夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』

2018年11月30日 | 映画(は行)
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』(原題:Sicario: Day of the Soldado)
監督:ステファノ・ソッリマ
出演:ベニチオ・デル・トロ,ジョシュ・ブローリン,イザベラ・モナー,
   マシュー・モディーン,イライジャ・ロドリゲス,キャサリン・キーナー他

前述の『エリック・クラプトン 12小節の人生』の後、
同じく大阪ステーションシティシネマにて。
なにせ『クラプトン』は7:50からの上映でしたから、本作の上映開始時間はまだ10:30。
こんな時間にすでに2本目を観られると思うと、なんて充実した日だと嬉しくなります。

『ボーダーライン』(2015)の続編。
前作の監督はドゥニ・ヴィルヌーヴでしたが、本作の監督ステファノ・ソッリマは知らない人。
ウィキペディアの日本版にはまだ名前がありません。
しかし脚本はテイラー・シェリダンだし、出演陣も渋く豪華。
男臭さがウケるのか、予想以上に客が入っていました。
『クラプトン』もオッサンばかりだったけど、これもオッサンだらけ(笑)。

アメリカ・カンザス州カンザスシティの商業施設で、
子どもを含む多くの民間人を巻き込む自爆テロ発生。
アメリカ合衆国国土安全保障省は、犯人らを不法入国者と推測し、
メキシコの麻薬カルテルが彼らにテロ資金を提供していると仮定する。

大統領からカルテルの殲滅を命じられたCIAエージェントのマット・グレイヴァーは、
かつてカルテルに家族を殺されたコロンビアの元検察官アレハンドロ・ギリックをリクルート。
そのほか、信頼できる精鋭部隊を率いて極秘ミッションに取りかかる。

マットが考えたのは、カルテル同士の抗争を誘発させる手段。
巨大カルテル、レイエス家の娘イサベルを学校帰りに誘拐すると、
それを敵対するカルテルの仕業だと思い込ませるのだが……。

前作から3年経っていますから、話なんてほとんど忘れています。
観ているうちに少しずつ場面を思い出したものの、全部はとても思い出せない。
しかし何も知らなくても楽しめる作品です。

アレハンドロ役のベニチオ・デル・トロがとにかく切ない。
一時すごい中年太りで、もともと下ぶくれの顔がよりたるんだ印象でしたが、
どことなく引き締まり、渋い格好良さがあります。
イサベルを連れて国境へ向かうシーンは『レオン』(1994)のよう。

昔、このブログにも確か書いたことがある話。
メキシコに旅行した知人が、向こうの空港で「大阪は怖い」とメキシコ人が話しているのを聞いたとか。
これを観たら、どこが大阪怖いねん、メキシコの比やないやろとまたツッコミ入れたくなります。

幼い頃から犯罪に手を染め、やがて暗殺者になるかもしれない子どもたち。
生きるためにはそうするしかないのかと思ってしまう。
お金がなくても幸せだなんて、言えない。

で、続編あるんですね。いつになるか知らないけど、待ってます。

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『エリック・クラプトン 12小節の人生』

2018年11月29日 | 映画(あ行)
『エリック・クラプトン 12小節の人生』(原題:Eric Clapton: Life in 12 Bars)
監督:リリ・フィニー・ザナック

勤労感謝の日。
午後にMOVIXあまがさきでおこなわれる爆音映画祭を予約済み。
それまでに1本、頑張れば2本観られなくもない。
2本観るには朝6:55に家を出て大阪駅へ向かわないと。
休日に仕事に行く日より早く出かけるなんてと思いつつも、目が覚めてしまう。
大阪ステーションシティシネマにて7:50上映開始の本作を。

クイーン同様、エリック・クラプトンについてもそんなには知りません。
有名な曲を知っている程度で、ファンとは言えない。
それでも心に残る曲はいくつかあります。
7:50から映画を上映していることも驚きですが、
こんな朝も早くから劇場へ足を運ぶ奴なんておるんか?
いましたねぇ、30人ぐらい。オッサンばっかり(笑)。

クイーンのフレディ・マーキュリーが史上最高のリードボーカリストと評されるならば、
エリック・クラプトンはローリング・ストーン誌が選出する、
「最も偉大な100人のギタリスト」の第2位。
第1位はジミ・ヘンドリックスなのだそうです。

