goo blog サービス終了のお知らせ 

夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『F1/エフワン』

2025年07月15日 | 映画(あ行)
『F1/エフワン』(原題:F1)
監督:ジョセフ・コシンスキー
出演:ブラッド・ピット,ダムソン・イドリス,ケリー・コンドン,トビアス・メンジーズ,ハビエル・バルデム,
   サラ・ナイルズ,キム・ボドゥニア,ジョセフ・バルデラマ,ウィル・メリック他
 
公開初日、109シネマズ大阪エキスポシティにてIMAXレーザーGT版を鑑賞しました。
 
F1ドライバーが主人公の作品といえば、すぐに思いつくのは『ラッシュ/プライドと友情』(2013)。
それ以外でもカーレーサーが主人公の話なら『フォードvsフェラーリ』(2019)なんかも面白かった。
昔は鈴鹿サーキットへもよく行きました。なんだかんだでレース好きです。
 
ソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)はかつてアイルトン・セナやアラン・プロストとも競った天才ドライバー
1990年代に所属していたチーム・ロータスで今まさに頂点にのぼりつめようかというときにクラッシュ。
大怪我を負った彼はチームを追われ、ギャンブルに走って家庭も破綻。
しかし走ることが心底好きだと気づき、以降はレースの大小問わずにドライバーとして渡り歩く日々を送っている。
 
デイトナ24時間レースに参戦したソニーは激走を見せて見事チームを勝利に導く。
このままチームに残らないかと惜しがられるも断った彼は、その後に立ち寄ったコインランドリーで、
ロータスでチームメイトだったルーベン・セルバンテス(ハビエル・バルデム)から声をかけられる。
今はチーム・エイペックスのオーナーであるルーベンが言うには、チームは1勝もできないままで最下位に低迷中。
残り9レースでなんとか結果を残さなければ、チームの存続が難しくなるのだと。
 
エイペックスには才能あふれる新人ジョシュア・ピアス(ダムソン・イドリス)がファーストドライバーとして在籍しているが、
傲慢な性格が災いして完走することすらままならない。
セカンドドライバーとしてソニーを招聘し、この事態を変えてほしいのだとルーベンは考えているのだ。
 
金に興味はないが、走りたい。これは奇跡を呼び込めるかもしれないと、チームに合流するソニー。
しかし、こんなジジイにチームを自分のポジションを奪われてたまるかと思うジョシュアは最初から喧嘩腰。
あまりにワガママな坊やぶりにソニーも怒りを抑えられず……。
 
とにかくレースのシーンが多い。肝心のシーンが多いというのは『国宝』と同じで、魅入られます。
ケリー・コンドン演じるF1チーム初の女性テクニカルディレクターと恋に落ちるものの、長いラブシーンなどは皆無。
あ、彼女が若すぎないのもいいですね。
トム・クルーズの相手役がジェニファー・コネリーだったように、ブラピとケリー・コンドンはちょうどいい。
 
そしてやっぱりイイ、ハビエル・バルデム。
今はトム・クルーズと別れた後のペネロペ・クルスと結婚してからもう十数年経つわけですが、素敵なカップル。
ハビエル・バルデムを初めて知ったという人には『海を飛ぶ夢』(2004)をオススメしたい。
『コレラの時代の愛』(2007)も強烈です。初恋の女性と結ばれる日を50年以上待ち続けた男性の話で、その日まで自分はヤリまくるんですから(笑)。
 
ちなみに私はもともとトム・クルーズよりブラピのほうがタイプです。
本作を観てそれは変わらないなぁと思いました。
それにしてもトム・クルーズといいブラピといい、60歳を過ぎた男がこんなにカッコイイのは嬉しいこと。
 
コシンスキー監督は、空の世界を描いても凄かったけど、陸の世界を描かせても凄かった。
絶対、大スクリーンで観るべき作品。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『We Live in Time この時を生きて』

2025年07月05日 | 映画(あ行)
『We Live in Time この時を生きて』(原題:We Live in Time)
監督:ジョン・クローリー
出演:アンドリュー・ガーフィールド,フローレンス・ピュー,グレイス・デラニー,リー・ブレイスウェイト,
   イーファ・ハインズ,アダム・ジェームズ,ダグラス・ホッジ,エイミー・モーガン,ニーヴ・キューザック他
 
