飛び出します。
オリジナルが大好きだった私としては、えっ、ここから変えちゃうの?と呆然。

また、オリジナルの婆さんは意地悪なところがあるとはいえ、もとはお嬢様だから品がいい。
『半沢直樹』での倍賞美津子が憎々しすぎたせいか、以来、印象が悪くなり、
冒頭のカツが商店街の各店舗を茶化しながら歩くシーンは
あまりに品がなくて倍賞美津子に殺意を感じてしまうほどでした(笑)。
昔なじみの爺さんとの間柄も、お嬢様と使用人の息子でした。それが本作では戦災孤児同士。
まぁ、お国がちがうのですから、同じ状況にすると受け入れにくいのでしょうかね。

と、いろいろ気になって、こんなリメイク駄目やんか、
最後まで耐えられるかなと思ったのですけれども……。
最後はきっちり泣かされました。
母と実の娘という設定に、これはこれでよかったかもしれないと思いました。

この多部ちゃんはとても可愛い。
が、オリジナルのシム・ウンギョンは言動がまさに婆ちゃんで、
顔とのギャップの大きさに大笑いさせられたのに対し、
多部ちゃんはちょこっと婆ちゃんぽいかなという程度で物足りない。

というふうに、個人的にはオリジナルのほうが断然よかったのですが、
オリジナル未見の人ならばじゅうぶんに笑えて泣けると思われます。
どこの国でも行けちゃうのかもしれません。この話。

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