本作はクラプトンの人生を綴るドキュメンタリー。
『ボヘミアン・ラプソディ』に比べるとかなり地味で、
私程度にしかクラプトンを知らずに観に行くと睡魔に襲われる箇所も。(^^;
もっとクラプトンの曲がバンバンかかっていたら眠らなかったかも。

それでも面白いと思える作品であったことは間違いありません。
なにしろ私は知らないことばかり。
実姉だと思っていた人が母親だったとか、その生い立ちからして衝撃的。

美形だったんですねぇ。でもずっと変人呼ばわりされていた少年時代。
そんな彼を救ったのが音楽、そしてギター。

親友だったジョージ・ハリスンの妻に恋して、実らせて結婚。
しかし別の女性との間に女児をもうけ、
また別の女性との間に生まれた男児を目の中に入れても痛くないほど可愛がり、
そのおかげでアルコール依存症からも脱却。
なのに、幼い息子は高層ホテルから転落死して、また周囲が心配するなか、
亡くなってから届いた息子の葉書が酒への逃避を思いとどまらせたとのこと。
このとき書き上げた曲が“Tears in Heaven”。心に突き刺さりました。

「天に召されるとき、最期に君の声を聴きたい」。
偉大なミュージシャンからそんな言葉を贈られるクラプトン。
まだまだギターを弾き続けてくれますよね?

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『ヴェノム』

2018年11月28日 | 映画(は行)
『ヴェノム』(原題:Venom)
監督:ルーベン・フライシャー
出演:トム・ハーディ,ミシェル・ウィリアムズ,リズ・アーメッド,スコット・ヘイズ他

MOVIX京都にて、前述の『鈴木家の嘘』とハシゴ。
またゴミが落ちているのかなとテンション低めで入場したら、このシアターは綺麗でした。
アイスもなかの空き袋が放置されていたのはたまたまだと思いたい。

公開直後から観たかったのに、あやうく観逃しそうになっていた本作。
レディースデーにちゃんと字幕版を観られてよかったです。

マーベル・コミック“スパイダーマン”の宿敵“ヴェノム”。
予告編を観て気色悪い容貌だなぁと思っていました。
そんな容貌も慣れると可愛く見えてくるから不思議です。

正義感あふれるジャーナリストのエディ・ブロック。
弱者の立場で真実を追求し、相手がどんなに大物であろうと
おもねる取材は決してしないエディは、巷でも人気者。

医療福祉から宇宙開発まで幅広い科学分野を手がけるライフ財団の創始者、
カールトン・ドレイクにインタビューすることになったエディ。
問題を起こすなという上司の命令に背き、エディは人体実験についてカールトンに詰問。
そのせいでインタビューが取りやめになったどころか、会社をクビに。
しかも、人体実験の情報は、恋人で弁護士のアン・ウェイングのPCを盗み見して得たもの。
エディに情報を流したと疑われ、アンまでも解雇されてしまう。

仕事も恋人も失ったエディに接触を図ったのは、ライフ財団の研究者ドーラ・スカース。
彼女曰く、人を救う仕事に従事しているつもりだったのに、
カールトンはホームレスを拉致して人体実験をおこなっている。
なんとかやめさせてほしいとエディに懇願。

ドーラの手引きでライフ財団に潜入したエディは、
“シンビオート”なる地球外生命体を人間に寄生させる実験がおこなわれていることを知る。
シンビオートと共生すれば、宇宙に移住することも可能だとカールトンは考えているらしい。
しかしシンビオートと人間はなかなか適合に至らず、
その結果、実験台となった人間が次々と死んでいるのだ。

実験台の中に顔見知りのホームレスを見つけて駆け寄ったさい、
シンビオートに寄生されてしまったエディ。
とてつもない力を得てとまどう彼に、
“ヴェノム”と名乗るシンビオートが脳内で語りかけてくるのだが……。

エディとヴェノムのやりとりがとても面白い。
脳内でヴェノムから話しかけられ、ぶつぶつ答えるエディ。一見ひとり言。
腹減った、ええ女やな、などと言われて、うるさい黙れ、人間を食うなと
必死にヴェノムを制御しようとするけど実らない。
あんな太い首で困惑するトム・ハーディが可愛くて笑えます。

