夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『僕たちは世界を変えることができない。 But, we wanna build a school in Cambodia.』

2011年09月30日 | 映画(は行)
『僕たちは世界を変えることができない。
 But, we wanna build a school in Cambodia.』
監督:深作健太
出演:向井理,松坂桃李,柄本佑,窪田正孝,村川絵梨,阿部寛他

前述の江口のりこがここにも登場。
「なんでアンタなんかにフラれなあかんのよ」(失礼)と
向井くんファンなら言いたくなることでしょう。(^^;

先週末から公開の話題作で、説明不要かもと思いつつ。

医大生の甲太は、バイトにコンパにと忙しい毎日を送っているが、
なんとなく気持ちが満たされない。
そんなある日、郵便局でたまたま目にしたパンフレット。
“カンボジアに屋根のある小学校を”。

150万円寄付すれば、カンボジアに小学校を建てることができる。
「これだ!」と思った甲太は即座に知人全員にメール。
しかし一応の賛同者は、いつものようにウダウダしに来た悪友、芝山と矢野の2人だけ。
と思いきや、ついこの間の合コンを仕切っていた他大学のチャラ男、本田が現れる。
本田のノリの良さに押され、150万円を貯めるためにプロジェクトを立ち上げるのだが……。

原作は、本当にこれを成し遂げた大学生の同名自費出版。
その後、加筆して小学館から出版されたそうです。

カンボジアに小学校を建てようとしているくせに、
カンボジアへ一度も行ったことがないの?
その事実を女子学生に指摘されて、甲太ら4人はカンボジアへ向かいます。

彼らのガイドを務めるのは、本職もガイドのブティさんゆえ、
この辺りは思いっきりドキュメンタリー風。
向井くんのナレーション入り、まるで『世界ウルルン滞在記』。
ただ、素人である現地の人びとからカメラが4人に移ると、
やはりこちらは演技っぽくて(演技なのだから当然だけど)、
そうそう、これはフィクションでしたと思い出します。

このギャップがちょっと微妙ではあったのですが、
ポルポト政権下のカンボジアのことなど、
教科書で勉強するよりもずっとわかりやすくて、
そうだったのかと唸ることしきりでした。

やりたいことが見つからなくてもやもやしているときに
なんとなくそのパンフレットが目に入った、それだけのこと。
なぜそれなのかと言われてもわからない。
わからないと、こういうことをしちゃ駄目ですか。
ええやん、それで。そんな気がします。

観ている間に思い出したのは伊坂幸太郎の『砂漠』。
私は、伊坂幸太郎の作品では、誰がなんと言おうとこの『砂漠』がいちばん好きです。

たとえば目の前に捨てられた犬がいたとしても、
この一匹を救ったところでその他の犬は救えない。
ならば一匹救うのは無駄なこと。私も含めてそう思う人は多いでしょう。
ところが、『砂漠』に登場する西嶋は、何の躊躇もなく一匹を連れ帰ります。
「目の前の危機を救えばいいじゃないですか。
 今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、
 明日、世界を救えるわけがないんですよ」。

デリヘル役の黒川芽以が良かったこともつけ加えておきます。膝枕のなせる技。
それと、マスターがリリー・フランキーのバー。行ってみたい!

『洋菓子店コアンドル』

2011年09月27日 | 映画(や行)
『洋菓子店コアンドル』
監督:深川栄洋
出演:江口洋介,蒼井優,江口のりこ,ネイサン・バーグ,加賀まりこ,戸田恵子他

これもレンタル最新作。

宮崎あおいと蒼井優。どちらかと言えば、私は後者のアオイ派です。
本作は江口洋介が最初にクレジットされていますが、
登場時間の割合からすると、蒼井優ちゃん単独主演と言ってよいほど。

東京で評判の洋菓子店“パティスリー・コアンドル”。
オーナーでシェフパティシエの依子とその夫ジュリアン、
そしてマリコの3人で切り盛りする小さな店だが、
見た目も味も洗練された数々の洋菓子が大人気で繁盛している。

ある日、コアンドルへなつめと名乗る娘がやって来る。
彼女は、コアンドルに勤めているはずの恋人に会うため、
田舎から出て来たのだが、その恋人はとっくに辞めてしまっていた。
恋人の連絡先もわからず、途方に暮れるなつめは、
コアンドルで働かせてほしいと頼み込むのだが……。

ケーキ屋の一人娘で、店のケーキは全部自分が焼いていたと言うなつめに、
依子たちはケーキをつくらせてみます。
できあがったケーキを一口食べた依子の言葉は「帰りなさい」。
「あなたのケーキを美味しいと思ってくれるところでつくりなさい」というものでした。

依子役の戸田恵子の演技によるところも大きいのでしょうが、
この台詞は決して田舎を見下しているようには思えませんでした。
土地や気候、そこに住む人々やものの値段と、いろんな要素があり、
そこに合ったケーキがあるわけで。
それでも、どこで食べても美味しいケーキをつくろうと思ったかどうか、
なつめはコアンドルでがんばりはじめます。