キノシネマ心斎橋にて4本ハシゴの4本目。
 
監督は『ダブリン上等!』(2003)や『ブルックリン』(2015)のジョン・クローリー。
アンドリュー・ガーフィールドがあまりタイプではないのでスルーしようかと思っていた作品ですが、
フローレンス・ピュー一流シェフの役だと聞いたら観に行かずにはいられません。
 
時間が前後して描かれるので、最初はちょっと戸惑いましたが、すぐに慣れました。
 
妻から離婚を言い渡されて沈んでいたトビアスは、ふらふらと歩いていたところを車にはねられる。
病院で目覚めると、目の前には見知らぬ女性の心配顔。彼女こそ自分をはねた張本人。
 
彼女はアルムート。新進気鋭のシェフで、まもなく自分の店をオープンするらしい。
お詫びにごちそうしたいと言われたトビアスは、彼女の料理に心が癒やされるのを感じる。
 
こうして交際を開始したふたりだったが、あるときアルムートが体調を崩して病院へ。
すると、卵巣癌を患っていることがわかる。
子宮を全摘出するほうが再発などの可能性が低いとの説明を医師から受けるが、卵巣をひとつ残すことを選択。
化学療法を受けて癌は寛解し、不妊治療の末、娘を授かる。
 
しかし数年後、アルムートは癌を再発。治療を再開するかどうかの選択を迫られるなか、
世界的なコンクールにイギリス代表として出ないかというオファーが舞い込む。
治療に専念してほしいと言うトビアスに応えたかに見えたアルムートだったが、ひそかに話を受けていて……。
 
癌の話になればやはりのことを思い出します。
望みがわずかだったとしても前向きに化学療法や手術を受ける姿を思い出すと悲しさしかありません。
でも愚痴ひとつ言わなかったよなぁ。楽しいことだけ考えるようにしていると言っていたものです。
 
そしてもうひとつ思い出すのが『急に具合が悪くなる』という本のこと。
治ったら、どこそこへ行こう。治ったら、何々をしよう。
治らないから。だったら今、やりたいことをして、行きたいところへ行く。
それでよくないですか。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』

2025年06月21日 | 映画(あ行)
『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』
監督:高畠勲
声の出演:山田栄子,北原文枝,槐柳二,羽佐間道夫他
 
どうして今さら『赤毛のアン』なんだと思いながら、ほかに観るものもなくてイオンシネマ茨木へ。
 
カナダ出身の作家L・M・モンゴメリが1908年に発表した“Anne of Green Gables”は、
特に子ども向けに書かれたわけではなかったのに、世界的に有名な児童文学となりました。
 
日本では1952年の初邦訳時に採用された『赤毛のアン』という邦題が受け入れられる。
1979年にフジテレビの“世界名作劇場”枠で初のTVアニメ化。
ちなみに世界名作劇場の前身は“カルピスまんが劇場”で、『ムーミン』や『フランダースの犬』が放映されました。
ほかには『アルプスの少女ハイジ』や『あらいぐまラスカル』が代表作品で、今も愛されていますよね。
 
私自身は『赤毛のアン』にさほど思い入れはなくて、話もほとんど覚えていません。
本作は全50話のTVシリーズのうち1話から6話までを1989年に高畑勲監督が監修して再編集した劇場版。
なぜか当時は公開に至らなかった幻というべき編集版なのだそうです。
2010年にようやく劇場公開が叶い、このたび再上映となりました。
 
不幸な境遇を経たのち孤児院に預けられた赤毛の少女アン・シャーリー。
ようやくマシュー&マリラ・カスバート兄妹に引き取られることになって喜んでいたのに、
駅に迎えにやってきたマシューは困惑顔。
マシューとマリラは男の子を寄越すように希望していたのに女の子が来てしまったのだ。
 
マシューが連れ帰ってきたアンを見たマリラはびっくり仰天。
すぐにアンを孤児院へ返すようにマシューに言うが、なんだか可哀想でそうできない。
業を煮やしたマリラがアンを返しに行くけれど、結局カスバート家で引き取ることにします。
 