マーベル作品はエンドロールの後にも何かあるのがお約束。
本作でもエンドロール途中で“スパイダーマン”のアニメが流れます。
で、それが終わった後のエンドロールの長いこと
全部で20分ぐらいありました。これは過去に観た映画の中で最長かと。

悪い奴は食っちゃって良し。
続編を撮るなら、同じルーベン・フライシャー監督がいいな~。

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『鈴木家の嘘』

2018年11月27日 | 映画(さ行)
『鈴木家の嘘』
監督:野尻克己
出演:岸部一徳,原日出子,木竜麻生,加瀬亮,吉本菜穂子,
   宇野祥平,山岸門人,川面千晶,岸本加世子,大森南朋他

先週のこと。
水曜日がお仕事お休みの人と祇園で晩ごはんをご一緒することになり、
終業後に京都へ向かってもじゅうぶん間に合うところ、
レディースデーなのに映画を観ないのももったいと午後休を取りました。

正午の鐘とともに職場を出て、そのまま車で名神吹田から京都南へ。
晩は当然お酒を飲むけれど、帰りは下戸のダンナが運転してくれますから。

川端通り沿いで目を付けていたコインパーキングのうちの1箇所は満車。
もう1箇所は観光シーズンゆえ「特別料金実施中」との表示。
20時までは最大料金設定があるものの、夜間の料金が20分300円だとぉ?
1時間に900円も払っていられるかと、ほかを当たる。
なんとか納得できる料金のパーキングに空きを見つけて駐車。

そこからてくてく歩いてMOVIX京都へ。
前週にMOVIXあまがさきでメンバーズカードを入手済み。うふっ。
ちゃんと名前を登録してポイントを貯めることができるのでした。

初めて行くMOVIX京都にはちょっぴりショックを受けました。
ビルの各階にシアターがあるのですが、1階にゲームセンターも入っています。
そのせいなのかどうなのか、トイレがめちゃくちゃ汚い。
便器が汚いわけじゃないから、掃除はきちんとされているのでしょうが、
個室にゴミが落ちすぎ。キンキラリンの紙とか、いったい何に使うもの?
鏡の前に陣取る女子高生は、手を洗いたい客に譲るつもりもない様子。
シアターに入ったら入ったで、座席にアイスもなかの空き袋が放置されている。
来月ここで開催予定の爆音映画祭に行きたいと思っていたのに、萎えました。

という話はさておき、気になっていた作品を観ました。
『テルマエ・ロマエ』(2012)、『舟を編む』(2013)、『まほろ駅前狂騒曲』(2014)、
『恋人たち』(2015)、『セトウツミ』(2016)、『嘘を愛する女』(2018)等、
数々の名作で助監督を務めてきた野尻克己の監督デビュー作。

鈴木家は父親・幸男(岸部一徳)、母親・悠子(原日出子)、
長男・浩一(加瀬亮)、長女・富美(木竜麻生)の四人家族。

ある日、長年ひきこもりだった浩一が自室で首を吊って自殺。
それを発見した悠子が包丁で手首を切る。帰宅した富美がそれを見つけて119番。
悠子は一命を取り留めたものの、なかなか意識が回復しない。

四十九日ぶりに目を覚ました悠子は、浩一が亡くなったことを覚えていない様子。
ショックのあまり記憶が飛び、自分は台所で倒れただけだと思い込んでいる。
事実を知ってまた手首を切られては大変だと、
浩一は元気かと悠子から問われた富美は、咄嗟に嘘をついてしまう。
「お兄ちゃんはひきこもりをやめて、アルゼンチンへ行った」と。

こうして幸男と富美、悠子の弟・博(大森南朋)、幸男の妹・君子(岸本加世子)も
悠子のために嘘をつきつづけることにするのだが……。

息子は死んだと言えない娘たちが母親のために嘘をつく、
『やさしい嘘』(2003)というグルジアを舞台にした作品がありました。
それを思い出しながら観ていましたが、こっちのほうがだいぶんキツイ。
顔ぶれを見てコメディを予想していたら、全然ちがう。
笑えるシーンはごくわずかにあるだけで、相当ヘヴィー。
PG12指定の理由はソープランドのシーンがあるからなのでしょうが、
浩一が首を吊るシーンもかなりエグイです。

大切な人を亡くした人が集う会で、泣き叫ぶ参加者の声が私にはきつかった。
『人魚の眠る家』と同じく、大げさに思えてしまうのです。
しかし、富美の気持ちがあきらかになるシーンは心を揺さぶられました。