江口洋介の役どころは、天才パティシエと崇められていた十村という男。
あることがきっかけで、ケーキをつくらなくなります。
製菓学校の講師を務め、洋菓子店のガイドブックを執筆。
そんな彼に再びケーキをつくりたいと思わせるのが蒼井優演じるなつめです。

なつめとは犬猿の仲になるマリコ役の江口のりこは、
美人とは言えないのに、どんな作品でも存在感があります。
本作では徹底的に不機嫌な彼女が、
なつめとの喧嘩で圧倒されるシーンがよかったです。

監督のお名前の字面から受ける印象が大御所っぽくて、
お年を召した方だと長らく思っていました。
そうしたらえらい勘違いで、まだ三十半ばだったのですねぇ。
ほんわかした作品がお得意かと思いきや、
『真木栗ノ穴』(2007)のようなホラータッチも○。
前者のアオイ、公開中の『神様のカルテ』も同監督。

並ぶケーキにヨダレが出そう。
ところで、鹿児島弁ってほんとにこんなに訛ってます?

『高校デビュー』

2011年09月24日 | 映画(か行)
『高校デビュー』
監督:英勉
出演:溝端淳平,大野いと,菅田将暉,逢沢りな,古川雄輝,
   宮澤佐江,岡本玲,増田有華,塚地武雅,温水洋一他

4月に公開されたレンタル最新作。
河原和音の同名コミックの実写映画化です。

某サイトのレビューを見ると評価がかなり高かったのですが、
きっとレビューの書き手は若い世代にちがいない。
高校生だった頃が遠い昔だからこそキュンキュンしたかったのに、
これは観ているのが猛烈に恥ずかしい。(^^;

中学時代、強豪ソフトボールチームのエースだった晴菜。
3年間のすべてをソフトボールに捧げて卒業した今、
これからは恋に生きようと誓う。

ところが、恋愛経験皆無の彼女はどうしていいやらわからない。
モテようと化粧に服装にと気を遣えば遣うほど残念なことになってしまい、
素材は悪くないはずが、男子たちはビビって声をかけてくれない。

その日も、単なるアンケート調査のために声をかけてきた男子を
ナンパだと喜んで追いかけ回したところ、見事に転倒。
飛んで行った靴を拾ってくれたのは、
同じ高校に通う1年先輩のイケメン、ヨウだった。

イケメンなのに女は苦手だと言い、どこか陰のあるヨウ。
しかし、この人なら的確なアドバイスをくれると感じた晴菜は、
ヨウのことは絶対に好きにならないという条件のもと、
モテる秘訣をコーチしてもらうことに。

これを機に、さまざまな事件に巻き込まれる。
ヨウと晴菜が一緒にいるのを見た生徒たちは、
ふたりがつきあっていると勘違い。嫉妬される晴菜。
また、中学時代にライバルだった生徒が、
ソフトボールをやめて愛だ恋だとうつつを抜かす晴菜に激怒。
ヨウの元カノとも偶然知り合ってしまい……。

観始めてすぐに思い出したのが『ラブ★コン』(2006)でした。
製作チームが同じと聞き、なるほど。
『ラブ★コン』(2006)はDVDも買っちゃったほど好きだったのですが、
これは二番煎じの感が否めません。
ちなみに『ハンサム★スーツ』(2008)とも同じ製作チーム。
これは主人公の年齢がもっと上のせいか、ノリは同じでも、
二番煎じと感じるどころか、ものすごく楽しめたのですけれど。

溝端淳平くんって、わりと最近の「友だちになりたい有名人人ランキング」か何かで、
上位にランクインしていた記憶があります。
彼はとってもカッコイイと思いますが、個人的な印象としては、
ほとんど色気を感じないとでも言いましょうか、そこが物足りないような。

温水さんの銅像がツボ。
もちろん、銅像だけではなく、英語の教師役でヅラかぶって登場します。
文句は言ってもしっかり楽しんでいます、私。

『白いリボン』

2011年09月20日 | 映画(さ行)
『白いリボン』(原題:Das Weisse Band)
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:クリスティアン・フリーデル,レオニー・ベネシュ,ウルリッヒ・トゥクール他

来年は70歳になるミヒャエル・ハネケ監督。
銀髪と髭が醸し出す雰囲気は知的で優しそうなおじいちゃん。
しかし、作品はいつもこのうえなく不気味。
観ればとにかく滅入るので、いつも相当覚悟してから臨みます。

本作は公開中は覚悟が決められず、
レンタル開始になってもうじき3カ月。ようやく腹を括りました。
そんなにたいそうなら、観なきゃいいんでしょうけれど、
なんだかんだ言っても私はこの監督が好きなんですねぇ。

舞台は1910年代、第一次世界大戦を控えた北ドイツの小さな村。
三十路を越えた男性教師の回顧録として綴られます。

その日、馬に乗って自宅の敷地に差しかかったドクターが、
地面より少し上に張られた針金に引っかかって転倒。重傷を負う。
針金はいつのまにか取り除かれ、犯人はわからぬまま。