タイトルの「グリーンゲーブルズ」はカスバート兄妹が暮らす家のこと。
プリンスエドワード島が舞台になっていて、とても美しい自然が描かれています。
 
だけど、今見るとツッコミどころが多すぎる。
マシューとマリラはアンのことを面白い子だと言うけれど、相当変わっていませんか。(^^;
だいたいしゃべり方が「~ですもの」で違和感バリバリだし、
木を見ては「雪の女王」(でしたっけ?)だとか池を「きらめく湖」と表現したり。ただの池やっちゅうねん。
 
そもそも孤児院から子どもを引き取るのに、働き手としか見ていないわけです。
『カラーパープル』ほど酷くはないけれど、言い草が今の時代なら全部アウト。
 
ただ、アンのポジティブな考え方には見習うべきところが多い。
「孤児院に預けられる以前の養母はアンタのことを大切にしてくれたのか」とマリラに問われたアンは、
「大切にしようと思っていてくれたことがわかるからいい」と答えます。
実際に大切にされたかどうかではなく、大切にしようとしていたことが伝わってきたし、
そうしようと思ってもいろんな事情でそうできないことがあるから仕方がないと。
かなり面倒くさいガキだとは思うけど、こういう考え方をすれば見え方も変わるかもと思えます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『犬の裁判』

2025年06月19日 | 映画(あ行)
『犬の裁判』(原題:Le proces du chien)
監督:レティシア・ドッシュ
出演:レティシア・ドッシュ,フランソワ・ダミアン,ジャン=パスカル・ザディ,アンヌ・ドルヴァル,
   マチュー・ドゥミ,アナベラ・モレイラ,ピエール・ドゥラドンシャン他
 
イオンシネマ茨木で観たスイス/フランス作品。
フランスで実際にあった裁判を基に、女優のレティシア・ドッシュが監督と脚本と主演を務めています。
 
弁護士のアヴリルは自他共に認める「負け筋」の弁護士。
現行犯で捕まった人など負けるに決まっているから弁護を引き受けなければいいのに、
どんな人にも犯罪に絡んだ事情があるだろうからと引き受けては負ける。
弁護士事務所の上司から「負けすぎだ」と言われてクビ寸前。
次は絶対に勝てそうな依頼しか引き受けないと誓う。
 
ところがそんなアヴリルのもとへやってきたのは、人を噛んで殺処分になりそうな犬の飼い主。
視覚障害者のダリウシュはコスモスという盲導犬ではない犬を飼っている。
ダリウシュが部屋を貸していたポルトガル移民女性ロレーネの顔に噛みついて怪我を負わせた。
コスモスは過去にも2度、人に噛み付いたことがあり、3度目の今、殺処分が確定なのだ。
 
コスモスが殺されるなんてダリウシュには耐えられないこと。
どうにかして殺処分を免れるよう、アヴリルに法廷で闘ってほしいのだと。
負けるとしか思えない裁判だが、アヴリルは引き受けてしまい……。
 
3度噛みついた犬は殺されるという決まりがあるそうです。
負ければクビ決定のアヴリルはなんとか勝つ道を見出そうとしますが、とても難しい。
とりあえず、犬としてではなく人としてコスモスを裁いてほしいと訴えます。
 
ダリウシュがいい人ならまだしも、前科者で態度も悪い。
この飼い主にしてこの犬と見られる部分もあって前途多難。
それでも、コスモスは人に噛みついたなんて信じられないほど賢く可愛げのある犬で、
アヴリルは犬の立場になって考えようとします。
 
本筋の「犬の裁判」の話に加えて、アヴリルの隣の部屋に住むヨアキムの話からも目が離せません。
ヨアキムもとても賢い少年だけど、どうも親から虐待を受けているらしい。
ベランダ越しのアヴリルとヨアキムの会話、ついに逃げ出してきたヨアキムの様子に惹かれます。
 
きっと裁判に勝って万々歳のオチを想像していたから凹む。
そう上手くは行かないものなのですね。
でも、この裁判で人生を考えるきっかけになった人はアヴリル以外にもいるはず。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『秋が来るとき』