遺された家族が気持ちの整理をつけるまでの日々。
今後も野尻監督の作品が気になりそうです。

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1回目の『ボヘミアン・ラプソディ』

2018年11月25日 | 映画(は行)
『ボヘミアン・ラプソディ』(原題:Bohemian Rhapsody)
監督:ブライアン・シンガー
出演:ラミ・マレック,ルーシー・ボーイントン,グウィリム・リー,ベン・ハーディ,
   ジョセフ・マッゼロ,エイダン・ギレン,トム・ホランダー,マイク・マイヤーズ他

1回目と書いたのは、すでに2回目を予約済みだからです。
この記事をUPする頃には爆音映画祭で観終わっているはず。
→はい、2回目も観ました。(^^)

公開前に爆音上映があることを知りました。
普通、劇場のオンライン予約は2日あるいは3日前からですが、
爆音映画祭の予約は3週間ほど前から開始。
オンライン予約開始当日に速攻で予約したので、
通常上映はもう観なくてもいいかなと思っていたんです。

ところが凄い評判。観に行った人みんな絶賛。
拍手しそうになったとか泣きそうになったとか。
ほなら、拍手しようよ、泣こうよ(笑)。
あまのじゃくの私ですが、これはいいに決まっている。
爆音映画祭まで待てず、とりあえず通常上映を観ることに。

このところ定番化している日曜日の朝2本、夕食を挟んで晩に1本をやはり決行。
IMAX版と通常版どちらも観られる時間帯だったけれど、
寝不足でしたからね、ちょっとでも早く帰れる通常版を選択。
109シネマズ箕面にて。

あらすじなんて要らないか(笑)。

ロンドン出身の伝説のバンド“クイーン”
全世界にファンを持ち、トータルセールスは2億枚を超えるそうです。
ボーカルのフレディ・マーキュリーは、マイケル・ジャクソンに次ぐ偉大な歌手とも、
史上最高のリードボーカリストとも言われています。
HIVに感染し、1991年に45歳という若さで合併症により死亡。

私は特にクイーンのファンだったわけではありません。
ヒット曲を一通り知っている程度。
でも、そんな程度の人でも音楽が好きならぜひ観てほしい。

イギリス領だったタンザニアのザンジバル島を出て、
イギリスへとやってきたペルシャ系インド人である両親の間に生まれたフレディ。
出自、名前、容姿、性的志向、何もかもにコンプレックスがあった様子。
そんななかで生み出した、革新的な数々の名曲。

バンドのメンバーもみんないい。
ギターのブライアン・メイ、ドラムのロジャー・テイラー、ベースのジョン・ディーコン。
基本的にみんな大卒理系アタマのインテリ。でも威張っていない。
曲作りについて意見を戦わせても、いい曲を作りたいという思いは同じで、
二番煎じは無し、新しいことに挑戦しつづけ、
全員が自分たちの曲に誇りを持っているから、決裂したりしません。
いや、一旦決裂はしているんですが、家族同然なんだなぁ。

ブライアン役のグウィリム・リー、ロジャー役のベン・ハーディ、
ジョン役のジョセフ・マッゼロ、みんな実物より少しずつ顔がいいのですが(笑)、
フレディ役のラミ・マレックは出っ歯を誇張しすぎではと思っていました。
しかし見ているうちに慣れるものですねぇ。最後は本物に見えてきます。
フレディから“マイアミ”と命名される弁護士役のトム・ホランダー
一時はフレディの伴侶として、そして良き理解者だった友人メアリー役のルーシー・ボーイントンも○。

たいしたことないんじゃないのと思っている人、つべこべ言わずに観てください。
ラストのライヴ・エイドは、コップの置かれる位置まで再現したという映像の凝りよう。
この演奏は胸に迫るものがあります。こりゃ泣く。

ブライアン・シンガー監督が現場に来なくなったりして、
途中でクビになったと聞いていたので、
出来上がりはどうなったのだろうかとものすごく心配でした。
そんな心配はどこへやら。監督の心中はいま如何に。
シンガー監督の『ユージュアル・サスペクツ』(1995)がめちゃめちゃ好きだったから、
今回のことで干されたりせずに、また面白い作品を撮ってほしいです。

爆音上映が楽しみで仕方ありません。→その話はまた後日。

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