これを始まりとして、村のあちこちで事件が起きる。
小作人が腐った床を踏み抜いて転落死。
キャベツ畑がめちゃくちゃに荒らされたり、火事が起きたり。
男爵家の御曹司が何者かに吊されて尻を酷く打たれたかと思えば、
助産婦の知的障害を持つ息子が目を潰されかける。

偶然と思えた事故も、実は故意なのか。
いったい犯人は誰なのか。すべて同一犯の仕業なのか。
敬虔な村人ばかりのはずのこの村で、密かにうごめく憎悪。
村人の素顔も次第に浮き彫りになって……。

『隠された記憶』(2005)同様、犯人はきちんとは明かされません。

著しいネタバレになりますが、解釈のひとつとして。
事件が起きるたび、他人の敷地内を並んで覗き込む子どもたちは、
まるで遂行されたかどうかを見届けるかのよう。
また、のちに教師の恋人となる男爵家の乳母は、
まだ子どもと言ってよいほどの微妙な年齢で、
彼女が森に行こうと教師に誘われたときに断固拒否したのは、
森は子どもたちの集う場で、彼女もそれまでは参加していたのではないかと。

大人が子どもたちに付ける白いリボン。
純真無垢の象徴かと思いきや、無知な行いの罰として付けられるもの。
大人の抑圧下、子どもたちは子どもたちでルールをつくり、
自分たちのやり方で大人を罰しているように思えます。

最後は何事もなかったかのように、教会に集う大人たち。
その大人を見下ろして讃美歌を歌う子どもたちにゾゾ~ッ。
音のないエンドロールに再びゾゾ~ッ。

犯人が明かされずとも消化不良になることはなく、
誰かと「あれってどうなん?」と話したくなってしまう。
『ファニーゲーム』(1997)および『ファニーゲーム U.S.A.』(2007)を観たときもそうだったように、
この不気味さ、不快さについてしゃべりたくなる。
それがこの監督の作品を観てしまう所以なのかなぁ。

『探偵はBARにいる』

2011年09月16日 | 映画(た行)
『探偵はBARにいる』
監督:橋本一
出演:大泉洋,松田龍平,小雪,西田敏行,田口トモロヲ,波岡一喜,
   竹下景子,石橋蓮司,松重豊,高嶋政伸,マギー,安藤玉恵他

前述の『あしたのパスタはアルデンテ』を観たあと、
ひとりランチでお酒もかっ喰らい、ちょい酔っぱらい状態で本作を観に。
退屈な作品ならば居眠りするおそれがありましたが、眠気は襲来せず。

原作は、札幌在住の作家、東直己の“ススキノ探偵シリーズ”の第2作、
『バーにかかってきた電話』なのだそうです。
BARのブックマッチ(二つ折りの紙マッチ)を摸したパンフレットが粋でニヤリ。

札幌の大歓楽街ススキノで探偵稼業を営む“俺”。
いまどき携帯電話を持たない彼の連絡手段は、
彼が入り浸るBAR“KELLER OHATA(ケラー・オオハタ)”の黒電話。
相棒を務めるのは、北大農学部の助手でひたすらグータラ、
けれど実は空手の師範代という男、高田。

ある晩、“コンドウキョウコ”と名乗る女から奇妙な依頼が舞い込む。
楽勝に聞こえる依頼内容のわりには、振り込まれた金額が高すぎる。
危険な匂いを感じながらも引き受けてしまう探偵。

予感は的中、探偵はヤクザらしき男たちに拉致される。
雪の中に生き埋めにされて命からがら脱出した探偵は、
どうにもこうにも腹の虫が治まらず、みずから調査を開始。
すると、1年前に殺された大会社の社長と、
その美しき未亡人、沙織を巡る複数の事件の関係性が浮かび上がり……。

原作は未読なので、どうアレンジされているのかわかりませんが、
この映画版にはよくよく考えてみれば矛盾点がいろいろ。
でも、キャストがユニークで存分に楽しめたおかげで、
辻褄の合わないこともどうでもよくなってしまいました。

大泉洋はもともと好きですが、今回は意外といいカラダにびっくり。
脱いだらぷよんぷよん、もしくは貧相でがっくりという俳優も多いですが、
この人はもっと細いのかと思っていたら、ガシッ。
こんなだったら、どんどん脱いでください。(^O^)

松田龍平はちょっと気取った色男風より、こっちのほうが好み。
とぼけた味がピッタリで、とことんグータラに見えるのに、
敵をバッタバッタとなぎ倒すシーンが痛快。
探偵救出に毎度絶妙のタイミングで「間に合わない」ところも笑えます。

そのほか、最近の離婚騒動でキレたかと思うような高嶋政伸。
鼻と舌のピアスと変な髪型がコワイ。
いつも私のツボの松重豊は本作でも傑作。渋いのにワラける。
インテリなのにこんな役ばかりの波岡一喜は、
『ヒロミくん!全国総番長への道』(2010)を思い出しました。
探偵にドン引きの色仕掛けで迫るウェイトレス役の安藤玉恵も見逃せません。

本人役で登場したカルメン・マキが歌う『時計を止めて』、
昭和な雰囲気に合っていて光ります。聴いてください。

こんなハードボイルド映画もイイ!