2025年06月17日 | 映画(あ行)
『秋が来るとき』(原題:Quand vient l'automne)
監督:フランソワ・オゾン
出演:エレーヌ・ヴァンサン,ジョジアーヌ・バラスコ,リュディヴィーヌ・サニエ,ピエール・ロタン,
   ガルラン・エルロス,ソフィー・ギルマン,マリック・ジディ,ポール・ブールペール他
 
ここからやっと、6月に入ってから観た作品です。もう上映が終了している作品があるかも(泣)。
 
6月最初の日曜日、北新地でランチの前に大阪ステーションシティシネマで映画を2本。
朝8:20からの回を観るために、仕事に行くときよりも早起きして家を出ました。
 
1年に1本のペースで撮り続けるフランソワ・オゾン監督の最新作。
多作なのにどれも趣が違って面白く、だけどやっぱりオゾン監督だなぁと思わせられます。
そういえばこの人もゲイであることをカミングアウトしています。
ペドロ・アルモドバルルカ・グァダニーノ、そしてオゾンが私がすぐに思いつく「カミングアウトしている人」ですが、
オゾンは群を抜いて男前。優しそうで、毒を感じないイケオジです。というのはどうでもいいか。(^^;
 
フランス・ブルゴーニュの美しい田舎町でひとり暮らす老女ミシェル。
訳あって彼女を恨む娘ヴァレリーが孫のルカを連れて休暇を過ごすためにやって来ることになり、ミシェルは大喜び。
娘と孫に食事をふるまうため、森にキノコを採りに行く
 
食事後も相変わらず素っ気ないヴァレリーを残し、ルカと散歩に出るミシェル。
ところが、家に戻るとヴァレリーが救急搬送されるところだった。
ヴァレリーは食中毒を起こしたらしく、自ら電話したのちに失神した模様。原因はキノコ。
幸い命に別条はなかったが、怒ったヴァレリーはルカを連れてすぐにパリに帰り、以降完全にミシェルを無視。
 
一方、いつ何時もミシェルの心の支えとなっていた親友マリ=クロードは、
服役していた息子のヴァンサンが出所して喜ぶも、仕事が見つかりそうになくて心配している。
ミシェルは薪割りや庭掃除などをヴァンサンに頼むことにして日当を払う。
 
ミシェルとマリ=クロードの話を立ち聞きしたヴァンサンは、ヴァレリーを説得しようとこっそりパリへ。
仕事に来る約束だったのに来ないヴァンサンを心配していたミシェルのもとへ、ヴァレリーが死んだと警察から連絡が入り……。
 
良好な仲でなかったとはいえ、ヴァレリーという一人娘を亡くして悲しむミシェルですが、
離婚調停中だったヴァレリーの夫ロランはドバイに単身赴任中。
ルカがフランスを離れたくないと言ったものだから、ミシェルがルカを引き取ることになります。
 
ミシェルが食中毒になったのは、ヴァレリーがわざとキノコを使ったからではないのか。
ヴァレリーが死んだのは事故だったのか、それともヴァンサンに殺されたのか。
さまざまな疑問ははっきりとは解消されないまま最後に至ります。
 
どれもこれも、結局自分に都合の良いように人は解釈したがるし、そうしなきゃ生きるのは難しいとも思えます。
死を目前にしたマリ=クロードが「良かれと思ってしたことが裏目に出て」と言ったとき、
ミシェルは「良かれと思うことが大事」と答えます。独りよがりかもしれないけれど、それでいいのかもしれません。
 
ネタバレですが、ヴァレリーがミシェルを憎んでいたのは、ミシェルがかつて娼婦だったから。
娘を女手ひとつで育てるためにミシェルが選んだ道。
パリにアパートメントを所有するまでになった彼女は、そのアパートメントをヴァレリーに譲ってブルゴーニュの田舎に戻ったわけですが、
ヴァレリーは自分のためであっても母親のことを許さず、ブルゴーニュの家までとっとと自分に譲れと言います。
ルカの目の前でも夫婦喧嘩が絶えず、死んで自業自得とは言わないけれど、これがみんな円満におさまる道だったように映る。
 
ルカ役のガルラン・エルロスの美しさに目を惹かれました。どう育つのか楽しみ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする